チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2)

竜田一人 著「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2)」(2015)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2) (モーニング KC)

いちえふ 福島第一原子力発電所労働記(2) (モーニング KC)

 

原発事故直後から作業員として構内で働き続けた著者による、潜入取材に基づく漫画。著者は多重下請け構造の最底辺辺りの零細企業に所属し、厚生棟で行う線量測定などの、スキルをさほど要しない作業に就いていたのだが、更に過酷で熟練度を要する建屋内の作業に従事すべく、ツテを辿って下請けから遡り、より上流を目指す「転職」を行う。その辺りの事情に四苦八苦する様子が、原発内部の描写より面白かったりする。途中、現場から離れていた期間があった様で、前作に比べるとやや散漫で読み応えに乏しかったかなと。でも、実際に現場で働き、ありのままを見聞きして描いているだけあって、真に迫るモノはある。

女性に免疫の無いおっさんの手を「ギュッ!」とするのが、いかに罪深い行為か考えた事がありますか、無いでしょうね。

先日、近場のミスドに行ったワケですよ。んで応対してくれた店員さんが二十歳かそこら辺の女子だったんです。適当にドーナツ選んで会計を済ませると、その子がお釣りを渡す時に僕の手を包み込むように「ギュッ!」としたんです。片方の手でお釣りを渡し、もう片方の手を下から客の手に添えてサンドする、これで伝わりますよね。コンビニなんかでもたまにこんな風に、両手で「ギュッ!」スタイルでお釣りをくれる店員さんがいますけどね、何なんでしょうか、コレは。本部の研修マニュアルに「ギュッ!」とするように規定されているのでしょうか、それともオーナーの接客方針だったりするのでしょうか。

恥ずかしながら僕は、この類の会計に携わるバイトをした事が無いので、その辺の接客事情にはまったく疎いのですが、その割には例えば同じ系列、同じ店舗であっても、「ギュッ!」とする人としない人がいますけど、客を選んでやっているのでしょうか。僕の場合、こういう「ギュッ!」とされるのは、ごく稀な経験なのですけど、例えば容姿端麗な客だったら、毎度「ギュッ!」とされたりするのでしょうか。だとしたら、僕の様な薄ら汚いおっさんの手を「ギュッ!」とする店員さんは、余程真面目なのでしょうね。

しかし、僕はバイト店員がそんな事までしなくても良いんじゃないのかなぁと思うワケです。だって、どこの馬の骨か分からない客の手に触れるどころか、両手で「ギュッ!」と包んでしまうんですよ。結構、濃密な接触です。そんな行為を、一日にン十人かそれ以上の客に対してするとしたら、相当の労力でしょう。とてもバイト代に見合っていると思わんのです。それに僕は、女性に全く免疫が無いので、不意にそうやって「ギュッ!」とされると、驚きの余り、心臓が止まりそうになり、全身が硬直してしまうんですよ。おっさんとはいえど、いまはまだ比較的若いから良いようなものの、40歳過ぎたら本気でショックタヒするかも知れませんよ。

果たして「ギュッ!」とスタイルは客の心に響くサービスなのでしょうか。ひょっとしたら客が、「お客様は神様です」を履き違える一つの要因になっているやも知れません。更に言えば、アタマのネジが外れた客に「この子、俺に気があるんじゃね?」とか誤解を生じさせた挙句、店員がストーキングされる可能性だって否定できません。僕は、お釣りは普通に渡してくれればそれで十分だと思います。