チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ブラック企業2 「虐待型管理」の真相

今野晴貴 著「ブラック企業2 「虐待型管理」の真相」(2015)

前作に比べると、本書は社名(たかの友梨やワタミユニクロなど)と実例を挙げて、更にブラック企業の本質に肉迫する内容になっており、こう言ってはなんだが非常に読み応えがある。ブラック企業が計画的・戦略的に新入社員を使い潰し、躍起になって利益を上げる構図を窺い知る事ができ、世も末だと自覚せざるを得ない。とくに著者がブラック士業と称して強く批判する、ブラック企業に肩入れする弁護士や社会保険労務士が跋扈している為に、被害者が騙されたり、丸め込まれたり、脅迫まがいの行為を受けたりし、泣き寝入りするケースが後を立たないそうだ。ブラック企業そのものが、一つのビジネスモデルとして確立してしまっているのである。若者は若者で、一社会人として克己すべきとひたすらに頑張る余り、疑念を抱く余裕すら与えられぬまま、ブラック企業の無限の要求に応じてしまう。真面目であればあるほど、ブラック企業に付け入られ、利用され、その挙句、ボロ布の様に捨てられてしまうのだが、人材を使い潰せばそれだけ利益が上がるスキームを構築しているから、ブラック企業にとってはそれが短期的に最善の策というワケだ。当然そこに長期的な展望など無く、ましてや国の行く末なんて知ったことではない。極めて利己的な経済活動に基づく阿漕な存在、それがブラック企業とその界隈で甘い蜜を吸うブラック士業達なのである。ブラック企業を論じる際に忘れてはならないのが、嫌なら辞めれば良いという単純な問題では無いという事だ。まずこの点だけは誰しもが理解すべきだと思う。若者を苛虐の末に過労死や自殺に追い込む事で、成長の糧を得ている様な鬼畜な企業は絶対に野放しにしてはならない。

デビル

ジョン・エリック・ドゥードル監督作「デビル」("Devil" : 2010)[BD]

エレベーターに乗り合わせた5人の男女を待ち受ける悲劇の行方と、彼らを救うべく奔走する刑事の姿を描く超常ホラー作品。

フィラデルフィア市警の刑事ボーデンは、5年前に愛する妻と息子を事故で失った後、アル中を患うも、断酒治療の末に回復を果たす。職務に復帰したボーデンは、同僚のマーコウィッツと共に、トラックに転落したと思しき死体の捜査に着手する。ロザリオを握りしめたその男の死体は、トラックを激しく凹ませており、ボーデンはトラックが見つかった2階建ての高さからでは起こりえないと判断する。更にトラックの周囲に破片が散らばっておらず、ボーデンは落下場所からトラックが移動したと推測し、近くに建つ高層のオフィスビルに当たりをつける。

その頃、オフィスビルのエレベータ6号機に5人の男女(警備員の男、セールスマン風の男、職業不詳の若い男、派手目な若い女、老婦)が乗り合わせ、上階に向かう。ところがエレベータは途中で急停止する。監視室の警備員ラミレスは、6号機だけが点検中になっている事に気づき、上司のラスティグに伝えると、ラスティグは整備員のドワイトに連絡する。ドワイトは35階で破損した窓ガラスの修理を切り上げ、機械室に向かう。

エレベータ内では客達が苛立ち始め、警備員の男を詰り始めるが、男は派遣で日が浅いと弁明し、非常ベルを押す。5人はラスティグから復旧を待つように伝えられるが、なぜかエレベータからの声は通じない事を知り、更に携帯も不通となる。次第に5人の間で諍いが生じ始める。

機械室では異常が見当たらず、ドワイトはラスティグに命じられるまま、一旦ブレーカーを落とす。エレベータは消灯するも復旧せず、ドワイトは地下に向かう。警備員の男は閉所恐怖症の症状を訴え始める。若い女はセールスマンが尻を触ったと主張し、遠ざける。その直後、エレベータの電気が明滅を始める。

地下にも異常が見当たらず、ドワイトはカゴまで降りて手動で動かすしか無いと判断し、ラスティグにその旨を告げる。その時、エレベータの電気が消え、不可解な打撃音の後、電気が戻ると、若い女が倒され、背中を何かに噛み付かれた様に負傷している事が分かる。一同はセールスマンを真っ先に疑い、問い詰める。モニターで5人の状況を確認したラスティグは、警察に通報する。

通報を受けたボーデンとマーコウィッツは、ラスティグに招かれ、監視室に駆け付ける。信仰深いラミレスは、モニターに一瞬映った不気味な顔をラスティグに知らせる。エレベータ内では警備員の男と若い男が、ドアをこじ開けようと試みる。ボーデンはラスティグから状況を聞くと、修理が済むまで落ち着いて待つように5人に伝え、エレベータ会社と消防署に連絡する様に指示する。

ボーデンは警備員の男ベンについてラスティグから聞くと、派遣会社に身元を確認する様に指示する。ラミレスは顔の件をボーデンに伝えようとするが、ラスティグに制止される。ボーデンは5人の身元を確認すべく、身分証をモニター越しに提示させるが、低解像度で読み取れず、来客名簿で訪問先に来ていない者を探す様に、マーコウィッツに指示する。その時、エレベータが再び明滅し、若い女は客達が死体と化した幻覚を見る。その直後、ガラスが割れ、電気が戻ると、首にガラスが刺さった状態で死んだセールスマンが見つかる。モニターでその様子を見たラミレスは、悪魔が人の姿で現れ、魂を奪う前に責め苦を与える、「悪魔の招集」だと主張し、乗客の一人が悪魔だと告げる。しかし、ボーデンはそれを無視し、セールスマンの傍にいたベンの犯行を疑う。その時、ベンが度重なる暴行の前科者だと判明する。エレベータの4人は互いに疑心暗鬼になる。その時、エレベータ会社が倒産している事が判明する。ボーデンはセールスマンのスーツから飛び出た紙を客に取り出させ、それが35階の商事改善協会が差出人の封筒だと判明する。

若い男は海兵隊員としてアフガニスタンに派遣されていた事を客に明かす。更に、整備工で機械に詳しいと明かし、カゴの上に登ろうとするが、一人で逃げるつもりだと疑われ、ベンに引きずり降ろされる。35階を訪れたボーデンは、自殺現場に「悪魔の足音が聞こえる」と遺書が残されていた事を知る。ボーデンは商事改善協会で、セールスマンのヴィンスが投資詐欺で大勢に恨まれていた事を知り、被害者リストを入手する。その頃、消防隊が到着し、救出作業に着手する。

整備工の男は互いに安全を確保する為、一同に身体検査を提案する。ラミレスは監視室に戻ったボーデンに、モニターに写り込んだ顔を見せ、悪魔がいると主張する。ボーデンは、妻子がひき逃げされたベツレヘム街道で見つけた、クーポンの裏に記された"I'm so sorry"を見せ、人間が十分に邪悪であり、悪魔など信じないと告げる。

ボーデンは、録画から若い女がヴィンスに触られたふりをしていた事を察知する。一方、ドワイトは屋上からシャフトに入り、カゴに向かって降り始める。その頃、老婦とベンで口論が生じ、老婦は催涙スプレーを取り出すが、ベンが奪い取る。その時、繋いでいた鎖が切れ、ドワイトはカゴの上に落下する。ドワイトの死を確認したボーデンは、消防隊に壁の破壊を要請する。

来客名簿との突合の結果、乗客が詐欺師ヴィンス、窃盗犯の老婦ジェーン・コウスキー、嘘つきの若い女サラだと判明するが、若い男だけサインが見当たらず、不明となる。その時、モニターに一瞬、客達が全員死体となった映像が映る。その後、若い男がビルに入った時に提げていたバッグが、エレベータ内に無い事が判り、疑いが強まる。その時、再び電気が明滅し、消灯した後、ジェーンが配線で首を吊られ死んだ状態で見つかる。ボーデンはビルの閉鎖を決め、ビル内の人達をロビーに集合させる。消防隊から、配管の元栓を閉めたいと要請を受け、ラスティグが地下に向かう。ラミレスは5人が悪魔に集められた理由があるとボーデンに訴える。

ボーデンは一階の洗面所の下に隠されたバッグから、整備用の道具一式を発見する。サラは唐突に自己紹介を始め、ベンと握手する。整備工は自らをトニーと明かし、ベンの閉所恐怖症が演技だと指摘する。ベンとトニーは殴り合いを始め、サラはベンにトニーを殺す様に唆す。監視室に戻り、3人の様子を確認したボーデンは、3人に両手を壁に付く様に命じる。ラミレスは、悪魔の仕業だった場合、5人全員が死ぬものの、それが自業自得だと告げる。マーコウィッツの調査で、サラが前科者だと判明する。サラは既婚男性の恐喝で2年前に逮捕を免れており、ボーデンはその理由が名家キャラウェイの妻だからだと察知する。サラの訪問先が42階の弁護士カザンだと知ると、ボーデンはロビーでカザンを見つけ、サラが襲われた事を伝えて聴取する。カザンは自らを金銭訴訟専門だと明かし、夫が怪しいと仄めかす。

消防隊は壁の掘削に難航する。一方、ラスティグは地下で電線のショート箇所を発見し、取り除こうとするが感電し、ロビーで息絶える。トニーはサラが人を煽動して争いを起こす元凶だと指摘する。サラが夫の財産を査定中だと判明すると、ボーデンはサラが離婚する気だと悟り、夫に殺す動機があると判断する。その時、ビルの警備会社がキャラウェイのグループ会社だと分かり、ボーデンはサラの夫による偽装連続殺人だと確信する。夫がベンにサラを殺させようとしていると察知したその時、エレベータが再び明滅する。サラはトニーを恐れ、ベンの傍に近づく。消灯の後、ベンが首を捻られ死んだ状態で見つかる。

トニーとサラは互いを犯人だと確信し、ガラスの破片を突きつけ合う。ラミレスは悪魔が全てを疑う様に仕向けると主張する。ボーデンがラミレスに2人を救う方法を尋ねると、ラミレスは、自分を偽る嘘が悪魔を呼ぶ為、自分の真の姿を認めさせる様に伝える。ボーデンはアル中で死にかけた経験を2人に打ち明けると、誰かのせいでは無く、全て自分が悪いのだと説く。2人がガラスを手放すと再び明滅が起こり、消灯の後、サラが瀕死の状態で見つかる。その時、トニーの婚約者を自称する女が監視室に連れられてきて、面接前に工具を預かるはずだったと明かす。女はトニーのラストネームがジェンコウスキーだと告げ、サインをしていなかったのが老婦だと判明する。

その直後、死んだはずの老婦が起き上がり、トニーに魂を奪われる覚悟を尋ねる。トニーは過去にベツレヘム街道で衝突事故を起こした事を思い出し、逃げるべきじゃなかったと心から悔いると、サラの代わりに自分を連れて行くように老婦に請う。老婦は取引には応じないと突っぱね、エレベータを落下させる。ボーデンはマイクに向かって、ひき逃げするも発覚しなかった事を告白する。それを聞き、ボーデンは全てが偶然では無かった事を悟る。サラが息絶えると、老婦はトニーに魂が奪えず残念だと告げ、ビル全体が停電する。

復旧した後、ボーデン達はエレベータ内に突入するも、老婦は忽然と姿を消す。ボーデンはトニーを自ら連行すべく、パトカーに乗せると、トニーが殺したのが自分の妻子だと打ち明け、許すと伝える。

 

 

停止したエレベータ内に閉じ込められた、5人の男女を悪魔が襲うという内容だが、オカルト・ホラーというよりシチュエーション・スリラー系。80分と短い尺ながらも、エレベータ内外の状況がめまぐるしく展開し、更に情報量が多いので、予想以上に濃密で満足度の高い作品だった。5人の素性が徐々に明らかになってゆき、全員が犯罪性向高めな奴らだと判明し始めると、途端に一人ずつ殺されていく。電気の明滅の後にお約束の様に悪魔が現れ、暗闇の中でドタバタ音を立てるのが、不気味だがちょっと苦笑させられる。いろいろと伏線を張りつつも、最終的に悪魔だったのは死んだはずの老婦で、なるほどそう来るのねという感じ。でも、悪魔も見境無く殺すワケじゃないんだから律儀と言えば律儀だし、そう考えると戦争やテロで人殺しに明け暮れる人間の方が余程邪悪な存在とも言えるな。

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近所のスーパーの値付け間違いを指摘すべきか否かで迷っているが、多分このままスルーする。

上旬の暑さでバテていた頃が嘘の様にめっきり涼しくなったが、寒暖の差に負けてしまい、昨夕辺りから頭痛が生じ始めた。風邪を引いたのかも知れない。話に拠ると、関東の方でも9月から10月並の涼しさが続いているらしい。酷暑が続いている時には、温暖化だなんだと騒ぎ出すのが近年のお決まりの様になっているが、翻って記録的な涼しさが続くと、途端にゴニョゴニョと黙りこむのはどういう了見なのだろう。これと似た構図を最近の株価にも感じたのだが、イケイケドンドンで上り調子の時はアベノミクスの成果を強調するクセに、下がり始めるとその要因を彼の国に求めるのは、ゲスいにも程があると思う。世の中には斯様に牽強付会な理屈がまかり通り、珍説がさも常識の様に幅を利かせている。

近所のスーパーである商品の値付けが間違っているのが気になり、指摘すべきかどうか迷っている。スーパーで働いた事が無いから、値付けがどう行われているのか知らないのだが、店頭の表示価格とレジを通る時の価格が大幅に違うのである。具体的には100円以上安く、客側としては相当なお買い得状態となっているワケだが、薄利多売のスーパーとしては損失だろう。その商品には大別して価格の高い順にグレードA、グレードB、グレードCがあり、現状ではAがBよりもやや安くなってしまっており、それを知っていれば誰もが迷わずAを買うだろう。店側に落ち度があるからと言って、客は知らぬ存ぜぬを決め込んで、買い続けて良いのだろうか。その商品をレジに通す度に気が引ける。逆に店頭表記より高く要求されたら、その場で即座に指摘するだろうから、僕も相当なゲス野郎だと言える。しかし、店員が誰一人として気付かないのもどうかと思う。