チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

表現インフレとDB。

世間様、体育の日。この日ならではの行事が、各地で催される予定となっていた事だろう。しかし、折からの台風の影響で、それもどうなることやら。これを書いている時点で、鹿児島上陸の速報が入ったが、900hPaとかスーパー台風とか煽りまくった割には、日本に接近するにつれ、普通の勢力に落ち着いた様だ。もちろん被害が最小限に済めばそれに越したことはない。しかし、台風に限らず、仰々しいアナウンスはオオカミ少年になりかねないから、考えものだと常々思う。

ある特定の事象の凄さを伝えるのに、用いる尺度や表現方法がその都度変わっていく。最近では雨量を伝えるのに「◯◯年に一度の~」とか「これまで経験したことのない~」なんかが、日常的に使用される様になった。例えば「50年に一度の大雨」とやらがひと夏に何度も来たら、次第にその物々しさも薄れていってしまうに違いない。すると、同程度か、それ以上の大雨の脅威を伝える際には、新たにおどろおどろしい表現を拵える必要に迫られるんだろう。

僕はこういう事を考える時、ドラゴンボールの戦闘力が真っ先に思い浮かぶ。物語が進むにつれ、登場する戦士の戦闘力が際限なくインフレに向かう、あのモヤモヤする感じだ。宇宙の支配者だったフリーザだって、戦闘力インフレが進みに進んだ後から振り返れば、陳腐で卑小な存在に思えてしまう。こうやって引き合いに出しておいて、実は僕は原作からもアニメからも途中で離脱したので、結局ドラゴンボールがどの様に完結したのか知らない。ごめんなさい。昨年だったか、映画で新作が公開されていたから、まだインフレが続いているのだと察している。

思いがけず、昨日に続いてまたジャンプネタが飛び出してしまった。ドラゴンボールといい、昨日触れたぬ~べ~といい、そこまで愛着があるとは言えないまでも、懐かしいのに変わりはないんだよなぁ。るろうに剣心も実写映画化されたことだし、こうやって懐古の情に浸りたいおっさん世代を狙い撃ちしてるのかしら。表現インフレについて考えていたのに、どういうワケか懐古に落ち着いてしまった。Just give me a reason.

 

以下、やや下ネタ入ります。

 

映画鑑賞記

スティーヴ・マックィーン監督作「SHAME -シェイム-」("Shame" : 2011)

異常性欲者の男が、突然の妹の来訪をきっかけに、倒錯していく様を描くドラマ作品。

ニューヨークの瀟洒なマンションに暮らすブランドン(マイケル・ファスベンダー)は、容姿に優れ、また仕事でも成功を収め、男としての魅力に溢れていた。しかし彼は、昼夜を問わず、暇さえあればセックスや自慰に明け暮れる、異常性欲者だった。毎晩、娼婦やナンパで引っ掛けた女達とセックスをする一方、会社でも、ネットでポルノ動画を見てはトイレに駆け込む程だった。ある日、ブランドンのPCがウィルスに感染してしまい、保守のため、会社によって無断で回収されてしまう。ブランドンは、ポルノが詰まったHDDを分析される事を考えると、内心穏やかではいられなかった。そんな折、ブランドンの自宅に妹シシー(キャリー・マリガン)が押しかけてくる。シシーは渡りの歌手として、根なし草の様な生活をしており、しばらく泊めて欲しいと懇願し、半ば強引に居座ることに。しかし、シシーが同居している事で、ブランドンは好きな時に女を呼べず、また自慰に耽る事も敵わず、自ずとその性欲を抑制せざるを得なくなり、次第に倒錯していくのだった。

セックス&オナニー中毒の異常性欲者が破滅に向かって堕ちていく、というシリアスドラマ。先日、ポルノ中毒の男を題材にしたコメディ「ドン・ジョン」を観たが、本作はそれと真逆の悲壮感に満ちた世界観。イケメソでカネ回りも良いだけあって、毎晩のセックスの相手にも事欠かないブランドン。しかし、その性欲が災いしてか、特定の相手と深い交際するまでには至らず、独身を貫いているのだった。そんな彼の元に、妹シシーが突然押しかけてくるのだけど、彼女は兄が異常性欲者である事は知らないし、それどころか彼女もまたメンタルに不安定なところがあって、腕にはたくさんのリストカットの痕。この2人が生まれ育った家庭に、何やら問題があったらしい事が示唆されると。で、ブランドンはプライベートで気ままなセックス&オナニーライフを送っていさえすれば、性欲の均衡は一応図られ、問題が顕在化する事もなかったのだけど、シシーがプライベートを侵食する様になってからは、性欲の処理が滞り、自我が崩壊する程に倒錯していってしまう。そのブランドンを演ずるマイケル・ファスベンダーの狂気に満ちた演技が、もう凄すぎる。マックィーン監督が彼を毎回起用するのも頷ける。ポルノさながらのシーンが頻繁に差し込まれるのだけど、しかしそれらはエロチックではなく、もう痛々しくて見ていられない。異常性欲とか性依存症って稀に聞くハナシだけど、アル中やヤク中と同じ様に医師による専門的な治療が必要なんだろうね。ちなみに兄妹の禁忌な関係を描くとか、そっち系では全くないので誤解なきよう。

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