チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ファミリー・ツリー

アレクサンダー・ペイン監督作「ファミリー・ツリー」("The Descendants" : 2011)[BD]

妻の死と、不動産の売却を目前に控えた夫が、2人の娘との関係に苦慮しながら、絆を深めていく様を描くドラマ作品。

ホノルルで弁護士業を営むマットは、先祖から受け継いだカウアイの広大な土地の信託期間が、7年後に失効するのに伴い、親族と協議し、売却する計画の準備に追われていた。売却益が数億ドルにも及ぶその取引の最終的な決定権は、マットに委ねられていた。その最中、妻エリザベスがスピードボートで事故を起こし、昏睡状態のまま、入院する事になる。この数年間、マットとエリザベスの夫婦仲は冷え込んでいたが、マットは改めてエリザベスへの愛を確認する。

マットは病室で妻の介助をする傍ら、2人の娘達の面倒を見る事になった。しかし、彼は仕事人間で、家庭を顧みる事が乏しかった為に、突然娘達と向き合う事になり困惑する。17歳の長女アレクサンドラはハワイ島の私立高校で寮生活を送っていた為、マットは10歳の次女スコッティへの接し方に苦慮していた。エリザベスの容態に改善の兆しは見られず、主治医は生前エリザベスが尊厳死に同意していた事をマットに打ち明ける。マットはエリザベスの意を汲み、生命維持装置を外し、自発呼吸で成り行きに任せる事を決意する。マットはスコッティを連れ、ハワイ島へアレクサンドラを迎えに行く。寮でのアレクサンドラの生活は麻薬を吸うなど荒んでいた。

自宅に連れ戻したアレクサンドラに、マットは母の死が近い事を告げる。すると、アレクサンドラは生前の母が他所の男と浮気していた事実を、初めてマットに明かす。アレクサンドラはそれが原因で母を拒絶する様になり、ハワイの高校へ入学したのだった。マットは友人夫妻を問い詰め、浮気相手の名がブライアンだと聞き出す。マットはアレクサンドラの目撃情報を元に、ホノルルのブライアン宅を密かに訪ね、彼が不動産業者を営んでいる事を知る。

マットと娘達はエリザベスの元を訪れ、生命維持装置を外す前に思いの丈をぶつける。マットは親族や友人らを集め、エリザベスの最期が近い事を知らせる。ブライアンの事務所からブライアンが休暇でカウアイ島を訪れている事を知り、マットは娘達とその友人シドを連れ、気分転換の旅行がてらカウアイ島へ向かう。マット達は売却する事になる広大な土地を訪れ、名残惜しむ。売却後は自然高級リゾートや商業施設の建設が有力視されており、自然環境が失われるのは時間の問題だった。

マットはブライアンの宿泊先を探るが、手掛かりが見つからない。翌朝、マットがビーチをジョギングしていると偶然、ブライアンとすれ違い、その後を追って宿泊先のコテージを発見する。日中、娘達とビーチを訪れたマットは、コテージから出てきた子供連れの女ジュリーと言葉を交わし、ブライアンが妻帯者である事が判明する。その後、マットは訪れたバーで親族のヒューと会う。ヒューはコテージのオーナーで、ブライアンの事を良く知っていた。ヒューは、ブライアンがマット達の不動産の有力な売却先ホリツァーの義弟である事を明かす。ホリツァーと取引が成立すれば、ブライアンの不動産事業が活気付くのは確実だった。

夜、マットはアレクサンドラを連れ、ブライアンのコテージを訪ねる。マットはブライアンと2人きりになると、浮気の件を責め、不動産取引が狙いではないかと問い質す。ブライアンはエリザベスが単なるセフレで、愛しておらず、家庭を守りたいと懇願する。マットは最後にエリザベスに面会に来るようにブライアンに求め、コテージを後にする。

ホノルルに戻ったマット達は、エリザベスの生命維持装置が外されるのを見届ける。その後、親族会議が行われ、売却への賛成票が過半数を占めたが、マットは土壇場で署名を止め、売却を中止する。ヒューは翻意する様に迫ったが、マットの決意は固かった。親族会議が終わり、病室でエリザベスの最期を見届けるマット達の元を、ジュリーが訪ねてくる。ブライアンとエリザベスの不貞を知り、彼の代わりに面会に来たのだった。エリザベスを赦すと告げるジュリーを宥め帰すと、マットはエリザベスに最期の別れをする。

エリザベスが亡くなると、マットと娘達は海へ出て、散骨を行う。その後、マットと娘達との新しい日常が始まる。

 

夫婦仲の不和、妻の事故からの浮気発覚、娘達に対する苦慮、そして親族が固唾を呑んで見守る巨額な不動産の売却。いろんな要素がマットの双肩に一気に伸し掛かる状況で、それでも夫として、父として、親族の代表として、奮闘する様を、時にユーモラスに、時にシリアスに描くなかなか見応えのある傑作。オアフ島ハワイ島~カウアイ島という、オールハワイなロケーションは雰囲気満点で、現代とは別世界の様に感じる。僕は島の位置関係すら知らなかったので、本作であちこち移動するマット達の様子を見て、非常に参考になった(笑)ビジネスマンとしては有能な男でありながら、父としてはやや頼りないマットを演じるジョージ・クルーニーは、見事にキャラがハマっている。アレクサンドラ役のシェイリーン・ウッドリーは本作で見事に才能を開花させていて、素晴らしいとしか言い様がない。この時、既に卓抜した演技力を見せていたんだなと実感。スコッティ役のアマラ・ミラーとの軽妙なやり取りも、実の姉妹の様で可笑しかった。アレクサンドラの友人シドの存在が謎すぎるのだが、一応ムードメーカーなんだな。いやぁ、本当によくできてるわ。

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