チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

レッド・ライト

ロドリゴ・コルテス監督作「レッド・ライト」("Red Lights" : 2012)[BD]

盲目の超能力者のトリック解明に挑む、物理学者達の姿を描くスリラー作品。

物理学者のマシスン(シガニー・ウィーバー)と助手のバックリー(キリアン・マーフィー)は、大学で教鞭を執る傍ら、超常現象と称される事象を科学的に究明する事をライフワークとしていた。マシスンは超常現象の否定論者であり、また無神論者であった為に、心霊現象や超能力の類が報告される度に、バックリーと共に当事者を訪ね、科学的に厳密なアプローチで検証を行ってきたが、どれも容易くトリックが見破れる代物ばかりだった。

ある日、かつて世を賑わした盲目の超能力者サイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)が30年ぶりに復帰すると報じられる。30年前、シルバーの公演に訪れていた懐疑論者の男が突然死した事で、シルバーの関与が疑われ、それ以来、シルバーは表舞台から姿を消していたのだった。シルバー復帰の一報を知ったマシスンは、シルバーとの過去の因縁に今もなお囚われ続けていた。マシスンには植物状態で寝たきりの息子デヴィッドがいた。マシスンは死後の世界の存在を確信できるなら、デヴィッドの生命維持を止め、安らかに送り出してやりたかった。マシスンの超常現象研究に対する執着は、死後の世界を信じる縁を求めての事だった。

かつてシルバーに師事したとされるパラディーノが劇場で公演する事になった。マシスンとバックリーは、大学の講義の生徒オーウェンエリザベス・オルセン)をチームに加え、会場でパラディーノのトリックの解明に挑む。パラディーノは客の人となりや病歴を言い当て、超能力で治療したと見せかける詐欺を行っていた。マシスンとバックリーはトリックを見破り、パラディーノは警察に逮捕される。

シルバーの復帰公演が近づき、大々的に宣伝活動がなされる様になると、バックリーはマシスンにシルバーへ挑戦する様に提案する。マシスンは消極的だったが、テレビの討論番組に出演し、シルバーの支持者達と論戦する。ところが否定論者はマシスンだけの状況下で防戦一方となり、マシスンは途中で退席してしまう。翌日、マシスンの敗北が大々的に報じられる。業を煮やしたバックリーは、シルバーと徹底的に戦うべきだと要求する。大学内での2人のポジションは危うく、研究費も削減される一方だった。その反面、大学内でライバル関係にあるシャクルトンの超常現象研究センター(SPRC)には、潤沢な補助金が投入されている現状をバックリーは憂いていた。マシスンはシルバーとの過去の因縁を打ち明ける。マシスンはかつてシルバーとある番組で同席した事があった。シルバーはマシスンの傍にデヴィッドを霊視した上で、あの世に送ってやるべきだと諭し、マシスンには返す言葉が無かった。マシスンは僅かでもシルバーの言葉に同調した自分が許せなかったのだった。

シルバーの公演当日、バックリーは単身会場に乗り込み、密かに調査に乗り出す。しかし、開始早々ヘマをしてしまい、シルバーに知られるところとなる。その瞬間、会場は震撼し、バックリーの扱う機器はショートする。調査の失敗で傷ついたバックリーが研究室に戻ると、そこで倒れているマシスンを発見する。バックリーは病院に搬送されたマシスンの回復を信じて待ったが、その願いも虚しくマシスンは息を引き取る。病死と判定されたが、シルバーによる犯行を疑ったバックリーは、シルバーを尾行し、潜伏先を突き止める。その頃になるとバックリーの身の回りに、奇妙な現象が頻発する様になり、バックリーはシルバーの仕業だという思い込みを強めていく。

突然、シルバーが最終公演で引退する事になり、その前にSPRCが行う調査実験に全面的に応じる事になった。バックリーは弔い合戦とばかりに、シャクルトンに調査への参加を要求し、オブザーバーとしてのみ参加が認められる。2週間の調査期間中、一切の不正が行えないような環境で、あらゆる角度からシルバーの各種能力に対する観測実験と分析が行われた。バックリーはSPRCの実験手法に盲点があると確信し、学生のベンに具に確認させる。バックリーはシルバーの潜伏先を訪れ、シルバーの盲目が偽りでないかと疑う。

シルバーの最終公演日、バックリーは観客に混じり、公演の行方を見守る。休憩時間中、バックリーはトイレの中で暴漢に襲われ、負傷する。その頃、シャクルトンはSPRCとしてシルバーの能力にお墨付きを与えるか否か、逡巡していたが、最終的に署名をする。一方、オーウェンとベンはSPRCの実験の盲点を突く形で、シルバーが巧妙に不正を行っていた証拠を掴む。負傷したバックリーは公演中の会場でシルバーと対峙する。観客が固唾を呑んで行方を見守る中、突如、会場が震撼し、崩落し始める。崩落が収まると、バックリーの計らいで、シルバーはペテン師である事を観衆の面前で晒してしまう。

実はバックリーこそ本物の超能力者だった。これまでバックリーの周辺で起きた不可解な出来事は、全て彼が潜在意識の中に秘めた超能力によるものだった。超常現象の究明は偽りの目的であり、本当は自分と同じ能力を持った人間を探す為にマシスンに協力していた事を、バックリーはついに自覚する。バックリーは敬愛する亡きマシスンの意を汲み、デヴィッドの生命維持装置を止め、あの世に送る。

 

シルバーは本物の超能力者なのか、彼のトリックをいかに見破るか、という点に目を向けさせておいて、実はバックリーが超能力者でしたという、全てを覆す予想外のオチに思わず感嘆してしまった。いやはや、かなりの傑作。"Red Lights"というのは場違いなモノや兆候を指すらしいが、それっぽい要素を探させておいて灯台下暗しだもんなぁ。まさかバックリーが無自覚に能力を発動しているとは思わなかった。キャストの取り合わせも斬新。マシスンが中盤で死んでしまうのは寂しいが、それがバックリーを覚醒に導いたのだし、起伏に富んでいて良い。

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