チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

思い出のマーニー

米林宏昌監督作「思い出のマーニー」(2014)[BD]

少女が療養先の地で体験した不思議な出来事を通じて、成長する様を描くアニメ作品。

佐々木杏奈は札幌で養母の頼子と共に暮らす中学1年生。杏奈は幼い頃に両親を無くした為に、貰い子として頼子の元で育ったが、成長しても頼子とは隔たりを感じていた。杏奈は自らの殻に閉じこもりがちな性分ゆえ、人付き合いが苦手で、友達は少なかった。また、杏奈は喘息を患っており、度々医師の世話になっていた。杏奈は医師に空気の澄んだ地域での療養を勧められ、頼子の親戚で釧路に住む大岩夫妻の元で単身、一夏を過ごす事になった。

杏奈は頼子に見送られ、鉄道で釧路に向かう。釧路駅で大岩夫妻に迎えられた杏奈は、海沿いの大岩宅へ向かう。夫妻は共に気さくで、杏奈を自分の娘の様に歓迎する。養母は杏奈にハガキを持たせ、手紙を書くように促していた。杏奈は到着の報告を綴り、近所のポストに投函しに行く。杏奈はその足で海岸を訪れ、湿地の向こうに廃れた屋敷を発見する。杏奈はそこに何者かが住んでいる気配を感じ、近づくが人影は見当たらなかった。杏奈はいつのまにか眠りこけてしまい、潮が満ち戻れなくなってしまう。そこへ十一という物静かな男が小舟で迎えに来る。帰宅した杏奈は、大岩夫妻から、屋敷がずいぶん空き家のままだと聞く。その夜から、杏奈は屋敷の夢を見る様になる。

翌日から、杏奈は海岸へスケッチに出かける様になる。町で七夕祭りがあり、杏奈は大岩夫妻の娘の浴衣を借り、近所に住むのぶ子らと参加する。ところが、杏奈はのぶ子に詮索された事に腹を立て、衝動的に悪態を付いて、祭りを抜けだしてしまう。海岸に走り着いた杏奈は小舟を漕ぎ、屋敷に向かう。そこで少女マーニーと出会い、2人はすぐに意気投合する。マーニーに海岸まで送ってもらい、お互いに会った事を永久に秘密だとして約束すると、杏奈は帰宅する。

翌日、再び湿地を訪れると、マーニーが舟を漕いでやってくる。マーニーに漕ぎ方の手解きを受け、お互いに質問をするなどして過ごす内に、杏奈は突然意識が遠のくのを感じる。マーニーに誘われ、屋敷で行われているパーティに招かれる。正装したマーニーは、杏奈を花売りの少女として、屋敷に招き入れる。杏奈はマーニーが男とダンスに興じているのを目の当たりにし、それが幼馴染の和彦だと聞かされる。その後、杏奈も夜空の下でマーニーとダンスを楽しむ。杏奈は自宅付近の道端で倒れているのを、近隣の人に発見される。

翌日の昼、杏奈は屋敷を訪れるも、屋内はもぬけの殻で廃れたままだった。それ以後、杏奈は1週間マーニーの事を忘れて、大岩夫妻の元で過ごす。ふとマーニーの事を思い出し、湿地に探しに行くも、マーニーが現れる事は無かった。

翌日、杏奈は海沿いで屋敷の絵を描く婦人の久子と出会う。杏奈は久子から屋敷が改築され、新たに人が入居する事を聞く。屋敷を訪れた杏奈は、入居した家族の娘、彩香と出会う。彩香は杏奈をマーニーと思い込み、改築中の屋敷を案内する。彩香は屋敷で見つけたマーニーの日記を、杏奈の書いた物だと思い、手渡す。日記の内容は、杏奈が屋敷で体験した出来事と符号していたが、途中で破り取られていた。杏奈はマーニーが自分の作り上げた空想の存在だと悟り、彩香にそう伝える。

その夜、杏奈は夢の中でマーニーと再会する。杏奈は自分を残し、死んだ両親を恨んでいる事、養母が自分を引き取った事で、自治体から補助金を貰っている事に不信感を抱いている事を、マーニーに打ち明ける。一方、マーニーは立派な両親の事や、家政婦達にいじめられている事を打ち明ける。中でも高台にあるサイロに無理やり連れて行かれた事が、恐ろしい記憶として残っているのだった。

杏奈は一緒にサイロの様子を確かめに行く事をマーニーに提案する。サイロに向かう途中、マーニーは杏奈を和彦と混同し始める。サイロにほど近い場所で、杏奈は彩香に呼び止められ、日記の続きが見つかった事を聞く。しかし、杏奈はマーニーを追ってサイロの内部へ入る。豪雨と強風に見舞われ、怯えるマーニーを杏奈は落ち着かせる。サイロは浸水が酷くなり、外に出られなくなった2人は身を寄せ合う。眠ってしまった杏奈は、マーニーが和彦と共に去っていくイメージと共に目覚め、取り残されたと思い込む。大雨の中、マーニーを探し、外に出た杏奈はぬかるみに足を取られ、気を失う。彩香は日記の記述からサイロの方角へ探しに向かい、倒れた杏奈を見つける。

高熱にうなされながら、夢の中で杏奈はマーニーと再会する。杏奈は置き去りにされた怒りをマーニーにぶつける。マーニーは杏奈との別れを告げ、許しを請う。杏奈が許した事をマーニー伝えると、空が晴れ渡り、夢が終わる。

彩香が見舞いに訪れ、戸棚で見つけたという久子の絵に挟まれていた、日記の続きを杏奈に手渡す。杏奈達は久子の元を訪れる。久子は幼馴染だったマーニーの事を語り始める。マーニーは両親が家を留守にしがちで、ほったらかしにされ、常に寂しい思いをしていた。成長したマーニーは和彦と結婚し、娘の絵美里を授かるが、程なくして和彦は病死してしまう。その後、マーニーも体を壊し、サナトリウムへ入る事になり、絵美里は全寮制の学校へ入れられる。不可抗力とは言え、絵美里は母を恨み、13歳で戻ってきた時には別人の様に変わってしまった。その後も、絵美里はマーニーと衝突を繰り返し、成長すると家を出た後、身ごもり、そのまま結婚をする。ところが、絵美里と夫は事故死してしまう。残された娘はマーニーが引き取り、世話をする事になったが、マーニーも翌年病死してしまったのだった。それが10年前の事だった。

夏が終わりを迎え、杏奈は札幌に戻る事になり、彩香に別れを告げ、再会の約束をする。大岩宅に頼子が迎えに訪れる。頼子は補助金の件を杏奈に打ち明け、頼子の愛を知った杏奈は蟠りが解消する。頼子は古いアルバムから見つけた、杏奈を引き取った日に握りしめていたという写真を手渡す。写真は当時の屋敷を収めた写真で、裏には思い出のマーニーと記されていた。杏奈は自分の祖母がマーニーだと知る。マーニーが杏奈を引き取ったおよそ1年、昔話として聞かせていたのを、杏奈は覚えており、それを一連の不思議な出来事として体験していたのだった。一夏で成長した杏奈は、頼子の事を初めて母と呼ぶ。

 

原作は全く知らなかったのだが、ファンタジー的なノリで、時を越えた少女同士の純粋な友情に心が洗われる様な良作だった。僕の様なヨゴレのおっさんには、杏奈とマーニーのやりとりはなかなかこそばゆいのだが、真実が明らかになり始めると、しだいに切なさが募り、観終わった後には心地良い余韻が残る。釧路が舞台なのも、道民には親近感があって良い。と言いながら、釧路には行った事が無いのだが。虚実の区別が曖昧になった杏奈が、フラフラと湿地の屋敷を訪れるのはいいとして、その後、道端で気を失っているってのは、現実問題として危ないよなぁと考えてしまった。田舎にだって変なヤツはいるのだし。物語の展開としては、杏奈の瞳の色から、オチは読めてしまうワケだが、杏奈本人が気付くのが遅いので、思わず「おせーよ!」とツッコんでしまった(笑)それにしても、ジブリ作品はキャスティングが上手で、杏奈役の高月彩良とマーニー役の有村架純は見事にハマっている。本人の顔がチラつかないのが良い。頼子役の松嶋菜々子は、松嶋菜々子としか思えなかった。

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