チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

東ベルリンから来た女

クリスティアン・ペツォールト監督作「東ベルリンから来た女」("Barbara" : 2012)[DVD]

旧東ドイツで、東ベルリンから地方の小児外科に左遷されたワケありの医師が、当局の監視を逃れ、密出国を企てる様を描くドラマ作品。

1980年夏の旧東ドイツ。西側への出国申請をしたバルバラは拘留された後、勤務していた東ベルリンの名門シャリテ病院から、地方の小児外科病院へ左遷される。壁を作り、同僚と打ち解けようとしないバルバラに、医師ライザーは気を遣うが、同時に彼は、シュタージのシュッツからバルバラの事情を聞かされ、バルバラの勤務状況を報告する義務が課せられていた。バルバラは自分が常に監視されている事に気付き、バス通勤から自転車通勤に切り替える。

赴任後、程なくして、髄膜炎を患う少女ステラが入院する。彼女はトルガウ作業所で過酷な労働を強いられていた。ライザーは甘やかさぬ様に忠告するが、バルバラは親身になって治療に当たる内に、ステラに好意を寄せられる様になる。バルバラは勤務後、遠出をし、密かに西ドイツに住む恋人ヨルクからの送金を受け取り、落ち合う約束をするが、その直後、シュッツによる家宅捜索と身体検査を受ける。ライザーもまたバルバラの行動を探ろうとする。バルバラはライザーが自分の監視役だと察知するが、一方で彼の医者としての誠実な気構えを知っていく。その後、バルバラは恋人と約束の場所で密会し、バルバラの密出国への段取りが進んでいる事を知る。

ステラに指名され、治療を依頼されたバルバラは、ステラが妊娠している事を知るが、ステラは作業所に戻りたくないと哀願する。ライザーはバルバラに自身の犯した3年前のミスを打ち明ける。疲労困憊で助手に医療機器の設定を任せたところ、助手がミスをした為、患者に深刻な後遺症が残ってしまった。それ以後、ライザーはベルリンでの研究職への道は閉ざされ、地方に飛ばされた挙句、守秘義務と報告の義務が課せられる事になったのだった。バルバラはステラの入院を延長しようとライザーに提案するが、その直後、ステラは人民警察に連行される。

程なくして、自殺未遂で頭部を負傷した少年マリオが入院する。ライザーはマリオの脳の検査結果から、開頭手術すべきか経過を観察する事に決める。ライザーはバルバラと打ち解けようと、自転車通勤を始めるが、バルバラは密出国が決まっている手前、ライザーと距離を置こうとする。

夜、ヨルクとホテルで密会したバルバラは、週末の夜に海上から密出国し、デンマークで落ち合う計画を聞く。しかし、その日は勤務日となっており、バルバラは戸惑う。翌日、ステラがトルガウでの作業中に脱走する。一方、バルバラは再びシュッツによる家宅捜索を受ける。

ライザーはマリオの脳の状態が正常に様だと判断する。バルバラは夜勤をする代わりに週末の休みをライザーに要望するが、密出国の時間が近づくにつれ、逡巡し始める。夜勤中、マリオの元に恋人が訪れるが、マリオがその事を覚えておらず、バルバラはマリオの反応に明らかな異常を見出す。マリオの容態を気掛かりに思ったバルバラは、帰宅したライザーの元へ開頭手術をすべきだと忠告に向かうが、そこでライザーがシュッツの妻の末期がんの問診をしている事を知る。バルバラはマリオの手術に立ち会う様に求められ、ライザーと関係を持ちそうになるが、翻意してその場を後にする。

深夜、密出国直前になり、バルバラの部屋に負傷したステラが飛び込んでくる。バルバラはステラを連れ、ヨルクが指定した海岸に向かう。一方その頃、ライザーはマリオの手術に現れないバルバラを心配し、バルバラの部屋を訪ねる。ライザーは家宅捜索中のシュッツから、彼女がもう戻らない事を告げられる。海岸にヨルクが手配した男が現れると、バルバラは男に資金を手渡し、ステラだけを出国させる。沖へ消えていくステラを見送ると、バルバラは再び病院に戻り、マリオの病室でライザーと再会する。ライザーはバルバラの無事に安堵する。

 

旧独時代のハナシで、人物背景など見えてくるまではやや取っ付きにくい印象だったが、途中でなるほど国外脱出したいのねとようやく理解。バルバラはヘビースモーカーというのも相まって、見るからに気の強そうな女医なのだが、恋人や患者の前では柔和な一面を見せる、どこかミステリアスな女。シュタージに睨みを効かされている以上、ああやって仮面を着けて生きる事が一種の処世術なのかも知れない。バルバラはヨルクと別れ、ライザーと共に東に残る決意をしたという事だろうか。ここからベルリンの壁崩壊まで9年だからなぁ。ちなみに、ライザーがレンブラントの「テュルプ博士の解剖学講義」の薀蓄を語っていたが、僕にはサッパリだったな。ライザーの誠実さを補強するシーンって事でいいのかしら。

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