チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

マップ・トゥ・ザ・スターズ

デヴィッド・クローネンバーグ監督作「マップ・トゥ・ザ・スターズ」("Maps to the Stars" : 2014)[DVD]

スター俳優が集う高級住宅街を舞台に、過去に重大な秘密を抱える家族と、亡き母の記憶に翻弄される女優の姿を描くドラマ作品。

家族に会うために、フロリダからはるばるLAに到着したアガサ。彼女は過去のある一件で大やけどを負い、皮膚移植を施した後、治療に専念していたが、顔と両腕には痕が残っていた。俳優兼脚本家の傍ら、リムジンの運転手をしているジェロームに運転を依頼したアガサは、スターの集う住宅街を目指す。アガサは、人気作品「いけない子守」の子役として名を馳せた、ベンジーと共に暮らしていたワイス家跡を訪れる。ベンジーはアガサの弟だった。

ベンジー非ホジキンリンパ腫で入院している女の子キャミーを見舞う。ベンジーは彼女の人生の映画化に乗り気だった。一方でベンジーは薬物依存症のリハビリ中で、断薬の影響に苦しんでいた。そんなベンジーを、母クリスティーナは甲斐甲斐しく面倒を見ては、俳優業のサポートをしていた。ベンジーの父で、心理学者のスタッフォードは、女優ハバナのセラピーを請け負っていた。ハバナは大女優の母クラリスに生前虐げられ続けた事で、長らくトラウマを背負って生きていた。

ハバナは、クラリスが主演した伝説的な作品「盗んだ水」のリメイクに主演したいと熱望していたが、オーディションで落選した為、監督のダミアンに取り入る機会を探る。ハバナはもう一度女優として再起しようと必死だった。ハバナは秘書を窃盗が原因でクビにしており、エージェントのジニーに新たな秘書の都合を依頼する。その頃、ハバナクラリスの幻覚を見る様になり、体調不良に苛まれ始める。一方、ベンジーの見舞った後にキャミーが亡くなると、ベンジーは彼女の幻覚を見る様になる。ベンジーの「いけない子役2」主演が決まり、リハビリ中のベンジーのゴシップが表沙汰にならぬ様に、関係者が総出で調整を始める。

ハバナは俳優のスタールにダミアンへの働きかけを懇願し、見返りにセックスをする。ハバナはかつての大物女優の惨めな現在の姿に嘆く。そんな時、脚本家のフィッシャーと再会する。フィッシャーはジニーから秘書の件を聞きつけ、ツイッターで知り合ったというアガサを紹介する。その後、ハバナの自宅に呼ばれたアガサは、素性を偽り、ハバナの個人秘書として採用される。クラリスの焼死と、アガサの火傷の符号が運命的だとフィッシャーに紹介されていたハバナは、転機の訪れを期待する。

アガサは自らの書いた脚本の作品に出演する様にジェロームを誘うが、ジェロームは拒絶する。ベンジーはカウンセラーにキャミーの幻覚を見た事を打ち明ける。ベンジーはその昔、よくアガサと結婚ごっこをしており、その最中、姉にクスリを飲まされ、辛うじて助かった事があったと訴える。

ハバナはスタッフォードにアガサの事を話すと、スタッフォードは2人が火で繋がっており、引き寄せたのだと告げる。しかし、スタッフォードとクリスティーナはアガサがLAに来た目的を不安視する。スタッフォードは自著の出版を控えており、ゴシップはなんとしても食い止めたかった。スタッフォードはベンジーにアガサが戻ってきている事を伝え、接近禁止命令を出すつもりでいると告げる。

ハバナはジニーから、ダミアンが主演をアジタに決めた事を知らされ、ショックを受ける。その後、ブランドショップでアジタと遭遇したハバナは、虚勢を張り、アジタを祝福する。その時、アジタから子供のマイカを紹介される。尚もクラリスの幻覚を見るハバナは、体調不良で抗不安薬に頼る様になる。程なくして、マイカが溺死し、アジタの出演できなくなった事で、代役にハバナが濃厚だとジニーから伝えらる。有頂天のハバナはダミアンと会い、直接、作品への出演を要請される。

スタジオで撮影中のベンジーの元に、アガサがこっそり訪ねてくる。ベンジーは以前殺されそうになった事を根に持っていたが、アガサはベンジーに何年も手紙を書き送っている事を伝え、皮膚移植の治療を済ませ、償いに戻って来た事を明かす。ベンジーがかつての生家への放火を理由を尋ねると、アガサは自分達が何者か知っているのかと尋ね返し、アガサもまた子供が見えると打ち明ける。

アガサがベンジーと会った事を知ったスタッフォードは、アガサの泊まる部屋を訪ね、LAに来た目的を問い質す。アガサは償いがしたいと訴えるが、スタッフォードは必死で取り戻した暮らしを壊されたくないと突き放し、フロリダに帰る様に命じる。ベンジーはプールで再びキャミーと、更にマイカの幻覚を見る。一方、クリスティーナはアガサがLAに現れた事で精神が不安定になっていく。

アガサはジェロームを誘い、関係を持ち、翌日、その事をハバナに打ち明ける。ベンジーは親友レット宅で薬物を使用し、銃を暴発させ、愛犬を殺してしまい、追い出される。アガサはワイス宅を訪れ、クリスティーナと7年ぶりに再会する。クリスティーナはアガサが旧宅を放火した件に言及するが、アガサは物心ついた頃から何度も夢に見てきた、ベンジーとの結婚について話し始める。後にアガサはその理由が、父と母の間に隠された秘密にある事を知った。父と母は実の兄妹で、別々に育てられ、偶然に大学で出会い、互いの素性を知らぬまま結婚したのだった。アガサとベンジーは近親相姦で誕生した姉弟だった。その話の途中で、スタッフォードが現れ、秘密を知られた事に怒り、アガサを殴りつけ、追い出す。アガサはクリスティーナの結婚指輪を奪い取っていった。

ベンジーは共演の子役ロイをキャミーと錯覚し、首を絞める。我に返ったベンジーは逃走するが、作品から降ろされる。一家の秘密が世間に知られるのは時間の問題となり、スタッフォードとクリスティーナは切迫した状況に陥る。

ハバナはジェロームを誘惑し、セックスするが、その現場をアガサが目撃する。その直後、アガサはハバナに遅刻を責められ、使えなさと容姿をこっ酷く詰られた後、クビを告げられる。高級カウチに経血をつけたアガサに、ハバナが激昂すると、アガサはハバナをトロフィーで撲殺する。程なくして、そこへ病院を抜け出したベンジーが訪ねてくる。居場所が無いというベンジーに、アガサはスタッフォードの結婚指輪を手に入れてくるように命じる。

その頃、スタッフォードはクリスティーナが焼身自殺を図る現場に直面する。ベンジーは放心状態のスタッフォードから結婚指輪を抜き取る。アガサは戻ったベンジーを連れ、かつての生家跡に赴く。夜空の下、二人はクスリを大量に飲み、結婚の儀式をすると、永遠の眠りにつく。



セレブリティ達の暗部、恥部を覗き見る様ななんともグロテスクな作品。どんなハナシと言うのは、なかなか簡潔に言い表せない程、絶妙に絡み合った複雑怪奇な人間関係に、観ている方が翻弄されていく。最初こそ相互の繋がりが判らず戸惑うのだが、次第にそれらが明らかになり、予想もしなかった展開に只々驚くばかりだった。キャストも名優ばかりで見応え充分。ジュリアン・ムーアのキレッキレな演技が絶賛されたのにも納得。しかし、ミア・ワシコウスカってやっぱり凄い女優だよなぁ。若手で一番好きかも。グロくて痛快で、それでいて切ない本作は、個人的に2014年のベスト3に入っちゃうかな。

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