チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

ジム・ジャームッシュ監督作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」("Only Lovers Left Alive" : 2013)[DVD]

幾世紀にも渡り、人目を避けて生き続けてきたヴァンパイアのカップルの暮らしぶりを描くドラマ作品。

ヴァンパイアで、ミュージシャンのアダムは、住民が去り、閑散としたデトロイトの町の一角に建つ屋敷で、人目を避けひっそりと暮らしていた。歴史に名だたる名曲はアダムが作り、作曲家達の名義で世に発表されてきたのだった。アダムは知人で人間のイアンに、楽器などの物品調達を依頼し、イアンはまた、音楽の才能に優れ、金払いの良いアダムを慕っていた。ある夜、アダムはアートの為と称して、高密度の木材でできた、38口径の特製の弾丸の調達をイアンに依頼する。同じくヴァンパイアで、アダムの妻のイヴは、遠く離れたタンジールの町でひっそりと暮らしていた。イヴは、親友の文豪マーロウに上物の血液を融通してもらっていたが、老齢のマーロウが次第に弱っている事を知る。一方、アダムは人間の医師ワトソンに上物の血液を密売してもらっていた。幾世紀にも渡り生きてきた彼らヴァンパイアも、時代の変遷と共に、人を殺して血液を入手する事が困難となり、こうして穏便な方法で入手する事を心掛けていたのだった。

ある夜、イヴがアダムに連絡すると、アダムは人間の事をゾンビと蔑み、世界をダメにしている存在だと嘆く。イヴはそんなアダムを心配し、久方ぶりにデトロイトへ会いに行く事を決める。イヴがマーロウに出発を伝えると、マーロウはイヴの妹エヴァの夢を見たと告げる。イアンは特注した木製の弾丸をアダムに手渡す。追っかけが自宅周辺を嗅ぎまわる事を鬱陶しく思うアダムに、イアンが煙に巻くと伝える。

夜行便を乗継ぎ、デトロイトに到着したイヴは、アダムと再会し、二人きりの時間を過ごす。アダムは、ゾンビ達が科学者に酷い仕打ちをしてきた事、現代では水ばかりか、血液すら汚染させている事を嘆く。アダムは不思議な遠隔作用とアインシュタインの量子絡み合いの話に触れる。2人は廃墟同然の夜の町をドライヴする。アダムはエヴァの夢を見たとイヴに告げる。

アダムが病院へ血液の調達に向かっている間、イヴは拳銃と木製の弾丸を見つけ、アダムに理由を問い質す。アダムが詮索しないように告げると、イヴは自分の心に囚われるのは時間の無駄だと反論する。2人は再びドライヴに出かけ、帰宅すると、屋敷に勝手に侵入したエヴァと出会す。エヴァは上物の血液を求めてロサンゼルスからやってきており、しつこく血液を催促する。アダムはエヴァの素行の悪さをかねてから忌避しており、不快さを露わにする。

エヴァに請われ、アダムとイヴはイアンを連れてライブハウスに出向く。エヴァがアダムに黙って、血液をフラスクに詰め持ち出した為、アダムは苛立ちを募らせる。帰宅後、アダムはイアンに帰るように促し、イヴと眠りに就く。日没後、2人が目覚めると、エヴァが部屋を荒らした挙句、イアンの血液を吸い、殺しているのを発見する。これまでも度々問題を起こしてきたエヴァの過ちに、姉のイヴも愛想を尽かす。アダムはエヴァを屋敷から追い出す。

アダムとイヴはイアンの遺体を隠蔽すると、屋敷と家財をそのままにし、タンジールへ移住する。2人は血液を渇望するが、マーロウと連絡が付かず、直接押しかける。汚染された血液で瀕死の状態のマーロウと言葉を交わすと、2人はその最期を看取る。マーロウを失い、2人は血液調達の目処が立たなくなる。アダムは再び量子絡み合いの話を持ち出す。2人は互いに意思を確認し合うと、生き延びる為に若いカップルを襲う。

 

 

ヴァンパイアを題材にした作品のなかでは、異彩を放つ作品でアート色強めという印象。全体を漂うしどけない空気感が心地いい。幾世紀にも渡って生きてきたアダムとイヴは、人間と直接関わる事無く、引きこもりの様な暮らしを送っている。彼らが超人的な能力を持っている事を示唆するシーンがあるので、人間を殺す事くらい造作も無いのだろうが、面倒が生じぬ様に努めて抑制的に生きているワケだ。エヴァがイアンを殺した後、アダムとイヴで遺体を処分しに行く様が、従来のヴァンパイアらしからぬ悲哀を漂わせていて可笑しかった。アダムの家にはン百年前から存在するモノが散在しており、セットとしては非常に良く出来ていると思う。一見してアダムとイヴは同世代くらいに見えるのだが、トム・ヒドルストンティルダ・スウィントンは、実年齢では20歳も離れているのだからちょっと驚く。ミア・ワシコウスカとは姉妹というより、親子くらい離れているのよね。50代には見えないな。

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