チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

銀河ヒッチハイク・ガイド

ガース・ジェニングス監督作「銀河ヒッチハイク・ガイド」("The Hitchhiker's Guide to the Galaxy" : 2005)[BD]

突然の地球の破壊に伴い、お尋ね者達と宇宙を旅する事になった男の珍道中を描くSFコメディ作品。

ある朝、アーサーは自宅がバイパス道路工事に伴う取り壊し対象になっている事を知り、業者に猛然と抗議する。そこへ親友のフォードが訪れ、急用があるとアーサーをパブに連れ出す。フォードは自らがベテルギウス星周辺の生まれだと明かした上で、かつて命を救ってくれた恩返しとして、アーサーに間もなく地球が終わると伝える。その話を真に受けず、アーサーは家が心配になり帰宅するが、既に取り壊されており、呆然とする。そこへ突然、上空に多数の巨大な宇宙船が襲来する。フォードはそれがヴォゴン建設船団だと告げる。船団から、銀河系超空間・開発審議会のジェルツ大尉が、辺境区の開発計画に基づき太陽系を通るバイパスを建設する為に、地球を取り壊すと通告する。フォードはアーサーを連れ、小型のヒッチハイク装置で地球を脱出すると、その直後に地球は爆破され、消滅する。

2人はヴォゴン船のトイレに辿り着く。フォードは銀河ヒッチハイク・ガイドの著したヒッチハイカーだと明かし、混乱するアーサーに地球が爆破された事を伝える。船内への侵入をヴォゴン人に探知された2人は、拘束され、ジュルツの元へ連行された後、宇宙空間に放り出される。2人はそこへ偶然通りかかった小型宇宙船ハート・オブ・ゴールド号に救出される。

乗員の1人で銀河系大統領のゼイフォードは、自作自演の誘拐を演出し、ハート・オブ・ゴールドを盗んで逃亡した、お尋ね者の身だった。もう1人の乗員トリシアは、無限不可能性ドライヴでZZ-9複数アルファ星域に到着した船が、ヒッチハイカーを勝手に拾ったとゼイフォードに伝える。あらゆる事に悲観的な性格のロボットのマーヴィンは、ゼイフォードに命じられ、アーサーとフォードを迎えに行く。一方その頃、ジュルツはクォルツ司令官に小型船とゼイフォードの発見を報告し、クォルツは副大統領ロントックに伝える。

アーサーはゼイフォードと対面し、フォードとゼイフォードがいとこ同士で、顔を2つ持っている事を知る。更にアーサーは船内にトリシアがいる事に驚く。トリシアは地球人で、かつてアーサーは仮装パーティで偶然出会い、意気投合したものの、トリシアがそこへ突然現れたゼイフォードにナンパされた為、トリシアとはその時限りで別れたのだった。トリシアは地球が爆破された事をまだ知らずにいた。その時、ヴォゴン船団がハート・オブ・ゴールドに追い付き、ロントックがゼイフォードに投降命令を下す。しかし、ゼイフォードは無限不可能性ドライヴでハート・オブ・ゴールドを超空間に突入させ、逃亡を図る。ゼイフォードはアーサーに地球爆破の件を口止めする。アーサーとトリシアは船内に2匹のネズミを発見する。

ゼイフォードは究極の問いを知るために、マグラシア星に向かう事を主張する。マグラシア星には数百年前、超知的な高次元種族がおり、生命の意味を口論し尽くした後、究極の問い「生命、宇宙、その全て」に対する答えを知るべく、傑出した民2人にスーパー・コンピューター「ディープソート」を作らせた。ところが、完成したディープソートは750万年後に戻ってくる様に、民に告げた。民がその時まで待ち、再び問いかけたところ、ディープソートは究極の問いが分かってこそ答えが出ると告げ、究極の問いを計算できるコンピューターを自ら設計し、傑出した民2人がそこへ入り、1000万年の間、プログラムを操作する様に命じたのだった。

ハート・オブ・ゴールドは無限不可能性ドライヴでマグラシアを目指すが、座標が指定できずヴィルトヴォードル第6惑星に到着する。その星は、ゼイフォードがかつて大統領選を戦った宿敵ハーマ・カヴーラの住む場所だった。ゼイフォードは選挙戦の因縁を晴らす為に、船をカヴーラの元へ向かわせる。

ゼイフォード達を迎えたカヴーラは、無限不可能性ドライヴの座標位置指定装置を所持しており、その提供の見返りにマグラシアからディープソートが設計した銃を持ってくる様に命じ、人質としてゼイフォードのもう一つの顔を奪う。星を出発する直前、ヴォゴン人が大挙として押しかけ、ゼイフォード達を包囲する。ゼイフォード達は小型船で逃走を図るが、トリシアが攫われる。ところが、ネズミが船内の機器を損傷させた為、ヴォゴン船を追えなくなる。一同は非常脱出ポッドに乗り込み、ヴォゴン船を追跡し、ヴォグスフィア星に到着する。

ヴォゴン人の本拠地内部に潜入した3人は、拘束されたトリシアの釈放を申請する。一方、トリシアはヴォゴン人に地球がゼイフォードの命令で爆破させられた事を知らされる。ゼイフォードの申請が通り、処刑寸前のトリシアを救出するが、トリシアは故郷である地球を破壊したゼイフォードに激昂し、それを黙っていたアーサーを詰る。ゼイフォードは適当に命令書にサインした事を明かす。小型船に戻った後、アーサーはトリシアに詫びる。

無限不可能性ドライヴで、船がマグラシア軌道上に到着するや否や、熱核爆弾が船めがけて発射される。ゼイフォードは再度、無限不可能性ドライヴを行い、爆弾をやり過ごす。マグラシアに着陸した一同は、異次元へのポータルを発見し、トリシア、ゼイフォード、フォードの3人が入る。間に合わなかったアーサーが途方に暮れていると、そこへスラーティバートファーストと名乗る男が現れ、手遅れになるから一緒に来いと、別のポータルへ誘う。アーサーはマーヴィンを置いて、スラーティバートファーストと共にポータルの中へ入る。

アーサーは惑星の注文製造を行っている超空間工業社に辿り着く。スラーティバートファーストは、銀河系経済が破綻し、オーダーメイドの惑星が贅沢品になった事を告げ、ネズミの計画で地球を作った時に手違いが生じたと明かす。スラーティバートファーストはアーサーを惑星の工場フロアに案内する。

一方その頃、ゼイフォード達はディープソートの元へ辿り着く。ゼイフォードは究極の問いについて尋ねるが、ディープソートはその計算を行っていたのが地球で、爆破されたと明かす。気を取り直したゼイフォードは、カヴーラから催促された銃をディープソートから受け取る。それは価値観転換銃で、相手に自分の価値観が移る装置だった。トリシアは自分本位のゼイフォードを戒めようと、銃を使用するが、意図せずアーサーに対する自分の気持ちを知る。

スラーティバートファーストは、地球のバックアップがある事を伝え、アーサーが住んでいた地球はネズミが注文し、代金を支払った上、運営していた事を明かす。高次元生物が、仮の姿であるネズミに成り代わって、長らく地球で人間を実験しており、人間はネズミのコンピューター・プログラムの一部だった。スラーティバートファーストは、存在理由の理解は不可能に近く、深いことは考えず、ひたすら生きるべきで、幸せならなんでも良いのだと説く。

スラーティバートファーストに導かれ、アーサーはバックアップの地球上の自宅に到着し、家の中でごちそうを貪る3人と再会する。そこへ2匹の喋るネズミが現れる。ネズミは5次元テレビのトーク番組の話が来ており、究極の問いが必要だとし、地球は再建したがパズルのピースが足りず、人間の脳が必要だと告げる。アーサーは椅子に拘束され、3人が眠らされると、ネズミはアーサーの脳を取り出そうとする。アーサーはこれまで幸せを感じた事が無かったが、トリシアを思う気持ちで幸せになれたと主張すると、拘束を解き放ち、ネズミを潰す。アーサー達が家の外に出ると、ヴォゴン人が包囲しており、一同を一斉に銃撃する。マーヴィンが頭部を撃たれるが、価値観転換銃を放つと、ヴォゴン人は全員悲観的になり、戦意を失う。スラーティバートファーストはバックアップの地球が、アーサー達が出発した時と同じ状態である事を伝えると、生命サイクルをスタートさせる。アーサーとトリシアは互いの気持ちを理解し、キスをする。一行は宇宙の果てのレストランへと旅立っていく。

 

 

有名なSF小説を映画化した作品らしいが、僕はその存在を知らず、タイトルすら聞いたことが無かった。一見手垢の付いた世界観の様に見えて、その実、非常にクリエイティビティに富んだ作品で、どのシーンを取ってみても斬新で愉快。荒唐無稽なストーリーなのに、知的興奮を惹起させるのである。10年前の作品だが、VFXを始めとする演出は現在の作品と遜色ないクオリティだし、魅せ方も巧いから視覚的にも十分楽しませてくれる。何事に対しても悲観的で無気力なロボット、マーヴィンがいい味出してるんだな。ポジションとしては脇役なのに、そのビジュアルからして存在感がハンパない。是非、続編を作って欲しい。

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