チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ヒストリー・オブ・バイオレンス

デヴィッド・クローネンバーグ監督作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」("A History of Violence" : 2005)[DVD]

過去の記憶を封じ、家族と共に穏やかに暮らす男が、ひとつの事件がきっかけで暴かれた秘密に翻弄されていく様を描くスリラー作品。

インディアナ州の田舎町に暮らすストール一家。ダイナーを営むトムは、妻で弁護士のエディ、高校生のジャック、幼子のサラと共に、穏やかで幸せな毎日を過ごす。ある日、閉店間際のダイナーに、2人のギャングが訪れる。トムが帰る様に促すと、2人は従業員を脅し、トムに銃を向ける。トムは咄嗟に反撃し、銃を奪うと、2人を射殺するが、その最中、トムも右足を刺され負傷する。地元住民に愛されるトムの活躍は、たちまち話題となり、ヒーローと讃えられ、マスコミが挙って報じ始める。

退院したトムは、世間の反応に戸惑いながらも帰宅するが、自宅前に停まる黒い車を目撃し、不審感を抱く。翌日、ダイナーは盛況を博すが、その最中、トムの活躍を聞きつけた不審な男が、手下2人を連れて店に現れる。その男、フォガティはトムの事をしきりにジョーイと呼ぶ為、トムは人違いだと適当にあしらう。フォガティはサングラスを外し、負傷した左目を見せると、トムの本名がジョーイ・キューザックでフィラデルフィア出身だと告げる。トムはフォガティ達に退店を促すと、フォガティは意味深な言葉を吐き捨て、店を後にする。その場に居合わせたエディは、旧知の保安官サムに連絡する。サムはパトカーでフォガティの車を追跡し、停車させると、身分を確認し、町に近づかぬ様に命じる。

サムがフォガティ達の身元を照会すると、彼らが東海岸のマフィアに所属する男達だと判明し、トムとエディにそれを伝える。更にサムは、フィラデルフィアにリッチー・キューザックというマフィアのボスがいる事を知り、ジョーイ・キューザックとの関連性を疑い、只事では無いと懸念する。トムは人違いに過ぎないとエディを安心させる。

翌朝、トムは店の前に黒い車が停まっているのを目撃する。トムが気付くや否や、車は立ち去った為、トムは家族が襲われる事を危惧し、エディに用心する様に連絡すると、足を引きずながらも走って帰宅する。トムの心配は杞憂に終わり、エディは事件の後で不安定になっているとトムを慮る。

その後、エディはサラを連れて、モールへ買い物に訪れる。エディが目を離した隙に、サラが姿を消し、オモチャ屋の前で発見すると、そこにフォガティが待ち受ける。フォガティはジョーイに左目を有刺鉄線でえぐられた話を聞かせ、トムがいかに異常な男かを伝える。エディは家族に近づかぬ様に命じて、モールを後にする。その頃、ジャックは学校で執拗に嫌がらせを繰り返すボビーの挑発を受け、いよいよ痺れを切らし、殴って負傷させる。停学処分となり、帰宅したジャックを、トムは叱り、暴力で解決を図らぬように窘める。ジャックは、ダイナーの件を持ち出し、銃なら良いのかと反駁し、家から飛び出す。

帰宅したエディは、フォガティと遭遇し、接近禁止命令を発出してもらった事をトムに伝える。その直後、フォガティが手下2人を連れてやってくる。フォガティはジャックを人質に取り、フィラデルフィアの兄リッチーの元へ同行する様にトムに要求する。トムはエディを屋内に待機させ、要求に応じるフリをし、ジャックを解放させる。手下が油断した隙を突き、トムは一人を倒し、銃を奪うと、もう一人を射殺するが、フォガティに銃撃され、負傷する。フォガティがトムを追い詰めると、ジャックが背後からショットガンでフォガティを射殺する。

エディは、病院に搬送されたトムに、ジョーイに変貌する瞬間を見たと告げ、真実を話す様に迫る。トムは、フォガティの話が真実で、ジョーイの人格を殺したつもりでいた事を打ち明け、エディに会ってから変わったと理解を求める。エディはトムの素性の何もかもが嘘だった事を知り、激しくショックを受ける。

程なくしてトムは退院し、帰宅するも。これまでの家族関係は崩壊する。そこへサムが訪れ、腑に落ちないとトムを疑い、真実を話す様に促す。しかし、エディは真実を伏せ、サムを帰らせる。トムは、ジョーイを忌み嫌い、拒絶するエディを強引に押し倒し、セックスする。

その夜、フォガティの死を知ったリッチーから連絡が来る。家族の身を案じたトムは、リッチーの要求に応じ、一人でフィラデルフィアへ向かう。フィラデルフィア入りしたトムは、バーでリッチーの手下と落ち合い、屋敷に連行される。リッチーは久しぶりのジョーイとの再会を喜びながらも、これまで散々尻拭いをさせられ、苦労してきた事を責める。ボスになってからも気苦労が絶えないと話すリッチーに、トムは終わりにしたいという意向を告げ、償う方法を尋ねる。リッチーが手下にトムを殺させようとすると、トムは反撃に応じ、手下を殺し、逃走する。憤慨したリッチーは後を追わせるが、トムは手下を全滅させ、リッチーを射殺する。

全てに片を付けたトムは、帰路に就き、夕食を囲む家族の元に戻る。

 

 

かつてマフィアの一員として、悪事の限りを尽くしてきた男ジョーイが、ある時を境に足を洗って姿を消し、全く別の人格トムを構築して、所帯を持ち、何食わぬ顔で平穏に暮らしてきた。しかし、ひょんな事から、反射的に大立ち回りを演じ、凄腕ぶりを発揮してしまった為に、所属していたマフィアの知るところになってしまったと。トムはどうやら本当にジョーイを分離したと思い込んでいたらしく、自分の能力に驚いてしまうのだが、いよいよジョーイである事を自覚させられ、よきマイホームパパが作られた姿だと家族に知られてしまう。んなアホなというハナシだが、至ってシリアスな作品である。実の兄を殺した後、トムは帰宅するのだが、エディが受け容れるのかどうかは微妙なEDになっている。今まで通りというワケにはいかんだろうしなぁ。序盤に、エディがチアガールのコスプレをして、トムとセックスするシーンがあるのだが、その対比ぶりが演出の妙を感じさせる。

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