チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

プロジェクトX 挑戦者たち 宇宙ロマン すばる ~140億光年 世界一の望遠鏡~

NHKプロジェクトX 挑戦者たち 宇宙ロマン すばる ~140億光年 世界一の望遠鏡~」(2000)[DVD]

宇宙の果てを観測できる望遠鏡を作るべく、天文学者達が開発や予算獲得に奮闘する様を描くドキュメンタリー作品。

1983年夏、東京天文台の教授で天文学者の小平圭一は、ハワイ島マウナケア山頂に訪れる。当時、マウナケア山では英、米、仏、加などの各国の天文台がしのぎを削り、国家プロジェクトとして巨大望遠鏡を建設していた。翻って日本の天文台は脆弱で、欧米各国に大きく水をあけられており、小平ら日本の研究者達は各国の望遠鏡を時間で借りて観測していた。幼少の頃より、宇宙の果てを観てみたいという夢を抱いてきた小平は、マウナケア山頂に世界一の望遠鏡を作りたいという願望を抱く。

帰国した小平は、天文学者としての時間を失ってまで、望遠鏡の建設に奔走すべきか、思案に暮れる。そんな時、ドイツ出身の妻ウタ、そして3人の娘達から、日本の天文技術を発展させ、更に国境や人種の垣根を超えて、誰でも利用できる望遠鏡を作って欲しいと後押しを受け、小平はその意思を固める。

小平は、自らの夢に巻き込めば研究者としての人生を奪いかねないと逡巡しながらも、同僚の野口猛、安藤裕康、成相恭二らに協力を求め、概念設計図を描き上げる。前人未到の夢の望遠鏡の口径は、8メートルにも及ぶ。当時、ソ連の望遠鏡の口径6メートルが世界最大で、日本では岡山天文台の口径1.8メートルが最大だった。小平は早速、国会議員の事務所を訪ね回り、文教族の議員に望遠鏡建設の意義を熱弁するが、議員達はその用途について疑義を呈す。

1985年、米国で予算2000億円規模のハッブル宇宙望遠鏡計画が始動する。一方の東京天文台では、メーカーに協力を呼びかけるべく、技術者を招いて会議が行われる。4人は10社の技術者の前でプロジェクトの構想を語るが、壮大過ぎる計画に国が金を出すとは思えず、怯んだメーカーは手を引く。その中で、三菱電機通信衛星を手がける三神泉は技術者魂を揺さぶられる。三神は上司を説得すると、早速社内に研究チームを作る。

1988年、東京天文台の代わりに、国立天文台が新たに発足し、新望遠鏡の建設は最重要プロジェクトに位置づけられる。国に予算申請する段となり、会計畑の叩き上げの森豊吉が会計課長に転勤してくる。森は小平から計画の詳細を聞き、400億円近くに登る予算書を作成すると、それを携え、文部省へ折衝に向かう。しかし、担当官からは望遠鏡に400億も出せぬと一蹴される。小平は、議員回りを1年以上続けた心労で胃潰瘍を患う。一方、三菱電機の開発チームは巨大な鏡の作成に苦慮する。軽量化を測っても重さは22トンに及び、傾けると撓んでしまい、結像ができないのである。社内からは批判の声が上がり始める。

1988年10月、予算折衝は大詰めを迎え、森は本省サイドの質問に即座に答えられる様に、天文学を勉強し、専門知識で理論武装を続ける。小平は数人の議員から支援の約束を取り付ける。12月、来年度予算が発表されるが、望遠鏡建設予算は却下される。日本の税金を使い、海外に施設を作る法律が無い、というのが理由だった。

1989年、責任を感じた小平は一旦は辞職を決意するが、思いとどまり、法律の壁を打ち破る打開策を練る。再び予算発表が近づく頃、小平は高校の同級生で大蔵省の理財局長の大須敏生に、藁をも掴む思いで相談を持ちかける。大須は、施設を作るための法律は無いが、禁じる法律も無い、望遠鏡が必要なら新しい法律を作ればいい、と小平に助言する。森は小平から一報を受けると、文部省の担当官との折衝に強気で臨む。一報、三菱電機のチームは、精密なセンサーを内臓したロボットアームで鏡を支える事により、撓み問題の解決を図る。その頃、米国ではハッブル望遠鏡の打ち上げが迫っていたが、小平は新型望遠鏡ならハッブルに負けないと自負する。

1989年12月25日、予算発表当日。国立天文台では多くの職員達が吉報を固唾を呑んで待つ中、ついに予算は通過する。1998年11月、マウナケア山頂のドームに鏡が搬入されると、新型望遠鏡はすばると命名される。12月24日、ドームが開かれ、ファーストライトが行われると、目を見張る高解像度の天体が次々と観測される。小平は国立天文台でその様子を見守る。

 

 

最近になりDVD化されたとの事で、早速観てみた。時間に制約があるから、細々とした部分は端折っているんだろうが、経緯は概ねこの通りなんだろうなという印象。wikiを見るとドーム建設中に火災が起き、作業員が4名死亡したらしい。望遠鏡本体部分には直接関係無いから、敢えて触れはしなかったという事かな。こういう基礎研究はどんなに説明を尽くしても、なかなか納税者の共感を得にくいだろうから、国会議員がその意義を理解できないのも無理からぬ事だが、研究者である小平氏本人が議員回りをするのは、さぞかし骨を折った事だろうと察せられる。それにしても、鏡をこんな風にアクチュエータで精緻に制御しているとは想像もしなかった。別途、新たに法律作れば良いんじゃね?的な話の流れも、そこに運命的なモノを感じてしまったなぁ。しかし、クボジュンは初々しい。

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