オムニバス作品「V／H／S ファイナル・インパクト」（"V/H/S: Viral" : 2014）[DVD]
テーマの異なる４つの短編からなるファウンド・フッテージ形式のアンソロジー・ホラー作品。
マルセル・サーミエント監督作 "Vicious Circles"
動画撮影を趣味とするケビンは、常にカメラを携え、恋人アイリスとの日常を記録する。ある夜、ケビンの家にパトカーに追われる逃走車両が接近する。ケビンは追跡劇を動画に撮ってネットにアップしようと目論むが、アイリスはそんなケビンを窘める。ケビンが慌てて外へ飛び出していくと、車両は自宅前を通りすぎてしまい、撮影の機を逸したケビンは落胆する。その直後、アイリスは携帯に何者かによる着信を受け、正気を失い、路上に向かう。そこへ引き返してきた逃走車両が通り過ぎると、アイリスは忽然と姿を消す。その時、ケビンの携帯にカウントダウンが表示され、その直後、アイリスが助けを求める様子が映し出される。ケビンはアイリスが逃走車両に連れ去られたのだと悟り、自転車に乗って追跡を始める。ケビンは夜の街を無我夢中で疾走して車両を追うが、その最中、街の方々でカメラが原因の火災や殺人が発生する。夜明けを迎えた頃、ケビンは逃走していたアイスクリーム販売車を河川敷で発見する。アイリスの呼びかけを聞いたケビンは車に接近し、ドアを開けると、車内に無数のブラウン管テレビと監視カメラを見つける。モニターの中のアイリスは、私達が一部となり終わらせると告げ、傍にあるアップロードのスイッチを入れる様にケビンに命じる。ケビンが命じられるままにスイッチを入れると、アイリスはネットで拡散させると連呼し、壁に頭を打ち付け、嗤う。恐れをなしたケビンは車外へ飛び出し、そこで顔が潰れた状態で、携帯を口に咥えたアイリスの死体を発見する。ケビンは携帯を手に取り、自らの感染を知る。その後、街はウィルスに汚染される。
グレッグ・ビショップ監督作 "Dante the Great"
トレーラーハウスで暮らす出来損ないのマジシャンのダンテは、ある時、不思議なマントを手に入れる。ダンテはそのマントが魔力を備えている事を知り、誰にも見破れないマジックを完成させ、一流のマジシャンとなる。２年後、ダンテはダンテ・ザ・グレートというステージを興行し、その並外れたマジックの腕は大盛況を博す。ところが、ある時、マントの魔力が消失する。当惑するダンテはマントによる囁きを聞き、餌を欲しているのだと知る。ダンテが助手の女をマントの餌食にすると、マントの魔力が復活した為、ダンテはそれ以後、助手を次々に犠牲にしていく。ある時、自らもマジシャンを志すスカーレットが助手としてダンテに雇われる。スカーレットは憧れのダンテからマジックを学べると喜ぶ。ダンテはスカーレットにプライベートな関係を迫るが、スカーレットには恋人クレイがいる事を知る。ところがクレイは突然消息を絶ち、ダンテとスカーレットはやがて親密な関係になっていく。ある時、スカーレットはダンテの控室に隠されたビデオテープを発見し、それがマジックの訓練の過程や、助手やクレイの殺人の様子など、マントに関する全てを収めた記録だと知る。スカーレットが警察に事実を伝えると、劇場にSWATが突入し、インタビュー収録中のダンテを拘束する。しかし、ダンテはマントの力でパトカーから脱出を図り、ステージに戻る。その直後、警察で聴取中のスカーレットが忽然と姿を消し、ダンテの元に移動させられる。ダンテはスカーレットが警察に秘密を話した事を責める。そこへSWATが到着し、ダンテを包囲するが、ダンテはSWATを魔力で皆殺しにする。スカーレットはダンテからマントを奪おうと試み、争った後、ダンテをマントの餌食にする。その後、ダンテは行方不明扱いとなり、スカーレットはマントを焼却する。程なくして、マントは再びスカーレットの元に戻り、スカーレットは餌食となる。
ナチョ・ビガロンド監督作 "Parallel Monsters"
深夜、アルフォンソは妻マルタに先に眠るように促すと、地下で自ら開発した装置の起動試験を開始する。装置は正常に運転し、並行世界への扉が開くと、左右対称で瓜二つの部屋と繋がる。アルフォンソ（以下A）は、向こうの部屋で同じ様に装置を起動したもう一人の自分と対面し、挨拶を交わす。向こうのアルフォンソ（以下B）は15分間だけ、互いの世界を交換しようと提案し、アルフォンソAはそれに応じる。両者は左右逆の構造の屋内を探索し始める。向こうのマルタ（以下B）と対面したアルフォンソAは、見知らぬ男二人組を紹介され、屋内でオカルト的な行いへの参加を促される。困惑するアルフォンソAに男達は白け、その場から立ち去る。一方、アルフォンソBは寝室で眠っているマルタ（以下A）に接近する。アルフォンソAは屋外から聞こえる不気味な音に困惑するが、マルタBは長らく地下にこもりっきりだったのに、何故突然出てきたのかと問い質す。アルフォンソAは音が気になり、屋外へ飛び出す。上空に音の源らしい不気味な飛行船を発見するや否や、アルフォンソAは再び二人組と遭遇する。二人組は撮影を止める様に命じ、アルフォンソAがそれを拒むと、突然、顔を発光させ、アルフォンソAに襲いかかる。同じ頃、アルフォンソBの顔も発光を始める。二人組の男は陰部から伸びた口でアルフォンソAを捕食しようとする。一方、アルフォンソBもまた陰部をマルタに伸ばす。アルフォンソAが抵抗し、屋内に逃げ込むと、マルタBが現れる。マルタBは２人に何をしたのか尋ね、自分も加える様に告げると、裸になり、捕食用の陰部を露わにする。アルフォンソAはマルタBを退け、地下の装置を抜け、マルタAの元に向かおうとする。そこへ血塗れとなったアルフォンソBが現れ、アルフォンソAを襲撃する。アルフォンソBが装置を抜けた途端、マルタBが現れ、妻に暴力を振るう夫には制裁を与えると告げ、アルフォンソBは捕食される。アルフォンソAは咄嗟に並行世界への扉を閉じる。アルフォンソAがマルタAの名を叫ぶと、そこにマルタAが現れ、包丁でアルフォンソAをめった刺しにする。
アーロン・ムアヘッド，ジャスティン・ベンソン監督作 "Bonestorm"
スケートボーダーの不良少年ダニーとジェイソンは、友人のテイラーとショーンを従え、撮影場所を求めて、国境を超えてメキシコのティファナへと向かう。４人は商店で酒と花火を買い漁ると、スケートの撮影に適した排水路に到着する。その場所には、不気味な五芒星が描かれ、悪魔信仰を表現するかの様な供え物があったが、ダニーとジェイソンは意に介さずにスケート技術を競い始め、テイラーが撮影を行う。突然、怪しげな女が五芒星の上に現れる。テイラーが手を差し出し、女に挨拶すると、排水路の脇に男が現れ、歌い始める。その直後、テイラーは女に腕をもぎ取られ、武器を持った集団が４人を取り囲み始める。集団の中の一人がお前たちは怪物を呼び覚ますというメッセージを掲げると、当惑したダニーとジェイソンは襲いかかる集団を殴り飛ばし、携行していた銃で撃退する。集団の流す血液は燃え始める。ショーンが集団に殺されると、ダニーとジェイソンは死に物狂いで抵抗し、集団を皆殺しにする。その時、排水孔から禍々しい轟音が響き始め、２人は逃げ出す。そこへ骸骨と化した集団が現れ、２人に襲いかかる。２人は花火を使って撃退し、国境目掛けて疾走する。孔から現れた魔物がテイラーを捕食する。
シリーズ三作目でこれが最終作の様だが、主にホラー系作品を手掛ける気鋭の監督達による、低予算でアイデア勝負の短編ホラー集という点は前作と変わらず。日本でいうところの世にも奇妙な物語の様なノリだが、もちろん刺激はやや強め。ただ、前作の方がもう少しグッと来るモノがあったと思うんだよなぁ。４つの中ではナチョ・ビガロンドの作品"Parallel Monsters"が異彩を放っている感じ。左右対称の並行世界の人間は化物そのものだったというオチで、男はチンコが、女はマンコがおどろおどろしい形状のモンスターになっているという、そのぶっ飛んだ世界観が痛快。"Bonestorm"のFPS的に敵をなぎ倒していくアクションシーンも目を見張るモノがあった。アレはどうやって撮影しているのか気になるな。
