チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。4年目。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

モルテン・ティルドゥム監督作「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」("The Imitation Game" : 2014)[BD]

大戦中、エニグマ解読の極秘任務を主導した天才数学者アラン・チューリングの半生を描く歴史ドラマ作品。

1951年マンチェスター。天才数学者として大学で教鞭をとるアラン・チューリングの家が、盗難被害に遭ったとの隣家の通報を受け、刑事ノックが捜査に訪れる。ところがアランは何も盗まれていないと主張し、更にノックに対し侮蔑的な態度を露わにする。ノックはアランに不信感を抱き、経歴の調査に乗り出すが、アランの軍歴が機密扱いになっている事が判明する。ノックは機密に探りを入れ、アランの軍歴が隠滅されている事を知り、アランがソ連のスパイである可能性を疑い始める。程なくして、アランがパブで出会った男娼と関係を持った事が発覚し、拘束された男娼は、アランの自宅に泥棒に入った事を自白する。アランが同性愛者である事の発覚を恐れて、事実を隠している疑いが強まり、警視スミスはアランをわいせつ罪に問う事を決める。ノックはそれとは別に重大な秘密があると主張し、アランに対する聴取をスミスに申し出る。ノックはアランの著した論文「イミテーションゲーム」に目を通した上で、アランに対する聴取に臨み、マシンについて単刀直入に尋ねる。アランは自らに主導権があると主張した上で、マシンと人間の違いを説くと、ノックに対してテストと称して、過去に自らが関わった重大な秘密について話し始める。

1939年、ドイツのポーランド侵攻を受け、英国はドイツに対し宣戦布告する。27歳の若き数学者アランは、ブレッチリー無線機器製造所を訪ね、ドイツ軍が通信時に使う史上最高と称される暗号機エニグマの解読に携わる職に志願すべく、英国海軍のデニストン中佐との面接に臨む。デニストンはアランの傲岸不遜な態度に嫌悪感を示すが、アランは自らが適任だと自負し、早期に戦争終結へと導けると主張する。結果として、アランを含め、ヒュー、ジョン、ピーター、キース、チャールズの6人の有識者が採用される。

一同に介した6人にポーランド情報部が入手したエニグマの実機が披露され、暗号の解読には設定を知る必要があり、その可能性は159×10^18乗通りである事、ドイツ軍は毎日深夜0時に設定を変える事が伝えられる。MI6のミンギスが姿を現し、協力して解読に当たるように6人に発破を掛ける。責任者に任命されたヒューの元、一同は解読に向けた作業に乗り出すが、アランは共同作業を拒み、独自の方法で解読に専念し始めた為、メンバーの顰蹙を買う。

アランは解読の為のマシン開発に向け、部品調達の費用10万ポンドをヒューに要望するも却下される。アランはデニストンに対し、マシンにはマシンでしか対抗できないと主張するが、デニストンは協調性を欠くアランの態度を問題視し、要望を一蹴する。しびれを切らしたアランはミンギスを介して、チャーチルに直訴する。程なく、アランはチャーチルにより責任者に任命される。アランはキースとチャールズを不適任としてクビにすると、人員を増やすべく、クロスワードパズルを用いた求人広告を新聞に載せ、市民から人材募集を図る。その結果、ジョーンとジャックの2名を採用する。

1940年、ブレッチリーパークでマシンの建設が開始される。ジョーンは男ばかりの職場で働くことの体裁の悪さを理由に採用を固辞する。アランは、数学の能力に長けるジョーンの加入が解読の為にに不可欠と伝え、説得を試みる。アランは、ジョーンが他の女性事務員らに囲まれて働ける環境を整える事を約束し、ジョーンはブレッチリーで働く事を決める。

解読作業は進展せず、ドイツ軍による被害が拡大する事にメンバーは苛立ちを募らせる。業を煮やしたヒューは、マシン構築に没頭するアランを責め立てる。アランは必ず上手く行くと主張するが、程なくチームとの亀裂は深刻化する。アランはマシンに旧友の名であるクリストファーと命名し、万能マシンの構築を目指す。

1928年シャーボーン・スクールに通うアランは、変わり者であるという理由でイジメに遭っていた。そんなアランを助け、優しく接していたのが唯一の親友クリストファーだった。クリストファーは、時として誰も想像しないような人物が、想像できない偉業を成し遂げると、アランを励まし、勇気づけていた。ある時、クリストファーはアランに暗号文に関する一冊の本を勧める。以後、二人は暗号を用いたやり取りを始め、親交を深める。しかし、クリストファーは突然、学校から姿を消してしまう。その後、アランは校長からクリストファーが結核が原因で急死した事を伝えられる。生前のクリストファーが病苦を明かさなかった事に、アランはショックを受ける。

ある時、ビール暗号を用いた文書がモスクワに流出している事が発覚し、アランにソ連の二重スパイ容疑がかけられる。デニストンはアランを露骨に犯人扱いするが、証拠が出ず、一旦引き下がる。ジョーンはエニグマ解読にはチームの協力が不可欠と説き、アランに改善を促す。以後、アランは独善的な行動を見直す。

1941年、アランとジョーンはより親密な関係となる。メンバーの協力を受け、マシンが完成すると、アランは早速マシンを稼働させる。しかし、マシンはあらゆる可能性を探索する為、解読までに多大な時間を要する事が分かる。その間にドイツは欧州各地の制圧を進めていく。巨費を投じて結果が出ないことに憤るデニストンは、マシンの停止を命じ、アランのクビを告げる。チームはすかさず止めに入り、マシンこそがエニグマ解読の唯一の可能性だと主張する。デニストンは一ヶ月を最終期限として通告する。

チームは信頼関係をより強固にするが、アランはマシンの探索速度の向上に苦慮する。そんな時、ジョーンが両親の命令でチームを離れると言い出す。25歳で独身でいる事が理由だと聞いたアランは、ジョーンへの好意を告げると、ブレッチリーに留めるべく、ジョーンにプロポーズする。ジョーンと婚約したものの、結婚生活に不安を抱くアランは、ジョンに本音を漏らす。ジョンはアランが同性愛者だと見抜いており、黙っている方が身のためだと諭す。

その後もマシンは成果を上げる事無く、期限の一ヶ月が近づく。ドイツの通信傍受に従事する女性職員の話から、重大なヒントを見出したアランは、探索すべき膨大な可能性の中に除外できる設定があり、確実に使われる言葉だけに限定すれば、マシンの探索速度が飛躍的に早まる事に気付く。アラン達が早速その事実をマシンに反映させると、マシンは即座に結果を出し、それをエニグマ実機に入力する事で、見事に暗号の解読を果たす。歓喜した一同は、ドイツ軍の通信を逐一解読し、英独両軍の位置関係を把握する。ヒューらはドイツ軍の攻撃を未然に防ぐべく、自軍に解読の事実を報告すべきだと主張するが、アランはエニグマ解読の事実が察知された途端、ドイツ軍は構造自体を変更し、これまでの苦労が水の泡と化すと反駁し、それを制止する。アランはチームの仕事が個別の攻撃を防ぐ事では無く、戦争を勝利に導く事だと告げ、解読の事実を敵味方双方に対し秘匿する必要があると説く。

アランとジョーンはミンギスの元に赴き、軍に対して秘密を守る為の協力を要請する。アランは今後のチームが阻止する攻撃と無視する攻撃を統計的に分析し、最小限の行動で最大の効果を発揮し、戦争を勝利に導く事だと説き、情報源と称するもっともらしい嘘を敵味方に伝える事の理解を求める。ミンギスはアランの要請を快諾する。以後、チームがもたらす情報のコード名は「ウルトラ」と称される。

ある時、アランはジョンがソ連のスパイだと知る。アランはデニストンに報告しようとするが、ジョンはアランの同性愛の秘密を盾に取って制止する。その直後、アランの自宅を尋ねたミンギスは、ジョンがスパイと知りながら、利用する為にチームに採用した事を明かす。疑り深いチャーチルが対ドイツに有効な情報さえもソ連への提供を恐れる為だという。ミンギスはアランの抱える秘密を見抜いた上で、ソ連に流す情報の選別をアランに一任する。

その直後、アランはジョーンに婚約の解消と同性愛の事実を告げ、ブレッチリーから去るように促す。アランの同性愛を察知していたジョーンは、それでも誰よりも互いに理解し合っており、変わり者同士で心を通わせながら、一緒に暮らせば良いと提案する。アランはジョーンが不要だと突き放すが、それを聞いたジョーンは憤慨し、重要な仕事をアランに奪わせないと反発する。

その後、更に戦争は2年続き、チームはウルトラを駆使し、人知れず連合軍を勝利に導く。チームの任務終了に際し、ミンギスは証拠をすべて隠滅する様に命じ、解散させる。

アランは自らの過去に纏わる話を終えると、マシンか人間か、戦争の英雄か犯罪者かの判定をノックに迫るが、ノックは答えに窮してしまう。

程なくして、アランに対し、わいせつ罪で有罪判決が下る。判事に2年の服役か、もしくは薬物治療かの選択を迫られたアランは、ホルモン投与を受けながら、自宅で療養する事にする。判決の記事を見て訪ねてきたジョーンは、アランから事情を聞くと協力を申し出るが、アランはそれを拒む。アランは久しぶりに会ったジョーンが仕事、夫、そして普通の暮らしを手に入れた事を喜ぶ。ジョーンは普通で無いアランだからこそ、偉業を達成し、今日の平和が築かれたのだと労う。

その後、1年間の強制的ホルモン投与の後、アランは1954年6月7日に自殺を図り、41歳で人生を終える。2013年、エリザベス女王はアランに死後恩赦を与え、前例の無い偉業を称える。エニグマの解読は戦争終結を2年以上早め、1400万人以上の命を救ったと見られている。この事実は50年以上もの間、機密扱いとされた。アランの功績はその後のチューリング・マシンの研究に繋がり、それはやがて我々が使用するコンピュータの礎となる。

 

 

チューリングエニグマについては、個別にその存在を多少は知っていたが、この作品を観るまでは両者の関係について全く知らなかった。チューリングがこんな偉業を成し遂げた人物だったとは、というか先の大戦がこの作品に描かれている様な秘密裏のプロジェクトによって早期に終結していたとは全く驚きである。しかもその事実が戦後、長年の間、秘匿されてきたというから、従前とは歴史の捉え方も変わるだろう。本作は一見スリラー風だが、エニグマ解読を先導した天才数学者としてのチューリングと、時代にその存在を認められずに同性愛者=奇人扱いされ苦悩するチューリングの両側面が描かれる、ドラマ性の強い内容となっており、ストーリーに意外性を期待する作品では無いと思う。解読用に構築されたマシンを含め、世界観の作りこみが素晴らしく、小物やファッション等から当時の雰囲気が伝わってくる。

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