チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ラスト・リベンジ

ポール・シュレイダー監督作「ラスト・リベンジ」("Dying of the Light" : 2014)[BD]

病で余命宣告を受けたCIAエージェントが、仇敵である元テログループのリーダーを捕らえるべく奔走する様を描くスリラー作品。

CIAのエージェントとして、中東の幹部ポストを歴任し、スパイ活動にその辣腕を振るったエヴァンは、本部の指示により、意に反して現場から遠ざけられる。22年前、エヴァンはバニール率いる原理主義テログループに捕らえられ、拷問を受けるも口を割ることなく、軍により辛うじて救出されたのだが、その救出作戦中にバニールは死亡した事になり、程なく捜索は打ち切られていた。しかし、エヴァンは頑なにバニールの生存を主張し続け、やがて本部はエヴァンを煙たがる様になったのである。局内でインテリジェンス・スターと称えられるエヴァンは、年に一度、若手職員に対してスピーチを行い、CIAの退廃ぶりと不甲斐なさを嘆くと同時に、忠誠心と愛国心を説き、叱咤激励する。

その後、エヴァンは局長の元へ赴き、現場を離れて6年も立つのに未だに戻れる目処が立たない事を相談するが、逆に長官から引退の潮時を告げられる。エヴァンはまだ現場で役に立てると訴えるが、長官は返事を検討扱いとする。エヴァンに恩がある同僚ミルトンは、エヴァンの異変を察知し、その様子を気にかける。

エヴァンは不調を自覚し、秘密裏に遠方の病院で検査を受け、前頭側頭型認知症(FTD)を患っている事が判明する。医師は顕れる症状として抑制欠如や意識喪失、知覚障害を例に挙げ、深刻な状態だと伝える。身内のいないエヴァンは、医師から孤立せぬように支援団体への相談を勧められるが拒む。その後、治療法が無い事を知ったエヴァンは酒に浸るようになる。

程なく、ミルトンから連絡があり、エヴァンはNSA経由でバニールに繋がり得る証拠が見つかった事を知る。ブカレストで詐欺組織に属するケニア人のアビカリームが警察に追われ、橋から飛び降りたが、その際に発見されたUSB内に医学的な情報が入っており、バニールの持病サラセミア(地中海貧血)の臨床試験薬を、ケニアからブカレスト大の研究医に注文した形跡が残っていたのである。エヴァンはバニールが末期症状なら隠れ続ける事はできず、いずれ姿を現すはずだと確信する。

早速エヴァンは長官にバニールに関する情報を入手した事を報告し、捜索部隊の派遣を要請する。エヴァンはバニールによる多数のテロ攻撃による被害を論い、バニールを米国に連行して裁判にかけるべきだと主張するが、長官はバニールがいずれ病死すると一蹴する。長官は医療部の医師サンジャーを呼ぶと、エヴァンの病気について既に把握している事を明かし、穏便に退役して最先端の医療施設に入院する事を勧める。エヴァンは尚もバニールに固執するが、長官はエヴァンがCIAの重荷になりかねないと告げる。エヴァンはCIAの衰退の責任を長官に問い、恥知らずだと罵倒する。エヴァンは強制的に退職を余儀なくされる。

その夜、エヴァンの自宅をミルトンが訪ね、処方箋を出した研究医のコーネルが、アビカリームを仲介人とする事で表沙汰にならない様に図り、費用として毎月1万ユーロを受け取っていた事を伝える。エヴァンはコーネルの弱みに付け込む様に企図する。ミルトンはバニールが20年間も潜伏したままでいる意図を訝る。エヴァンは救出された後、バニールの組織に犬を送り込み、バニールがスパイだと吹聴させる事で失脚させていた事を明かす。ミルトンがエヴァンの異変を指摘すると、エヴァンは自らの病を告白し、既に手遅れで余命が3年程である事を明かす。ミルトンは限られた時間を有意義に費やすべきだと諭すが、エヴァンはバニールを追う事にこそ価値があると主張する。

二人はまずブカレストで医師から金を回収し、その後、バニールの潜伏先に向かい逮捕する計画を立てる。ブカレストに到着すると、エヴァンはかつて情を通じた元エージェントのミシェルに協力を請い、ミシェルの手配でコーネルと会う手筈を整える。

ブカレスト大医療センターに訪れた3人は身分を偽り、アビカリームの捜査と称して、コーネルに注文者との関係を尋ねる。コーネルは代理人を介している為に、相手を知らないと告げる。高額な報酬を指摘し、エヴァン達が逮捕しようとすると、コーネルは妻がアラブ人に脅迫を受けており、患者の元へ赴く見返りに3万ユーロを要求した事を明かす。

その夜、エヴァンはホテルから無断で外出する。心配したミルトンは探しに向かい、公園のベンチで座り込むエヴァンを発見する。エヴァンはホテルの名を思い出せずに帰れなくなったと告げ、症状が進行している事を打ち明ける。その後、コーネルから連絡があり、明日入金され次第、ビザを手配し、数日後にケニアに発つ事になると知る。

翌日、二人はコーネルの出金を確認し、アラブ人のアシムと落ち合う現場を監視する。しかし、アシムに察知されてしまい、ミルトンはアラブ人を追跡した後、殺害する。エヴァンはコーネルからチケットと金を回収する。ミルトンはアシムを騙って、バニールにメールで異常が無い事を伝える。

チケットからバニールの潜伏先がモンバサだと判ると、エヴァンはミシェルの手配したメイキャップアーティストの協力で、コーネルの変装を施す。程なく、エヴァンは幻聴に苛まれる様になる。

準備を整えた二人は、モンバサに到着する。エヴァンはバニールの使いに迎えられ、現地の診療所に赴き、翌日バニールの元へ向かう事になる。一方、ミルトンは闇市場で銃を手配するが、エヴァンは身体検査を危惧し、銃の携行を拒み、ベルトに隠しナイフを忍ばせる。

翌日、エヴァンは使いと共にバニールの潜伏先を訪ねる。エヴァンの変装は見破られる事無く、衰弱したバニールと対面を果たす。エヴァンは手下を退けると、バニールに正体を明かすが、徐々に意識が混濁し始め、バニールはその異変を察知する。バニールが原理主義のなんたるかを説くと、エヴァンは20年前の拷問時の状況と混乱を来す。エヴァンはバニールに病を指摘され、認知症だと打ち明ける。バニールがエヴァンにどうするつもりなのか尋ねると、エヴァンは帰ると告げ、その場を後にする。迎えに来たミルトンに、エヴァンは片が付いた事を伝える。

ホテルに戻り、散歩に出かけた二人をバニールの手下が急襲し、ミルトンが負傷する。エヴァンは手下を殺し、再びバニールの元へ向かう。エヴァンはバニールを殺害するが、その帰りの夜道で意識を失い、事故死する。後日、エヴァンが弔われると、ミルトンはエヴァンの形見の品をミシェルに手渡す。

 

 

またこの言葉を使わなければならないだが、残念ながらこれは駄作だと思う。プロットが貧弱だし演出も雑すぎて、フックになるポイントがほとんど無い。不治の症を抱えながらも、自らの手で仇敵を裁きにかけたいという気持ちは分かるのだが、その敵の方も不治の病の末期段階で死の瀬戸際にあり、グループの勢力は落ち目というのだから切迫感がまるで無い。スリラーらしい要素と言えば、エヴァンの症状の進行ぶりくらいで、こんな状態で敵の潜伏先に乗り込むのかよって感じ。極めつけは終盤の取ってつけた様なドンパチで、いきなり銃撃が始まるからエヴァンの脳内の出来事かと思ったくらいだ。バニールの元から立ち去ったのは、あえて復讐させて殺害する動機が欲しかったのか?さっぱりわからない。

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