チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争

ダニエル・バーンズ監督作「ウォント・バック・ダウン ママたちの学校戦争」("Won't Back Down" : 2012)[DVD]

母親達が我が子に十分な教育の機会を与えるべく、小学校の再建に乗り出し、奮闘していく様を描くドラマ作品。

ペンシルバニアに住むシングルマザーのジェイミーは、昼は自動車販売店の受付、夜はバーテンとして働き、多忙を極めながらも、8歳の一人娘マリアと共にアパートで暮らす。アダムズ小学校に通うマリアは読字障害を抱えており、その事が原因で担任にはぞんざいな扱いを受け、クラスメイトには日常的に誂われ、不遇を強いられる。ジェイミーはマリアの勉強の遅れを心配し、担任のデボラに補習を掛けあうが、アダムズでは教員の就業時間が15時までと契約で決まっている事を理由に拒否される。デボラは創立以来最低の成績でありながら、高給取りで教師達に悪評が立つ一方で、教師ノーナは落ちこぼれた生徒を一手に引き受け、対応に苦慮する日々を送る。アダムズには近隣地区から落ちこぼれが集まる構造となっており、学校自体に悪評が募る状態に教師達は手を拱く。

ジェイミーはマリアの為に補習を受けさせる手段を模索して奔走し、その最中、優良校ローザ・パークスへの入学の抽選に参加する様に勧められる。一方、ノーナは尊敬する亡き母に憧れ、理想主義者として敢えてアダムズ勤務を選んだ事で夫チャールズとの価値観の違いが生じて別れ、脳に障害を持つ息子コーディの教育に苦慮し、自宅で学習をさせながらもアダムズに出席扱いとさせる。

ある日、マリアがクラスメイトに嫌がらせを受けながらも、デボラがその仲裁に当たらなかった事を知ったジェイミーは痺れを切らし、校長にデボラをマリアから遠ざけるように直訴する。しかし、教員は組合に立場が保証されているという理由で一蹴される。ジェイミーはローザ・パークスの抽選に応募する。一方、ノーナはコーディが障害で補習クラスに入れない事を知り、コーディをローザ・パークスへ教師権限で入れようと目論む。しかし、チャールズからコーディに対して過保護過ぎる事を咎められ、距離を置くように促される。

ジェイミーは大勢の親子達と共に抽選会に臨むが、願い虚しく抽選から外れ、順番待ちとなる。また、ノーナは抽選に参加できず、機会を不意にする。ジェイミーはノーナのクラスに入れてもらえないかと打診する。

ジェイミーは役所へ相談に赴き、職員から学校再建の法律ができた事を伝えられるが、教育委員会が親に諦める様に仕向ける為に機能していない事を知る。職員は学校に対して同じ考えの教師や親の署名を集めた上で、提案書を作成し、委員会と戦う様にジェイミーに促す。ジェイミーはノーナからマリアのクラス替えを断られた事を聞くと、一緒に学校を再建する案を伝える。ジェイミーはマリアの為に猶予が無い事を告げて、賛同を哀願する。

翌日、ジェイミーはノーナと共に役所へ赴き、教育委員会の審問を予約するまでの、面倒で長々とした手続きについて職員から聞く。審問には親と教師の半々の署名を集め、その後、提案書を作って提出するのが決まりだが、手続きには通常3、4年かかり、諦めるように仕向けているという。ノーナは委員会には敵わないと活動に消極的な姿勢を示すが、ジェイミーはマリアの為に諦めないと決意し、署名を集め次第、連絡するとノーナに告げる。

翌日からジェイミーは仕事の合間を縫って、学校の周辺でアダムズの窮状を訴えながら、署名活動を行う。一方、ノーナも自らの授業で変化を起こし始める。ジェイミーはアダムズ内でもユニークな授業を行っているマイケルに活動への参加を打診するが、マイケルは組合員としての立場を伝え、子供に教える事だけが望みとの意向を示す。

ジェイミーはノーナとマイケルをバーに呼び、親の大半から集めた署名を見せ、活動の有望性を説く。ジェイミーは学校がもっと優れた教育方針を採るべきだと主張し、マイケルの説得を試みるが、マイケルは組合と対立する事の懸念を告げると、ジェイミーの取り組みを尊重して励ます。

ジェイミーはペアレントルーパーと称した活動集会を開く為のビラを作成して、ノーナの家に持ち寄ると、学校運営についての構想を明かし、子供達が誰しも大学を卒業できるという希望を持てる様にしたいと説く。活動に消極的だったノーナは賛同する。時を同じくして、コーディがノーナの意志に反して、チャールズの決めた別の学校へ転校する事が決まる。

教育委員会により、ノーナ達が学校の乗っ取りを企てているという噂がアダムズ内に吹聴され、ノーナは相談無しに独断で進めた事に対する反発を教師達から受け、孤立する。一方、ジェイミーは活動に専念する間のマリアの世話をマイケルに依頼する。ジェイミーはノーナと共に、教員の署名を募る為に、個別に自宅を訪問して回る。その中で、教師協会がデマを吹聴して妨害工作を行っている為に、ジェイミー達の声に耳を傾けてもらえない事が判明する。

ジェイミーとノーナは賛同を得た親達と共に、大規模な署名集会を開き、学校前でデモを行う。ジェイミーは、アダムズが潰れかかっており、今すぐに改善して立て直しを図らなければ、子供の大事な時期を逸してしまうと訴え、請願を出す親がこれだけ集まっていると主張する。ノーナは学校の落ちこぼれ生徒の数が、刑務所の設計規模の判断材料にされている現状を嘆き、子供達への教育が不十分だから、大学へ行く代わりに刑務所に入ってしまうのだと主張する。集会終了後、マイケルはジェイミーの活動に理解を示しながらも、組合の教師への利点を説き、賛同できない事を伝える。

その頃、ペンシルバニア教師協会の会長グリードは、ジェイミー達の組合潰しの活動が他の学校まで波及しかねない事を危惧する。副会長のエヴリンは彼らが変化を望んでいる事に一定の理解を示すが、グリードはそれを窘める。

ノーナは同僚教師達に、黙っていたのは確信が持てなかったからだと釈明し、会議への参加を求める。また、ジェイミーは態度を明確にしないマイケルに不満を訴え、会議への参加を請う。ノーナはアダムズの教師を集め、活動の要否を論じ合う会議を開く。教師達はそれぞれが自分の意見を主張し、紛糾する。ノーナは金だけでは無く、教育こそが真の望みでは無いかと訴えかけ、大半の教師の賛同を得る。その夜、皆をバーに集めて祝う。

程なくして、ジェイミーの元にエヴリンが訪れ、素晴らしい学校を一緒に見学する様に誘う。一方、ノーナは教育委員会の会長ロペスの元を訪ね、提案を直訴しようと試みるが、予約してから5週間後のアポとなる事を知る。ノーナはそれでは間に合わないと主張するが、ロペスは官僚組織では時間がかかるとの理解を促す。

ジェイミーはエヴリンに誘われ、読字障害の子にも対応できる優良な学校を紹介される。エヴリンは自らの推薦でマリアが奨学金を受け、入学できると提案するが、ジェイミーはそれが買収工作だと察知し、ノーナへの裏切り行為となる事から反発する。エヴリンはジェイミーの活動への賛意を示しながらも、時間がかかる事の理解を求め、その学校の大学非進学率2%という数字を挙げる。マリアにとって本当に正しい決断を取るように迫られ、ジェイミーに迷いが生じ始める。ノーナは委員会での審問の票読みから、反対多数で否決が濃厚だとジェイミーに伝える。

後日、ノーナの提案書に目を通したロペスが理解を示す。一方、ジェイミーはエヴリンの元を訪ね、奨学金の辞退を伝える。ジェイミーは、大学に行っていない自分をマリアが尊敬しておらず、その上、活動を諦めて友人を裏切る様な自分を見せたくないと主張する。エヴリンは正しい判断をしたとマリアが尊敬すると反論し、自身の経験を鑑み、学校を変えるのは無理で、マリアから教育の機会を奪い、苦しませるだけだと主張する。エヴリンからの打診を知ったノーナは、黙っていた事をジェイミーに問い質すが、ジェイミーはノーナを信頼して断ってきた事を明かす。

後日、ロペスはアダムズに赴き、ノーナの授業風景を視察する。ロペスは、昔はやる気に満ちていたのに、今や官僚の女王と称されるまでになってしまった自分の立場を憂い、審問が10日後に決定した事を伝える。活動に賛同するロペスは、些細な落ち度も委員会から反対理由にされる事を伝え、十分に注意して臨む様にノーナに助言する。

ジェイミーとノーナは協力して提案書の作成に励む。マイケルは組合と協力する様にジェイミーに促すが、立場を表明して欲しいと願うジェイミーと口論になる。一方、ノーナはコーディが転校先で苛められている事をチャールズから示唆される。ノーナはコーディが自分がバカだからと卑下する様を見て、活動への決意を新たにする。

グールドは審問で却下が見込まれていながらも、組合がさながら悪の巣窟として攻撃されている事に危機感を募らせる。ジェイミーの境遇に感化されたエヴリンは、委員会が譲歩すべきだとグールドに提案するが一蹴される。

ノーナは審問の開催を校長に問題視され、停職を命じられる。一方、デボラがマリアをトイレに行かせなかった為に、マリアが失禁してしまい、呼び出しを受けて駆け付けたジェイミーは、大学に行かなかった貧乏でバカな母のせいだとマリアに責められる。

エヴリンはアダムズに赴き、新しい学校を支持してもそこで働けるとは限らず、組合が無ければ何の保証も無く、学校が破綻すれば失職に繋がり、再就職しようにも他の学校はそんな教師を雇わない事を説き、教師達に覚悟を問う。マイケルは皆にその覚悟があり、欠けていたのがリーダーだったと主張する。ノーナは校長の目を盗んで、教師達に完成した提案書を配布し、大切にすべきは子供たちだけだと説き、デボラを除く教員の賛同を取り付ける。

グールドはノーナが過去に起こした事件に関する醜聞を流布し、イメージダウンを図る。ノーナはその報せがコーディの耳に入る前に、真実を直接コーディに伝える。ノーナは過去に自身の過ちでコーディを事故に遭わせ、負傷させてしまい、その事が原因で障害が残ったと吹聴されたのである。子供を守れない母親がなぜ学校で教えられるのかと追求されたノーナは、心から反省し、二度と繰り返さないと誓った事をコーディに打ち明け、理解を得る。

審問当日、賛成派と反対派が会場に押し寄せる中、ジェイミーはマリアを、ノーナはコーディを連れて、アダムズの改革案についての審問に臨む。開始早々、議長ロペスは非公開審理で案が却下された事を伝える。ジェイミーとノーナは委員の投票による採決を求め、ロペスは特例としてそれを認める。委員の一人は提案書内の予算の誤字を指摘し、基本的な計算もできない人に学校を任せられないと主張する。ジェイミーは誤りの責任を認めた上で、自らの読字障害を打ち明ける。ジェイミーは、学校が自分の為に何もしてくれなかったと嘆き、マリアを同じ目に合わせたくないと告げると、組合や親や教師の為では無く、子供達の為の改革だと主張する。その後、7人の委員による投票が行われ、4対3で賛成が上回り、動議が可決される。ジェイミーとノーナ達は歓喜し、エヴリンはグールドに辞意を告げ、再び教師に戻る意志を固める。

その後、生まれ変わったアダムズでは、マリアやコーディの様な生徒にも教育の門戸が開かれる。

 

 

映画の中で描かれるのは、どちらかと言えば標準的な経済水準の家庭の子が通うような学校で、米国の実情をどの程度反映しているのか判らないのだが、本作の舞台となるアダムズ小学校は比較的低所得者層が集う地域にあり、学力面で落ちこぼれの生徒が通っている設定の様だ。こういう学校の方がよりリアルな印象を受ける。シングルマザーのジェイミーは、ダブルワークをしなければ娘を学校に通わせるのも窮する程の身で、しかもその娘が読字障害を抱えているものだから尚の事大変である。娘にだけは自分と同じ思いをさせまいと、小学校の改革に自ら乗り出し、タイトルどおりの絶対に諦めないという底意地で、教育委員会や教師組合との戦いを展開していく。ジェイミーを演じるマギー・ジレンホールの肝っ玉母さんぶりが心を揺さぶるんだよね。しかも、この人は僕と齢が近い事もあって、僕は親でもなんでも無いのに、とても親近感が湧いてしまった。マリア役の子が可愛かったのだが、それだけにジェイミーの事を貧乏なバカと罵るシーンはドキッとしたな。向こうの教職員関連の組織の事が分かったりして、勉強にもなった。

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