チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ゼイリブ

ジョン・カーペンター監督作「ゼイリブ」("They Live" : 1988)[DVD]

思いがけず入手したサングラスで、世界が異星人に支配されている事を知った男が、人類への洗脳信号を絶つべく奮闘するSFアクション・スリラー作品。

不況の煽りを受け、デンバーで失業したジョンは、職を求めてロサンゼルスに流れ着く。程なく、建設現場で日雇いの職を得たジョンは、古参のフランクの案内でドヤに身を寄せる。デトロイトから出稼ぎに来ているフランクは、妻子と半年も会っていない事を嘆き、この世が金持ちの天下になっている事を憂う。ジョンは働きながらチャンスを待つのがアメリカだと説く

ジョンはテレビの電波が中年の男にジャックされているのを目の当たりにする。男は「彼ら」と称する者達が発する信号により、人々は仮眠状態にされる事で無意識的に彼らに隷属しており、抑圧された階層社会が形成されていると視聴者に訴えかける。ジョンはドヤの中心メンバーのギルバートが頻りにテレビの様子を気にかける様子を訝り、後を追ってドヤに面した教会に忍び込む。ジョンは教会から聞こえていた聖歌隊の賛美歌が録音を再生している物だと知り、ギルバートを筆頭にした集団が教会を隠れ蓑にして製造した大量のレンズを発見する。ジョンは、ギルバート達の会話を盗み聞きし、電波ジャックが「彼ら」の妨害に遭っている為に奏功せず、仲間を増やそうとしている事を知る。ジョンは集団の様子を窺っている内に、盲目の説教師に見つかり、革命を共にする様に求められると、教会から逃げ出す。

程なくして、ジョンはギルバート達が教会からダンボールで何かを運び出すのを目撃し、フランクにその様子を伝えるが、フランクは仕事を続ける為に厄介事との関わり合いを避け、ジョンにも関わらぬように促す。その夜、教会は警察隊の急襲に遭い、更にドヤも同時に破壊され、住民は立ち退きを余儀なくされる。教会にいた説教師達は警察に取り押さえられ、苛烈な暴行を受ける。

翌日、ジョンは荒れ果てた教会に立ち入ると、隠されたダンボール箱を持ち出す。その中から大量のサングラスを発見したジョンは、それを掛けて都市を見渡し、映しだされた光景に驚愕する。街中の至る所に並ぶ広告には「服従せよ」「結婚し、出産せよ」「考えるな」「消費せよ」等と言った、人々に洗脳を促すメッセージが隠されていたのである。更にジョンは、明らかに人間では無い不気味な姿をした異星人が人間になりすましており、上流階級として市民を虐げている事、また至る所で市民を仮眠状態にする信号が送出されている事を知り、この社会がハッタリの産物である事を悟る。

ジョンが異星人の老婆に悪態をついた事で、人間と異星人の判別が付く事を疑われ、本部に報告される。ジョンは駆け付けた異星人の警官に同行を求められるが、警官を撃退し、拳銃とライフルを奪って逃走する。警察の追跡から逃れ、ビルの駐車場に辿り着いたジョンは、そこに居合わせたホリーに車を運転する様に強要し、警察の包囲網から脱出する。

ジョンはホリーの自宅に身を寄せると、世界中が異星人の支配下にある事を訴え、サングラスを通してそれを確かめる事ができると理解を求めるが、ホリーは強要される事を拒む。ホリーがケーブル54局のADをしている事を明かすと、ジョンは局が信号を送信している可能性を説く。その直後、ジョンはホリーに不意を突かれて背後から殴られ、サングラスを部屋に残したまま、屋外へと転落させられる。ホリーの通報で警察が駆けつけると、ジョンはその場を後にし、再び建設現場に舞い戻り、フランクと再会する。フランクはジョンが重罪犯として手配されている事を知らせる。

ジョンはゴミ捨て場に隠したダンボールから再びサングラスを回収すると、給料をジョンに手渡しにやってきたフランクと出会う。ジョンはフランクにサングラスを掛ける様に促すも拒絶される。ジョンはフランクとその家族の命を救いたいのだと理解を求めるが、フランクは頑なに拒絶する。ジョンはフランクとの激しい格闘を制し、力づくでサングラスを掛けさせ、街の真実の姿を見せる。

ジョンとフランクはホテルに身を隠すと、今後の対応を協議する。その夜、ジョンは父の虐待に耐えかね、13歳で家出した事を打ち明ける。フランクは異星人が人間達の殺しあう様子を見て喜んでいるのだと推察する。二人は異星人の支配を阻止する決意を確かめ合う。

翌日、フランクを追ってギルバートがホテルにやってくると、レジスタンスの会合の場所と日時を知らせ、共に世界を救うべく協力を求める。ジョンとフランクは会合の場所であるアジトへ訪れ、サングラスの代わりとなる新製品のコンタクトを受け取り、装着する。レジスタンスのリーダー格ギルバートは、革命が目的の過激派に指定され、警察に手配されている事を皆に告げ、人間を洗脳し家畜にしている異星人の企みについて説く。その中で、人間の中には異星人に魂を売る事で、裕福になり、社会的地位を上げようと図る者がいる事、地球温暖化による気候変動は異星人が自分達向きに環境を変えている為である事、異星人は地球を開発する為に来ており、消費し尽くせば他の星へ移り住む事が明らかになる。

ジョンとフランクはレジスタンスの銃火器で武装し、更にフランクは異星人が付けている、通信と瞬時に姿を消す機能を備えるという腕時計を受け取る。ギルバートはメンバー達に更なる仲間の増員を呼びかけると、怪信号の発信源を特定し、信号を絶つ必要性を説き、KRDA局に疑いをかける。そこにホリーが現れ、KRDAに問題が無い事を伝え、他の場所に疑いを向ける。ジョンと再会したホリーは、負傷させた事を詫びる。

その直後、特殊部隊がアジトを急襲する。レジスタンスのメンバーは武器で応戦するが、ギルバートを始めとする主要メンバーは掃討される。ジョンはホリーを見失い、フランクと共に脱出すると、銃で追手の部隊に反撃しながら、路地裏に逃げ込むも、やがて追いつめられる。フランクが咄嗟に腕時計を操作し、突如出現した穴に二人が飛び込むと、地下通路に瞬間移動する。

二人は地下を警備する異星人に感知されぬ様に通路を進み、その奥の空間で異星人と人間達の集まりを目の当たりにする。二人はそれが、地球を連合勢力の支配下に入れようと目論む異星人と、彼らに魂を売り渡し、支配層に取り入る事でパワーエリート入りした人間達による宴だと知る。そこに現れた人間の男がジョンを気に入り、二人を恒星間移動のポータルと、組織の心臓部と称する、怪信号を発するケーブル54に案内する。二人は男から信号の発信機が屋上にある事を聞き出すと、スタジオに押し入り、異星人の警備隊を迎え撃ちながら屋上へ向かう。

二人は屋上への通路でホリーと遭遇し、連れ出そうとすると、ホリーは不意を突いて隠し持っていた拳銃でフランクを射殺し、屋上へ向かったジョンを追う。ジョンは屋上で発信機を見つけ、破壊しようとするが、ホリーが背後から銃を突き付け、制止する。警備隊を乗せたヘリが現れ、ジョンに銃を捨ててアンテナから離れる様に命じる。ジョンはホリーを欺き、隠し持っていた銃でホリーを射殺すると、すかさず発信機を銃撃し、破壊に成功する。しかし、ジョンもまた警備隊の銃撃を受けて死ぬ。怪信号が止まった事で仮眠状態から覚醒した人々は、異星人を識別できる様になり、この世界の真実が明るみとなる。

 

 

B級SFスリラーとしてはカルトな人気を博す名作らしく、発掘良品としてHDリマスターされていたので鑑賞したみた。企業を始めとした支配層がサブリミナルで潜在意識に情報を刷り込み、市民にある特定の行動を誘発する事の懸念を、異星人の支配に置き換える事で風刺的に描いているらしい。どういう仕組みになっているのか分からないが、サングラスのレンズを通して、異星人の姿や隠された洗脳メッセージが見える様になり、いつか転機が訪れるのを信じて肉体労働で日銭を稼ぐ流れ者のジョンは、社会が虚構の産物だと知って憤慨し、志を同じくするレジスタンス入りするのである。ジョンは現場で意気投合したフランクにサングラスをかけさせ、現実を理解させようと試みるのだが、フランクが強情で頑として掛けたがらず、延々と格闘するというこの下りが結構長いのがただただ苦笑した。もう良いだろってくらい殴りあう(笑)。異星人の造形はレンズを通した白黒だとオドロオドロしくて良かったが、実物を見るとチープさが否めなかったかな。

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