チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-

ウィリアム・モナハン監督作「ロンドン・ブルバード -LAST BODYGUARD-」("London Boulevard" : 2010)[BD]

傷害の刑期を終えて釈放された元ギャングの男が、隠遁暮らしの元セレブ女優の警護の職を得て、堅気の人生を志向する様を描くクライム・ノワール作品。

重傷罪による三年の刑期を終え、釈放された元ギャングのハリー・ミッチェルは、腐れ縁のビリーの迎えで住処を用意される。ビリーはそこが借金の取り立てで医者を追い出して得た家だと明かし、ハリーにも借金取りに加わる様に誘う。しかし、ハリーは再び収監される事を拒み、堅気の仕事を志向する。ビリーは仕事の宛が無いハリーに、家賃の支払いさえままならないと諭す。

ハリーの出所祝いのパーティがかつての悪友達により盛大に開かれる。ハリーはそこで記者の女ペニーと出会い、素性を明かすと、ペニーにツテで仕事を紹介され、引退した元女優シャーロットの屋敷を訪ねる事になる。帰り道、ハリーは予てから気をかけているホームレスのジョーの身を案じ、ナイフを譲る。

翌日、ハリーはシャーロットの屋敷を訪ね、そこで常にパパラッチに監視されるのを忌避し、絵を描きながら隠遁生活を送るシャーロットと、休業中の役者で、クスリに興じながら怠惰に過ごす世話人のジョーダンと会う。シャーロットはハリーが出所直後という事を知った上で、パパラッチの侵入を阻止するボディガード役として見込み、契約を結ぶ。ジョーダンはハリーに部屋と仕事道具を用意すると、ガレージに招き、スペインにいるシャーロットの元夫が所有するクラシックカーの数々を見せる。

程なく、悪徳刑事のベイリーがハリーの元を訪ね、ビリーが面倒を抱えている事を伝え、更にハリーを監視している事を明かし、金を強要する。その後、ハリーは已む無くビリーの借金の取り立てに同行する。一方その頃、シャーロットの結婚生活が破綻しているというゴシップが大々的に報じられる。ハリーの家に、医者で元家主のトレントが現れ、私物を取りに来たと請うが、ハリーは追い返す。

深夜にジョーが少年二人組の襲撃に遭い、重傷を負う。ハリーは妹ブライオニーの放蕩ぶりを心配するも、けんもほろろな扱いを受ける。帰り道、ハリーはジョーが負傷した事を知り、搬送先の病院へ急行する。治療に当たった医師ラジュからジョーの容態がかなり悪い事を知ったハリーは、ジョーに加害者の素性を尋ね、団地に住むサッカー選手の少年だと知る。ハリーはビリーの仕事を手伝う条件で、ジョーの墓地を用意させる。

その後、ハリーは再びビリーの取り立てに同行する。借り主である黒人の女が返済を拒否し、開き直った為、ビリーが強引に金を奪おうとすると、そこに突然、黒人の男四人組が現れる。ビリーが一目散に逃げた為、ハリーだけが男達にリンチを受ける。

ハリーはその足で病院に赴き、ラジュに治療を受ける。その後、ビリーはハリーの前任の男からシャーロット宅のクラッシクカーの存在を聞いて色めき立ち、ハリーに車や絵画を盗み出す様に提案するが、ハリーはそれを一蹴する。ビリーは車に興味を抱くある人からの善意で、墓地を用意してもらった事をハリーに伝える。ジョーが息を引き取ると、ハリーはブライオニーとラジャを招き、葬儀を慎ましく行う。ラジャはブライオニーに誘惑され、交際の許可をハリーに請うが、ハリーはカネ目当てだと諭す。その後、ハリーはジョーを襲った少年に関する情報を集めると共に、シャーロットの元で仕事に従事する。

程なくして、ハリーはビリーに、街を牛耳る犯罪組織のボスであるギャントと引き合わされる。ギャントはハリーの腕を見込み、組織に引き入れようと誘うと、自らが支配下に置くアパートのシマを任せる事を提案するが、ハリーはまだそれには及ばないと断る。ギャントは同時に、ビリーへの返済を拒んだ黒人への報復を示唆する。

シャーロット宅を取り巻くパパラッチ達の監視がエスカレートしていく。ハリーはジョーダンに依頼されて運転を代行し、シャーロットを密かに街から連れ出すと、田舎にあるシャーロットの別荘に身を寄せる。ハリーはシャーロットの心境に理解を示し、自分ならLAに逃避すると告げる。やがて別荘周辺にもパパラッチが現れる。一方、ギャントはハリーから金を取ったベイリーを恫喝し、自らの力を誇示する。

ハリーとシャーロットは別荘で穏やかな時間を過ごす。シャーロットは女優の役割がヒーローの自分語りの聞き役だと説き、自分にはそれが無理だと明かすと、セックスやレイプの相手役ばかりだと嘆く。更にシャーロットはイタリアにいた頃、ある出来事をきっかけに怖くて外に出られなくなり、薬に手を出し、汚れてしまった事を打ち明ける。シャーロットはハリーが仕事を引き受けてくれた事に謝意を示す。

翌朝、ジョーダンが別荘にやってきて、シャーロットが女優を辞めた本当の理由が、イタリアでレイプされたからで、通報しなかった為に報道もされなかった事を明かす。男のワインには睡眠薬が大量に混ざっており、今も植物状態だという。

ハリーはギャントが予め告げていたサプライズに、ビリーと共に人気のない駐車場に呼び出される。ギャントはビリーが捕らえてきたという黒人の男を拘束しており、それを見たハリーは人違いだと訴える。ギャントはビリーの失態を詰るが、見せしめと称して男を射殺すると、ハリーも既に共犯だと告げ、ビリーに死体を団地に届ける様に命じる。ハリーはまず自分に話すべきだとギャントに告げ、ギャントの仕事に関わる事を明確に拒否する。

ハリーがシャーロットの元を訪ねると、シャーロットはハリーにレストランでの食事を提案するが、ハリーは自分といる事で迷惑をかけたくないと断る。シャーロットは逆にハリーを晒し者にしたくないと告げ、ハリーに対する恋心を打ち明ける。

翌日、ハリーは品の無いパパラッチ達に憤慨し、密かに襲撃する。その夜、ハリーはギャントにレストランに呼び出される。ギャントはハリーが出来損ないのビリーとは違うと評価すると、大きなシマを任せる意向を伝え、滅多に無いチャンスだと協力を促す。その上でギャントは、ハリーが探している二人組の少年の内の、一人のサッカーの才能に投資している事を明かすと、誰も手出しできないと牽制する。ギャントはハリーを野放しにはしないと告げるが、ハリーは自分がギャングならギャントを真っ先に殺すがそうはしないと威圧し、二度と誘わぬ様に告げて立ち去る。

ハリーはビリーに用意された家がギャントに襲撃されるのを想定し、シャーロットの元で用意された部屋に移る。程なく、トレントが留守を見計らって私物を取りにやってくると、そこで待っていたギャントに捕まる。ギャントはトレントから鍵を奪うと、叔父に性的虐待を受け、ゲイになった事を示唆する。

ハリーは、ギャントが原因で、ジョーを襲った少年に関する情報が得られない事に苛立つ。そんな折、悪友ダニーから密かに情報を聞き出し、該当する金髪の少年を発見すると、人気の無い夜道での襲撃を企てるが、少年の背後に忍び寄り、銃を構えた所で思い留まる。

ハリーはその足でシャーロットの元を訪ね、二人は初めて関係を結ぶ。その夜、ビリーがシャーロット宅前に現れ、ハリーが美味い話を不意にし、ギャントに命を狙われている事を警告すると、ギャントが絵と車を欲しており、ボスニア人の男に気を付ける様に告げて立ち去る。ハリーはビリーから奪った拳銃をジョーダンに手渡す。

ハリーは元の家に何者かが忍び込んだ形跡を見つけると、ビリーを探しだし、痛めつけ、侵入について問い質す。ビリーはそれがギャントの命令で、トレントがギャントにファックされた後、殺された事を明かすと、ギャントがハリーの関係者を皆殺しにする意向を伝える。ハリーはビリーからギャントの携帯と上納金を奪うと、ギャントに連絡し、反抗の意志を露わにする

ハリーはブライオニーの身を案じ、金とチケットを渡して、パリに逃げる様に命じる。シャーロットは新たな仕事を受け、LAに発つ事をハリーに明かすと、同行を求める。ハリーはその前にやる事があると伝える。

その夜、ビリーの死体がシャーロット宅前に届く。ハリーはジョーダンと共に死体を隠蔽すると、ビリーの明かしたボスニア人の男の殺害の協力を求める。ハリーは男をクラブから言葉巧みに連れ出すと、殺害してジョーダンと共に死体を隠蔽する。

程なく、ラジュとプレイ中のブライオニーの元にギャントが現れ、二人を殺害する。シャーロットがLAに発つと、ジョーダンを訪ねてベイリーがやって来る。ジョーダンはベイリーを殺害して隠蔽工作を図る。一方、ハリーはギャントの自宅に忍び込み、ギャントを射殺して、大金を奪う。

ハリーはLAに発つべく身支度を済ませ、部屋を出た直後に、金髪の少年にめった刺しにされて死ぬ。シャーロットはハリーをホテルで待ち続ける。シャーロットの別荘に身を寄せたジョーダンの元に警察が駆け付け、ジョーダンは銃を手に取ると・・・。

 

 

タイトルとパッケージでアクションスリラー物と誤解しそうな作品、というか意図的に誤解させようと目論見が透けて見えるのだが、ムショ上がりの元腕利きギャングの男が堅気を志向するノワール作品である。ラストボディガードってまぁ確かにその通りではあるが、悪意を感じてしまうよなぁ。コテコテのアクションスリラーになるよりは、こういった一曲ある趣向の方が良いと思う。イギリス作品らしい小難しさも許容できる範囲だった。台詞で明確に語らない部分に示唆的な要素が詰まっており、それはそれで面白かったかな。オチに何かがあるとは予想していたが、急転直下の鬱ENDになるのは驚いた。ディパーテッド的というか、この監督はそういうのが好きなのかも。

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