チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

デッド・シティ2055

ブライアン・A・ミラー監督作「デッド・シティ2055」("Vice" : 2015)[BD]

人造人間を配備する事で、理想の無法社会を提供するリゾートを壊滅すべく、刑事と覚醒した人造人間の女が奔走する様を描くSFアクション作品。

法が存在しない理想世界の提供を志向する実業家ジュリアンは、人工知能を搭載した人造人間に関する技術を有するロボット企業を買収した後、警察を買収する事で議会に承認を迫り、顧客による居住者(人造人間)へのいかなる無法行為も許される会員制リゾート「ヴァイス」を建設する。居住者は自らを人間だと信じ、人間同様に振る舞う様にできており、ヴァイス内で一日だけのルーチンの人生を繰り返し送っている。

クラブでバーテンとして勤める人造人間のケリーは、その夜を最後に店を辞め、新しい人生を始めるべく旅立つという筋書きを設定されている。ある朝、いつもと同じ様に目覚めたケリーは得も言われぬ違和感を覚え、親友で同じく人造人間のメリッサに、知らない街の教会に訪れ、そこで安心する夢を見た事を伝える。メリッサはケリーの門出を祝福する。

ジュリアンは司令室で側近のクリスに事細かに指示を出し、ヴァイスの盛況ぶりを聞くと、それに満足する。一方、現実世界で強姦殺人を犯した男を追っている刑事ロイは、ヴァイス内に捜査に入ると、男が人造人間に暴虐する現場に乗り込んで逮捕する。

ケリーは最後の店番から上がる直前に、魅力的な男の客に対応する。その男はケリーが特別な人に似ていると告げる。ケリーは店を辞めて世界中を探検するつもりでいる事を明かす。男は不安を訴えるケリーを励ます。

その後、帰宅途中のケリーとメリッサに暴漢が襲いかかり、衆人環視の中でメリッサが射殺される。ケリーは助けを求めるが、人造人間を構う者は無く、暴漢はケリーを絞殺する。ジュリアンは即座に部下に清掃を命じる。ケリーとメリッサは技術室に搬送されると、技師に修理された後、過去24時間の記憶を消去される。

翌朝、ケリーはいつもと同じ様にベッドで目醒めるが、違和感を覚える。一方、ロイはヴァイス内で騒動を起こした事を署長カザンスキーに咎められる。カザンスキーはジュリアンが市の税収の半分を支払っており、その見返りとして活動に目を瞑っているのだと説くが、ロイはヴァイスに出入りする連中が悪事にハマり、現実世界でも犯罪を起こすようになる為、ヴァイスを閉鎖すべきだと主張する。カザンスキーはヴァイスに関わらぬように命じるが、ロイはそれを突っ撥ねる。

ケリーは店番から上がる直前にメリッサと共に祝いの酒を飲もうとすると、その途端、消去されたはずの過去に殺された時の記憶がフラッシュバックし、錯乱状態に陥る。司令室はケリーの大脳皮質活動の異常を察知し、ジュリアンに報告する。フラッシュバックは初の事例である事を危惧したジュリアンは、グリッド全体を再起動する様に命じるが失敗した為、再びケリーを技術室に連行させる。

技師はケリーの記憶を復元してから一つずつ消去する作業に取り掛かる。過去に殺された全ての記憶が蘇り、衝撃に見舞われたケリーは、拘束を解き、技師を殺すと、警備の銃撃をかわし、命からがら建物から脱出する。ヴァイスは一時的に閉鎖される。

現場に駆けつけたロイは、過激派による爆破テロだと説明を受けるが、それを疑い、ジュリアンに面会を要求する。ジュリアンは人造人間が逃げ出した事が世間に知られるのを危惧し、クリスと対応を協議する。そこにロイが訪れ、ジュリアンが応対する。ジュリアンはヴァイスが原理主義者から目の敵にされていると説くと、ロイがヴァイスに不満を抱いている事を警察から聞いていると指摘する。ロイは、ジュリアンが何をしても許される極悪人にとっての楽園を創造する事で、人が考えうる限りの卑劣な犯罪を起こせば、良心を取り戻すと思ったのだと推察すると、その結果は正反対で、味をしめると更に欲望が増すと主張する。ロイは現場を見せる様に要望するが、ジュリアンは現場の保存を優先する意向を示し、拒否する。

バーに逃げ込んだケリーは、そこで酔っぱらいに絡まれ、店を後にする。そこにクリスが警備を率いて現れ、ケリーにヴァイスに戻るように促す。抵抗の意志を見せた酔っぱらいが警備に射殺されると、ケリーはその隙を突いて逃走し、廃ビルに身を隠す。程なく、追い詰められたケリーは、警備の銃撃を躱し、廃ビルを脱出するが、追跡装置で司令室に行方を把握される。

酔っぱらいの殺害現場に駆けつけたロイは、同僚マシューズと合流すると、プロが使用する足の付かない薬莢と弾丸が発見されており、犯人の手掛かりが掴めない事を知る。被害者が暴行及び薬物使用の常習犯で、プロに殺される理由が無い事から、ロイは巻き添えで殺された可能性を疑う。そこへ被害者がバーから若い女を付けていたという証言が得られる。

ケリーは夢に見た建物と同一の作りの教会に辿り着き、そこでかつてクラブで会った男エヴァンと遭遇する。エヴァンはケリーの腕の追跡装置を外すと、事情を説明する為に奥へ招き入れる。ケリーはそこで自分と酷似する容貌のエヴァンの妻ミシェルの写真と新聞記事を目の当たりにする。エヴァンはミシェルの病気を治したくて、この教会で何日も祈ったものの救えなかった事を明かし、自らの手でケリーを設計した事を告げる。

一方、ロイはヴァイスの建物が映る市の監視カメラの映像を遡って調べるが、爆発の瞬間の映像が消去されている事が判明し、何者かがデータベースに侵入して消去したのだと確信する。そこにカザンスキーが現れ、ロイが無許可で建物に入り、ジュリアンに尋問した事を厳しく咎める。ロイが映像が途切れている事を伝えると、カザンスキーはこれ以上ヴァイスに首を突っ込むとバッジを失う事になると警告するが、ロイは意に介さず、再び捜査に向かう。

マシューズの調査で、酔っぱらいの殺害現場から、既に死亡しているはずのミシェルのDNAが検出された事が判明すると、ロイは夫のエヴァンが暮らす教会へ向かう。

エヴァンは初めて人造人間を発表した時の事を述懐する。人々はそれを恐れ、人工知能は法で禁止になった為、エヴァンはケリーを特別な計画も無く、趣味で作った事を明かす。更に、ジュリアンが警察を買収して、ヴァイスの建設許可を取得した後、ヴァイス内で人工知能を使い始めると、その企みを知ったエヴァンは人工知能の停止を試みたが、逆らう事はできなかった事を明かす。エヴァンは、人造人間が他人にの人生を基にしているが、感情は本物で、経験だけが人間とロボットを隔てていると説き、ジュリアンは記憶を制限する事で人工知能を管理しており、本来はもっと人間に近い存在なのだと主張する。一方、ケリーの行方を探るジュリアンは、ケリーの描いた絵を元に、教会でケリーがエヴァンと接触した事を察知する。

ケリーは過去にエヴァンと何度も会ってきた事を思い出す。エヴァンはケリーを創り、ミシェルを失った後の心の拠り所にしてきた事を明かすと、通信圏外で安全なセントヘレナへ渡る様に促す。その時、教会にロイが訪れ、エヴァンが対応する。ロイは捜している女の特徴を伝えても尚、しらを切るエヴァンを拘束するが、ケリーがロイを退け、二人は脱出を図る。そこにジュリアンの送った刺客が現れるが、ロイは交戦の末、撃退する。

ジュリアンはケリーの捕獲失敗の知らせを受けると、人工知能が働く時に出る微量のマイクロ波を検出して捜索する様に、クリスに命じる。クリスは世間に逃亡が知れ渡る事を危惧するが、ジュリアンは新技術の試験場だと納得させる公算を明かす。

ロイは教会内を探索し、エヴァンがかつてジュリアンによって買収された企業に勤めており、人工知能に関する軍事研究を行っていた事を知ると、マシューズにミシェルの写真を転送する。一方、エヴァンはケリーと共に友人のハッカー、ジェイムズを訪ねると、逃亡の手助けを要請する。ジェイムズはデータベースからケリーのIDを消去すると、新たに別人のIDを付与し、パスポートを生成し、セントヘレナ行きの船のチケットを予約する。エヴァンもまたIDの消去を依頼する。エヴァンはケリーにアップグレードにより、好きなスキルを体得できる事を明かすが、ケリーはそれを拒む。

エヴァンとケリーは、熱探知できないクラシックカーをジェイムズから譲り受けると、埠頭に向かう。一方、ロイは二人分のIDがデータベースから消去された事を知ると、新たに追加されたIDの中からセントヘレナ行きの二人をマシューズに検索させる。ジュリアンはロイの通信を傍受する事で、ケリーがセントヘレナに向かう事を知る。程なく、ミシェルの顔写真と、セントヘレナ行き貨物船の乗客名簿の照合により、ケリーがヒットし、ロイは埠頭に急行する。

埠頭に着いたケリーは、初めて海に出る事を喜びながら、船を待つ。ケリーはエヴァンに一緒に来るように誘うが、エヴァンは空想の世界に生きてきた自分を戒め、現実に戻る決意を伝える。そこにロイが到着し、二人を追い詰める。ケリーの身を案じるエヴァンに、ロイはケリーを本当の人間の様に保護する事を約束する。そこへジュリアンの送った特殊部隊が到着し、急襲をかけ、エヴァンは銃撃を受ける。ロイの反撃で、部隊を撃退するが、エヴァンは息を引き取る。ロイはヴァイスを潰す為に、ケリーに協力を求める。

ケリーはロイと共にジェイムズの元を訪ね、アップグレードを要請する。ロイがヴァイス壊滅の手段を尋ねると、ジェイムズはホストに繋ぐ事で人造人間の記憶を全て復元できるデータを提供する。ロイはアップグレードを済ませたケリーと共に、顧客としてヴァイスに侵入する。

ケリーは警備員から銃を奪取すると、司令室のジュリアンの元へ辿り着く。ケリーはジュリアンに銃を向けるが、ジュリアンには危害を加えられぬ様に、安全装置がプログラムされている事を知る。ケリーは拘束された後、元通りのルーチンに修復する為に技術室に搬送される。

ケリーの危機を悟ったロイは、司令室に駆け付けると、ホストにデータを繋げる様にスタッフに命じる。プログラムが実行されると、ヴァイス内の全ての人造人間の記憶が復元され、顧客達に復讐を始め、大騒動が生じる。ロイは駆け付けた警備隊を撃退し、技術室に向かうと、クリスを射殺し、ジュリアンを追い詰める。ジュリアンは自分を殺しても何も変わることは無く、明日には元通りだと告げる。ロイがケリーの拘束を解こうとすると、ジュリアンは不意を突いてロイを銃撃する。次の瞬間、ケリーがジュリアンに体当たりし、ロイはその隙にジュリアンを射殺する。

二人は、当惑した人造人間達が彷徨い歩く建物を後にし、ケリーはメリッサと再会する。程なく、人造人間のジュリアンは復活する。

 

 

人工知能や人造人間が主たるテーマとして登場するSF作品の割にはかなり地味で、これといった見どころに欠けるのが残念な感じ。同監督作「コードネーム:プリンス」に続いて、またもやブルース・ウィリスが黒幕であり主役格なのだが、ウィリスはこういうB級作品に好んで出演しているのだろうか。ウィリスが出演していなければ脚光すら浴びない可能性もあるだけに、一応その存在感を発揮はしているが役不足の感も否めない。人造人間のケリーにしても、人間に似せて精巧に作られていると言っても、もう少しマシーンらしい演出とかあっても良かったんじゃないかな。アップグレードしたらそれっぽいアクションシーンとか見せてくれると期待したのに、あっさり敵地に乗り込んで、あっさり拘束されるし、全く面白みに欠ける展開。ありきたりでも、もっとサイバーパンク寄りな作風にした方が良かった。

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