チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

しあわせはどこにある

ピーター・チェルソム監督作「しあわせはどこにある」("Hector and the Search for Happiness" : 2014)[DVD]

幸せを感じられなくなった精神科医が、世界へ飛び出し、幸せ探しを行う旅の顛末を描くコメディ・ドラマ作品。

 

ロンドン在住の精神科医ヘクターは、恋人で製薬会社に勤めるクララと同棲し、満ち足りた人生を送る。二人はいまだ子供を儲けてはいないものの、互いに愛し合っており、ヘクターは完璧なクララにより繰り返される安心のパターンの支えを得て、自らが営む診療所で連日、患者達の話に真摯に耳を傾ける。

ある日、クララはヘクターの靴下入れから、かつてヘクターが旧友アグネス、マイケルと撮った写真を見つける。クララはアグネスがヘクターの元恋人だと察知し、いまだに情を通じているのでは無いかと疑う。一方、ヘクターは患者達が皆一様に不幸だと思いたがる事に疑問を抱き、試みにクララに幸せかどうか尋ねてみる。クララはヘクターが別れを望んでいると誤解し、子供を産まない事に原因を求め、ヘクターはそれを否定する。

しかし、その後もヘクターの疑問は募るばかりで、患者の不幸話を聞き続けている内に、ある時、乱心してしまう。何が幸せなのか分からなくなったヘクターは、状況を打開する為に旅に出る事を決意する。ヘクターは、口先の助言ばかりに留まり、患者を幸せにできない現状を訴え、幸せについて調査をしたいという意向をクララに伝える。クララは多忙で休みが取れない為に、ヘクターは一人で世界を巡る旅に出る理解を求め、クララの承諾を得る。ヘクターは手始めに中国に赴く事に決め、クララは徹底的にやる様に促す。ヘクターは身支度を整えると、早速ロンドンを発つ。

機内でヘクターは、荷物の中にクララが旅程をつける為のノートを忍ばせていた事に気付くと、早速幸せについて感じ取った事を、絵や文字で埋めていく。ヘクターは隣り合う座席の銀行家エドワードに、旅の目的を明かす。

ヘクターは上海に到着すると、親しくなったエドワードに連れられ、繁華街を観光し、更に食事とホテルの世話を受ける。ヘクターはエドワードに幸せかどうか尋ねる。エドワードは仕事に没頭して忘れていたとしながらも、目標を定めて突き進み、引退しない事だと説く。

その後、ヘクターはエドワードに付き添い、ナイトクラブに訪れる。ヘクターはそこで観光学を専攻するという大学生イン・リーと出会う。ヘクターはイン・リーと共に酒を飲み交わし、存分に楽しんだ後、ホテルにイン・リーを招く。ヘクターはイン・リーとキスをした後、部屋に雪崩れ込むが、関係を持つ前に酔いで寝入ってしまい、そのまま夜を明かす。

翌日、ヘクターはイン・リーと商店街で落ち合い、ランチを共にする。そこへクラブの男がイン・リーの迎えに現れ、ヘクターはイン・リーがエドワードの支払いで呼ばれたコールガールだった事を知る。騙された事に意気消沈したヘクターは、上海を離れ、列車に乗って一路山奥を目指す。

ヘクターは雪山を登り詰めた先で、山頂にそびえ立つ寺院に到達する。ヘクターは老僧に来訪の目的を伝え、招き入れられる。老僧は難民となり、信仰の為に投獄され、家族や愛する人を失った事を明かす。ヘクターは老僧が苦難の人生でなぜ幸せなのかを尋ねる。老僧は苦難を味わったからだと説き、幸せを探すよりも、もっと上を見る様に諭す。ヘクターは何を探すかより、何を避けているかが大事であり、不幸を避けるのが幸福への道では無いと悟る。

ヘクターは寺院にスカイプがある事を知ると、クララに連絡し、旅の近況を伝えるが、途中で強風により断線する。ヘクターは山頂に吹き寄せる風に歓ぶ僧侶達を見て戸惑い、寺院を後にする。

ヘクターは上海に戻ってエドワードに別れを告げると、アフリカへと出発する。機を乗り継ぎ、目的地に向かう小型機の中で、ヘクターは現地在住の女と意気投合し、家族の食事に誘われる。到着後、ヘクターは現地で診療所を営む医師マイケルと再会し、ホテルへ送ってもらう。ヘクターはバーでドラッグの元締めディエゴと出会う。ヘクターはディエゴに幸せについて訪ねると、ディエゴは身辺を嗅ぎまわる記者だと誤解して恫喝する。ヘクターは精神科医と紹介する事で理解を求める。ディエゴは妻が精神科医に処方された薬を飲んでおり、症状が悪化した事を不幸に挙げると、ヘクターは協力を申し出る。

翌日、ヘクターは処方箋を見て、用量が不適切だと指摘すると、ディエゴのペンを借りて知人の医師に紹介状を書く。その後、ヘクターはマイケルの診療所を手伝いに訪ね、患者達の世話をする内に人助けに喜びを感じる。マイケルはヘクターに留まる様に勧めるが、マイケルはアフリカでは精神科医が贅沢品だと悟った事を明かし、街が豊かになるほど精神科医が増える皮肉を告げる。マイケルは自分が幸せに見えるとしたら、それは愛されているからだと告げ、ゲイのパートナーを明かす。

ヘクターはネットカフェからスカイプでクララに連絡する。しかし、クララは仕事関係のイベントへ気ままに外出する予定だと知り、ヘクターは機内で出会った女の家族の村に訪れる。ヘクターは女の家族に歓迎され、さつまいものシチューを馳走になると、夜中にタクシーで帰路に就く。ところが、タクシーが武装したギャングに強奪され、ヘクターはアジトへ連行された後、牢屋に監禁される。

ヘクターは死を覚悟し、旅の行程と半生を振り返る。程なく、ヘクターはギャングのボスの元へ連行される。ヘクターは苦し紛れにディエゴの友人であると偽り、命乞いをする。ヘクターはそれを証明する様に命じられるも、答えに窮し、銃で脅される。ヘクターは旅の目的が幸せの研究だと明かした上で、殺される前の最後の質問と称して、ボスに幸せについて尋ねる。ヘクターはそれをノートに書き留める為に、バレスコから借りたままだったペンを返してもらうが、そのペンにバレスコの刻印が入っている事に気付くと、それをボスに提示する。

間もなくヘクターは夜の小道で解放され、村へ逃げ帰る。ヘクターは女の家族や村人に歓迎され、生きている実感を味わう。その後、ヘクターは町に戻り、クララに連絡する。ヘクターはクララが恋しく思えたと伝えるが、クララはその真意を訝る。

ヘクターはマイケルに別れを告げると、アグネスに会いに行くためにロスへと出発する。ヘクターは機内で、脳腫瘍摘出手術を受け、急性浮腫を起こした女の介抱に当たり、機長に高度を下げさせる事で対処する。女は術後、生死を彷徨った時に見た夢について語り、死期が近づきながらも愛する人達に囲まれ幸せだったと明かす。

無事にロスに着くと、ヘクターは女を空港で見送る。その後、ヘクターは思い出のビーチで心理学者アグネスと再会する。アグネスは二人の子供を紹介し、更に第三子を妊娠している事を明かす。ヘクターはアグネスの自宅に招かれ、夫で数学者のアランと対面し、一晩泊まる。

翌朝、ヘクターはクララに連絡し、ロスにいる事を伝えると、憤ったクララはアグネスに会うのが旅の目的だったと詰る。ヘクターは売り言葉に買い言葉でこれに応じ、口論になると、クララは別れを切り出す。その直後、ディエゴからヘクターに連絡が入る。ディエゴは妻の件で謝意を告げると、マイケルの診療所に寄付を申し出る。

ヘクターは知己の心理学者で「幸福の副作用」の著者コアマン教授を訪ねるべく、アグネスと共に大学へ向かう。道中、ヘクターはアグネスに幸せについて尋ねる。アグネスは幸せすぎて失うのが怖いのが唯一の不安だと明かす。ヘクターはもし交際を続けていたらと切り出すと、アグネスは憤慨し、自分との思い出に浸らずに、現実を見て前に進むように諭す。

大学に着くと、ヘクターはコアマンの講義を聴講する。その中でコアマンは幸せ探しは程々にして、味わうべきなのだと説く。コアマンは感情を分離し、特定する事で、数値化する研究を行っており、ヘクターは、脳波を測定する事で、幸せな時、悲しい時、怖い時の脳の活性状態を視覚化する実験に臨む。コアマンはヘクターの心の内の何かが感情を阻害し、解析できない事を察知する。その時、ヘクターはクララから連絡を受ける。クララは泣きながら母親になりたいと哀願する。ヘクターは旅には理由が無く、思いつきだった事を明かし、幸せと不幸について学んだ事で、最大の不幸がクララを失う事であり、最大の幸福はクララが一生添い遂げたい男になる事だと気付いたのだと打ち明ける。ヘクターはクララに会いたいと訴え、慟哭すると、その途端にヘクターの脳は幸福で満ち溢れる。コアマンは初めて目にする解析パターンに感嘆する。

ヘクターはアグネスに別れを告げると、その足で空港へ直行する。ヘクターは空港で老僧にスカイプし、自信を持って帰路に就く事を伝える。老僧は人は誰でも幸せになる義務があると諭す。

帰宅したヘクターはクララとより愛を深め、患者達への対応もより親身なものに改める。やがてヘクターはクララと結婚する。

 

 

サイモン・ペッグもコメディ、SF、アクション大作と幅広いジャンルの作品でよく見かける様になったが、本作はロザムンド・パイクとカップルというのがなかなか新鮮。共に稼ぎの良い仕事をしていて、関係も良好なのに、ある時、急に幸せの意味が分からなくなるというのは、なんとも贅沢な話に思えるが、まあとにかく一念発起して旅に出て、中国~アフリカ~米国へ幸せを探して回っていく、ちょっと不器用な男の姿が面白い。色んな場所に行って、そこで色んな人達との出会いを経て、幸せについての考え方を改めていく、オムニバスに近い構成。結末に至るまでが唐突な気がしないでもないが、ストーリー自体がフワッとしているからこんなものかな。

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