チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

Mr.タスク

ケヴィン・スミス監督作「Mr.タスク」("Tusk" : 2014)[BD]

ポッドキャスターが取材に訪れた土地で、老人に捕らわれた挙句、セイウチ人間へと変貌させられる様を描くホラー・コメディ作品。

 

ウォレスは親友テディと共にロサンゼルスでポッドキャスト番組"Not-See Party"を運営し、好評を博す。ある時、番組に、少年が刀を振り回して遊んでいる際に誤って片足を切り落としてしまうという内容の動画「キル・ビル少年」がファンから寄せられ、再生回数3000万回を記録する。ウォレスはカナダ在住のその少年に取材を敢行すべく、恋人アリーの反対を振り切り、飛行機が苦手なテディを置いて、単身カナダのマニトバへ飛ぶ。

少年の自宅に着いたウォレスは、少年が刀で自殺を図った事を知り、意気消沈する。ウォレスは地元ウィニペグのバーに入ると、経緯をテディに報告する。ウォレスは手ぶらで帰るわけにもいかず、新たにネタを探す必要に迫られるが、その時、トイレに貼ってあるチラシに目が留まる。長きに渡り、海で奇妙な冒険の旅を重ねてきたというカナダ人の老人ハワード・ハウが、大きな屋敷で孤独に余生を過ごす事を厭い、部屋を貸す相手を募っているという。伝えたい物語が数多くあるというハワードの言葉に惹かれたウォレスは、早速ハワードに連絡を取って住所を聞くと、立ち寄ったコンビニで道程を尋ね、二時間の距離をひた走る。

夜、ウォレスはバイフロストのピッピー・ヒル邸へ到着すると、荘厳な屋敷で車いす生活を送るハワードに歓迎される。ハワードがウォレスに紅茶を振る舞うと、ウォレスは自らの番組の雰囲気を伝え、ハワードの感動を分かち合いたいと希望を告げる。ハワードは数々の冒険の記憶を元に、若かりし頃の話を語り始める。ハワードはかつて、ノルマンディーを航行中の船内で見習い料理人の時に、ヘミングウェイに会い、酒を進呈した時の事を語り、その時のボトルを紹介する。ウォレスはその傍に飾ってあるセイウチの陰茎骨に興味を抱く。ハワードは漂流した時にセイウチと仲良くなったと明かす。ハワードは、料理の腕を認められ、料理長となり、世界中を旅していた人生の絶頂期に乗っていた、シベリアへのホオジロザメ探索を行うアナスタシア号が氷山に衝突して沈んだ時の事に触れ、暗闇の中でクルー達が溺れた後、サメの餌食となっていく中、自らは恐怖に慄きながらも泳ぎ続け、やがて小さな島に漂着し、そこで救世主であるセイウチと出会い、温めてもらった事を述懐する。ハワードはそのセイウチに恩人にちなんだ名と称し「ミスター・タスク」と名付けた事を明かすと、半年を共に過ごしたそのセイウチとの友情がかつてない程満たされたもので幸せだったと振り返る。ウォレスはハワードの話を聞いている内に、睡魔に蝕まれ、やがて昏睡する。

翌日、別室で椅子に腰掛けた状態で目覚めたウォレスは、倦怠感を伴う体の異変を自覚する。ハワードはウォレスが森の中でドクイトグモに咬まれたのだと指摘する。ウォレスは携帯で連絡を取る事を望むが、ハワードは治療に訪れた医者ムシエが踏んで壊したと明かす。ウォレスは足の感覚が無い事に気付き、それを訴えると、ハワードは毒が心臓に回る前に抜本的な治療を行ったと告げる。ウォレスは左足が膝から切断されている事を知る。ハワードは身体機能が回復するまで、安静にする様に促す。ウォレスは電話を使わせる様に請うが、ハワードはムシエが電話を全て持ち去っており、夕食後にムシエに確認すると告げる。

ウォレスは夕食を用意されるも、腕が固定されて動かない事を指摘する。ハワードは手足の感覚の喪失は、親友の喪失に似ていると説く。ウォレスはハワードのクモの話が嘘であり、ハワードがサイコパスだと確信すると、ハワードを変態だと罵倒し、大声で助けを求める。ハワードは互いに心を開く事を促すと、セイウチのスーツを作成している事を明かし、スーツを着る前に、人間の声を使わずにコミュニケーションする事でセイウチになりきる様に、ウォレスに命じる。ハワードは人間が本当はセイウチでは無いかという問いの答えを得るべく、二人で探索に出かけるのだと告げる。

その頃、ウォレスと3日連絡が途絶えた事で浮気を疑うアリーは、テディに相談する。アリーは浮気グセの激しいウォレスとの関係について、予てからテディに相談に乗ってもらっており、一方、テディもウォレスがアリーと結婚する気が無く、体だけの関係だという事を知っており、二人はやがて情を通じ、関係を持つようになっていたのである。

夕食後、ウォレスはアリーからの着信音で携帯を発見する。ウォレスはハワードに気付かれぬ内にかけ直すと留守電になり、これまでの態度を詫びると共に、監禁され、動物にされようとしている事を伝え、通報する様にメッセージを残す。ウォレスはまたテディにも同じ様にメッセージを残す。アリーの部屋に来ているテディは、ウォレスからの着信に気付くも、メッセージを確認せずに無視する。ハワードはウォレスが電話している事に気付くと、殴って昏倒させ、生き続けたいならセイウチになるしかないと告げる。

翌朝、アリーはウォレスの残したメッセージを聞き、その危機を知ると、テディと共に捜索を開始する。ハワードは10歳の時にモントリオールで両親が強盗に殺された後、ケベックの孤児院で人生を失った少年達と暮らした時の事を明かす。その頃、教会が孤児に経済的な支援をする一方、政府は精神病院の運営を任されていたのだが、やがて政府と教会は結託して、孤児院を精神療法施設に分類し、孤児院を閉鎖した。ハワード達は精神病院に収容されると、それから五年間、虐待、拷問、レイプの暴虐を強いられたが、その後、ハワードは15歳の時に病院を脱走すると、カナダからアメリカに逃げ、船に乗ったのだという。ハワードはウォレスの両足を膝から切断し、腕を胴体に結合すると、その上に人間の皮膚を矧ぎ合わせて作ったセイウチのスーツを着せる。セイウチ人間と化したウォレスは、足を鎖で結ばれた状態で放飼場に放たれる。舌を抜かれ、喋る事ができないウォレスは、ひたすら泣き喚く。ハワードはそんなウォレスの姿にかつてのミスター・タスクを重ねあわせ、再会を懐かしむ。

アリー達はウォレスの足取りを追って、レンタカーショップやバーを訪ね回ると、地元警察へ駆け込み、ウォレスの伝言を聴かせる事で捜査を要請する。警察はハワード・ハウがマニトバに存在しておらず、ウォレスはウィニペグに行ったきりで帰国していない事を伝え、行方不明者として手配する意向を示す。警察は、足が切断されたという点を気にかけ、足の無い死体を探してケベックから来たという、自称元警官ギー・ラポワンテが連続殺人犯を追っている事を伝え、ギーの連絡先を二人に教える。一方、ハワードは泣き喚くウォレスに運命を受け入れる様に告げると、泳ぎを覚えさせる為にウォレスをプールの中に沈める。ウォレスは水中でセイウチ人間の死体を見つけ、驚愕する。

アリー達はファミレスでケベック州警察の元警部を自称するギーと落ち合う。ギーはハワード捜索に人生を捧げており、アリー達の連絡を受けて、獲物が近いと確信している事を明かす。ハワードによる被害者は23人に上っており、どれも失踪から一ヶ月後に皮膚の無い死体の断片が発見され、両足が膝の位置で切断、両腕が胴体に結合され、更に舌が引き抜かれている点で手口が共通しているという。ギーは二年前に同じく失踪したホッケー選手グレゴリーを捜索する過程で、ケベック州ラシュットの小屋に訪れた際に出会ったムシエを犯人だと確信するも、証拠が無く追求できなかった事を明かす。一ヶ月後、グレゴリーの死体の一部が発見されると、ムシエは小屋から姿を消したという。ギーは被害者の口に舌と歯が無く、口の上部には穴が開いており、検死の結果、穴の内側に被害者自身の脛骨の一部が見つかった事を明かす。

ハワードは尚も泣きじゃくるウォレスに生鯖を与える。空腹に耐えかねたウォレスがそれを貪り食うと、その様子を見たハワードは歓喜する。アリー達はギーと共にウォレスが寄ったコンビニに訪れ、メモ帳にウォレスが記した痕跡から向かった住所が判明する。

ハワードは島で助けられたセイウチを食らって生き延びた事を明かすと、人間がどれほど残酷か教える為にウォレスを水中に沈め、真のセイウチに鍛え上げようと企てる。一方、アリー達はウォレスが乗ってきたレンタカーが沼に沈んでいるのを発見する。ギーはハワードが近い事を察知し、持参した拳銃を二人に手渡すと、自らはライフルを手にする。

ハワードは島に漂着してから数年後に救出され、それが救世主を殺傷したほんの一時間後だった事を振り返ると、恒例行事と称して15年の間、あの時に与えなかった戦う機会を友達にあげていると明かす。ハワードは自らもセイウチスーツを身に纏い、ウォレスに自分と戦う様に命じる。アリー達はウォレスの叫び声を聞きつけ、ピッピー・ヒル邸に辿り着く。

ハワードはかつて自分がそうした様に自分を殺す様にウォレスに促すと、生き残ったとしてもセイウチとして生きる事になるのであり、完全なセイウチとなるか死ぬかの選択を突き付ける。その直後、ハワードはスーツを脱ぎ、自分も同じだと告げると、ウォレスを殴り殺そうとする。ウォレスは牙でハワードに襲いかかり、めった刺しにする。ハワードはその目的を果たし、君は私のミスター・タスクだと告げて絶命する。その時、アリー達が放飼場に辿り着く。変わり果てたウォレスの姿を目の当たりにしたアリーは慟哭する。ギーがウォレスに向けてライフルを構えると、ウォレスは必死に命乞いをする。

一年後、アリーとテディは、ウォレスが収容されたマニトバ動物保護施設を訪ねる。放飼場の巣に篭もりっきりのウォレスに、アリーが鯖を投げ入れると、ウォレスは姿を現し、それを貪り食う。アリーは人の心を失いかけたウォレスに「愛してる、忘れないで」と告げ、テディと共に立ち去る。ウォレスは嘆き、鳴き喚く。

 

 

先日観たゾンビーバーに匹敵する程のバカ度の高いコメディ・ホラー作品だが、こちらは超絶シュールな展開に終始しており、苦笑せずにはいられなかった。セイウチ人間という発想からしてシュールだし、登場するのは思いっきり手作り風のセイウチスーツでこれまたシュールだし、それを来たジジイとオッサンが戦う様なんかシュールの極みだ。でもこのスーツのビジュアルが醸し出す迫力はなかなかの物で、他ではお目にかかれない様な凄みがある。ハーレイ・ジョエル・オスメントが出演していると知って観たのだが、彼は脇役だったものの作品自体は意外なオモシロさだった。ギー・ラポワンテ名義で登場する役者が、なんとなくジョニー・デップに仕草や雰囲気が似ていると思い、wikiを見てみたら、ジョニー・デップが偽名を使って出演していると知って驚いた。こんなB級ホラーで何遊んでんだデップ(笑)。しかもコンビニ店員として登場する女子がデップとヴァネッサ・パラディとの間の実娘というから更に驚き。やっぱりオスメントは何か持ってる役者なんだよなぁ。絶対にまたハネるぞ、彼は。

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