チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

インキーパーズ

タイ・ウェスト監督作「インキーパーズ」("The Innkeepers" : 2011)[DVD]

幽霊の目撃例が相次いだ廃業間際のホテルで、二人の従業員が幽霊の調査に乗り出し、やがて超常現象に遭遇する様を描くホラー作品。

 

コネティカット州トリントン、廃業目前のホテル「ヤンキー・ペドラー」のバイト従業員クレアは、オーナーがバカンス旅行に出かけたのに伴い、唯一の同僚ルークと二人きりで、最後の週末を泊まりこみで留守番する事になる。そのホテルにはヤンキー・ペドラーの未亡人と称されるマデリン・オマリーの幽霊が取り憑いていると予てから噂されていた。曰く、マデリンは結婚式の日に客として宿泊するも、男に捨てられた為に自殺を図ったのだが、当時のオーナーは悪評が立つのを恐れ、遺体を三日間も地下室に隠した後、運び出して海に捨てたのだった。町の人々はそれを知ると激怒し、オーナーはホテルを売る事にした。60年代に営業が再開すると、マデリンの幽霊が廊下を彷徨う目撃談が客から相次ぐ様になったという。ルークは自ら準備した機材で、これまでに採取した超常現象の事例の数々を纏めたWEBサイトの製作に励むと共に、廃業前に幽霊の証拠を掴むもうと意気込む。

クレアは214号室に宿泊する事に決め、ルークと共に交代でシフトをこなし始めるが、客は夫と喧嘩して家出をしてきた母子のみで、クレア達はロビーで暇を持て余す。そんな折、著名な女優リアン・リース=ジョーンズ(リー)が講演に向かう途中で客として訪れる。昔からリーをよく知るクレアは興奮して、リーの部屋にタオルを届けに行く。クレアはファンである事をリーに打ち明けるが、思いの外、無愛想なリーに、クレアは軽侮された気持ちにさせられ、失望する。クレアは大学を中退し、宙ぶらりんな自分の境遇についてルークに明かす。ルークはここが通過点であり、時期を待つ様に促すと、休憩の為に自室へ向かう。夜が更けると、クレアはロビーで所在なく暇を潰す。その最中、どこからともなく叩く音が聞こえてくる。クレアは音のする方向を探りに向かうと、そこにルークが現れ、驚いたクレアに交代を促す。

クレアはマデリンがなぜホテルに留まるのか図りかね、その事をルークに指摘すると、マデリンの霊との接触時の様子を尋ねる。ルークは霊が現れた途端に消えた為に覚えていないと答える。ルークはカメラが修理中で撮影できない事を明かすと、録音だけでも霊の存在を証明したいという使命感を露わにする

深夜、屋外のコンテナにゴミ出しに行ったクレアは、帰り際にガレージの地下室に繋がる扉を何者かが叩く様な音を聞く。クレアが恐る恐る扉を開けると、一羽の鳥が飛び出す。クレアは扉に鎖を巻きつけた上で施錠し、屋内に戻る。

ルークが自室に戻ると、クレアはマイクと録音機を携え、独りで洗濯室、更に宴会場に赴き、マデリンとの交信を試みる。クレアはマイク越しにノイズに混じってピアノの音を聞くと、ピアノが置かれたロビー前のラウンジへ向かうが、音はそこで途絶える。その直後、鍵盤が勝手に動き、クレアは驚愕する。クレアは眠っていたルークを呼び起こすが、部屋で二人きりになる事を躊躇う。そこへリーが現れ、クレアの騒音を咎める。クレアは超常現象の録音をしており、幽霊がいる証拠を掴んだ事を明かす。リーはクレアを自室に招き入れる。

リーは、難しい問題に直面した時に答えを教えてくれるという水晶の振り子を取り出すと、講演が偽りの理由であり、霊媒師の集会にゲストとして招かれた事を明かす。リーは、人間の一人一人が宇宙のエネルギーの一部であり、宇宙が個々の人間に合わせた計画を持っていると説くと、霊魂と話したいのなら協力できると諭し、何を求めているのか教える様に促す。クレアはピアノを弾いていたのがここで死んだマデリンの霊魂なのか知りたいと訴える。リーは振り子を掲げて集中し、3人が介在している事、彼らが生きたいと希望している事、ここで悲しい事件が起こった事について見出すと、マデリンを救う事はできず、彼らも助けようとしたものの叶わなかった事を明かし、地下室には行かないように命じる。クレアは彼らについて尋ねるが、リーの交信はそこで途切れる。

明け方、クレアは自室に戻り、眠りに就こうとするが、背後に現れた花嫁姿のマデリンの幽霊に驚き、飛び上がる。その時、昼過ぎを告げるアラームが鳴り、クレアは自分の見たものが夢か現実か判別できずに困惑する。クレアはその事をルークに打ち明ける。ルークは霊能力がハッタリだと諭す。程なく、一人の老夫が客として訪れ、353号室での宿泊を希望する。ルークは廃業に伴い、三階の部屋が既に撤収済みで泊まれない事を伝え、理解を求めるが、老夫は泊まる為に遠方からやってきた事を明かし、どうしてもその部屋が良いと宿泊を請う。クレアは老夫から家具が無くても構わないという了解を取ると、部屋に案内する。老夫はそれが新婚旅行で泊まった部屋だと明かすと、特別な思い出が詰まっており、ずっとここにいたような気分だと述懐する。クレアはベッドだけが残っている事を明かすと、シーツを手渡してロビーに戻る。

その夜、徹夜を覚悟した二人は、缶ビールで酒盛りを始める。程なく、セミナーからリーが戻る。ルークは霊媒についてリーに尋ねる。リーはそれがデジャブの逆の現象であり、何かが起こる前に予兆がするのだと説く。その後、クレアは地下室へ行って、幽霊の謎を解明する事をルークに提案する。二人は録音機と懐中電灯を携え、屋内の入り口から階段を経て、地下室へと足を踏み入れる。二人はやがて遺体が隠されていたとされる部屋に達する。ルークはマイク越しに不可解な雑音を感知する。クレアはマデリンの霊魂に合図を送る様に呼びかけると、眠りにつかずにここに留まる理由を尋ねる。録音機が異常な動作を示した後、クレアだけが何者かの囁き声の中に自分の名が呼ばれるのを聞く。クレアはルークの背後に忍び寄る霊の存在を察知し、それを指摘すると、ルークは慄いて逃げ出す。気が動転したルークは、マデリンと接触した事が嘘だと明かすと、霊との関与を拒絶する余り、クレアをホテルに残して帰る。

クレアはリーを起こすと、マデリンが接触してきた事を明かして助けを求める。リーはクレアに地下室へ案内させると、階段で振り子をかざす。リーはそこで危険を察知すると、すぐにホテルから立ち去るべきだと説き、クレアに荷物を纏める様に命じる。クレアは直ちに自室に戻り、身支度を始めるが、そこで353号室の老夫の事を思い出し、呼びに行く。

クレアはドアが開いたままで、明かりが付いていない室内に入り、床の上に置かれた、亡き妻に当てた老夫の遺書を見つける。その後、クレアは浴室のバスタブで、手首を切って自殺を図った、血塗れの老夫の死体を見つける。慌てて部屋の外へ出たクレアは、室内から生じる物音を聞き、再びドアを開くと、そこに首を吊ったマデリンを目撃する。

ロビーに逃げ帰ったクレアは、そこで戻ってきたルークと出会す。ルークは置き去りにした事を詫びる。クレアは老夫が自殺した事とマデリンに遭遇した事を伝えると、ここを出るべきだと訴える。ルークは怯えるクレアを落ち着かせると、代わりにリーを部屋に呼びに行く。

クレアは自分の名を呼ぶ何者かの声に誘われ、再び地下室に向かう。入り口に差し掛かったクレアは、背後に現れた老夫に驚き、階段を転げ落ち、頭部を負傷する。クレアは忍び寄る老夫から逃れ、地下の奥の部屋に駆け込むと、ガレージへと繋がる扉を叩いて助けを求める。しかし、扉は前日にクレアが自ら施錠を施した為に開く事は無く、暗闇の中から姿を現したマデリンがクレアの背後から襲いかかる。

翌朝、駆け付けた警察にクレアと老夫の遺体が搬出される。ルークはドアを叩く音とクレアの悲鳴を聞き、開ける様に叫んだものの無駄だったと警察官に証言する。ルークはリー共々、事情聴取の為に署への連行を求められ、リーを屋内へ呼びに行く。ルークは214号室の窓際に佇むリーを見つけると、警察が呼んでいる事を伝える。リーは予感がしていたと明かし、ルークは助けられたはずだと詰るが、リーはできる事は無かったと応える。リーはホテルを出て、パトカーへ乗り込む。その後、214号室のドアが独りでに閉まる。

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