チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

リプリー

アンソニー・ミンゲラ監督作「リプリー」("The Talented Mr. Ripley" : 1999)[DVD]

平凡な若者が一つの誤解を糊塗した事で、嘘に嘘を重ね続けた末に殺人まで犯し、倒錯していく様を描くサイコ・スリラー作品。

 

1958年、ニューヨーク。トム・リプリーはホテルでボーイとして働く傍ら、ピアノの腕前を活かし、名門プリンストン大学でピアノの調律を担う。音楽家に憧れを抱くトムは、ある時、パーティでピアニストの代行を依頼され、その際にプリンストン大のジャケットを借りて演奏に臨む。そこに船会社を営むハーバート・グリーンリーフが現れ、トムが息子ディッキーと同様に、プリンストン大に通っていたのだと誤解する。トムに縁を感じたハーバートは、ディッキーがイタリアの港町モンジベロで恋人マージと遊び呆け、金を浪費している事を明かすと、トムにディッキーを説得し、帰国させる様に依頼し、報酬として1000ドルを提示する。トムは唐突な依頼に戸惑うも、誤解を解こうとはせず、承諾する。

トムは身支度の傍ら、ジャズの愛好家だというディッキーに趣味を会わせるべく、知識を詰め込み、意気揚々と客船でイタリアへと出発する。イタリアの港に到着したトムは、そこで繊維産業として名高いローグ家の令嬢メレディスと出会う。トムは咄嗟にディッキーの名を騙り、便宜的にリプリーと偽って旅している事を明かす。

モンジベロに到着したトムは、早速ビーチに赴き、そこで寛ぐディッキーとマージを見つける。トムは偶然を装って2人に接触を図ると、プリンストン大に通っていた事を明かし、親近感を演出する。トムは2人に人柄を気に入られ、食事の招待を受ける。その直後、トムはディッキーが現地の女シルヴァーナと懇意にしているところを目撃する。

その後、トムはディッキーの滞在先を訪ね、ハーバートの物真似をしたところ、ディッキーに大いに気に入られる。トムはハーバートの言伝と共に、自らの役目を明かすが、ディッキーは帰国を拒否する。トムはジャズが好きな事を明かし、ディッキーに首尾良く取り入ると、ディッキーはトムをナポリのクラブに招待する。トムはサックスに興じるディッキーと音楽を通じて親睦を深める。

ディッキーは帰国せぬ旨をハーバートへの手紙にしたため、トムにモンジベロに留まる様に促す。トムはそれに応じると共に、婚約者がいると偽る。ディッキーはトムがイタリアに全く不案内な事を知ると、ベネチアやコルティナに連れて行く事を約束する。トムはディッキーに対する恋心を募らせていく。

程なくして、ハーバートからの返事が届き、ディッキーは帰国を命じられるも無視を決め込む。ディッキーはトムが同じ服ばかり着ている様を見かね、トムをローマに連れて行き、服を買う事を約束する。ローマに到着して間もなく、ディッキーの知己フレディが合流する。ディッキーの関心はトムからフレディに移っていく。トムはディッキー、フレディと別行動した後、ホテルへ戻ると、ディッキーの服を無断で着用し、一人遊びに興じる。そこへトムの予想に反してディッキーが早くに戻ってくる。ディッキーはトムの不可解な行動に不審感を抱き始める。

マージは、疎外感を味わうトムを慮り、ディッキーが気に入る人物は大切にするものの、飽きた途端に冷たくあしらう様になる性格だと説き、ディッキーがトムをコルティナに連れて行かないと決めた事を明かす。そんな折、シルヴァーナがディッキーとの関係に絶望し、ディッキーの目と鼻の先で入水自殺を図る。トムはシルヴァーナとの関係を目撃した事をディッキーに明かす。ディッキーは、シルヴァーナが妊娠しており、金に困っていたものの、助けてやらなかった事を明かす。トムは秘密を決して口外しない事を約束し、ディッキーに再び取り入ろうとする。その直後、ハーバートからトムの任を解く旨の報せが届く。

ディッキーはトムをベネチアへ連れて行く約束を撤回し、マージと共に北に移る意向を明かすと、所用で行くサンレモにトムを同行させ、それを以って最後の旅にする事を決める。サンレモに向かう列車内で、トムは眠っているディッキーの胸に顔を埋める。目覚めたディッキーは、トムが列車に乗るといつもそうする事に気付いていた事を明かし、不気味だと詰る。サンレモのジャズ祭にて、ディッキーはトムがプリンストンに通っていたという話が嘘だと看破する。トムはそれを認め、遠回しに恋心を打ち明けようとするが、喧騒にかき消される。

翌日、トムはディッキーに連れられ、ボートに乗って沖合に出る。トムは一旦帰国した後、自分の金で再びローマに戻って来る意思を明かすと、家賃を折半して同居する事を提案する。ディッキーはマージと結婚する意向を示す。トムはマージより自分への愛が勝るはずだと主張する。ディッキーはトムの言動を寄生虫に喩え、激しく拒絶する。トムは自分達の間には特別な感情が芽生えたはずだと強弁すると、ディッキーの女癖の悪さを詰り、マージへの愛を否定する。憤慨したディッキーは、トムを苛烈に罵ると、陸に針路を向けようとする。トムは衝動的にオールでディッキーの頭部を殴りつけ、取っ組み合いの末にディッキーを撲殺する。ディッキーはボートと共に死体を海中に沈めると、ディッキーを騙ってホテルから荷物を持ち出し、モンジベロに戻る。

トムはマージの元を訪ねると、ディッキーが独りになりたいという理由で、ローマにしばらく滞在する意向を伝え、偽造したディッキーのメッセージを添えた香水を贈る。マージはディッキーの真意を図りかね、結婚がプレッシャーになり、自分から逃げたくなったのでは無いかと邪推する。

その後、トムはディッキーに成り済ましてローマに赴き、ホテルに部屋を取ると、モンジベロとの間を往復し、ディッキーがトムと伝言をやり取りした様に工作する。その最中、トムはローマでメレディスと偶然に再会する。メレディスはフレディと知己の仲であり、マージやモンジベロについて聞いている事を明かす。トムはマージと別れ、モンジベロを去り、生まれ変わった気分でローマに移ったと偽る。トムはディッキーの口座から大金を引き出し、散財する。

その夜、トムはメレディスにオペラに誘われ、同行する。トムはそのオペラに感涙する。幕間となり、メレディスが一旦離れた直後に、トムはマージとその友人ピーターと出会す。マージはトムがその場にいる事に驚くと共に、ディッキーと音信不通な状態が続いている事を訝る。トムはメレディスが戻ってくるのを恐れ、明朝、カフェで改めて会う約束をしてマージ達と別れる。その後、トムはメレディスを連れ出し、馬車で滞在先へ送る。メレディスはトムに対する好意を示すが、トムはそれに応じられない事への理解を求める。メレディスは時間を改めて別れる事を希望し、トムはマージ達と会う約束をしたカフェで、時間をずらして落ち合う約束をする。

翌日、ディッキーを待つメレディスの前に、時間差でマージとピーターが現れる。メレディスと面識のあるピーターは、マージを紹介する。メレディスはディッキーを待っている事を明かすと、ディッキーにはまだマージへの愛が残っていると伝え、自分達を会わせるのが目的だったのだと悟る。メレディスがその場を去ると、トムはマージ達の前に姿を現す。トムの思惑通りに事は運び、マージはディッキーの帰りを待つ為にモンジベロに戻る意向を示す。

その夜、トムがディッキーの名で、ローマで新たに借りた滞在先のアパートを、フレディが嗅ぎ付けてやってくる。トムはディッキーが食事に出掛けていると伝え、やり過ごそうとするが、フレディはディッキーが忽然と行方をくらました事を訝り、また、部屋の様子がディッキーの趣味に似つかわしくない事に疑義を呈し、更にはトムが出会った頃と比べて洗練された事への違和感を指摘する。フレディはディッキーがいるという店に向かおうとするが、その矢先に大家を通じてトムがディッキーを騙っている事が発覚する。トムは不意を突いてフレディを撲殺すると、遺体を酔っ払いに見せかける事で車に連れ込み、人気の無い草むらに遺棄する。

翌日、地元警察の警部ロヴェリーニが聴取にやってくる。トムは泥酔したフレディを車に乗せ、見送ったと偽証する。その後、トムは、ローマに留まっていたマージと遭遇する。マージはディッキーがフレディを殺したのでは無いかと心配する。トムはそれを否定すると、ディッキーと口論の末に殴られたと主張し、アパートの場所を伝える。トムが先回りして帰宅すると、捜査中のロヴェリーニはサンレモで沈められたボートが見つかった事を明かす。ロヴェリーニは、ホテルの宿帳とボート屋の証言から、ディッキーがサンレモに滞在していた時期と一致する事を指摘し、同行していたトムの関与を疑う。警察が引き上げた直後にマージがやってくる。トムは面会を拒絶し、マージは悲嘆してその場を後にする。トムは、ディッキーがフレディやシルヴァーナの死に打ちひしがれ、人生に絶望したという苦悩を、唯一の理解者トムに打ち明けた様に見せかける手紙を偽造すると、それをアパートに残し、ディッキーの私物を持ち出して密かに脱出する。

翌日、トムはベネチアに赴き、ピーターと落ち合うと、警察へ出頭し、ローマから駆け付けたロヴェリーニとは別の刑事の尋問を受ける。刑事はトムにディッキーとフレディ殺害の疑いをかけ、アパートで発見されたディッキーの遺書を突き付ける。トムはそれを初めて目にする様に振る舞い、ディッキーが自殺を図ったのだと主張する。

トムは自らの陰鬱な過去に対する苦悩を明かす事で、ピーターに取り入り、2人は親密な関係になっていく。程なく、ハーバートがディッキーの死の報せを受け、イタリアにやってくる事になり、それに伴い、私立探偵を雇って調査を始める。トムはピーターの伝手で借りた新たな滞在先にマージを招く。マージはディッキーが自殺直前にも関わらず、小切手を換金している事が不自然だと主張し、また、トムが出会った頃に比べて洗練されたと指摘する。

翌日、トムはハーバートと再会する。ハーバートはディッキーに対する失望を露わにする。トムは疲労が募り、悪夢に苛まれる様になり、ピーターはそんなトムの身を案じる。トムはピーターにアパートの鍵を預け、親愛を示す。その後、マージは自らがディッキーに贈り、ディッキーが決して外さないと約束した指輪を、トムのアパートで見つける。事実の発覚を恐れたトムは、カミソリを忍ばせて弁解を試みる。トムはディッキーの女癖の悪さを指摘し、マージへの気持ちは無かったのだと説くと、自らのマージに対する愛を告白する。マージはトムが自分を殺すつもりだと悟り、慄いて逃げ出そうとする。そこにピーターがやってきて、マージを宥めすかす。ピーターは、マージが精神的に参っており、混乱しているのだと主張し、トムを擁護する。

翌日、マージがハーバートに指輪の件を明かした事で、トムは探偵マッカロンの尋問を受ける。マッカロンは、ディッキーが大学時代に女を巡って暴行事件を起こした事を明かし、その素行の悪さを説くと、調査により、トムがプリンストン大の学生で無かった事や、シルヴァーナの妊娠の件についても把握している事を明かす。ハーバートはトムに信頼を寄せており、ディッキーがフレディを殺して自殺したと結論付けると、マッカロンに証拠の隠滅を命じ、ディッキーに関する真実を口外せぬという条件を課して、トムにディッキーの信託財産の相当部分を譲る意向を伝える。マージは尚もトムの犯行を確信し、激しく追求するが、ハーバートはマージをニューヨークへ連れ帰る。

トムはピーターの仕事を手伝う為に、ギリシャへの客船での旅に同行する。ピーターがトムを甲板に残して船室に引き上げると、トムは偶然にも同乗していたメレディスと遭遇する。メレディスは尚もトムへの想いが断ち切れない事を打ち明ける。トムはフレディ殺しの真犯人を誘き出す為に、警察の保護下にいたが、今は独りで旅をしているのだと欺く。トムはピーターに真実が発覚するのを恐れ、メレディスに口づけをして懐柔すると、後で会う約束をして船室に戻る。

ピーターはトムがメレディスと口づけをしているところを目撃した事を明かし、失意を露わにする。トムは、卑小な自分が、注目を浴びるディッキーと入れ替わりを繰り返す事への虚無感を吐露すると、困惑するピーターを絞殺する。トムは船室で独り、途方に暮れる。

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