チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム

アンドリュー・ダグラス監督作「ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム」("U Want Me 2 Kill Him?" : 2013)[DVD]

少年がチャット上で親密になった女の突然の死をきっかけに、背後に潜む陰謀の存在を知り、復讐心に駆られていく様を描くスリラー作品。

 

2003年3月、北ロンドン。16歳の高校生マークは容姿に優れ、スポーツに長けている事から、同級生の人気者。その一方で、父は母と不仲であり、マークに度々愚痴を漏らす。マークは同級生ゾーイとセックスをする仲でありながら、チャットで出会った年上のレイチェルに好意を抱いており、日常をありのままに打ち明ける他、性的な会話で楽しむ。マークはカメラで自撮りの映像を送る一方、レイチェルは顔写真のみの公開に留めており、証人保護を受けている事や、人殺しの経験のある元ギャングの恋人ケヴィンから、酷い扱いを受けている事などを明かし、マークはレイチェルの身を案じる。

ある日、レイチェルは弟がマークの同級生ジョンだと明かすと、マークにジョンを助け、面倒を見てやってほしいと請う。姉弟の義父がパキスタン人である事から、ジョンは同級生達からタリバンの一味でテロリストだというあらぬ疑いをかけられ、毎日の様にいじめを受けているのである。

翌日、ジョンがいじめの主犯格ライアンに罵られて授業を飛び出すと、マークはジョンの後を追いかける。マークは、レイチェルとチャットを通じて親密な仲である事を明かす。ジョンは家族にもレイチェルの居場所が伏せられている事を伝えると、レイチェルの思惑を察し、余計なお世話だと悪態をつく。マークはジョンと共に学校を抜け出すと、ゲーセンに遊びに行く。2人は将来の展望について意見を交わし合い、意気投合する。その日、マークは早速、ジョンと話した事をレイチェルに報告する。2人は互いに愛を伝え合う。

翌日、ライアンがジョンにテロリストだと面罵すると、マークはジョンと共にライアンに暴行を働く。ジョンは実父が暴力男で、5歳の時に誘拐された事を明かす。マークはそれに感嘆し、自らの退屈な人生に悲嘆すると、レイチェルに会う事を切望する。ジョンは携帯に保存したレイチェルとケヴィンの写った画像を見せる。その夜、マークはいつもの様にレイチェルをチャットで呼び出すが、ケヴィンが応答し、レイチェルと話したら二人共殺すと恫喝する。

翌日からジョンが登校しなくなる。マークは再三連絡を試みるものの、ジョンが応じない為、レイチェルの親友ケリーにチャットで連絡を取り、レイチェルの居場所を尋ねるが、ケリーも知らないと明かす。ジョンの欠席が一週間続き、マークはジョンの自宅を訪ねる。ジョンはマークを連れ出すと、レイチェルがアパートの屋上から落ちて死に、既に葬式を済ませた事を明かす。ジョンはケヴィンの仕業だと確信するも、アリバイがある為に警察が自殺と断定した事に憤る。マークは、ジョンと共にレイチェルを散骨した場所に行く約束をし、ケリーにも同行を求める。程なく、マークとジョンは散骨した港を訪ねる。ジョンはマークがレイチェルと親密になり過ぎた事で、ケビンを怒らせたのだと指摘する。マークはレイチェルを救いたかっただけだと主張する。

悲しみに打ちひしがれ、途方に暮れるマークは学校を欠席し、ケヴィンへの復讐心を募らせていく。ジョンはレイチェルに口止めされていたという、ケヴィンの住んでいる団地の場所をマークに明かし、連れて行く。マークはケヴィンと風貌が良く似た男が、団地のガレージから車で外出するのを目撃し、追いかけようとするが取り逃す。ケリーはケヴィンを追ってもレイチェルは戻って来ないと諭すが、逆にマークは散骨した港へ同行しなかった理由を問い質す。ケリーは寂しくて、気が滅入っている事を明かすと、自分がレイチェルに成り代わってマークの話し相手になりたいと請う。マークはケリーを拒絶する。

学校に戻ったマークは、ジョンと共にケヴィンへの復讐の方法について謀議する。その後、レイチェルのアカウントが、MI5テロ対策部門のジャネットと称する女に変更され、ケヴィンと関わらぬ様にマークに命じる。マークは困惑するも、それを無視し、夜中にジョンと団地を再び訪ねると、ケヴィンのガレージにスプレーで挑発するメッセージを落書きする。その後、マークはジャネットに団地前にいた事を指摘される。マークは、ケヴィンがレイチェルを殺した事を知りながら、ジャネットが何ら手を打たない事を問い質す。ジャネットは、国が深刻なテロの脅威に晒されており、あらゆる行動や通信が調査の対象になっている事を明かすと、ケヴィンの件が非常に難しいケースであり、いま逮捕すれば台無しになりかねず、関わらぬ様に改めて釘を刺す。

マークは大学進学を志望するも、成績と出席日数から、意に反して職業訓練を教師に勧められた事に嫌気が差し、学校を抜け出す。その日、マークは自宅近辺を団地で見かけた男が彷徨いているのを目撃する。マークはケヴィンが自分を尾行しているのでは無いかとジャネットに尋ねる。ジャネットはケヴィンの事を自分に任せ、16歳らしく振る舞う様にマークを窘める。

ジョンが欠席を続けるマークを案じて、ゲームやAV、酒を持参して自宅を訪ね、元気付けようとする。マークはやる事があって忙しいと伝え、ジョンを適当にあしらう。マークは、その後も自宅の周辺を男が彷徨いているのを確認すると、ハンマーを持ち出し、団地を訪ね、男の外出時を見計らって襲撃を企てる。しかし、マークは男の面前で、それが妻子持ちの全くの別人だと知る。

再びジョンがやってきて、マークが勝手に誤解して追っていただけだと主張すると、いじめで受けた傷痕を見せ、助ける様に請うが、マークは自分で戦う様に説き、ジョンを突き放す。ジョンはマークがレイチェルを殺したのだと詰る。マークは憤慨し、ジョンを追い返すと、ジョンは学校中を驚かす事をすると仄めかして去る。

ジャネットはマークのせいで、実は情報提供者だったケヴィンが団地から姿を消した事と、標的がレイチェルの義父である事を明かす。ジャネットは義父がテロリストであり、法に縛られていては計画を阻止できないと説くと、マークの勇敢さや、父に倣って武道を得意としている事を評価し、協力を求める。ジャネットはマークに人を殺せるかどうか確認し、マークはケヴィンなら間違いなく殺せたと応じる。

後日、マークは男に不意を突かれ、追い掛け回された後、侮辱した事を理由に苛烈に痛めつけられ、傷だらけで帰宅する。父はマークが二週間も不登校を続けている事を知って激昂し、学校に行かなければ最低で惨めな仕事しか就けないと叱り飛ばす。

ジャネットはジョンのメールを監視する事で、ジョンが脳腫瘍で治療を受けており、余命数ヶ月だとマークに明かすと、義父がジョンを利用し、コロンバイン高校銃乱射事件を模したテロを企てており、それを阻止すべく、ジョンを殺す必要があると説く。ジャネットは自らもIRAの爆弾犯を殺した経験がある事を明かし、大義の為の殺人が事故として処理され、ヒーローになれるのだとマークを唆す。その後、マークはジョンから脳腫瘍があり、投薬している事を直接明かされる。

マークはジャネットから殺害方法についての指示を受けると、犯行用のナイフを購入する。その後、マークはジョンに連絡し、学校の襲撃計画を知っている事を明かすと、自分も計画に加える様に頼み、秘密の話をする為にゲーセンの裏に呼び出す。

決行日、マークは頭を丸め、ナイフを携えてゲーセンの裏に赴くと、ジャネットに命じられた通りに、ジョンの腹部をナイフで刺し、愛していると告げる。マークはジョンが反応しなくなるまで、その場で見守った後、救急車を呼ぶ。監視カメラの映像からマークの犯行だと判明し、マークは逮捕される。

6月末日、マークは警部補サラの取り調べを受ける。逮捕されても助けに行くという、ジャネットの言葉を心の拠り所にするマークは、テロを阻止する為の大義の為の殺人であり、自分はヒーローだと主張し、サラに深入りせぬ様に警告する。サラは、マークの部屋から押収したPCから、チャットの履歴を確認すると共に、一命を取り留めたジョンに対しても聴取を行う。その結果、マークがやり取りしていたレイチェル、ケヴィン、ケリー、ジャネットが全て実在しない、ジョンの作り上げた架空の人物で、ジョンによる成り済ましだった事が判明し、サラはマークに真実を伝える。退院直後に警察に連行されたジョンは、皆に好かれるマークと友達になる為に、心に入り込んだのだと供述する。

その後、マークとジョンの帰趨は法廷の場に委ねられる。その中で、ジョンはマークを洗脳する事で、犯行を誘発した責任を問われるが、その背景には孤独と絶望があり、自殺願望があったのだと結論付けられる。裁判長は互いに被害者と言える事情を斟酌すると、実刑が相応しく無いと判断し、2人に保護観察処分を下すと共に、永遠に接触する事を禁じる。程なく、マークは学校に戻り、日常を取り戻す。一方、転校したジョンは、同級生の女に刺された傷痕を見せ、誇大な作り話を嘯く。

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