チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

リトルプリンス 星の王子さまと私

マーク・オズボーン監督作「リトルプリンス 星の王子さまと私」("The Little Prince" : 2015)[BD]

母に人生を管理される少女が、孤独で自由きままに暮らす元飛行機乗りの老人との出会いを経て、星の王子の物語に触れ、真に成長を果たす様を描くファンタジー・アニメ作品。

 

その老人は、6歳の時に密林についての本を読み、ジャングルに棲むヘビが獲物を丸呑みにするという話に感心すると、生まれて初めて絵を描き、それを大人達に見せて感想を尋ねた。しかし、それは帽子の絵としか見られず、その子は大人達の忠告に従って大きくなり、子供時代の事をすっかり忘れてしまった。その後、その老人はある奇跡に出会い、物語を著し、誰かに伝える事を切望していた。

少女は、監査法人に勤める厳格な母に女手一つで育てられ、名門ワース学園の面接試験に挑むが、思わぬミスを冒してしまい、機を逸する。母は限られた学区内の家に引っ越す事で入学できる事に目を転じ、格安の物件を探し出すと、少女の入学に漕ぎ着ける。少女の夏休み最初の日。少女は母と共に、新居に引っ越しを行うが、隣家が整然と立ち並ぶ街並みに似つかわしくないボロ家だと知り、それが格安の理由だと悟る。母は少女が素晴らしい大人になる為に、一生分の人生設計を行う事で、人生を運任せにせぬ様に説き、53日の夏休み中にワース学園に相応しい生徒にすべく、毎日、分刻みで管理されたスケジュールを課す。

その日から少女は、多忙を極める母の期待に応えるべく、一人でスケジュールに則った生活を始める。その日、隣家から突然プロペラが壁を突き破って飛び込んでくる。間もなく、隣家から飛行士姿の老人がやってきて、プロペラを持ち帰る。少女からの通報を受けた警官が隣家を訪ねると、近隣の住民から変わり者扱いされ、疎まれている老人が現れる。警官は老人が裏庭でまた飛行機を飛ばそうとした事を咎める。老人は少女の家に損害が及んだ事を真摯に詫び、小銭を貯めこんだ瓶を代償に提供する。少女は警官からそれを受け取って自宅に戻る。

その夜、少女は帰宅した母に事情を伝えると、母の言付けを守り、夜遅くまで勉強に励む。その最中、窓から紙飛行機が飛んでくる。少女は、その紙に小さな星に住む王子に関する物語の断片が挿絵と共に描かれているのを確認する。そこへ、隣家の展望台で星を観察する老人が少女に呼びかけ、それが物語の最初だと明かすが、少女はそれを無視する。

翌日も少女は規律正しく日課をこなし、休憩中に老人から受け取った小銭の勘定を始める。少女はその中に、小さな人形やバラ、貝殻、飛行機などを見つけ、それらが王子の物語と符号する事に気付く。少女は再び昨晩の紙を手に取り、物語を読み進める。

『孤独ゆえに飛行士になった男は、世界中を飛び回り、ある時、サハラ砂漠に不時着し、小さな星から来たという子供の王子と出会った。飛行士は王子に羊を描いて欲しいと請われたが、絵心が無い為に、代わりに羊の入った箱を描いたところ、王子は甚く喜んだのだった。』

少女はその続きが気になり、庭の仕切りに空いた穴から隣家の裏庭に立ち入ると、雑然とした緑豊かな庭の中で、壊れたプロペラ機の修理に夢中の老人を見つける。少女は陽気で優しい老人と言葉を交わし、すぐに気脈を通じる。少女は絵を返しに来た事を明かすと、物語について、小さな子供が砂漠にいる事が不自然であり、また、子供が一人で住むという星が奇妙だと指摘する。老人はその星の名がB612という小惑星だと明かす。少女は古びた物で溢れかえる屋内で、キツネのぬいぐるみを見つけ、物語の続きと共にそれを譲り受ける。少女は老人と共に望遠鏡のある展望台に昇ると、物語を読み進める。

『王子の暮らす小さな惑星にはバオバブが根付いており、毎日芽を抜く必要があり、王子はその為に羊を欲しがった。ある時、どこからともなく種が飛んできて、真紅のバラが育った。王子はそのバラを可愛がったが、バラはもっと労る様にとわがままを言い始めた。両者は互いに愛し合っていたものの、若すぎた為に、いつしか愛を疑う様になった王子は、バラを残してその星を去ったのだった。』

老人は、運の良い日に耳を澄ませば、王子の屈託のない笑い声が聞こえると説く。夜、少女はキツネと物語を携え、こっそり帰宅すると、母に悟られぬ様に物語の続きを読み耽る。

『王子は小惑星の数々を訪ね回り、それぞれの星で、万物を統べるという王、帽子を被った自惚れ男、金持ちになる為に星を収集して管理するビジネスマンといった奇妙な大人達と出会うのだった。』

少女は大人になる事に疑義を深めていく。老人はそれに同意し、「大人になる事」を忘れる事が大切だと説き、自らは王子の事を忘れていないと明かす。その後も少女は勉強そっちのけで、連日、老人と遊び耽る一方、日課をこなしている様に装い、母を欺き続ける。

『旅の途中で、王子は砂漠に降り立ち、そこでヘビと出会った。ヘビはそこが地球のアフリカだと明かすと、自らがどんな船より遠くへ王子を連れて行けると説き、星に帰りたい時は手伝うと申し出るのだった。それから王子は、地球を彷徨い歩き、キツネと出会った。キツネは王子に良くなつき、両者は互いにかけがえのない存在となった。ある時、王子はバラ園に立ち入り、そこで初めて、バラが自分の星の一輪だけで無く、たくさん存在している事を知った。キツネは王子が育てたのは特別なバラだと説き、星に帰ってやる様に促すが、王子はキツネとの別れを惜しんだ。キツネは別れに際し、心で見ないと本当の事は分からず、大切なものは目に見えない、という秘密を王子に伝えたのだった。』

老人は、物語を伝えるのを諦めていたが、少女が現れ、伝えるのに間に合った事が幸せだと喜ぶ。少女はその真意を図りかね、問い質す。老人は誰しもいつかは別れを告げなければならず、飛行機が飛べる様になったら、王子の元へ行く時が来るかもしれないと説く。少女は老人との別れを悲しみ、傍にいる様に請う。老人は少女を励ますべく、ボロ車でパンケーキ店に連れ出そうとする。しかし、無免許運転を警官に見つかり、連れ戻される。その報せが母に届くと、これまで嘘を付いていた事が発覚し、母は激怒する。少女は自分よりボード上の人生設計が大事なのかと母を詰る。母はそれが少女の人生そのものであり、自分が責任を持つべきものだと説く。少女はそれが自分では無く、母が望む人生だと主張し、最近の母が離縁した父の様になったと指摘する。憤慨した母は、物語を破り、キツネ共々ゴミ箱に捨てると、目的に集中する様に命じる。

以後、少女は母に従い、日課をこなす日々に戻る。程なく、少女の誕生日が訪れ、例年通り、父からスノーグローブが届く。少女は意を決して、ゴミ箱から物語とキツネを取り出し、修繕する。

『王子は飛行士に、星が綺麗なのは花が隠れているから、砂漠が綺麗なのは井戸が隠れているからだと説くと、井戸を探す事を提案した。その時、飛行士は彼が王子の姿をした殻に過ぎず、重要な物は目に見えないのだと言い聞かせ、明け方、王子と共に井戸を見つけたのだった。』

少女は再び老人を訪ねると、砂漠で井戸が見つかるのなら、星の王子も見つかるはずだと主張し、一緒に飛行機に乗って井戸を探しに行く事を提案する。老人はそれを拒み、旅立ちの時が来たら、自分一人で行く意向を示す。少女は置いてけぼりにされる事を悲しむ。見かねた老人は、物語の終わりについて語る。

『砂漠で飛行機の修理を終えた飛行士は、王子を呼びに行った。王子は今夜、ヘビに星へ帰してもらう約束を交わしており、それが飛行士の行先よりずっと遠くて大変であり、怖いと説くと、星空のどこかに自分がおり、その星で笑っていると思って見上げると、全部の星が笑っているみたいだと飛行士に諭した。飛行士は、星がとても遠くて体を運ぶ事は敵わず、体が貝殻みたいなものだと考える事で納得し、ヘビの元に行かせたのだった。』

少女は王子が本当に星に帰る事ができたのかどうか疑う。老人はそう信じる事にしたのだと応える。少女は、老人がいなくなる時も星にいると思い込めば良いのかと問う。老人は心で見ればいつも傍にいると諭す。少女は王子がもし星に帰っていなかったら、もし一人ぼっちで何もかも忘れてしまっていたらと問い質す。老人は王子が絶対に忘れず、自分達を助けてくれると諭すが、少女は助けはいらないと言い放つと、物語を捨て、老人の元を去る。

少女は再び日課をこなす日々に戻り、やがて夏休み最後の日を迎える。その夜、老人は病に倒れ、病院に搬送される。少女は母の制止を振りきって、病院へ駆け付けるが、面会は叶わず、母に連れられて帰宅する。母は明日が大事な日だと説く。少女は王子に助けを求めるべく、自分一人で王子を探しに行く事を決意する。深夜、少女はこっそりと部屋を抜け出すが、配管を伝って降りる際に老人の裏庭に転落してしまう。少女が目を覚ますとそこに修理を終えた飛行機があり、操縦席に物語とキツネを見つける。少女は飛行機に乗って、街を飛び立ち、星の無い暗黒の夜空へ繰り出す。

程なく、少女は暗闇の中に煌々と光る、ビルの立ち並ぶ小さな星に到達すると、そこに王子らしき人影を見つけ、着陸して探しに向かう。そこはビジネスマンだらけで子供がいない星であり、少女は物語に登場した自惚れ男の警官や、王を気取るエレベーターマンを巧みにやり過ごし、ビルの屋上で管理人としてせかせかと働く、王子と思しき青年を見つける。青年は人違いだと説くが、少女は青年が落とした名札から彼の名がミスター・プリンスだと知り、王子だと確信する。少女はどうにかして青年に王子である事を思い出させようとするが、青年はそれを意に介さず、無心に働き続ける。少女はそれでは普通の大人と同じだと説く。青年は何をやっても上手くいかない境遇を吐露すると、少女に助けが必要だと主張し、学校に連れて行く。

少女を迎えた校長は、そこが大切でないものを大切に変える場所だと説き、青年も同じ様にここを卒業してビジネスマンになった事を明かすと、何の価値も無い少女を価値ある大人へと強引に作り変えようとする。青年は少女が落とした物語の箱の挿絵を見て、その絵がどういう理由か大切に持ち続けていた紙切れに描かれた絵と一致する事に気付くと、キツネと共に少女を救い出す。少女は飛行士が王子を必要としている事を明かす。

少女は、乗ってきた飛行機が工場のシュレッダーで「大切なもの」に作り変えられようとしている事に気付くと、既のところでそれを阻止する。青年と少女はそこで星のチップが詰まった巨大なスノーグローブを見つける。青年はそれに見覚えがあり、飛行士と過ごした記憶を取り戻し始める。そこに、青年の雇い主であり、物語に登場した、星を管理するビジネスマンが現れる。ビジネスマンは、かつての星が空に光る金色の物体であり、怠け者が夢見る存在だったが、今では「大切なもの」に成り代わり、役に立っていると説くと、星のチップを潰して、ビル街で機械の様に働く人達のエネルギーに変換する。ビジネスマンは青年を不良品と罵り、仕事に戻る様に命じる。青年はビジネスマンに反抗し、自らが星の王子だと主張する。ビジネスマンは嘲笑い、絶望的だと詰るが、青年は希望でいっぱいだと応じると、愛するバラの元へ帰る意向を示し、辞意を告げ、教室に連れ戻されそうな少女を救う。

少女と青年は飛行機に乗り込むと、スノーグローブを割って星のチップを解放し、その惑星を脱出する。星のチップは瞬く間に散りばめられ、星空が戻る。青年は王子の記憶を取り戻す。程なく、二人はバオバブに埋め尽くされたB612を発見し、不時着する。二人はガラスの衝立に入ったバラを発見するが、既に朽ち果てており、途方に暮れる。少女はそんな風に老人もいなくなり、自分もまた大人になって全てを忘れてしまう将来を憂う。その時、眩い陽の光が差し、惑星を赤く染める。青年は子供の姿に戻り、バラが見えると呟くと、覚えている限りいなくなりはせず、心で見れば本当の事が分かると説く。少女は老人が教えてくれた、心で見れば傍にいるという言葉の真意を理解する。少女は王子の事を忘れないと約束し、惑星を離れる。

ワース学園への入学の日を迎え、少女は学校に行く前に、母と共に老人の見舞いに行く。少女は老人に拒絶した事を詫びると、修繕し、装丁を整えた物語を手渡す。少女が感極まって涙を流すと、老人は少女が素晴らしい大人になると諭す。母はその姿をそっと見守り、以後、少女の心情に寄り添う様になる。入学後、少女はクラスメイトに、かつて老人から聞いた帽子の話を語り聞かせる。

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