チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

サヨナラの代わりに

ジョージ・C・ウルフ監督作「サヨナラの代わりに」("You're Not You" : 2014)[DVD]

ALSを患った女と、介護士として雇われた女が、互いに親交を深める内に、人生観を変化させていく様を描くドラマ作品。

 

インテリアの仕事に従事し、かつて音楽家を志した程のピアノの腕前を誇るケイトは、夫で弁護士のエヴァンと共に満たされた生活を送っていた。ところが、ケイトは35歳の誕生日を迎えると同時に、右手に麻痺が生じたのを境にALSを発症する。

それから1年半後。両手脚が不自由となったケイトは、介護士トロッターとエヴァンの献身的な介助を受けながら、日々の生活を送る。ある日、ケイトは自分を患者扱いして話を聞かないという理由で、エヴァンに無断でトロッターを解雇する。ケイトは直ちに代わりうる人材を募集し、留年を重ねる大学生ベックが面接にやってくる。ベックはガサツな性格で、ALSの患者を世話した事が無ければ、家事すらろくにできない事も判明し、エヴァンはケイトを任せられないと判断して採用を見送ろうとする。しかし、ケイトはベックが高校生の時に祖母が入っていた介護施設でボランティアをしていた事を知ると、話を聞いてくれると考え、採用の意向を示す。その後、ベックはケイトのトイレの介助を行うが、失態を演じてしまい、不採用だと悟る。

ミュージシャン志望のベックは、その夜、馴染みのバーでステージに立つが、いつもの様に歌い出した途端に緊張で動転し、逃げ出してしまう。落ち込むベックの前に、不倫関係にある大学教授リアムが妻を連れてやってくる。ベックは気分を害し、意趣返しにバーで出会ったウィルとイチャついて見せ、その勢いでウィルをアパートへ連れ込んでセックスする。一方、ケイトはエヴァンの献身的な介助に感謝しながらも、エヴァンが自分を女として見なくなった事に失望する。

翌日、ケイトはベックを雇い入れる。ベックは連日遅刻してやってるくるが、次第にケイトの介助に慣れていく。そんな折、ケイトはかねてからの親友のキーリー、アリッサを招いて食事会を開く。ケイトはALSに対する理解が乏しい二人の発する心ない言葉に傷つく。そこへエヴァンから連絡が入り、男友達と食事の予定でありながら、エヴァンの名を呼ぶ女の声が聞こえる。その夜、ケイトはベックに頼んでエヴァンのタブレット内のメールを盗み見し、浮気の証拠を掴む。ベックが帰った後、エヴァンは夜が更けても戻らず、ケイトは歩行器を使って階段の上に辿り着く。その頃、バーで同居人のジルと管を巻いていたベックは、ケイトから空メールが届いた事を訝り、ケイトの家に駆け付ける。ベックは、階段の上で倒れ、失禁しているケイトを見つけると、ケイトの意を汲んでシャワーを浴びさせ、介抱する。ケイトはエヴァンが戻る前に自分を連れ出す様に請い、ベックは自分のアパートへケイトを連れて行く。程なく、帰宅したエヴァンは、タブレットを見て、浮気が発覚した事を悟る。ケイトはエヴァンからの再三の連絡を無視する。ベックは作曲中でありながら、出だしだけで最後まで作れていない事や、いつもヘマをしてしまう事、親に反対されながら進学したにも関わらず、作曲に腐心し、大学生活が思わしくない事などを明かす。

翌日、ベックはケイトの希望に応じ、障害者支援センターにケイトを連れて行く。ケイトは自責の念を説き、自宅を出る意向を示す。ベックは罰せられるべきはエヴァンの方だと主張する。ケイトは自分の介助でエヴァンの足を引っ張り、幸せになる権利を奪いたくないと主張するが、ベックはケイトにもその権利があると説くと、階段の上で何をするつもりだったのか問い質し、ケイトに対する好意を示す。

ベックはケイトの意向を受け、エヴァンの事務所にケイトを連れて行く。ケイトはエヴァンに家から出て行く様に求める。エヴァンは魔が差したのだと弁解するが、ケイトはエヴァンの人生に負い目を感じながら生きるのが辛いと説き、一緒に暮らせないのだと突き放すと、浮気相手の同僚の女を罵って立ち去る。

その日以来、ベックはケイトの家に住み込みで介助を始める。その夜、ケイトは発作を起こして呼吸困難に陥る。ベックは慌てて救急車を呼ぼうとするが、ケイトはそれを制止し、決めるのは自分だと諭す。後日、ベックは再びリアムとセックスして和解する。ベックは講義そっちのけで、ALS患者に対する介護の学習に傾倒する。ある時、ケイトはプールでのリハビリの最中、同じくALSのマリリンと介助を担う夫ジョンと出会う。ケイトとベックは陽気なマリリンと意気投合し、両者の交遊が始まる。

夜、ベックは行きつけのバーにケイトを連れて行く。ウィルはベックに歌手としての素質を見出し、ステージで歌う様に促すが、ベックはそれを拒む。ケイトはウィルの人柄を気に入り、ベックに交際する様に勧めるが、ベックは運命の人だと思えないとの理由で拒む。ケイトは、エヴァンと出会った頃に自分に情熱的に好意を寄せてくれる男がいた事を明かすと、自分を見てくれる人より見ない人を求めてしまうのが女だと説く。

後日、ケイトはキーリーの娘の誕生日パーティに招待される。その場でケイトはアリッサの幼子を抱かせてもらうが、発作を起こしてその子を泣かせてしまい、アリッサはケイトに悪態をつく。パーティにエヴァンが現れた事から、ケイトを招いたのがキーリーの本意では無く、エヴァンがケイトと会いたいが為にキーリーに依頼していた事が判明する。ケイトはエヴァンに別れた理由が浮気では無く、エヴァンが自分を見ていない為だと明かすと、愛している事を伝えて決別する。エヴァンがその場を後にすると、ケイトは子供が欲しかったと吐露する。ベックは、心の中のものを吐き出したいというケイトに付き合い、一緒に大声を出す。

定期検診の結果、ケイトの肺機能が顕著に低下している事が判明する。医師はやがて人工呼吸器が必要になると説くが、ケイトは呼吸器を頑なに拒む。ベックは開発中の新薬があるはずだと励ますが、ケイトは気休めは聞き飽きたと一蹴する。ベックは諦めない様に請うが、ケイトはピアノを少しずつ弾かなくなり、気付けば手遅れになって止めてしまった事を挙げ、手遅れになってから諦めていたと気付くのだと説く。

ケイトとベックは、感謝祭のパーティにマリリンやウィル、ジル達を招いて楽しい一時を過ごす。マリリンは罹患前よりも人生を感じているとケイトに説く。ウィルは兄が聴覚障害者ゆえに、手話と読唇ができ、ケイトの不明瞭な言葉も理解できる事を明かすと、手話を交えてベックに好意を伝える。ベックはそれに応えず、はぐらかす。その夜、リアムが居所をつかんでベックを密かに訪ねてくる。ベックはリアムに妻の待つ家に帰る様に促す。ケイトはそのやりとりを密かに聞き、ケイトが不倫している事を知る。

程なく、マリリンは症状が悪化した事で入院し、人工呼吸器に繋げられる。マリリンを見舞ったケイトは、自分はあんな風になりたくないとベックに漏らす。ベックはキーリー、アリッサに呼び出され、エヴァンとの関係を修復する様に求められた挙句、遺産狙いでケイトに近づいたのだと疑われ、憤慨する。帰宅したベックは、ケイトが無断で代わりの介護士の女に面接を行っている現場に遭遇し、女を帰らせる。ケイトはベックには音楽と学校があり、無理をさせたくないのだと主張するが、ベックは平気だと一蹴する。

その夜、エヴァンがやってきて、身勝手で思いやりが足りなかった事を詫びると、浮気したのは気を使わずに触れ合う相手が欲しかったからだと悔悟の念を示す。ケイトはエヴァンと出会って以来、自分を偽り、本当の姿を見せなかったのは自分も同じだと明かす。

クリスマスにベックの両親、エリザベスとブルースが居所をつかんで突然やってくる。エリザベスはベックと二人きりになると、大学に問い合わせてベックの退学を知った事を明かして叱りつける。ベックは前向きで人の役に立つ良い事をしていると主張する。エリザベスはそれが勘違いであり、どれほどの情熱を注いでもケイトは死ぬのであり、努力は報われず、その後には何も残らないのだと説く。その後、ベックはその会話がサウンドモニターでケイトに筒抜けになっていた事を知り、両親を追い返す。ケイトは退学を隠していた理由を問い質すと、エリザベスの言う事に理解を示し、ベックが自分のせいで人生をふいにせぬ為に出て行く様に命じる。ベックがそれを拒むと、ケイトは不倫を隠していた件をも論い、エヴァンを責めておきながら、やっている事に違いは無いと詰る。ベックは憤慨して、ケイトの元を去る。その夜、ケイトはエヴァンと共に母グウェンの家に身を寄せ、クリスマスパーティへ参加する。一方、ウィルはベックに改めて好意を示し、デートに誘う。ベックはその気になれないと伝え、自分の事を諦める様に促す。その直後にベックはジョンからマリリンの訃報を伝えられる。

翌日、ベックはグウェンの家を訪ね、ジョンのしたためた手紙をエヴァンに託す。エヴァンは手紙をケイトに読み聞かせる。その中でジョンは、マリリンが不自由な体になりながらも多くの人と絆を深め、夫婦共々、最高に幸せだったと説く。

その夜、ケイトは発作を起こして緊急入院し、人工呼吸器に繋ぐか否かの選択を迫られる。グウェンとエヴァンは、ケイトが自己決定できない状況に陥った場合に備え、医療判断をベックに委ねる様に予め手続きしていた事を知る。間もなく病院に駆け付けたベックは、ケイトの意を汲む意向を示す。グウェンは人工呼吸器に繋いででもケイトを生かす様に哀願するが、ベックはエヴァンと共にケイトを元の自宅に連れ帰る。

帰宅後、ベックは自らの手にケイトの手を添えさせる事で、ケイトが弾けなくなっていたピアノを一緒に弾く。エヴァンはケイトの最期を見届けるに忍びなく、ベックに後を任せて家を離れる。ケイトはその夜が最期だと悟ると、寝室に入らず、助けも呼ばぬ様に請う。更にケイトは、自分を見てくれる良い人に出会う様にベックに約束させ、ケイトに見せているその姿を見せれば良いのだと説く。ベックは生まれて初めて、自分を最後まで信じてくれた事への感謝を伝える。ベックはケイトに寝室から出る様に求められ、それに応じるが、ケイトが激しく苦悶する様子に耐えられず、寝室に戻ると、ケイトを抱きかかえ、その最期を看取る。夜が明け、アパートの前に佇むベックの元にウィルがやってきて、何も言わずに隣りに座る。

その後、ベックはかつてケイトから貰ったブルーのハイヒールを履いてステージに立ち、堂々としたパフォーマンスを披露する。

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