チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

偽りなき者

トマス・ヴィンターベア監督作「偽りなき者」("Jagten" : 2012)[DVD]

小さな町の幼稚園教師が、少女の悪気ない嘘により性的虐待の疑いをかけられた事で、疎まれ蔑まれていく様を描くドラマ作品。

 

デンマークの田舎町。元小学校教師のルーカスは学校の閉鎖に伴い、幼稚園教師に転身する。ルーカスはその面倒見の良さから子供達に慕われる存在となる。一方でルーカスは妻キースティンとの離婚調停の末に、キースティンの元で暮らす息子マルクスと隔週末にしか会えなくなり、不満を募らせる。

11月のある日、ルーカスはスーパーを出たところで、無二の親友テオの娘で、幼稚園の生徒でもあるクララと出会う。ルーカスは道に迷ったというクララをテオの家まで送り届ける。クララはルーカスが連れていた愛犬ファニーを甚く気に入る。テオは独り暮らしのルーカスの身を案じており、キースティンに構わずマルクスに会う様にルーカスに促す。それを受け、ルーカスはキースティンに連絡し、マルクスが自分と一緒に暮らす事を望んでいると伝える。キースティンは42歳にして幼稚園の教師として働いているルーカスを情けないと詰ると、連絡せぬ様に求める。その日、クララの兄トルステンは、自宅に招いた友人と共にタブレットでアダルト動画を見てはしゃぎ、その際に動画の一場面をクララに見せ、性器が立っていると喚く。

翌朝、ルーカスはテオと妻アグネスが自宅で口論している様子を察すると、代わりにクララを幼稚園まで連れて行く。ルーカスに好意を寄せるクララは、ルーカスが他の生徒達と遊んでいる最中に、勢いに任せてルーカスの唇にキスをし、また自ら作ったハート型の飾りを贈る。ルーカスはその贈り物に気付くと、他の男の子に渡す様に勧めるが、クララは自分が贈った事を否定する。ルーカスはまた、唇へキスをしてはいけないと諭すが、クララは自分はしていないと主張し、ルーカスを嘘付きだと詰る。その後、クララは園長グレテにルーカスへの嫌悪感を示すと共に、その理由として性器が立っていたからだと告げ、ハートについてはルーカスが作って自分にくれたのだと主張する。グレテはクララの言い分が俄に信じられず、動揺する。

ルーカスはマルクスから連絡を受け、一緒に暮らしたいと懇願される。ルーカスはその意を汲み、クリスマス前に転校などの策を講じる意向を伝える。また、ルーカスは幼稚園の同僚ナディアと意気投合し、両者は互いに好意を示す。週末、ルーカスはマルクスの名付け親でもある親友ブルーンやテオら、気心の知れた男友達と集まり、狩りや酒を飲み交わすなどして楽しむ。帰宅後、ルーカスは自宅を訪ねてきたナディアと肉体関係を持つ。

週が明けると、ルーカスは出勤直後にグレテに呼び出される。グレテはある子から聞いた話として、ルーカスに性的虐待の疑いがかかっている事を明かすと、隠密に調査する為にルーカスに二日間の謹慎を求める。グレテは直ちに知己の専門家オーレを幼稚園に招き、クララから聴取を行う。クララはグレテに話した事を一旦は否定し、よく分からない、覚えていないと不明瞭な受け答えを続けるが、オーレに誘導される形でルーカスが園内でクララに性器を見せた上、触らせた事を認める。グレテは愕然としながらも、クララの主張を全面的に信用する。オーレはクララの両親の同意を得た上で、警察に通報すべきだと主張する。

ルーカスが帰宅した後、グレテはアグネスを幼稚園に呼び、クララがルーカスに性的虐待を受けた事を明かす。その後、グレテは保護者会で事実を公表し、他にも被害者がいる可能性を説くと、憤慨する保護者達に、警察に捜査を依頼している事を明かす。

その夜、ルーカスはマルクスから連絡を受ける。マルクスは、キースティンがグレテから連絡を受けた事により、ルーカスを非難し、電話も同居も禁じた事を涙ながらに訴える。ルーカスは全てがでたらめだと諭す。ルーカスは同棲を始めたナディアにも事の経緯を明かすが、ナディアは一笑に付す。

翌朝、ルーカスは幼稚園にグレテを訪ね、その場に居合わせた保護者達の前で無実を訴えると、グレテがマルクスの気持ちを考えずにキースティンに連絡した事を詰る。グレテは子供は嘘を付かないと主張し、無垢なクララを信じる意向を示す。そこでルーカスは虐待の証言者がクララだと知る。動揺するグレテはルーカスに対し、ひとでなしの変質者と罵り、子供達に近寄らぬ様に命じる。

幼稚園を追い出されたルーカスは、その足でテオの家を訪ねる。ルーカスはテオに無実を訴えると、クララを交えて話し合い、突き止めた真実をグレテに伝えて、解決を図りたいと切望する。テオはクララが一度も嘘を付いた事が無いと主張し、ルーカスへの敵意を露わにする。激昂したアグネスはルーカスに出て行く様に命じ、テオはクララの話が事実なら殺すと脅してルーカスを追い出す。その場に居合わせたクララは、両親がルーカスに対して怒っているのを見て、何もなかったのにおかしな事になってしまったと打ち明ける。アグネスは辛い出来事の記憶を忘れようとしているのだとクララに諭す。一方、グレテはナディアを呼び出すと、他の子供達にも虐待を受けた兆候がある事を明かした上で、ルーカスとの関係を問い質し、警察に通報する意向を示す

以後、ルーカスはキースティンに連絡を拒絶され続ける。そんな折、クララが自宅にやってきて、ファニーと散歩に行く事を希望する。ルーカスはアグネスの許可を得てから来る様に諭す。クララはルーカスがした事について分からない、覚えていないと主張する。クララはルーカスがかつての様に触れようとすると、後退りして涙ながらに漠たる恐怖を吐露する。ルーカスはクララに帰る様に促す。その一部始終を見ていたナディアは混乱し、ルーカスに変態なのかと問い質す。ルーカスは憤慨の余り、ナディアを家から追い出す。

ルーカスは警察に尋問された末、他の子供達にまで虐待した容疑をかけられる。幼稚園を解雇されたルーカスは自宅に篭もり続け、身持ちを崩し始める。そんな折、マルクスがキースティンに無断でやってくる。マルクスはルーカスの不遇を慮り、悲嘆する。そこへ事件後も変わらずにルーカスに信頼を寄せ続けるブルーンがやってくる。ルーカスはかつての親友達が皆、今では自分を嫌っている事を嘆く。

その後、マルクスがスーパーへ買い出しに行くと、店主に出入り禁止を命じられ、更に帰宅するや否や、ルーカスが逮捕され、署に連行される。マルクスはテオの家を訪ね、ルーカスの無実を訴えると、助ける様に請う。マルクスはその場に居合わせたクララに真実を話す様に求めるが、クララがそれを拒むと、嘘付きと罵り、更に唾を吐きかける。マルクスはテオの友人のヨハンに強引に追い出されると、怒りに任せてヨハンに殴りかかるが、逆に殴り返される。

マルクスはその足でブルーンの屋敷に身を寄せる。ブルーンは有力者の父がルーカスを助ける為に尽力している事を明かすと、明朝に開かれる予審で判事がルーカスの勾留を命じるであろう事、ルーカスの無実を主張する論拠が無い事を悲観するが、同時に虐待を主張する子供達が皆一様に、ルーカスの家の地下室の様子を証言していながら、実際には家に地下室が無い事から、証言が想像に依拠しており、希望があると説いて様子を見る意向を示す。

翌朝、ルーカスは釈放され、マルクスと共に帰宅する。その後、ファニーが外に出たきり戻らず、日が暮れると、突然、窓を破って石が投げ入れられる。外に出たルーカスは、家の前でごみ袋に入れられたファニーの死骸を発見する。ルーカスは憤怒するマルクスを宥め、キースティンの元へ帰らせる。

翌日、ルーカスはファニーを庭に葬った後、スーパーへ訪れるが、店員に買い物を拒まれた挙句、袋叩きに遭う。ルーカスはそれでも食料を買う権利を主張し、店員の一人に頭突きを見舞うと、食料を手にして店を後にする。そこへ偶然やってきたテオ達は、血塗れで店から出てきたルーカスを目の当たりにする。テオはその痛ましい姿に同情する。

クリスマスイブの夜を迎え、ルーカスは恒例行事の礼拝に参加する為に教会へ訪れる。ルーカスは参加者から白い目を向けられる。ルーカスは度々、テオを一瞥し、テオは動揺する。幼稚園の生徒達がグレテの指導の下、賛美歌を歌い始めると、ルーカスは感情が抑えられなくなり、テオの元へ近寄って殴りかかる。ルーカスは自分にはもう何も無いと主張し、これ以上苦しめぬ様に訴えて教会を後にする。

その夜、クララはテオに対し、ルーカスが何もしておらず、自分がいけない事を言ってしまったのだと打ち明ける。テオはアグネスの制止を振り切り、ルーカスに食料を差し入れに行く。その夜、テオとルーカスはしばしの時を一緒に過ごす。

やがて容疑が晴れると、ルーカスは友人や保護者達と和解し、ナディアとの関係を修復する。翌年、マルクスは少年が大人になる日を迎え、ブルーンの屋敷に集った住民達の前で、猟銃の免許取得を祝してルーカスから代々伝わる猟銃を委ねられる。ルーカスはそこでクララと再会し、以前と変わらぬ様に接する。明朝、ルーカスはマルクスと共に森へ狩りへ出かける。その最中、何者かがルーカス目掛けて発砲し、姿を消す。ルーカスは自らに対する疑念が尚も払拭されない事を思い知る。

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