チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ブラック・スキャンダル

スコット・クーパー監督作「ブラック・スキャンダル」("Black Mass" : 2015)[BD]

ボストンを舞台にシマを巡ってマフィアと争うギャングのリーダーと、マフィア一掃を目論むFBI捜査官が、利害の一致を見た事で協定を結び、互いの野心を満たしていく様を描くクライム・ドラマ作品。

 

1975年、ボストン。アルカトラズ監獄に服役した経験を持つ冷酷非道の犯罪人ジェームズ・バルジャー、通称ホワイティが率いるアイルランド系のウィンターヒル・ギャングは、南地区(サウシー)を縄張りとし、恐喝や賭博、ドラッグの密売、自販機による売上などでシノギを得る一方、ボストンを牛耳るノースエンドのイタリア系マフィアからシマを奪う事で、その勢力の拡大を図ろうとし、抗争が激化する。

FBIボストン支局ではマフィアの一掃が喫緊の課題となっているものの、捜査班はボスのアンジュロの居所すら掴めずに手を拱く。そんな折、ボストン支局に新たに捜査官ジョン・コノリーが転属してくる。ホワイティと同じくボストンの公営住宅で生まれ育ったコノリーは、帰還するや否や、ホワイティの弟で上院議員へと大出世を果たしたウィリアム、通称ビリーと再会する。コノリーはビリーにウィンターヒルがマフィアとどうやって渡り合っているのか尋ねるが、ビリーはギャングとの関係を否定する。コノリーはアンジュロが自らのシマを狙うホワイティに激怒しており、ホワイティが危険な状態にある事を明かすと、昔のよしみで互いに協力しあうべきだと説く。ビリーは母メアリーの暮らす実家でホワイティと会うと、コノリーがボストンに戻った事を伝える。

その夜、ホワイティはコノリーと密かに再会を果たす。コノリーは確かな筋の情報と称して、アンジュロがホワイティを殺す気でいる事を明かすと、マフィアの排除という目的を共有する者同士で協定を結び、互いに利用しあう事を提案する。

その後、ウィンターヒルとマフィアのシマ争いは激化の一途を辿る。ホワイティは自分への反抗や裏切りを許さず、気に入らない者を問答無用で殺し、側近のフレミやウィークスらに後始末を命じる。マフィア捜査班を指揮するマグワイアは、ホワイティを野放しにする事はFBIの規定違反に当たると問題視する。コノリーはホワイティを情報提供者として利用する事は、アンジュロ逮捕の為の必要な措置だと主張する。捜査官モリスは失う物より得る者が大きく、試す価値があると指摘し、ホワイティに免責を与え、情報屋として使う事に賛同する。マグワイアは殺人は認めないという条件を課し、コノリーはホワイティを最重要情報提供者に指定する事で正式に協定を結ぶ。ホワイティはフレミにコノリーとの協定について明かすと、それが密告とは全く異なり、マフィアを潰す為の情報提供であり、FBIの保護を得れば自由度が高まると説く。

ビリーはコノリーとその妻マリアンを家族と暮らす屋敷での夕食に招き、ホワイティが同席する。程なく、ホワイティとその妻リンジーの息子ダグラスが急病で緊急入院し、ライ症候群だと判明する。治療の甲斐乏しくダグラスは脳死状態に陥り、生命維持装置に繋がれる。ホワイティはダグラスを自宅へ連れ帰ると主張するが、リンジーはダグラスの窮状に耐えかね、自ら装置を外す意向を示す。ホワイティはリンジーを冷酷だと詰り、それを禁じる。リンジーは逆にろくでなしとホワイティを罵る。間もなく、ダグラスは息を引き取る。

1981年。ホワイティはFBIや警官に多額の賄賂をばら撒く事で、シマの乗っ取りとビジネスの拡大を続け、ボストンの犯罪王の座に君臨する。やがてホワイティはマイアミの会社ワールド・ハイアライのキャラハンやハロランと手を組む事でフロリダに進出し、荒稼ぎを始める。マグワイアホワイティが協定で自由を得ておきながら、アンジュロの潜伏先に関する有益な情報をもたらさない事に苛立ちを募らせ、二週間以内に連邦検事に提出する証拠が得られなければ、協定を切る意向をコノリーに示す。危機感を抱いたコノリーはその事をホワイティに報せ、情報提供を請う。ホワイティは見返りとしてマフィアの自販機を公営住宅地区から全て撤去する事を要求し、コノリーにアンジュロの潜伏先を特定する資料を秘密裏に提供する。FBIは件の建物に直ちに盗聴器を仕掛け、アンジュロ本人の調査を開始する。

程なく、ハイアライの新オーナーにウィーラーが就任し、キャラハン周辺の金の流れを洗い始める。ギャングとの関係や横領の発覚を恐れたキャラハンは、ハロランと共にホワイティと協議する。その場でホワイティはウィーラーを始末する意向を示唆すると、ハロランに2万ドルを渡して帰らせる。後日、ウィーラーはオクラホマのタルサでホワイティの手下マルトラーノに射殺される。コノリーとモリスはアンジュロ一派の会話の盗聴テープから、ウィーラーの殺害にホワイティ達の関与を示唆する発言を確認する。モリスは事の重大性に鑑み、協定を絶つべきだと主張する。コノリーはホワイティ達の関与が噂話の域を出ず、マフィアを壊滅させるという悲願を達成する為にもホワイティの情報が必要だと説くと、マグワイアにはテープを聞かせず、自分に一任する様に促す。

程なく、ハロランはニュースでウィーラーの殺害を知ると、直ちにFBIに出頭する。ハロランは取り調べに応じたコノリーに対して、ウィーラーがオーナーになった事で立場を危うくしたホワイティが、ウィーラー殺害を企図し、自らはそれに伴って口封じの金を貰った事を明かすと、ホワイティからの報復を恐れて証人保護を要求する。コノリーはハロランが別の殺人事件の容疑をかけられている事から、罪を免れる為に出任せを言っているのだと一蹴し、保護は不要だと説くと、ハロランを追い返す。

聖パトリックの祝日のパレードの喧騒の最中、コノリーはホワイティと接触すると、ウィーラー殺害について問い質す。ホワイティは言いがかりだと白を切ると、逆になぜハイアライの件を関知しているのかコノリーに詰問する。その直後、ホワイティはハロランを白昼堂々襲撃し、射殺する。マグワイアはコノリーがハロランをそのまま帰らせた件、また出頭の事実自体を伏せていた件について知ると、その理由をコノリーに問い質す。コノリーの要領を得ない返答に憤慨したマグワイアは、ホワイティによる殺害だと断定し、協定を絶つ意向を示す。そこへアンジュロ本人がマフィアの犯罪の数々を認める発言を録音した盗聴テープが持ち込まれ、アンジュロは直ちに逮捕される。コノリーはその功績が認められ、一躍ボストンを浄化したFBIの星として昇進を果たす。

1982年。ホワイティとコノリーはアンジュロの逮捕を祝うと、協定の強化を図る。間もなく、ホワイティはマルトラーノにキャラハンを殺させる。一方、マリアンはコノリーの身なりや立ち振舞いが派手になった事を指摘し、ホワイティに悪影響を受けているのだと説く。コノリーはそれを否定し、協定がビジネスに過ぎないと説くと、貧しかった少年時代をホワイティと共に生き抜いてこれたのは、互いへの忠誠心があったればこそであり、それが全てだと主張する。

1985年。メアリーが死去すると、ホワイティは絶望の底に陥り、更に極悪非道な人間へと変わっていく。ホワイティは祖国で激化するIRAの闘争への支援に乗り出す。また、ホワイティはフレミが妻の連れ子デボラに組織に関する情報を漏らした事を知ると、フレミの目の前でデボラを殺す。コノリーはホワイティ、フレミ、モリスを自宅へ招いて会食する。マリアンはホワイティと関わるのを拒み、内規違反のはずだとコノリーを詰る。コノリーはホワイティとの絆があるからこそ、現在の生活があるのだと強弁する。ホワイティはモリス、マリアンに対し、示威的に振る舞う事で屈服させる。

ホワイティアイルランド行きの漁船を通じてIRAに対する武器の提供を図る。一方、コノリーは前任者の退任に伴って新たに就任した連邦検事ワイシャックに挨拶に赴くと、協力を要請する。ワイシャックはコノリーの思惑を見抜いてそれを一蹴すると、ホワイティを逮捕しない理由を問い質す。コノリーはホワイティが有用な情報屋だと説くが、ワイシャックは別の情報屋達が口を揃えて、数多の犯罪へのホワイティの関与を噂していながら、捜査を始める度に証拠が消え、ホワイティが逮捕を免れている理由についての説明を要求する。コノリーはそれがビリーの政敵が、ビリーの失脚を狙って流した嘘に過ぎないと説く。ワイシャックは州において最大の権力者たるビリーが、ホワイティを庇護している可能性を指摘し、コノリーはそれを否定するが、ワイシャックは捜査する様に厳命する。

危機感を募らせたコノリーはビリーの元へ赴き、ワイシャックが本気でホワイティを挙げる気でいる事を明かすと、法律より血の絆と忠誠心こそが大事だと説き、ワイシャックに圧力をかける様に請う。ビリーがそれを拒むと、コノリーはワイシャックがビリーについても疑いの目を向けている事を明かす。ビリーはそれを脅しだと捉え、コノリーに愚挙を戒めて追い返す。FBIでは、コノリーが別の情報提供者の情報をホワイティの証言として改竄し、ホワイティ本人からもたらされた情報は皆無だった事が判明する。一方、漁船がボストンの税関に押収され、小型船に移した武器と弾薬がアイルランド海軍に押収される。ホワイティは漁船の水先人マッキンタイアがDEAと税関の手先だった事を知ると、マッキンタイアを拉致する。

マグワイアホワイティへの対応についてワイシャックに助言を求める。ワイシャックはマフィア訴訟に悪影響が及ぶのを嫌い、代わりにホワイティを動かす捜査官の証拠を掴む様にマグワイアに促す。 モリスはワイシャックが本腰を入れて動き出し、内偵まで行っている事を察知すると、コノリーに泥沼にハマっていると警告する。コノリーは自分達がマフィア壊滅に尽力しただけだと強弁する。一方、マッキンタイアはホワイティに拷問にかけられ、IRAへのホワイティの関与についてDEAに全て喋った事を打ち明け、処刑される。

モリスはボストン・グローブの記者にオフレコで全てを証言する。間もなく、ホワイティが1975年からFBIの密告者だった事が大々的に報じられる。ホワイティは訝るウィークスに対し、それが作り話であり、多額の賄賂に対する裏切りだと主張する。しかし、報道を境にして、ウィンターヒルのギャング達はホワイティによる犯罪の数々を証言し始める。コノリーはホワイティと密かに会い、もうおしまいだと説く。やがてコノリー、続いてフレミが逮捕される。ある夜、ホワイティはビリーに連絡すると、姿を隠し、決別する意向を伝える。

1995年、ホワイティはボストンを去り、その後、世界中を転々とする。ウィークス、マルトラーノは司法取引をし、ホワイティの情報を提供した見返りに刑を軽減され、それぞれ5年間、12年間の服役の後、自由の身となる。モリスはコノリーに対する証言と捜査への協力により、免責が認められる。フレミは10件の殺人を認め、終身刑に処される。ビリーは議員を辞め、マサチューセッツ大学の総長の座に就くが、ホワイティと連絡を取った事が知られて辞職させられる。コノリーはホワイティに関する証言を拒否し、キャラハン殺害に関する第二級謀殺で有罪判決を受け、40年の刑に処される。2011年6月22日、12年間の最重要指名手配の後、匿名の情報からサンタモニカで老いた姿のホワイティが逮捕される。ホワイティは少なくとも11件の殺人で終身刑2回と5年の刑に処される。

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