チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

フィービー・イン・ワンダーランド

ダニエル・バーンズ監督作「フィービー・イン・ワンダーランド」("Phoebe in Wonderland" : 2008)[DVD]

攻撃性や空想癖を伴う精神疾患に苦しむ少女が、学校の演劇部における出会いや稽古に熱中する経験を通じて、病と向き合い、成長していく様を描くドラマ作品。

 

9歳の誕生日を迎えたフィービーは、父ピーター、母ヒラリー、妹オリビアと共に暮らす、空想癖のある少し変わった女の子。両親は共に作家であり、稼ぎ手ピーターの自著の出版が決まる一方、母親業に専念するヒラリーは執筆に苦慮する。ヒラリーの影響を受け、アリス・イン・ワンダーランドの素材に囲まれて育ったフィービーは、新学期を迎えて間もなく、演劇部の顧問を務める教師ドジャーが、アリス・イン・ワンダーランドの舞台オーディションを催す事を知る。

ある時、フィービーはクラスメイトに誂われた拍子に唾を吐きかける。担任は両親を学校に呼び、家庭環境に問題が無いか尋ねる。ヒラリーはフィービーが他の子と違い、自分に正直なだけで問題は無いと擁護する。しかし、ヒラリーはフィービーの奇行への対処に苦慮する様になる。

ある晩、ヒラリーはフィービーとオリビアを連れて白鳥の湖の舞台を観劇する。その翌日、フィービーは意を決してドジャーのオーディションに申し込む。フィービーは指定の時刻に遅れてしまうが、その理由が毎日決まった回数だけ手を洗わないと気が済まないからだと打ち明ける。ドジャーは参加を認め、フィービーは舞台の上で課題をこなす。

帰宅したフィービーは、役を欲する不安に駆られる余り、タイルの上で正しい規則に則った足踏みを繰り返したり、自ら手を傷つけたりする等の奇行に及ぶ。ヒラリーは事を重く見て、精神科医マイルスにフィービーを受診させる。マイルスは何でも話す様に促すが、フィービーは何も話そうとせず診断を終える。

程なく、ドジャーは舞台の配役を発表し、フィービーはアリス役に決まる。子供達はドジャーの指示の下、台本を元に稽古を始める。フィービーは、男子にも関わらずハートの女王を志願した思慮のあるジェイミーに、自分でも説明できない奇行癖があり、死にたいわけでも無いのに、校舎から飛び降りようと考える状態が続いている事を打ち明ける。

フィービーはアリス役を下ろされる事を恐れる余り、奇行を繰り返す内に、おとぎの国の空想に耽っては虚実の区別が付かなくなっていく。ヒラリーはフィービーの精神状態を心配し、再びマイルスに受診させる。フィービーはおとぎの国の話について、決まりがなくて自由であり、こちらの世界にもそう変わって欲しいと訴える。

ドジャーは自らの体験を交えつつ、熱を帯びた演出指導を行い、子供達に発破をかける。フィービーは演技がドジャーに評価される事に喜びを見出す。一方、校長デイビスはドジャーの指導の様子を見て、それが行き過ぎていると問題視する。

フィービーは思った事を抑えきれずに口に出してしまう様になる。ヒラリーはフィービーが強迫性障害だと推察すると共に、執筆に割く時間が作れずに苛立ちを募らせる。ピーターはヒラリーが無理に忙しく振る舞っていると指摘し、ヒラリーはそれに反発する。

その後、フィービーは階段で決まったルールに則って足踏みを繰り返す様になる。フィービーは負傷してもそれを自制できない苦しみをヒラリーに吐露する。ヒラリーはマイルスに相談し、その場でフィービーの病名を知らされ、薬の服用を勧められる。ヒラリーはピーターに、フィービーが自分に愛されていないと思っており、自分と心を通わせたいが為にアリスに夢中になっている事を明かす。

ある時、ジェイミーの衣装に「おかま」と落書きされているのが見つかり、ドジャーは誰の仕業か子供達に問い質す。ドジャーは、かつて女性が舞台に立てなかった為に、少年が女役を演じていた時代があった事を明かすと、その情熱に満ちた演技が客の胸を打ち、賞賛されたのだと説き、ジェイミーはその伝統を受け継いでいるのだと諭す。また、フィービーのクラスで飼育されていたネズミが死に、その日の世話番だったフィービーは皆に責め立てられた末に、また唾を吐きかけてしまう。その夜、フィービーは両親に唾を吐いた事で校長と面談する事になった事を明かし、責められたのが怖くて自分ではどうにもならなかったのだと弁解する。

翌日、ヒラリーは面談の前にドジャーの元を訪ね、アリスの本を執筆している事を明かすと、興味の対象がドジャーと一緒なのが奇遇だと説く。ドジャーは偶然を信じていない事を明かし、フィービーが優秀だと評価する。ヒラリーは演劇部でフィービーが不適切な振る舞いをしていないか尋ねるが、ドジャーはそれを否定する。ヒラリーはピーターと共にデイビスとの面談に臨むと、フィービーが想像力豊かで傷付きやすく、稽古中は問題を起こしていないと主張する。デイビスは家庭内の問題について指摘すると、フィービーが反省するまで劇から外す処分を下す。それを知ったフィービーは憤慨し、空想の世界に逃げ込む。

翌日、ドジャーはフィービーが才能溢れる子であり、舞台に必要だとデイビスに直訴する。デイビスは他の子供達の手前、問題児には罰が必要だと主張する。その後、ドジャーは舞台の天井裏に佇むフィービーを見つける。フィービーは舞台の上では大丈夫なのに、他の場所では自分がだめな子になってしまうと吐露する。ドジャーは、人生の大半が過ぎた頃に、目を開いて自分が何者か見極め、他人とは違う、普通では無いところを探して、それが本当の私と言い聞かせる様に諭す。

その夜、ヒラリーは尽力の末に劇に戻れる様になった事をフィービーに知らせる。ヒラリーが景気付けに買い物に行く事を提案すると、フィービーとオリビアは喜びの余り、弟が欲しいと両親に囃し立てる。ピーターは思わず、ヒラリーが面倒な子をもう欲していないと口走ってしまう。フィービーは精神が不安定な状態に陥り、再び空想に逃げ込む。ピーターは失言を恥じ、フィービーに詫びる。

翌日、ピーターは憤りを露わにするヒラリーに対して謝意を示す。ヒラリーはフィービーに個性を求めながらも、その個性に対して怒っている事、ドジャーに愛情で負けている事、母親に正解は無いのに良い母親でいようとして苦悩している事を明かす。ヒラリーはまた、ピーターが指摘した通りにフィービーの様な子をもう一人育てるのは無理だと認めると、このまま年を取っても他に取り柄が無い為に、子供中心の生活が続く事を嘆きながらも、子供達がいないと生きていけない為にそれを良い事だと考えている事を明かす。

フィービーは稽古に復帰するも、心が抜けた様に身が入らず、その事をドジャーに指摘されると、思いがけずジェイミーをおかまと罵ってしまう。フィービーは天井裏に逃げ込むと、アリスの幻覚に促され、下に飛び降りる。幸い軽傷で済んだフィービーは、校長との面談で、ドジャーについて尋ねられる。フィービーはなんでも自由にやらせてくれる良い先生だと評しながらも、誤って落ちたのか、或いは自ら飛んだのか尋ねられると、幻聴に唆され、ドジャーがしばしば「飛んで」と口にする事を明かす。フィービーは咄嗟に別の意味があるはずだと弁解する。

フィービーは両親に、空想の世界には希望があると説き、自分が壊れていくのが止められないと訴える。ヒラリーはドジャーの元へ押しかけ、天井裏に自由に行き来できる様になっている事を咎めると、フィービーが希望が見つからないと訴えている事を明かす。ドジャーは探し続ければ必ず見つかると説く。

その後、フィービーは稽古に復帰するが、間もなくドジャーが解雇される。フィービーが自分のせいでは無いかと尋ねると、ドジャーは子供達に稽古を続ける様に促してその場を後にする。子供達はドジャーに見捨てられたのだと感じ、セットを壊して暴れ始める。フィービーはそれを制止すると、ドジャーに指示された通りに稽古を続ける様に促す。

その夜、ヒラリーは再びフィービー、オリビアと観劇するが、フィービーは症状を抑えられずに奇声を発する。ヒラリーはフィービーに許しを請い、病と向き合う事を決意する。ヒラリーはピーターに、フィービーの病名「ジル・ド・ラ・トゥレット症候群」を明かすと共に、「突然攻撃的になる」、「特定の行為に執着して止められない」、「何かに熱中すると症状は出なくなる」、「空想の世界が見えるのは病気のせいでは無く、ただの現実逃避」という特徴を示すと、相談しなかったのは、救えるのは自分しかいないと考え、またフィービーを普通の子に変えたくなかったからだと弁解する。ピーターはヒラリーのせいでは無いと諭す。

後日、フィービーは両親同席の下、クラスメイトに自らの病について告白し、理解を求める。演劇部は校長の困惑をよそに、ドジャー不在のまま、稽古を続ける。そしていよいよ舞台を披露する日を迎える。フィービーは本番直前に天井裏に上がり、そこでドジャーと遭遇する。フィービーはドジャーに、自分達にやらせる為にわざとクビになったのでは無いかと尋ねる。ドジャーはフィービーの額にキスをすると、アリスと共に光の中に姿を消す。フィービーは堂々と本番に臨む。

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