チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ルーム

レニー・エイブラハムソン監督作「ルーム」("Room" : 2015)[BD]

数年に渡って小さく粗末な部屋で監禁生活を強いられてきた母子が、脱出に成功した後、再起を図るべく苦慮する様を描くドラマ作品。

 

24歳のジョイは5歳を迎えるジャックと共に、僅かな家具とテレビ、キッチン、浴槽、トイレが設置された薄汚い小さな「部屋」に監禁されている。その部屋は納屋を改築したもので、ドアには暗証ロック、壁には防音が施され、窓は無く、唯一小さな天窓から空が覗く状態である。ジョイは7年前にオールド・ニックと称する男に誘拐されて以来、その部屋で監禁生活を強いられている。オールド・ニックは定期的に食料や日用品などの物資を差し入れると共に、その都度、ジョイにレイプを繰り返し、そうして5年前に生まれたのがジャックである。

ジョイとジャックはその小さな部屋で二人きり、いつ終わるとも知れぬ、粗末で暗鬱な生活を続ける。ジョイは外の世界を知らない幼いジャックが混乱する事を恐れ、真実を教える事を控えてきた為、ジャックはその部屋だけが世界であり、唯一外界の様子を映し出すテレビは現実では無いと考えている。ジョイはジャックの精神の安寧を図る為に、求めに応じて授乳を続けている。オールド・ニックはジャックの誕生日を知ると、ラジコンを差し入れる。

次の差し入れの日、ジョイはいつもの様にジャックをクローゼットの中に隠して、寝かしつけると、オールド・ニックの訪れを待つ。程なくやってきたオールドニックは、半年前から失業している事を明かすと、二人の為に生活費を投じる事を惜しむ。眠らずに密かに様子を窺っていたジャックは、二人が眠った後にクローゼットから出ると、オールド・ニックに忍び寄る。オールド・ニックはそれに気付いて目覚めると、ジャックに触れようとする。咄嗟に目覚めたジョイは身を挺してそれを阻むが、オールド・ニックは憤慨してジョイの首を絞め、威圧した後、部屋を後にする。

翌朝、ジョイ達は部屋の電気が止められた事を知る。ジョイはジャックに対して、壁を隔てた部屋の外に広大な本当の世界がある事、テレビの中の人や物は実在している事、自分は両親と暮らしていたが、学校の帰りに誘拐されて部屋に連れて来られて以来、7年間監禁されている事、これまではジャックの為に嘘の話をしていた事を明かすと、この世界について理解し、自分を助けて欲しいと請う。ジャックはその話を理解できずに拒絶する。ジョイは失意に暮れる。

程なく、電気が戻る。ジョイの意を汲んだジャックは、オールド・ニックに対する敵意を露わにする。ジョイはかつて脱出を企てたものの、失敗して痛めつけられた事を明かすと、新たに脱出策を講じてジャックにそれを示す。ジョイはオールド・ニックが訪れる時刻を見計らって、ジョイの体をお湯で温める事で、電気が停まったせいでジョイが風邪を引き、高熱を出したように見せかけ、オールド・ニックにジャックを病院に連れて行かせ、ジャックに忍ばせたメモで助けを求めさせようと企てる。オールド・ニックはジャックに熱があると判断したものの、病院には連れて行こうとせず、薬で済ませる意向を示して部屋を後にし、ジョイの企ては失敗する。

次にジョイはジャックに死んだふりをさせ、オールド・ニックが捨てる場所を探す為にトラックで運び出した際に、助けを求めさせようと企てる。ジョイはジャックを絨毯で巻くと、薬を買って戻ってきたオールド・ニックに病状が悪化して死んだと欺き、すぐに良い場所を見つけて埋めて欲しいと哀願する。ジョイの鬼気迫る態度に圧倒されたオールド・ニックは死の確認はせず、絨毯に撒いたジャックを担ぎ出すと、トラックの荷台に乗せて運び去る。

トラックが走り出すと、ジャックは絨毯から出て、初めて外の世界の様子を目の当たりにする。トラックが一時停止で減速すると、ジャックはその隙を見計らって逃走を図る。オールド・ニックはそれに気付くと、慌ててジャックを連れ戻しに行くが、散歩をしていた男がその様子を見て訝り、事情を問い質す。オールド・ニックに捕まったジャックが母の助けを呼ぶと、男は警察を呼ぼうとする。オールド・ニックはジャックが握りしめていたメモを奪い取ると、一人でトラックに乗って走り去る。ジャックは程なく駆け付けた警察に保護される。護送中、警官はジャックが口にする断片的な情報から、監禁されていた納屋の位置を特定し、ジョイも間もなく無事に救出される。

二人は病院に搬送された後、治療を受け、入院する運びとなる。ジョイは医師に早期の帰宅を希望する。間もなくジョイの母ナンシーと、離縁して以来、別居している父ロバートが駆け付け、ジョイと再会を果たす。その後、ジョイはニュースでオールド・ニックが逮捕された事を知る。

病室でのしばしの療養の後、ジョイはジャックと共に帰途に就く。自宅にはジョイ達の生還を喜ぶ人達とマスコミが押し寄せる。ジョイ達の帰りをナンシーとパートナーのレオが温かく迎える。しかし、ロバートはジャックの父親が誘拐犯という事実を受け入れられず、ジャックから目を逸し続ける。それを察知したジョイは憤慨し、耐え兼ねたロバートはその場を後にする。

ジョイは失った時間の重さを痛感し、抑うつ状態に陥る。10日が経つ頃、ジョイはスマホで遊ぶジャックに苛立ちを募らせ、普通のおもちゃで遊ぶ様に強要し、スマホをジャックに渡したナンシーをも責め立てる。ジョイは自分が普通では無く、世間に好奇の目で見られている事への苦悩を吐露する。ナンシーは休養が必要だと説くが、ジョイは自分がいない間にレオと暮らし始めた事についてナンシーを詰る。ナンシーはそれでもジャックには優しくする様にジョイに促すが、ジョイはナンシーから優しくする様に教えられていたせいで、オールド・ニックの犬を助けようとし、誘拐されたのだと明かし、ナンシーに辛く当たる。

程なく、ジョイは弁護士の勧めを受け、自宅でテレビ番組のインタビューを受ける。ジョイは監禁されていた時の心境などを淡々と語るが、リポーターにジャックが大きくなったら父親についてどう説明するのか尋ねられると、親は自分一人だと強弁する。リポーターは更に、ジャックが生まれた直後にジョイが犯人に保護を求める等すれば、ジャックは普通の子供時代を送れたのではないか、また、ジョイの手元にジャックを留めるのが最良の選択だったのかと尋ねる。ジョイは返答に窮し、思い詰める。

その夜、ジョイは薬物自殺を図る。その直後にジャックが発見した事で、ジョイは救急搬送され、一命を取り留める。ジャックは入院するジョイの帰りを待ちながら、ナンシー達と暮らす。ジャックは時々「部屋」に帰りたくなると、ナンシーに吐露する。レオはジャックの体調を慮って友人宅に預けておいた愛犬シェイマスを連れ戻し、ジャックは甚く喜ぶ。

ジャックは予てからジョイにパワーが宿っていると教えられてきた髪を切って、入院しているジョイに送る事を希望する。ナンシーはそれを快諾し、監禁されている間中、伸ばしっぱなしだったジャックの髪を切って整えてやる。やがて、ジャックは近所の子供と遊ぶまでに回復する。そんな折、ジョイが退院して帰宅する。ジョイはジャックに愚挙を詫び、助けられた事に感謝する。ジャックは授乳をせがむが、ジョイはそれを拒むと、自分がよくないママだと説く。ジャックはそれでもママだと答える。

その後、ジョイはジャックにいろんな経験をさせ、穏やかな生活を送る。ある時、ジャックは「部屋」に戻ってみたいとジョイに請う。ジョイ達は警察に許可を受け、納屋に案内してもらう。ジャックは、既に証拠品が押収されて、物が無くなっているその部屋が縮んだ様だと表現する。ジャックは僅かに残されたクローゼットやテーブル、そして天窓に別れを告げる。ジョイはジャックに促され、部屋に決別の言葉を呟く。二人は降り始めた雪の中、帰途に就く。

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