チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ぼくとアールと彼女のさよなら

アルフォンソ・ゴメス=レホン監督作「ぼくとアールと彼女のさよなら」("Me and Earl and the Dying Girl" : 2015)[DVD]

冴えない男子高校生が、白血病に罹った同じ学校の女子を見舞って励ます様に親から促され、それを機に始まった二人の友達付き合いの行く末を描くコメディ・ドラマ作品。

 

ピッツバーグのシェンリー高校に通うグレッグは、自己肯定感に乏しい為に、学内のどのグループに所属する事も嫌い、うわべの関係に留め、目立たない様に高校生活を送っている。グレッグは幼馴染にして唯一の親友アールと共に映画を作り続けており、駄作になるのもお構い無しに名作をパロって完成させた作品は42本に上る。グレッグの父が社会学の教授である事から、二人はその影響を受け、映画を好み、自らの手で映画を撮る様になったのである。

高校最後の年を迎えたある日、グレッグは両親から同じ高校に通うレイチェルが白血病に罹った事を知る。グレッグの母は、レイチェルの母がグレッグにレイチェルを慰めて欲しいと望んでいる事を明かし、電話してやる様に促す。グレッグは友達付き合いも無いレイチェルに渋々電話をかけ、会って話す事を打診するも、素っ気なく断られる。グレッグの母はレイチェルの人生を救えるチャンスだと説き、再度連絡する様に促す。

グレッグはレイチェルの家を訪ね、シングルマザーのレイチェルの母に歓迎される。レイチェルは同情が無用だと説き、グレッグを帰る様に促す。グレッグは母に命じられて来た事を明かし、母が納得するまで自分の為に一緒に過ごして欲しいと望む。レイチェルはグレッグを自室に招く。グレッグはレイチェルが数多く所有するクッションの一つに、かつて自分が愛用していたのに似た物がある事を指摘する。

グレッグは学内で唯一慕う教師マッカーシー白血病について尋ねる。その会話を級友のマディソンに聞かれ、レイチェルの白血病が知れ渡ってしまう。以後、グレッグは連日レイチェルの家に通い、二人は気脈を通じていく。レイチェルは自分が死んで母を一人残す事への心配や、かつて父と過ごした時の様子などを明かす。グレッグは容姿に自信が持てず、また共通点の無い他人と一緒に過ごすのが苦痛である為に、高校でどのグループにも属さない事で、努めて敵を作らず、恥を掻かぬ様にして過ごしている事を明かすと、もっと大変な思いをする大学に行かない意向を示す。程なくして、グレッグはアールを連れてレイチェルの家を訪ねる。アールはグレッグと二人で映画を作っている事を初めて明かす。グレッグは駄作だから黙っていたと弁解する。レイチェルは二人が作った映画を観て、それを気に入る。

やがて、レイチェルは小児病院で化学療法を始め、数週間が経ち、自宅で静養する。レイチェルは頭髪が抜け落ちた事で、見舞いに来た友達の反応が辛く、屈辱的だとグレッグに吐露する。グレッグは自作の映画を差し入れ、レイチェルを励ます。グレッグはアールと共に新作の撮影を始める。マディソンはレイチェルの見舞いに行って二人が映画を作っている事を知ると、撮影現場を訪ね、レイチェルの為に映画を作る事を提案する。

グレッグは小児病院に療養中のレイチェルを訪ねると、持参した大学ハンドブックを見せ、母に大学に出願する様にせっつかれて、悩んでいる事を明かす。レイチェルはグレッグは嫌われ者では無いのだと説き、進学を真剣に検討する様に促すと、自宅から近いピッツバーグ州立大学を勧める。グレッグはレイチェルに強く促され、その場で志望動機を書き上げる。レイチェルは自己否定の言葉を連ねたその文章をグレッグの代わりに改め、出願する。

その後、レイチェルは入退院を繰り返す傍ら、グレッグの映画を一本ずつ鑑賞していく。グレッグがレイチェルと友達になって二ヶ月余り経つ頃、大学から合格通知が届く。グレッグは思い悩んだ挙句、レイチェルの為に映画を作る事を決意する。グレッグはアールと共にレイチェルの母にインタビューを行う。レイチェルの母は、その昔、レイチェルが愛用したハサミで、父の愛読書を集めて切り刻んだ時の話をする。グレッグとアールはまた、学校で同級生達からもレイチェルへのコメント撮りを行う。

レイチェルは長引く闘病生活で疲弊していく。グレッグは映画作りに没頭しながらも、見舞いを続け、全く勉強しないままに五ヶ月余りが経過する。グレッグはプロムが近づくに当たり、タキシードが似合わず、パートナーもいない為に参加しない意向をレイチェルに伝える。レイチェルはアールから映画の件を聞いた事を明かし、いつ完成するのか尋ねる。グレッグはサプライズで披露する思惑がアールのせいで潰えた事に憤慨する。レイチェルは化学療法が体への重い負担に反して効果が見込めない事から、治療を中止して様子を見る意向を示す。グレッグはレイチェルが弱って死んでいくのを見るのに耐え兼ね、希望を捨てる事に反対する。レイチェルはグレッグが自分の元へ通うのも、映画を作るのも、他人に頼まれたからだと詰り、本当の自分が何をしたいのか問い質すと、もう来ない様に突き放す。

グレッグはその足でアールの元を訪ね、映画の件をレイチェルに明かした事を非難すると、映画を一緒に作る事を拒否する。アールはレイチェルがグレッグに好意を寄せていながら、グレッグは死にゆくレイチェルを重荷の様に考えている事を非難すると、売り言葉に買い言葉でグレッグを殴る。

グレッグはレイチェルの事で思い悩み、ますます勉強が手に付かなくなる。マッカーシーは自分の亡き父の話を引き合いに出し、誰かが死んだ後もその人の全く知らなかった一面を知る事があると諭す。程なく、グレッグはアールが病気に辛抱強く向き合うレイチェルに宛てたメッセージを収めたデータを受け取る。

グレッグは成績が落ちた為に大学の合格が取り消される。マディソンは自信を失っているグレッグに、レイチェルを力づける為に映画を早く完成させて渡す様に急かす。グレッグはレイチェルが再入院した事を母から聞き、最期が近いと悟る。母はグレッグに見舞いに行く様に促すが、グレッグはレイチェルが死ぬと決めたのならその必要は無いと説く。母は会いに行かないと一生後悔すると諭す。グレッグは後悔なら友達がいない事、プロムの相手がいない事、アールと映画を作った事など山ほどあると説き、更に合格が取り消された事を明かす。母はどの大学も出願期限が過ぎており、グレッグが1年を無駄にする事を案じる。父は出願で人生は決まらず、そっとしておいてやるべきだと諭す。

グレッグがレイチェルと友達になってから200日余りが経ち、プロム当日を迎える。グレッグはいつも親しげに接してくるマディソンに八つ当たりする。更にそこへかつて揉め事を起こしたフィルが復讐にやってくる。グレッグがフィルと取っ組み合いのケンカを始めると、そこにアールが駆け付け、フィルを殴りつける。マディソンは映画を頼んだ埋め合わせと称して、グレッグにプロムへ一緒に行く様に誘う。

その夜、グレッグはタキシードを着込むと、母からコサージュを受け取る。母は進学を見送った事に理解を示す。グレッグはリムジンに乗ると、プロム会場では無く、病院に赴く。グレッグは病臥のレイチェルの手首にコサージュを付けると、持参したプロジェクターで、完成させた映画をレイチェルと一緒に観る。その最中、レイチェルの容態が悪化する。その後、レイチェルは半日足らずで息を引き取る。

葬儀の日、グレッグはレイチェルに預けてあった大学ハンドブックをレイチェルの母から受け取る。グレッグはレイチェルの部屋でハンドブックに付されていた手紙を読む。その中でレイチェルは、グレッグの合格取り消しの件を聞き、大学に事情を説明する手紙を書いて送った事を明かし、グレッグに大学へ行く様に促す。グレッグはハンドブックの中に、レイチェルがグレッグ、アールと三人で過ごした一場面を再現して、ハサミで作ったペーパーアートを見つける。グレッグは更に部屋を見渡し、レイチェルが施した他のアートにも触れ、かつてレイチェルの母が語った父の本とハサミの真意など、生前知らなかったレイチェルの一面を知る。グレッグは大学ハンドブックと共に、手紙でレイチェルに促された通り、クッションを一つ持ち帰る。

レイチェルは大学事務局に宛てた手紙の中で、自分が辛い時期にグレッグが大切な半年間を費やしてくれたが、グレッグは自己評価が低い為に、代わりに本当のグレッグを知る自分が筆を取った事を明かすと、グレッグが優しく誠実な人間であり、成績が低かったのは全霊を尽くして自分に寄り添ってくれていた結果だと説く。レイチェルはグレッグが自分の為にある物を作ってくれた事を明かし、それを本人に聞く様に請う。

生前にリスになりたがっていたレイチェルの遺灰はその希望通り、森に撒かれる。レイチェルが手紙に添付した事務局への手紙のコピーで、その内容を知ったグレッグは、レイチェルとの出会いから別れを手記に綴ると共に、完成した映画のロムを事務局に送付する。

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