チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ディーン、君がいた瞬間

アントン・コービン監督作「ディーン、君がいた瞬間」("Life" : 2015)[DVD]

若き写真家が若手俳優ジェームズ・ディーンに将来性を見出し、撮影の企画を持ちかけた事がきっかけで、二人が気脈を通じていく様を描く伝記ドラマ作品。

 

1955年、初頭。マグナム・フォトに所属する24歳の写真家デニス・ストックは、離婚した妻ノーマと幼い息子ロドニーをニューヨークに残し、ロサンゼルスを拠点に活動する。デニスはレッドカーペットで映画の宣伝写真を撮るだけの生活に不満を抱いており、写真家としてのキャリアの足がかりを得る術を模索する。ある夜、デニスは「理由なき反抗」の撮影を控えた映画監督ニコライ・レイのパーティに参上し、そこで新進気鋭の若手俳優ジェームズ・ディーンと出会う。ジェームズは自らが主演を務めたエリア・カザン監督の新作「エデンの東」の試写会にデニスを招く。

試写を観たデニスはジェームズの役者としての才能に惹かれると同時に、将来性を見出し、ジェームズに撮影の話を持ちかける。ジェームズはインディアナ州の農場で伯父、伯母に育てられた過去について明かすなどし、ニューヨークに戻る意向を示す。デニスはライフ誌に資金を出してもらう事で、ジェームズに同行し、ニューヨークで撮影を行う事を決意する。

デニスは早速、ニューヨーク支社の上司モリスに連絡し、ジェームズの役者としての将来性について説くと、世間に先駆け、ジェームズを被写体にしたフォト・エッセイを企画し、ライフに持ち込む事を提案する。モリスは地道にキャリアを積んでチャンスが来るのを待つ様に諭すが、デニスはそれを拒み、この好機を物にして個展を開く事を希望する。一方、ジェームズは交際相手の女優ピア・アンジェリにニューヨークへ帰る意向を伝え、同行を求めるが、ピアはそれを拒む。

デニスはジェームズにフォト・エッセイの件を改めて打診し、ジェームズを大衆に売り込みたいのだと説く。ジェームズは急いで売れる必要性を感じておらず、難色を示す。「理由なき反抗」への主演を切望するジェームズは、ある日、映画会社のオーナー、ワーナーの元へ呼びつけられる。ワーナーは、ジェームズが先だってのインタビューにおいて、ワーナー配給の作品「西部の掟」をコケにした事に憤慨しており、理由なき反抗の主演に推すか否かが自らの決断次第だと説き、また自らがジェームズの役者としての命運を握っているのだと戒めると、今後の言動を改める様に命じる。ジェームズはニューヨークに帰る意向を示すが、ワーナーはそれを認めず、映画の宣伝に専念する様に強要する。その後、ジェームズは「スタア誕生」のプレミアにピアと同伴し、ピアとの待遇差を見せつけられる。カメラマンとして駆けつけたデニスは、ジェームズにフォトエッセイを改めて打診する。

翌日、ジェームズはピアの元を離れ、ワーナーに無断でニューヨークへと戻る。一方、デニスはライフから企画を認められ、取材の道筋を付ける。デニスは早速ニューヨークに向かい、ジェームズの説得に乗り出す。しかし、ジェームズはデニスに会おうとせず、苦慮するデニスはライフから写真を見せる様に催促される。その最中、デニスはノーマ、ロドニーと再会するが、疎外される。

デニスは街中でジェームズを直撃すると、ライフに写真を催促されている事を明かし、散髪の様子を撮影する。ジェームズはデニスをニューヨーク・プレミアに誘う。監督エリア・カザン、共演者とともに記者会見に臨んだジェームズは、記者からピアが歌手ヴィック・ダモンと婚約した事を初めて知らされ、動揺する。会見後、ジェームズは恋人を失い、更に恥をかかされた事への憤慨を露わにする。デニスはフォト・エッセイがライフに載れば、醜聞を跳ね除けられると説く。ジェームズは芝居の世界以外で心を乱される事を嫌う。デニスはニューヨークで一番好きな場所での撮影を提案し、ジェームズはかつて所属していた劇団にデニスを招く。ジェームズは仲間達と旧交を温め、デニスはその様子を撮影する。

ジェームズはプレミアが終わった後、インディアナ州の故郷での撮影をデニスに提案する。デニスは撮った写真をモリスに提示し、ライフ掲載の判断を仰ぐ。モリスは被写体に魂がこもっておらず、つまらない写真だと一蹴すると、その仕事を切り上げる様に促すと共に、日本での撮影の仕事をデニスに与える。デニスはニューヨークに二週間滞在するという約束を違える事になり、ロドニーを失望させる。

翌日、デニスは最後の撮影に臨むべく、ジェームズと雨模様のタイムズ・スクエアで落ち合う。デニスは自分の腕のせいで、ライフへの掲載が難しい事を明かすと、日本へ行き、再びロサンゼルスに戻る意向を示す。ジェームズは写真を始めた理由をデニスに尋ねる。デニスは父を亡くした事で16歳で海軍に入り、そこで写真を学んだ事を明かす。デニスは雨降りの路上を歩くジェームズを撮影すると、それに手応えを感じ、ジェームズの意向に応じてインディアナ州に同行する。

インディアナ行きの列車にて、ジェームズは母を亡くした後、父と別れ、ロサンゼルスからインディアナに移った経緯を明かし、母との芝居ごっこが役者の原点だったと説く。ジェームズは伯父母、甥っ子、祖父母が暮らすラファイエット郊外の農場にデニスを招く。家族はジェームズの24歳の誕生日を祝う。デニスは農場に滞在しながら、ジェームズの飾り気の無い生活ぶりを撮影する。

夜、ジェームズは伯父との会話の中で、デニスが自分の殻を破れずにもがいていると批判し、デニスはそれを盗み聞きする。気分を害したデニスは、翌朝、ニューヨークに帰る意向を示す。ジェームズは深い意味は無いと弁解するが、デニスはそれが真剣な悩みだと説くと、ライフに認められる様な写真を撮れると信じて、インディアナに来た事が見当違いだったと嘆く。

程なく、デニスは気を取り直し、もう少し留まる意向をジェームズに伝える。ジェームズはデニスを街の観光に連れ出す。人気者のジェームズは、地元の学生達にダンスパーティに誘われる。そんな折、ジェームズはワーナーから自らの裁可で「理由なき反抗」の主演に決まった事を伝えられると共に、無断で帰郷した事を咎められる。その後、ジェームズはデニスと共にダンスパーティに出席する。地元の星ジェームズは特別ゲストとしてスピーチを促され、全てに感謝し、時間を無駄にせず、いまを生きるように学生達に説く。

ジェームズはプレミアに出席する為に、デニスと共にニューヨークに戻る。一方、デニスは仕上がった写真をライフに送ると、ロドニーとのひとときを過ごす。程なく、ライフ1955年3月7日号にフォト・エッセイ「気難しい新星」が掲載され、デニスはキャリアの足場を築く。

プレミア当日、ジェームズは息苦しさに耐え兼ね、デニスの元を訪ねると、全てをすっぽかしてロサンゼルスへ逃げ出そうと誘う。デニスは仕事が軌道に乗り始めた手前、ニューヨークに留まる意向を示す。二人は再会を約束して別れる。結局、ジェームズはプレミアに姿を見せず、ワーナーは激怒する。

単身、ロサンゼルスへと発ったジェームズは、機内でかつての自分と母の様に芝居ごっこをする母子を見つけ、強い郷愁に駆られる。7ヶ月後の9月30日、ジェームズは自動車事故で死亡し、再度の帰郷は果たせずに終わる。デニスはその後もマグナム・フォトのカメラマンとして活躍し、2010年に81歳で死去した。

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