チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

帰ってきたヒトラー

デヴィット・ヴェント監督作「帰ってきたヒトラー」("Er ist wieder da" : 2015)[BD]

現代にタイムスリップしたアドルフ・ヒトラーが、彼をそっくりさんだと誤解して利用するテレビ局を手玉に取り、嘆かわしいドイツの状況に変革をもたらすべく再起する様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

2014年、ベルリン。総統地下壕にいたはずのアドルフ・ヒトラーは70年余りの時を超えて、公園の隅の茂みの中で目を覚ます。薄汚れた軍服を身に纏ったヒトラーは、自らに起こった出来事が理解できずに困惑する。ヒトラーは傍で遊んでいる子供達に話しかけるも、変人扱いされて要領を得ず、総統官邸に戻る為に街中を彷徨う。ヒトラーは市民に物まね芸人として扱われて笑い者にされたり、変質者に誤解されて防犯スプレーを浴びせられた後、近くのキオスクへ駆け込む。ヒトラーはそこで新聞を目にし、現在が2014年だと知るや否や、気を失う。

一方、民放マイTV局にフリーの契約社員として勤めるザヴァツキは、映画監督を志望しており、局に売り込む映像素材の確保に心血を注ぐ。そんな折、新局長にベリーニが就任し、副局長ゼンゼンブリンクは自らの局長就任の当てが外れた事で失意に暮れ、憂さを晴らす様にザヴァツキをリストラする。

キオスクの主人に介抱されたヒトラーは、戦いを続ける様にとの神意を得たのだと悟ると、新聞や雑誌で情報の収集を始め、現下のドイツが置かれている状況について理解する一方、その嘆かわしい有様を憂う。一方、突然のリストラに悲嘆するザヴァツキは、特ダネを見つけて局に戻ろうと企てる。その最中、ザヴァツキはその日に公園で撮影したばかりの素材に、ヒトラーそっくりの男が茂みから出てくる様子が映っている事に気付く。

翌日、ザヴァツキは街の方々でその男を探し回り、軍服をクリーニングに出してキオスクに戻ってきた男を発見する。ザヴァツキはヒトラーそっくりのその男の迫真の演技に商機を見出し、ヒトラーが現代のドイツを闊歩する様子を撮る事を提案する。ザヴァツキは早速、花屋を営む母親に金を無心して制作費を工面し、更に営業車を借りると、ヒトラーと共にドイツ巡りの旅に出かける。

道中、ヒトラーはホテルで初めてテレビを目にすると、それがプロパガンダに最適だと評するも、低俗な番組ばかりだと嘆く。そこでヒトラーは、政治を撮影のテーマに据える様にザヴァツキに希望すると、各地を巡りながら市民と交流し、社会への不満や政治への要望を尋ね回る。その過程でヒトラーは皆が一様に政治不信を抱えており、ドイツに未だ民主主義が根付いていない事を悟る。

ザヴァツキは演出の為に犬を調達すべく、ヒトラーと共にブリーダーの元を訪ねる。ザヴァツキがブリーダーと交渉中に、ヒトラーは犬とじゃれている内に噛みつかれた事に腹を立て、所持していた拳銃で犬を撃ち殺す。犬の調達には失敗し、ザヴァツキはヒトラーから拳銃を取り上げる。

ザヴァツキは制作費に事欠くが、ヒトラーが市民の肖像画を描く事で寄付を集める事に成功する。二人はドイツ巡りを続け、地方の町や農場などを訪ねては、色んな政治信条を有する老若男女の市民と交流した後、ベルリンに帰還する。その頃には、ヒトラーのそっくりさんとして市民がネットに投降した動画が拡散し、評判が評判を呼ぶ様になる。

ザヴァツキは改めてゼンゼンブリンクの元を訪ね、俄に人気者になったヒトラーを紹介する。ゼンゼンブリンクは真剣に取り合わず、二人を追い返そうとする。ヒトラーはベリーニと幹部が集う会議に押し入ると、絶望的なドイツの状況を説き、変革と責任を取る指導者が必要だと熱弁する。ベリーニはその物まねの完成度の高さを甚く気に入り、ゼンゼンブリンクにヒトラーの出演の場を与える様に命じる。ザヴァツキはヒトラーの出演と引き換えに自らの復帰をゼンゼンブリンクに求め、臨時雇いとして復帰する。気を良くしたザヴァツキは、かねてから好意を抱く秘書のクレマイヤーをデートに誘い、クレマイヤーの自宅に招かれる。

ヒトラーはデスクを与えられ、初めてコンピュータに触れると共に、インターネットに感銘を受ける。一方、不満を募らせるゼンゼンブリンクは、ゴールデンタイムの生放送コメディ「クラス・アルター」にヒトラーを出演させ、タブー視されている人種ネタを乱発させる事で、ベリーニにその責任を負わせて失脚に追い込もうと企てる。

その夜、ゼンゼンブリンクはヒトラーにありのままの姿で出演する様に促す。ヒトラーは「クラス・アルター」に帰ってきた男としてゲスト出演すると、進行を無視して雄弁を振るい、ドイツの抱える諸問題を説き、低俗な番組ばかりのテレビと自らが戦う決意を示す。ゼンゼンブリンクの思惑は大きく外れ、番組は観客に大受けする。ザヴァツキはクレマイヤーと番組を見届けた後、愛し合う。

ベリーニは局の全ての番組へヒトラーを出演させる。番組は物議を醸すもどれもヒットし、更にYouTuber達が挙ってヒトラーを取り上げる事で、その人気に拍車がかかる。

数ヶ月後、ヒトラーは国家民主主義を継承する極右政党や団体と接触を図るが、それらの不甲斐なさに呆れる。ヒトラーは粗末なNPD中央本部を訪ねると、困惑する党首とスタッフ達に、国家民主主義の何たるかについて説教する。一方、ゼンゼンブリンクはマイTVを民衆扇動の廉で匿名告発するが、検察は真剣に取り合わず、企ては失敗する。そんな折、ゼンゼンブリンクはヒトラーが殺した犬の件で、局に賠償金支払い要求が来ている事を知る。ゼンゼンブリンクはヒトラーの生放送番組の出演中に、ザヴァツキが撮影していた犬射殺時の映像を無断で流す。ヒトラーは弁解するが、市民のヒトラーを見る目は一変する。ヒトラーの降板と共にベリーニは失脚し、ゼンゼンブリンクが新局長に任命される。

ザヴァツキは、ホテルを追い出されたヒトラーを自宅に留め置く。ヒトラーはその状況すら神意だと悟り、現代のベルリンで目覚めてからの一部始終を綴った生涯二冊目の本「帰ってきたヒトラー」を執筆する。ザヴァツキは自らが監督して映画化する事を条件に、ベリーニに原稿を提供する。本は出版するや否や、たちまちベストセラーになる。一方、マイTVはヒトラーの降板に伴い、視聴率が暴落し、広告収入が激減する。ヒトラーは立ち上げたばかりのFacebookで親衛隊を募るも、貧弱な男達ばかりが集まり、彼らに厳しい訓練を課す。

更に数ヶ月後、ヒトラーは他局に出演し、活躍の場を広げる.。一方、状況を挽回できずに苛立ちを募らせるゼンゼンブリンクは、再びヒトラーを番組に出演させようと企て、映画の撮影スタジオを訪ねると、放映権料として100万ユーロを提示する。

ザヴァツキはヒトラーを連れてクレマイヤーの家を訪ねる。認知症を患うクレマイヤーの祖母は、ヒトラーの姿を見るや激昂し、ユダヤ一族の同胞を虐殺した件を責めたてると共に、今も同じ事を繰り返していると非難する。ザヴァツキはその鬼気迫る姿を見て、ヒトラーが本人では無いかと疑い始める。

ヒトラーは撮影中のスタジオから出た際にネオナチの二人組に暴行を受け、入院する。一方、ザヴァツキは公園で撮った素材を再度見直し、茂みの中でヒトラーが煙と共に現れる様子を確認する。ザヴァツキはその現場を再び訪ね、そこが総統地下壕跡だと知り、ヒトラーがタイムスリップしてきた本人だと確信する。ザヴァツキは病室にヒトラーを訪ねるが、既に退院した事を知ると、居合わせたベリーニに必死で真実を訴える。ザヴァツキは錯乱していると見做され、取り押さえようとする病院スタッフから逃れる。

スタジオに駆け付けたザヴァツキは、親衛隊を結集するヒトラーに拳銃を突きつけると、建物の屋上へと連れて行く。ヒトラーは自らが本人だと認めながらも、大衆は扇動されたわけでは無く、優れた自分を指導者に選び、国の命運を託したのであり、本質は同じなのだと主張する。ザヴァツキはヒトラーを撃ち、ビルから転落させる。ところが、ザヴァツキの背後にヒトラーが現れ、ヒトラーは人々の一部であり逃れられないのだと説く、という結末で、ベリーニは映画を完成させる。一方、ザヴァツキは精神病院に収容される。

ベリーニはヒトラーがドイツのコメディ界を変え、娯楽の可能性の水準を引き上げた先駆者だとメディアに喧伝する。ヒトラーは自らを取り巻く状況が好機と判断し、新たな野望を成就させるべく再始動する。

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