チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ロング・トレイル!

ケン・クワピス監督作「ロング・トレイル!」("A Walk in the Woods" : 2015)[BD]

ひょんな事からアパラチアン・トレイルの踏破を決意した熟年紀行作家が、長らく疎遠となっていた旅仲間を引き連れて無謀な試みに挑み、旧交を温め、人生を見つめ直していく様を描くアドベンチャー・ドラマ作品。

 

かつて世界各地を旅して回り、紀行作家として成功を収めた熟年のビルは、長らく暮らした妻キャサリンの故郷ロンドンを離れて以後、ニューハンプシャー州ハノーヴァーの自宅で、キャサリン、息子、孫達と一緒に平穏な暮らしを送っていた。

四月のある日、ビルは同世代の友人の葬儀にキャサリンと共に参列する。俄に感傷に浸ったビルは、自宅の近所の森を通過するアパラチアン・トレイルに出向くと、南北およそ3500キロにも及ぶ工程の踏破に、衝動的に挑戦する意志を固める。キャサリンはビルが現役を退いて30年近く歩いていない事を憂慮し、無謀だと説くが、ビルは自然の探求こそが自らの原点だと主張し、揺るぎない決意を示す。

翌日、ビルは専門店を訪ね、テントやバッグを始めとする装備品一式をベテランスタッフに勧められるままに購入する。キャサリンは年寄りの挑戦がいかに危険か知らしめる情報を集めて、ビルに翻意を促すと共に、賛成する条件として同行者を見つける様に求める。ビルは知りうる限りの友人達に、トレイルへの同行を打診するが、いずれも断られる。程なく、40年も疎遠になっていた、破天荒な旅仲間スティーヴンがトレイルの話を聞きつけてビルに連絡を寄越し、同行の意向を示す。キャサリンはスティーヴンがトラブルメーカーであり、かつてビルと喧嘩別れした経緯を鑑みて反対する。

ビルとキャサリンは、デモインから小型機に乗ってやってきたスティーヴンを空港で出迎える。スティーヴンは足腰に不安を抱え、見るからに不健康そうな姿で現れる。ビルはスティーヴンを自宅に泊める。スティーヴンはビルに纏わる昔話をビルの家族に述懐する。

翌日、ビルはキャサリンの見送りを受け、スティーヴンと共にトレイルの始点があるジョージア州へと出発する。ホテルで一泊した後、ビル達はベストを尽くすという心意気を述べ、トレイルの一歩を踏み出すが、スティーヴンの足取りは重く、二人は後続の通行者に次々に先を越されていく。スティーヴンは初日にして音を上げる。程なくペースを掴み始めた二人は、昔話に花を咲かせながら歩き続ける。そんな折、一人でトレイルに挑んでいる中年女メアリーが休憩中の二人の前に現れ、装備品に茶々を入れ始める。メアリーは一人の方が楽だと言いながら、二人に付き纏って離れようとせず、朝から晩まで延々とおしゃべりを続ける。それに耐えかねたビル達は、メアリーより先に出発した後で岩場に隠れ、メアリーを追い越させる事でやり過ごす。ビル達はその足で車道に出てヒッチハイクし、レストランに入って食事を摂る。スティーヴンは車で事故を起こしたのを機に酒を断っている事を明かす。その後、二人はトレイルに復帰するが、間もなく山道で突然の猛吹雪に見舞われる。二人は風を避けてテントを張り、吹雪を耐え凌ぐ。翌朝、ビルはスティーヴンのバッグの中に酒瓶を見つける。

五月を迎え、二人はメイン州に入るが、川を渡る途中で転落して水に浸かるなど、悪戦苦闘する。スティーヴンは、成功して優雅に暮らすビルに対して、自らが警察の出頭命令を無視している現状を明かすと、そんな自分と旅をする目的や、人生が幸せかどうかについて問いかける。二人は程なく、そんな問いが無意味に思える程の絶景を目の当たりにし、息を呑む。ビルは好奇心を持つ事に楽しみを感じており、世界が知りたいのだと説く。

二人は熟年のジェニーが営むモーテルに宿泊する。ビルは自室にタオルが無い事に気付き、フロントに取りに行く。スティーヴンはビルとジェニーが親しげに談笑している様子を目撃すると、翌朝、その事でビルを冷やかす。スティーヴンはコインランドリーに居合わせた、自分好みの体型の婦人客ビューラの手助けをして、意気投合し、ディナーを共にする約束を取り付ける。ビルがモーテルに併設されたレストランで食事を摂っていると、そこにスティーヴンが血相を変えてやってくる。スティーヴンはビューラの夫に妻を口説いたとの廉で追われている事を明かし、直ちにモーテルを発つ様に哀願する。間もなく、バットを持った大男が激しい剣幕でモーテルに押しかける。ビル達は窓から脱出し、モーテルを離れる。

二人はトレイルに復帰し、程なくシェナンドー国立公園に入る。スティーヴンはビルが40年間、キャサリン一筋で他の女と一切関係を持っていない事を知って驚く。ある夜、二人のテントの傍に二頭のグリズリーが現れ、荷物を漁り始める。ビルはガイド本に従い、決死の覚悟でテントを使って自分を大きく見せる事で威嚇し、グリズリーを退ける。

六月に入り、二人には疲労が滲み始める。二人は大雨で逃げ込んだ小屋に描かれた地図を見て、全行程の半分にも達していない事を知り、意気消沈する。スティーヴンはレンタカーを使って、難所を越える事を提案する。ビルは一旦それに同意するも、直前になって翻意し、諦めたら意味が無く、やり遂げたいと主張する。スティーヴンは老いぼれに踏破できるはずが無く、現実を直視すべきだと説くと、ビルがいつも出身地のオハイオ州を伏せる理由を問い質す。ビルは反対にスティーヴンが酒瓶を隠している理由を問い質す。スティーヴンはビルの揺るがない決意に折れ、二人はトレイルに復帰する。スティーヴンはビルと共に最後の冒険がしたくて同行した事を明かす。

二人は熟練者コースの森に入る。間もなく、二人は車を使わなくて良かったと思える程の絶景を目の当たりにする。スティーヴンは禁酒が本当であり、酒瓶を隠していたわけでは無いのだと弁解すると、酒場通いを止めて以来、酒で埋めていた心の穴が空いたままとなり、人生の意義を問い続けている事を明かし、それでも飲んだら終わりだと考え、その決心を忘れない為に酒瓶を持ち歩いているのだと説く。スティーヴンはビルに酒瓶を開封させると、自分が禁酒できると思うか尋ねる。ビルは信じていると告げる。スティーヴンはそれを聞くと、酒を流し捨てる。

程なく、二人は崖際の道から滑落し、下の段差になっている部分に着地するものの、そこから身動きが取れなくなる。二人は上に登ろうと悪戦苦闘するが、徒労に終わり、夜を迎える。スティーヴンは刑務所に入っていた頃を思い出し、それに比べればトレイルが温泉旅行の様なものだと説く。ビルは四年半の間、他人の本の序文を書く仕事しかしておらず、キャサリンから引退を勧められている事を明かすと、病院と薬と葬式に明け暮れる晩年を嘆く。二人はそのまま朽ち果てる事への危惧を覚え、それぞれ妻と故郷への恋しさを吐露する。ビルはキャサリンへの愛情を直接言えなかった事を悔やむ。スティーヴンは書き残す様に促し、ビルは早速それをノートに認める。二人は再会が遅すぎた事を互いに後悔し、満点の星空を眺めて過ごす。

翌朝、上の道を青年二人組が通りがかり、ビル達を救助する。ビル達はトレイルに復帰するも疲労困憊は否めず、互いに踏破の断念を決意し、帰路に着く。ビルはデモイン行きのバスに乗るスティーヴンに再会を約束し、見送る。ビルが帰宅すると、キャサリンはビルを抱きしめて無事を喜ぶ。ビルは書斎で、スティーヴンがトレイルの途中で送ってきていた絵葉書の数々に目を通し、相好を崩すと、パソコンのワードを立ち上げ、「森の中を歩く」という新著のタイトルを記す。

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