チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。4年目。

手紙は憶えている

アトム・エゴヤン監督作「手紙は憶えている」("Remember" : 2015)[DVD]

認知症を患い、記憶を留めて置けないユダヤ人の老夫が、アウシュヴィッツで家族を殺した元ナチ親衛隊を見つけ出し、裁きを下すべく、手紙を記憶代わりにして奔走する様を描くドラマ・スリラー作品。

 

認知症を患う90歳のユダヤ人ゼヴは、妻ルースと共にニューヨークの老人ホームで暮らしていたが、眠ると記憶を失う程に症状が進行する。ルースが癌で亡くなると、ゼヴは更に混乱を来す様になり、ルースが先だった事さえも忘れてしまう。ルースの死から一週間後、喪に服す最後の日を迎える。ゼヴがホームで懇意にする、車椅子と酸素吸入器が欠かせないマックスは、ゼヴにはルース亡き後に決行する計画があり、ゼヴが覚えていられる様にそれを全て書き出してある事を明かす。その夜、葬儀を終えると、マックスは封筒に収めた手紙をゼブに手渡し、それを一人になって読む様に促す。封の中には数枚の便箋からなる手紙と共に、金とチケットが収められており、ゼヴは手紙に目を通すと、ハンドバッグにそれらを詰めてホームから抜け出す。手紙には、全ての手筈が整っており、指示通りに動いて、任務を果たす毎に線で消していく様に記されており、ゼヴはそれに従って、まずタクシーでペンシルベニア駅へ行き、クリーブランド行きの列車に乗る。翌朝、ゼヴの失踪に気付いた息子チャールズは、ホームの所長を通じて捜索警報を発令してもらう。

車内で眠り込んだゼヴは、目覚めると同時に記憶が無い事に当惑するが、手紙を読み返す事で任務を思い出す。ゼヴは駅で迎えの車に乗ると、ガンショップを訪ね、店主の勧めに従って小型拳銃のグロック17を購入する。ゼヴはその足で、マックスが予め手配したホテルにチェックインする。夜、マックスはゼヴの部屋に電話をかけ、指示通り進んでいる事を確認する。ゼヴは風呂でうたた寝して再び記憶を失うが、手紙を読み返す事で任務を思い出す。

終戦間近に数多くのナチス親衛隊が、死んだ捕虜の身分を盗んだという噂があり、ゼヴとマックスの家族を殺した、収容所の区画責任者の一人もまた、1940年代に米国へ移住し、「ルディ・コランダー」の名で生きているのだと言う。マックスはサイモン・ヴィーゼンタール・センターで当時移民した四人のコランダーを突き止めたものの、逮捕に至る証拠は見つかっていない。ゼヴの任務はその男、本名「オットー・ヴァリッシュ」を探し出し、裁きを下す事なのである。

翌日、ゼヴは一人目のルディ・コランダーの家を訪ねる。ゼヴは杖無しでは立てない男に拳銃を突きつけると、有無を言わさず窓際に立たせる。男はドイツ軍に所属していた事を認めるが、北アフリカに派遣されていた為にアウシュヴィッツの件は戦後まで知らなかったと弁解する。男は証拠を提示すると、同胞と所属部隊を誇りに思いながらも、ヒトラーが犯した恥ずべき事には関与していないと主張する。ゼヴはホテルに戻ると、最初のコランダーが人違いだった事をマックスに報せる。

次にゼヴはバスに乗り、友人に会うと称して国境を超えて、カナダの老人ホームで寝たきりで暮らす二人目のコランダーを訪ねる。ゼヴはその男がドイツ人であり、アウシュヴィッツにいた事を確認すると、拳銃を突きつけ、殺された家族に復讐を誓ったのだと説くが、身構えた男の左腕の囚人番号に目を見張る。男は同性愛者ゆえに収容されていた事を明かす。ゼヴは誤解を謝罪し、男に寄り添って慟哭する。ゼヴは再びバスに乗って帰国すると、アイダホ州ボイジーのホテルにチェックインする。

ゼヴはモールで着替えを買うと、タクシーに乗ってブルノーの町外れにある、三人目のコランダーの家を訪ねる。家主が留守の為、ゼヴは家の前でその帰りを待つ。程なく、コランダーの息子で州警察官のジョンが帰宅し、コランダーが三ヶ月前に死んだ事を明かす。二度の離婚を経て、犬と暮らす独身のジョンは、父を訪ねてはるばるやってきたゼヴを歓迎する。ゼヴは父が戦地品の収集家だった事を明かすと、売り残した収集品の数々、クリスタル・ナハト当時のナチスの旗や制服、我が闘争の初版本などを見せ、親譲りのナチ信奉者ぶりを露わにする。ジョンは父から聞いた昔話を誇らしげに嬉々として語ると、ゼヴに父と出会った経緯を尋ねる。ゼヴはアウシュヴィッツだと答える。ジョンは怪訝そうな面持ちで、父が開戦時10歳であり、陸軍の料理人だった事を明かす。ゼヴは人違いした事を詫びて帰ろうとするが、アウシュヴィッツに憧れを抱くジョンは話を聞かせて欲しいと慰留する。その時、ジョンはゼヴの左腕の囚人番号を目にする。ジョンはゼヴが忌むべきユダヤ人だと知り、その目的を悟って憤激すると、ゼヴを強引にソファに座らせて苛烈に詰問する。ゼヴはその剣幕に怯んで失禁する。ジョンは獰猛な犬を連れてきてゼヴにけしかける。ゼヴは咄嗟に手にした拳銃で犬を殺す。ジョンが憤慨して拳銃を手にしようとした瞬間、ゼヴはジョンを射殺する。

ゼヴはそのままシャワーを浴び、ベッドで眠り込む。程なく、目覚めたゼヴは再び記憶を失い、ジョンの死体を見つけて困惑するが、背広の手紙を読んで任務を思い出すと、マックスに連絡し、別人を殺した事を報せる。ゼヴは最後までやり遂げる意向を示す。

ゼヴは再びバスに乗り、ネバダ州リノに向かうが、到着した矢先に転倒して腕を負傷し、病院に搬送される。その際、ゼヴは記憶を失う。隣のベッドの患者の娘がゼヴの背広の手紙を見つけ、ゼヴはそれを読んでもらう事で任務を思い出す。ゼヴとマックスは、同じ収監区内の最後の生き残りとして、家族を殺したオットー・ヴァリッシュを見つけ出し、その手で裁くと誓い合ったのである。

その夜、ゼヴは病院を抜け出し、タクシーでサウス・レイク・タホに向かう。ゼヴはそこでホテルに泊まった際にカードで決済した為に足がつき、チャールズはゼヴの居場所を掴む。ゼヴは四人目にして最後のコライダーの家を訪ねる。コライダーの娘クリステンが応対すると、ゼヴはコライダーの知り合いと称して中に招かれる。クリステンはアウシュヴィッツ絡みの話だと悟ると、父は話したがらないはずだと説き、ゼヴの来訪を二階の父に伝えに行く。そこへクリステンの娘インガが降りてくる。ゼヴは居間のピアノで得意とするワーグナーを弾いて待つ。間もなく、男が降りてきて、ゼヴに声をかける。ゼヴは歳月を経ても変わらないその声を聞いて、探しているオットー・ヴァリッシュだと確信する。男は家族に話を聞かれるのを嫌い、ゼヴにテラスに出る様に促す。

男は正体を隠して久しく、人目を常に気にして生きている為に、時折独りになって本名を口にしては、本当の自分を確認している事を明かす。ゼヴは嘘をついて生きるのは本当の人生では無いと説く。男はゼヴがいずれ訪ねてくると思っていた事を明かすと、ゼヴを抱きしめ、懐かしむ。ゼヴはそれを払い除け、自分に触れるな、オットーと言い放つ。男はゼヴが自分をオットーと混濁している事に困惑を露わにする。ゼヴは自分の家族を殺したオットーだと訴えるが、男はゼヴの正気を疑う。ゼヴは思い出させてやると告げ、拳銃を取り出す。そこへチャールズが到着し、クリステンに事情を伝えて、テラスに駆け付け、銃を男に向けているゼヴを目の当たりにする。ゼヴは真実を話す様に男に命じる。男は家族を巻き込まない様に請う。ゼヴは家族にも聞かせる様に命じると、傍のインガに銃を向け、真実を話すか、家族を殺すかの選択を男に迫る。男はそれに屈し、捕虜では無く、ナチの親衛隊員の区画責任者であり、虐殺の当事者だった事を明かすと、本名をクニベルト・シュトルムと称する。ゼヴはそれが嘘だと指摘する。男はゼヴこそがオットーであり、共に区画責任者だった事を明かすと、左腕の囚人番号を示し、それがゼヴと連番になっているのが証拠だと説き、逃亡の唯一の方法として互いに彫った事を明かす。チャールズはゼヴに真偽を問い質す。ゼヴは狼狽し、でたらめだと説く。男はゼヴの名は「狼」から取ったもので、二人とも狼だという理由に因んでいるのだと説き、ゼヴに詰め寄る。ゼヴは男を射殺すると、「覚えている」と呟いた後、自らの頭を撃ち抜いて自殺する。

ニューヨークの老人ホームでは、ニュースを見て事件を知った入所者達が、ゼヴが認知症ゆえに犯行に及んだのだと考えて同情を寄せる。マックスはそれを否定し、ゼヴは自分で何をしたか分かっていると説くと、ゼヴが殺した男はクニベルト・シュトルム、ゼヴの本名はオットー・ヴァリッシュであり、二人が自分の家族を殺した事を明かして涙を流す。全てはマックスが復讐の為に仕組んだ計略だったのである。

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