チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち

ブリン・ヒル監督作「イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち」("In Your Eyes" : 2014)[DVD]

境遇も住む場所もまるで異なる二人の男女が、心を繋ぐ事で互いの五感を共有する事ができる様になり、苦悩を分かち合って親交を深めていく様を描くパラノーマル・ロマンス作品。

 

ニューメキシコ州の片田舎。鍵開けに長けるディランは、空き巣に入って逮捕され、服役した後、仮釈放となると、洗車の仕事で日銭を稼ぎながら、粗末な家で目的も無く孤独に暮らしていた。一方、ニューハンプシャー州エセックスレベッカは学生時代に講師に来た医師で、病院長のフィリップに見初められ、結婚した後、豪邸で何不自由無く暮らしていたが、同時に息苦しさをも感じていた。二人は、過去に数度、何処かの別人になった様な不可解な感覚に襲われる経験をしていたが、時間の経過と共にその事を忘れかけていた。

ある晩、ディランは行き付けのバーで、客の男から難癖を付けられ、ビリヤードのキューで殴られる。その頃、フィリップと一緒にパーティに出席していたレベッカは、突然、キューで殴られる感覚に襲われ、当惑する。フィリップは予てからその現象が、レベッカが母を亡くした直後に発症した精神疾患に起因する発作だと考えており、レベッカの身を案じる。

翌朝、ディランは車で職場へ向かう途中、丁度ブティックで下着を物色しているレベッカの感覚を共有し、同時にレベッカもまたディランの感覚を共有する。二人は互いに、相手が見ている景色が見え、聴こえる音、発している声、触感などを共有している事に気付く。二人は当惑しながらも、距離を超えて自在に交信できる様になった事を理解する。その夜、二人はそれぞれ帰宅した後で再び交信し、改めて自己紹介する。レベッカはキューで殴られた感覚や、刑務所で過ごした夜の感覚がディランのものだったのだと知り、ディランは20年前にそりで木に激突した感覚や、思春期の性的な感覚がレベッカのものであった事を知る。二人はこれまで度々経験してきた、誰かが一緒にいるという不可解な感覚に初めて納得する。

それ以降、二人は交信を繰り返す事で親交を深めていく。ディランは荒んだ生活に張り合いを取り戻し始め、保護観察官ギドンズにその変化を評価される。その矢先に、ディランは幼馴染の悪友ボーとライルに新たな強盗の儲け話を持ちかけられる。ディランは犯罪に関わる事に難色を示す。ボー達は仮釈放直後で金を必要としているディランの足元を見て、強盗への参加を強要する。

夜、ディランは行き付けのバーで意中のドナを見つける。レベッカは交信でそれを察知すると、ドナをデートに誘う様に唆す。ディランは焚き付けられるまま、ドナに声をかけ、手料理を馳走する事を約束する。約束の夜、ディランは不慣れな料理に奮闘する。レベッカは折り悪く、フィリップの資金集めパーティに同伴する。ディランはドナを家に招き入れて間もなく、キッチンでボヤを起こす。レベッカはパーティの席でその様子を見て動転し、またしても人前で騒ぎを起こしてしまう。レベッカはフィリップに促され、トイレに退くと、ディランの失態を非難する。ディランもまたトイレに退き、レベッカに反論する。ドナはディランが独り言を喚いている姿を見て、ドン引きして帰る。フィリップはレベッカを連れて帰途に就く。フィリップはパーティが台無しになった事への不満を露わにする。レベッカはなんとも説明し得ない脱皮の様な感覚だと訴え、理解を求める。レベッカはフィリップを慰謝する為にセックスに応じる。その後、レベッカはディランと交信し、和解する。

レベッカはディランに見せる為に物置で昔の写真を探すが、どこにも無い事に気付く。レベッカは、自分が母の写真を見ると精神状態が悪化すると考えたフィリップが、写真を捨てたのだと悟る。レベッカはディランにそれを伝えると、フィリップは自分にとって保護者であり、フィリップが面倒を見てくれたおかげで過去を忘れる事ができ、立ち直れたものの、それと引換えに自分が空っぽになってしまったのだと打ち明ける。ディランは金を無心する自分にうんざりして兄が離れていき、また逮捕されて以来、母は口を聞いてもくれない事を明かし、自分は人を必ず失望させるのだと嘆く。ディランはレベッカと繋がれる事が誇りに思えるのだと説くと、好意を伝える。レベッカとディランは共にベッドに横たわり、手を自らの体に這わせ、互いに性感を共有する。

程なくして、ディランは勤務中に常に独り言を話しているのが客に気味悪がられているという理由で、オーナーから解雇される。その後、ディランはバーで泥酔する。そこへボーとライルが現れ、改めて強盗への参加を強いる。ディランはそれを突っぱね、店主がボー達を追い払う。一方、レベッカもまた独り言が災いし、友人のダイアンから浮気しているのでは無いかと誤解される。ダイアンは浮気の件をフィリップに告げ口する。

レベッカは20年前にそりで怪我をした場所を訪ね、それをディランに見せる。レベッカは大学卒業後、フィリップとの婚約前に心を病み、治療を余儀なくされた事、病院のベッドで三ヶ月間寝たきりで過ごす内に感情を失くした事、フィリップがずっと寄り添って支えてくれた事を明かすと、今の自分があるのはフィリップのおかげなのだと説く。ディランは孤独の淵にいた自分を救ってくれたのはレベッカだと説く。レベッカはディランの思いを痛感しながらも、フィリップが必要であり、向き合わなければならないのだと訴える。ディランは人生で初めてリアルに感じたレベッカを諦められないと訴える。レベッカは一緒に生きる事はできないと応え、交信を断って決別する意向を示す。

途方に暮れたディランは、強盗への参加を検討し始める。ディランはバーでギボンズと遭遇し、解雇され、バーで騒ぎを起こし、更にボー達に狙われている事を戒められる。その時、ディランはレベッカが精神科病棟に強制入院させられる様子を感じ取る。ディランはフィリップの思惑を見抜き、レベッカの救出を決意する。フィリップは精神科医と結託し、薬を投与したレベッカを病室に軟禁し、休養を促す。

ディランは車を売って資金に換える。そこへボーとライルが現れ、バーでの意趣返しを図ろうとする。ディランはボー達を退け、車を奪って逃走する。ギボンズはディランの州外への脱走を察知し、警察に捜索を手配する。ディランは飛行機に乗ってニューハンプシャー州へ向かう。レベッカはディランに病院の場所を伝える。空港に到着したディランは、車を盗んで病院へ急ぐ。レベッカはディランの指示に従ってドアの鍵開けに成功し、病室を抜け出す。ディランはレベッカにカナダへの駆け落ちを提案する。ディランは追跡するパトカーを、廃車置場へ逃げ込む事でやり過ごすと、車を乗り捨てて、病院から程近い線路に向かう。レベッカはロビーで遭遇したフィリップを殴り飛ばして病院から脱出し、線路に向かう。間もなく、二人は線路を挟んで対面する。そこへ貨物車がやってくると、二人は開いたコンテナに飛び乗る。遂に出会えた二人は熱いキスを交わす。

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