チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

ギャヴィン・フッド監督作「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」("Eye in the Sky" : 2015)[BD]

英米ケニア当局が連携し、イスラム武装勢力の主要メンバーを捕獲する作戦が、期せずして無人機による殺害へと目的が変更され、法的・政治的判断に揺れる司令部とそれに翻弄される現場の苦悩を描くスリラー作品。

 

過激さを増すソマリアイスラム武装勢力アル・シャバブ」の排除を目論む英国軍当局は、英国及びケニア情報部のスパイとして西欧からの若者の勧誘を阻止していた情報屋がアル・シャバブの下部組織に処刑され、またアル・シャバブの主要メンバーにして、東アフリカ最重要指名手配犯リストの4、5番に名を連ねるアブドゥラ・アル・ハディと、英国籍の妻スーザン・ダンフォードが、ナイロビ郊外のアル・シャバブの協力者の家に潜伏しており、更にそこへ新たに国外で勧誘した米国人モハメド・アブディサラームと英国人ラシード・ハムードを招こうと企てている事を知る。英国軍常設総合司令部(PJHQ)司令官キャサリン・パウエル大佐の指揮の下、標的全員が家に入り次第、ケニア特殊部隊が突入して標的を捕獲し、これを米国空軍の無人機が上空から偵察支援するという、英・米・ケニアによる統合作戦「E作戦」を開始する。英国内閣府作戦会議室A(コブラ)には、国防副参謀長ベンソン中将、法務長官、閣外大臣、政務次官らが同席し、作戦に立ち会う。ネバダ州クリーチ空軍基地の無人機操縦室では、ワッツ中尉と新任のガーション上等航空兵が、現地上空を飛行するヘルファイア二発を搭載したリーパーの操縦任務に当たる。

作戦開始から程なく、空港から二名の男が協力者の家に到着する。現地で偵察活動を行う諜報員ジャマらが操る小鳥に偽装したカメラによる映像から、二人はアブディサラームとハムードと特定される。その後、二人はダンフォードらしき女と共に車に乗り、アル・シャバブの支配地域内の、市場から程近い民家に移動する。パウエルはケニア特殊部隊に女がダンフォードか否かの確認を要請する。それを受け、ジャマは商人を装って市場へ出向くと、虫に偽装した偵察用カメラを民家内部に送り込む。映像から女がダンフォードだと特定されると、パウエルはベンソンに連絡し、無人機による攻撃を打診する。ベンソンは閣外大臣に攻撃への許可を求める。政務次官は作戦の目的が標的の捕獲だと主張し、攻撃に反対する。法務長官もこれに同意し、標的を英国に連れ戻して裁判にかけるべきだと主張する。間もなく、同席している男がアル・ハディだと特定され、更に別室に大量の爆薬と自爆ベストが用意されているのが確認される。

パウエルは二人を一気に排除できる絶好の機会だと息巻く。ベンソンは攻撃の承認が下りない事から、捕獲で対応する様にパウエルに命じる。パウエルは交戦規定を拡大適用し、攻撃すべきだと進言する。ベンソンは法的に問題が無いという証明が必要だと説く。パウエルは軍の法務担当ウェッブ少佐をPJHQに呼び、法的認可を要請する。ウェッブは法務長官に判断を委ねるべきだと主張する。それを受け、ベンソンは法務長官に攻撃の許可を求める。法務長官は爆薬や自爆ベストが見つかったという、新たな状況を考慮して、攻撃に賛成する。閣外大臣は攻撃に難色を示し、政務次官は尚も反対する。法務長官は法的基準を満たしており、他に選択肢は無いと説く。政務次官は、交戦国では無い国に、英国が無人機による攻撃を仕掛けた経験が無い事実を盾に取る。パウエルは自爆用の爆薬を加味した被害予測の算出を、PJHQのサディク軍曹に命じると共に、ワッツに攻撃準備を命じる。ワッツとガーションは、共に初めての攻撃任務に戸惑いながらも準備を始める。

閣外大臣は攻撃可否の判断に悩んだ末に、外務大臣に相談する義務があると主張する。それを受け、シンガポールを訪問中の外務大臣に急遽報せが届く。事情を把握した外務大臣は、米国の国務長官の許可を直ちに求める様に命じる。中国訪問中の米国国務長官は大使経由で報せを受けると、英国の攻撃を全面的に支持する意向を示す。それを以って、閣外大臣は攻撃を許可する。パウエルはベンソンから通知を受けると、ワッツにミサイルの発射を命じる。ワッツとガーションは指示書に従い、標的をロックし、周辺状況を確認する。ワッツが発射ボタンに手を掛けようとしたその時、隣家に住む少女がミサイルの着弾点となる民家と塀一枚隔てた場所でパンを売り始める。ワッツは少女を含めたCDE(付随的損害予測)の再考をパウエルに要請する。パウエルは直ちに攻撃するよう命じるが、ワッツはそれに応じず、再考を求め、攻撃を保留する。やむを得ず、パウエルはサディクにCDEの再考を命じると共に、ジャマにパンを買い取りに行かせる。ジャマは少女からパンを全て買い取り、立ち去ろうとした矢先に、アル・シャバブの一人に面が割れる。ジャマは命からがら逃走し、やや離れた場所に身を隠す。少女はジャマが捨てたパンを再び売り始める。

再考後のCDEが損害確率最大65%と算出されると、コブラでは少女の存在が作戦の合法性に与える影響を巡って紛糾し、法務長官は再び攻撃反対に転じる。米国国家安全保障会議の上級法律顧問は、米国の合法性の判断基準では攻撃しない手は無いと助言する。政務次官は猛然と反対するが、ベンソンは攻撃せねば、80人にも及ぶ自爆テロ被害を見逃す事になると説く。外務大臣は少女の死が自らの責任問題に発展する可能性を危惧し、首相の許可を求めるべきだと主張する。それを受け、ストラスブールに訪問中の首相に判断が委ねられる。

間もなく、虫カメラのバッテリーが切れ、映像が途絶える。パウエルはCDE50%以下なら問題無いかとベンソンに打診すると、サディクに着弾点の調整で少女のいる場所を50%以下に低減する様に命じる。首相はCDEをできるだけ下げる様にと伝えてくる。新たに補正されたCDEでも45~65%と算出される。パウエルは攻撃しなければならないのだとサディクを説き伏せると、少女のいる場所が45%に収まるという希望的観測をベンソンに伝える。ベンソンは閣外大臣に攻撃可否の最終判断を仰ぎ、閣外大臣はこれを許可する。パウエルは再考したCDEをワッツに伝え、改めて攻撃を命じる。一方、現場から遠ざかった為に事情が判らないジャマは、近所で遊んでいる少年にパンの買い取りを依頼する。

ワッツは手順に従って、ミサイルを発射する。その直後、少年が少女からパンを全て買い上げて走り去る。少女は帰り支度を始める。作戦に臨む面々はその様子を固唾を呑んで見守る。少女が歩き始めた直後、ミサイルは民家に着弾する。民家は木っ端微塵となり、少女は爆風で吹き飛ぶ。無人機の映像から、瓦礫の中にハムードとアブドゥラの遺体が確認されるが、ダンフォードの生存が判明する。パウエルはワッツに再攻撃を命じ、ワッツはそれに応じる。

隣家から飛び出してきた両親が路上に倒れた少女に駆け寄る。その背後にミサイルが着弾し、爆風が生じる。PJHQとコブラは重苦しい空気に包まれる。両親は駆け付けたアル・シャバブの車両に助けを求め、少女を病院へ搬送する。ワッツとガーションは悲しみの余り、涙する。上空からの映像でダンフォードの死が確認される。パウエルはコブラに任務完了を伝えると、サディクに対して他に方法は無かったと説き、報告書にはCDEを45%と書く様に命じる。

コブラにはベンソンと政務次官の二人が残る。政務次官は安全な場所から殺害を行う、恥ずべき作戦だったとベンソンを非難する。ベンソンは過去にテロによる爆破直後の現場処理に当たった経験に基づき、その惨状は今回の攻撃よりももっと恐ろしいものだった事を明かすと、戦争の代償を知らないなどと決して軍人に言ってはならないと厳かに説諭する。政務次官は抗しきれずに涙する。

パウエル、ベンソンはそれぞれの帰途に就く。ワッツとガーションはやりきれない気持ちを抱えたまま操縦室を出る。直属の上官ウォルシュ大佐は二人の労をねぎらうと、帰って休む様に命じる。一方、少女は病院に到着して間もなく命を落とす。両親は少女に抱きつき、慟哭する。

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