チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

アナザー

ジョアン・スファール監督作「アナザー」("La Dame dans l'auto avec des lunettes et un fusil" : 2015)[DVD]

秘書の女が、社長から回送を命じられた車を勝手に乗り回して遊びに出かけた先で、不可解な事件に巻き込まれていく様を描くスリラー作品。

 

1972年8月、パリ。広告会社で秘書を務めるダニーはやや社交性に乏しく、理想と現実の違いに悩む若い女。ある日、社長のミシェルは大量の資料の清書をダニーに内密に依頼し、翌日のジュネーブへの出張に間に合わせる為に自らの家で作業するよう求める。ダニーは海に行くと書き置きし、ミシェルと共にオフィスを出る。ダニーが着替えを取りに自宅に寄ると、ミシェルは電話を借りる為に同行する。その際、ダニーは自宅にコートを忘れる。ミシェルの家に到着すると、ダニーはかつての親友で、ミシェルの妻のアニタと数年ぶりに再会する。ダニーは早速、書斎のタイプライターで書類の清書に取り掛かる。夕方、アニタはダニーの夕食を用意すると、三歳の娘シルヴィーを祖母に預けて、ミシェルとパーティに出かける。夜更け過ぎ、ダニーはソファで仮眠を取る。程なく、帰宅したミシェルは、残りの作業を朝に回して休む様にダニーに促す。

翌朝、ダニーが作業を終えると、ミシェルはダニーに空港まで同行した後、車を自宅へ回送するよう頼む。ダニーは緑色のサンダーバードを見て怖気づくが、ミシェル達を空港で見送ると、高級車を乗り回せる事に気を良くし、これまで一度も見たことの無い海を見に行く為に、パリへは戻らず、南へ向かう。道中、ダニーは経営者を装ってブティックで服を買う。そこへカフェを営む女が寄ってきて、今朝方、店にコートを忘れていったと伝える。ダニーは人違いだと答えるが、女はダニーからランプが壊れているという話を聞いた事を明かし、確認するよう求める。ダニーは意に介さず、休み明けに車を返せば気付かれやしないと自分に言い聞かせ、更に南へ向かう。

ダニーは給油所に寄ってカフェで休憩する。ダニーは併設されたトイレで何者かに背後から襲われ、押さえつけられ、足蹴にされた上、左手首をドアで挟まれて怪我する。ダニーの悲鳴を聞いて駆け付けた従業員達は、ダニーを介抱するが、ダニーの後からトイレに入った者を誰も見ていないと主張する。ダニーは傷を見せて被害を訴えるが、従業員は昨夜、ダニーがブレーキランプの修理に訪れた時には既に左手に包帯をしていたと指摘し、誂っているのかと詰る。ダニーは別人と勘違いしているのでは無いかと質すが、従業員は一際派手な車である事から勘違いの可能性を否定する。ダニーは医者を呼んで傷の手当をしてもらうと、不可解に思いながらも給油所から走り去る。

ダニーは人気のない夜道で停車し、眠り込む。そこに警官が現れ、昨日は点いていなかったブレーキランプを修理したのかと尋ねる。ダニーはホテルに泊まった後、モンテカルロに行く意向を示す。警官はダニーを最寄りのホテルへと誘導する。ダニーは初対面のはずなのに警官が自分を知っている事に狼狽え、夢を見ているのでは無いかと考え始める。ダニーは海に行くのを諦めて、一泊した後でパリに戻る事を決意する。

ホテルの台帳から、ダニーが前夜に宿泊していた事が判明する。しかし、ダニーはそのサインの筆跡が自分と違う事に気付く。 ダニーはそこで馴れ馴れしく話しかけてきた、ジョルジュと称する男の相手をする。ジョルジュはマルセイユから船でギニアへ向かう意向を示し、車への同乗を請う。ダニーは一連の不可解な出来事をジョルジュに打ち明ける。ジョルジュはそれが何某かの罠であり、誂われている可能性を指摘すると、言葉巧みにダニーを誑かしてセックスに持ち込む。

翌朝、ダニーはジョルジュの財布を覗き見し、身分証からジョルジュが偽名であり、またチケットから本当の行き先がカイロだと知る。ダニーはそれを伏せたまま、ジョルジュの運転でマルセイユに向かう。ジョルジュは途中で車を停めると、ダニーを近くに流れる川岸へと連れ出す。ジョルジュは煙草を取りに行くと告げて車に戻る。ダニーはジョルジュが一向に戻ってこない為に様子を見に行き、車を盗まれた事に気付く。

ダニーは通りがかった車に最寄りの給油所まで送ってもらうと、トラックの運転手に頼んで、無線を通じて仲間に緑のサンダーバードを捜してもらう。間もなく、ヴィルフランシュでそれらしき車が走行しているとの報せが入り、ダニーはトラックでヴィルフランシュまで送ってもらう。ダニーは海沿いの路肩に放置されたサンダーバードを発見する。そこへ少年がやってきて、後ろに誰かが乗っていると指摘する。ダニーはトランクを開け、その中にブランケットで覆われた死体を見つける。当惑したダニーは死体を乗せたままその場から走り去るが、道中で一度開けた時には空だったトランクに、いつの間に死体が入ったのか見当もつかず、いよいよ虚実の境が分からなくなる。間もなく、ジョルジュがバイクに乗って現れ、ダニーを人気のない船着き場へと誘導する。

ジョルジュはトランクの死体について問い質す。ダニーは社長の車を勝手に乗り回しているだけだと弁解すると、ホテルで寝ている間に死体を乗せたのでは無いかと疑う。ジョルジュはトランクの死体が死んでから時間が経過していると指摘すると、自らの関与を否定し、知り合いに車を売るために盗んだ事を明かす。ダニーはトランクが最初は空だった事から社長の関与も否定する。ジョルジュはトランクの中の猟銃を持ち出し、ダニーがそれで殺したのでは無いかと疑うが、ダニーはそれを否定する。ジョルジュは死体を担ぎ出すと、それを忘れて一緒にカイロに行くよう誘うが、死体のブランケットに忍ばせてあったメモを見て激昂し、ダニーを殴り飛ばして昏倒させる。

夜更け過ぎに目覚めたダニーは、傍に捨てられたメモを見つける。そこにはダニーのサイン入りで、「連れて行って、あなたなしでは生きていけない」と記されており、ダニーは何者かが自分に成り済ましているのだと悟る。ダニーは傍に倒れているジョルジュに気付かず、猟銃を持ったまま、最寄りの公衆電話まで行くと、アニタに連絡して事情を伝え、助けを求める。アニタはアンティーブに友達の家がある事を伝え、そこで迎えを待つ様に命じる。

ダニーはその家に辿り着くと、猟銃を携えたまま、アニタの指示通りに家の中に入る。ダニーは無人で真っ暗な屋内の床に、自分が自宅に置き忘れてきたはずのコートを見つける。ダニーは自分の成り済ましがいる事への疑いを強めるも、南へ行くという思いつきの行動をどうやって先回りしているのか測りかねる。そこへミシェルが背後から忍び寄り、羽交い締めにしてダニーに薬を飲ませようとする。ダニーが必死に抵抗すると、ミシェルはダニーの首を絞めつけながら、事の真相を打ち明ける。

数日前、アニタは酔いつぶれた拍子に知人の男コーブと浮気をした。コーブは夫に浮気の写真を送るとアニタを脅した。ミシェルはそれを知っても、アニタを見放そうとは思わず、完璧な偽装殺人を計画した。ミシェルは一昨晩の内にコーブの死体をその家で殺した様に装った後、アニタマルセイユで合流すると、アニタをダニーそっくりに仕立て上げ、その際に左手に包帯を巻く事で、コーブのサンダーバードと合わせて人々の記憶に残る様に計らった。ダニーに扮したアニタは、サンダーバードに乗ってパリに向かう途中、給油所でランプを修理した。ミシェルは先回りして、アニタと一緒に帰宅した様にダニーの前で芝居を打った。ミシェルはジュネーブには行かず、ダニーを尾行して毒殺した後、コーブの死体と一緒に捨てる事で、ダニーがコーブを殺して自殺した様に見せかけるつもりだった。しかし、ダニーはパリには戻らず、偶然にもアニタが通った道を、導かれる様に反対に進んだ。ミシェルはダニーを給油所のトイレで襲った直後に、コーブの死体をトランクに乗せたのだった。

ダニーはミシェルを猟銃で射殺する。間もなく、夜明けが訪れる。ダニーは階段で海岸に降りると、解放感に浸り、初めての海に飛び込む。

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