チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ある戦争

ビアス・リンホルム監督作「ある戦争」("Krigen" : 2015)[DVD]

アフガニスタンで活動するデンマーク軍の部隊長が、巡視中に敵の襲撃を受けた際に標的確認を行わずに爆撃要請を行った為に、民間人殺害を招いた廉で起訴され、その判断の是非を巡って法廷で争う様を描く戦争ドラマ作品。

 

アフガニスタン、ヘルマンド州で治安維持活動を担うISAFデンマーク軍部隊は、隊長クラウスの指揮の下、タリバンから地元住民を守るべく、日々精励していた。一方、クラウスの妻マリアは三人の子供達を一手に抱え、多忙の日々を送っていた。子供達はクラウスの不在を寂しがっており、マリアは学校で問題行動を起こすなど反抗的に振る舞う長男ユリウスへの対応や、片時も目を離せない幼い次男エリオットの世話に苦慮していた。

ある日、部隊の巡視活動の最中に若い兵士アナスが地雷で命を落とす。兵士達は意気消沈し、任務への疑念を抱き始める者が現れる。クラウスは自らが巡視に加わる事を決意すると、任務の意義を兵士達に説諭する。巡視に参加していたラースは、直前にアナスと持ち場を代わった事への自責の念に苛まれ、一際動揺が激しく、クラウスに家に帰りたいと哀願する。クラウスはその心情を慮り、ラースを一時的に現場から外し、基地内の仕事に回す事で落ち着かせる。

クラウスは部隊を率いて巡視活動に出かける。部隊が小さな村に立ち寄ると、そこで暮らす男が火傷した娘を助けて欲しいと訴えてくる。クラウスはそれに応じ、部下に男の娘の傷を処置させると、悪化したら基地に来るよう男に伝える。しばしの間、部隊はタリバンと遭遇せず、任務の合間に住民達と交流するなどして平穏な時を過ごす。クラウスは定期的に家族と連絡を取る事を楽しみにするものの、その一方で働き詰めで心労を募らせていく。副隊長で親友のナジブはクラウスの心情を慮り、隊長が現場に出る事に否定的な見解を示す。

程なく、かつてクラウス達が助けた男が家族を連れて基地にやってくる。男はクラウスに、部隊が日中に巡視を行ってもタリバンは夜中に来るのだと訴え、部隊との関わりを知られた事でタリバンに共に戦う様に脅された事を明かし、助けを求める。クラウスは明日、村に行ってタリバンを追い払う意向を示し、とりあえず村に戻るよう促すが、男は今夜もタリバンが来る事を恐れ、子供達だけでも助けて欲しいと哀願する。クラウスはそれに応じず、明日タリバンを掃討しに行くと約束し、男を帰らせる。

翌日、クラウスは部隊を率いて村に男の家族を訪ねるが、家の中で全員が射殺された惨状を目の当たりにする。その直後、村の外からタリバンが襲撃を開始する。クラウス達は村を囲む壁に阻まれて敵を目視できず、防戦を強いられる。その最中、ラッセが首に被弾し、致命傷を負う。クラウスは、救急ヘリの着陸場所を確保する為に、敵の猛攻を排除する必要に迫られる。そうこうしている内に、ラッセは瀕死状態に陥る。クラウスは本部に上空援護を要請するよう、通信兵ヤンセンに命じる。ヤンセンはそれには敵の存在確認が必須だと説くが、クラウスは直ちに敵を見たと伝えるよう強要する。ヤンセンはそれに応じ、敵がいるであろう地区の座標を本部に伝える。間もなく、その地区に爆撃が行われ、敵の攻撃が収束すると、救急ヘリが到着し、ラッセを基地へ搬送する。その後、ラッセはイギリスに送られ、外科処置を受けた後、一命を取り留める。ラッセは病室から部隊にビデオメッセージを送り、クラウスに心から謝意を示す。部隊はラッセが助かった事に歓喜する。

程なく、基地に司令官が法務官を連れ、クラウスの尋問にやってくる。司令官はクラウスの攻撃命令により、民間人が死んだ件について起訴する可能性を伝える。クラウスは敵と遭遇した為だと答える。司令官は現場にいた隊員達にも尋問を行った後、民間人を攻撃の標的にし、11人が死んだ件でクラウスを起訴すると、クラウスに帰国を命じる。

突然帰国する事になったクラウスをマリアと子供達が空港で迎え、久しぶりの再会を喜ぶ。帰宅後、クラウスはマリアに帰国の理由を打ち明ける。クラウスはマリアと共に担当の弁護士マーティンの元を訪ねる。マーティンは、クラウスの指示した地区が軍事標的だったのか否か、敵の存在確認を行ったのか否かが争点であり、民間人殺害の罪に問われれば最長で懲役四年に処される見込みを示す。マーティンは当該地区が実際には市民の居住地域であり、それが爆撃で破壊された事を明かすが、敵の存在確認を行ったと明言できるなら勝算は十分にあると説く。それを受け、クラウスは嘘を付く事を嫌い、責任を取る意向をマリアに示す。マリアはそれに反対し、子供達には父親が必要だと哀願する。

クラウスは苦悩の末に出廷し、審理に臨む。マーティンはまず、証拠として提出された写真の信頼性に疑義を呈す。法務官リスベットはそれらが証拠として問題無いと軍警察が認めていると反論する。リスベットは証拠品の一つ、隊員のヘルメットのカメラ映像に記録されたやり取りを元に、クラウスには根本的な判断基準や法遵守の精神が欠如していると指摘する。次にリスベットは、爆撃後の当該地区の様子を捉えた写真に映った、無残に殺された子供達の姿を示す。一方、クラウスは当時の自らが置かれた状況を説明し、自らが軍事標的だと確認した覚えは無いが、そう報告を受けたと主張する。リスベットはカメラの映像との矛盾を指摘する。クラウスは上空援護がラッセを救う唯一の手段で、自分には支援を要請する義務があったのであり、報告を受けて爆撃を指示したが子供がいたのは誤算だったと主張する。

その後の審理で証人として呼ばれた隊員達は、敵対行為を見ていないと証言する。リスベットは証人として呼んだナジブに対し、供述書の中でクラウスの判断能力に疑問を呈している事について問い質す。ナジブはそれが親友に対する心配だと説くと、クラウスが最高の軍人であり、その役目は隊員の安全を守る事だと主張するが、その一方で現場では無く、基地にいるべきだったと付言する。

最後の証人として呼ばれたヤンセンは、クラウスの判断に理解を示し、当該地区で銃口の光が見えたと自らがクラウスに報せた事を明かす。リスベットはそれがカメラの映像のやり取りでは確認できない理由を問い質すが、ヤンセンはその隊員が近くにいなかったからだと答える。リスベットは事件から数日後のヤンセンの供述書と一致しない事、起訴から六ヶ月も経ってそれほど重要な情報を提供しなかった事に強い疑義を呈す。ヤンセンは誰にも尋ねられなかったからだと答える。

リスベットはヤンセンの主張を事実として受け入れず、カメラの映像を重要視する立場から論告に臨むと、クラウスの立場には同情の余地があり、また軍人には一定の自由裁量権があるものの、法律の遵守は絶対的だと説き、民間人の命を軽んじている一方で故意による殺害では無い事を考慮し、最高刑の懲役四年相当の実刑を求める。一方、マーティンは起訴する側に明確な有罪の証拠を説明する責任があると説くと、ヤンセンの証言を重要視する立場から、クラウスに無罪を求める。これをもって審理は閉廷する。

クラウスは家族と穏やかに過ごしながら評決の日を待つ。程なく、クラウスは評決の日を迎える。マリアや隊員達が傍聴席で固唾を呑んで見守る中、裁判長はクラウスの行動が理解に足るものだったと認め、無罪を言い渡す。隊員達は喜びに沸き、クラウスはマリアと抱き合った後、帰路に着く。クラウスはユリウスにもう離れないと約束する。その夜、クラウスは庭で一人佇み、思慮を巡らせる。

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