チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

沈黙 -サイレンス-

マーティン・スコセッシ監督作「沈黙 -サイレンス-」("Silence" : 2016)[BD]

消息を絶った恩師を捜す為に日本を訪ねた二人の若き神父が、奉行所による切支丹に対する猛烈な迫害と弾圧を経験しながらも、命懸けで信仰の礎を守らんとする様を描く歴史ドラマ作品。

 

マカオの聖パウロ学院長ヴァリニャーノの元へ、日本で布教活動を行っているイエズス会の神父フェレイラの1633年付の手紙が、数年を経てオランダ人貿易商によって届けられる。その中で、フェレイラは日本における切支丹に対する迫害と弾圧が凄惨を極めており、長崎奉行が司祭や修道士らを拷問にかけてまで棄教を迫っている事から、布教の礎が潰えかねない実態を伝える。ヴァリニャーノはポルトガルからやってきた若き神父ロドリゴとガルペに、日本における布教活動の惨状と共に、現在のフェレイラの消息が不明であり、棄教して日本人として暮らしているらしい事を伝える。ロドリゴとガルペは恩師フェレイラの棄教が信じられず、捜しに行くべきだと訴え、日本に渡る許可を求める。ヴァリニャーノは島原で数万人の信徒が斬首されている事から危険だと説くが、その熱意を汲み、二人を日本に渡る最後の神父として認める。

1640年5月、ロドリゴ達はマカオにいる唯一の日本人だというキチジローと出会う。長崎の漁師キチジローは漂流中にポルトガル人に助けられ、帰国を切望しており、また英語も話せる事から、ロドリゴ達はキチジローに案内役を任せようと考える。キチジローは自らが切支丹では無いと主張すると同時に、家族がいる長崎へ連れ帰って欲しいと哀願する。ロドリゴ達はキチジローを連れて中国の密航船で日本に渡る。上陸直後、キチジローは海岸から程近い場所にあるトモギ村の切支丹達を連れてくる。長のイチゾウ率いる信徒達はロドリゴ達を歓迎すると、密かに礼拝を続けながら信仰を保っている事、長崎奉行の井上が銀と引き換えに司祭や信徒の密告を奨励しており、皆がそれを恐れている事を明かす。ロドリゴはトモギ村の信徒達の信仰心の強さに圧倒されると共に、自分達が日本に来た事を他の村の信徒達にも報せるべきだと主張する。

その後、ロドリゴとガルペは、隠れ家として用意された山奥の炭焼き小屋に日中身を潜めながら、夜は村まで下って司祭の務めを果たす日々を送るが、次第に小屋に篭り続ける事に苛立ちを募らせ始める。そんな折、二人の男が小屋にやってくる。キチジローから聞いて、五島の祈りを唱えるだけの村からやってきたというその二人は、キチジローが元々は信徒であり、八年前に井上の前で信仰を否定しながらも今でも神を信じている事を明かす。ロドリゴ達は五島に赴く事を決意するが、イチゾウ達は一人は留まるよう求めた為、ロドリゴだけが舟で五島に渡る。キチジローを含む五島の村人達はロドリゴを歓迎する。ロドリゴが司祭の務めを始めると、他の村の信徒達が続々と集い始める。ロドリゴはその中で迫害前にフェレイラと長崎の近くで会ったという男と出会う。ロドリゴはキチジローに信仰の否定について尋ねる。キチジローは生きる為に踏み絵に応じたものの、家族は皆拒んだ為に焼き殺された事、ロドリゴ達に会って再び神に迎え入れられると思った事を明かす。ロドリゴはキチジローの告解に応じる。ロドリゴは五島での活動とキチジローの信仰の再生に役立てた事に、神父としての手応えを得ると、トモギ村に戻る。

時を同じくして、切支丹が潜んでいるという訴えを聞いた長崎奉行所の役人達が村に押しかけ、三日以内に沙汰が無ければイチゾウ、モキチを含む四人を人質にして長崎に引っ立てる意向を示す。ロドリゴ達は自分達が名乗り出る意向を示すが、モキチは我が身がどうなろうとも留まって欲しいと二人に請う。一方、信徒の中にはロドリゴ達が出ていくべきだと主張する者も現れ、紛糾する。イチゾウは二人を守る決意を示すと、人質を志願する者を募る。信徒達は部外者のキチジローに人質になるよう強要する。モキチは踏み絵を強いられた際の対処法をロドリゴ達に尋ねる。ロドリゴは躊躇せず応じるよう促すが、ガルペはそれに反対する。モキチは自作した手掘りの小さな十字架をロドリゴに託す。ロドリゴはモキチの信仰が自分に強さを与えてくれるのだと説くと同時に、神がこれほど信仰心の強いモキチ達をも苦しませるその真意を測りかねる。期限を迎え、奉行所の役人は四人の人質達に踏み絵を迫る。四人はロドリゴの命令に従い、粛々と踏み絵に応じる。役人は四人が欺いていると判断すると、次に十字架を持ち出し、それに唾を吐くよう命じる。キチジローのみがそれに応じて村を後にするが、それ以外の三人は命令を拒む。三人は海岸に磔にされ、終日荒波に曝され続ける。信徒達は海岸の傍に集い、またロドリゴとガルペは離れた場所に潜み、為す術無く見守る。数日の後に息絶えた三人の遺体は焼却され、崇められぬよう遺灰は海に捨てられる。ロドリゴは神が尚も沈黙を保つ事に疑義を呈す。

ロドリゴ達は奉行所が山狩りを始めると知り、それぞれ別行動する事を決意し、ガルペは平戸へ、ロドリゴは五島へ向かう。ロドリゴは荒れ果ててもぬけの殻と化した村を目の当たりにすると、神の沈黙を恐れる余り、心に迷いを抱き始める。程なく、ロドリゴは島を彷徨う途中でキチジローと遭遇する。キチジローは衰弱したロドリゴを介抱すると、自らがとても弱い存在であり、他に行くところが無いと嘆く。ロドリゴはキチジローの告解に応じる。キチジローは渇きを訴えるロドリゴを川に導く。ロドリゴはキチジローが銀と引き換えに連れてきた役人に捕らえらえる。ロドリゴは洗礼名モニカとジュアンら五人の捕まった信徒らの元へ連行される。そこへ井上筑後守が現れ、信徒らに過ちを悔い改める思案の暇を与える意向を示して解放すると、ロドリゴに信仰を否定すれば五人を救えると説く。その後、ロドリゴは牢屋に入れられる。そこへ通辞役の男が現れ、神父達が穴吊りと称される拷問を受けた末に棄教している事、その内の一人フェレイラは日本名を持ち、日本人の妻子と共に暮らしている事を明かし、ロドリゴにも棄教を促す。

ロドリゴ長崎奉行所に連行される。ロドリゴは信徒とは異なる新しい牢屋で三食付きの生活が用意され、囚われの信徒達に司祭としての務めを果たしながら穏やかな日々を送る。程なく、ロドリゴは井上立ち会いの下で役人による尋問に臨む。役人はロドリゴの立場に理解を示しながらも、キリスト教が日本では無益で危険な教えだと諭すが、ロドリゴは棄教を明確に否定する。ある日、奉行所に侵入したキチジローは、ロドリゴに対し、脅されたのであって裏切ったのでは無いと訴える。キチジローは自らを切支丹だと主張し、信徒らの牢屋に入れられる。キチジローは迫害の時代に生まれてきた事を嘆き、ロドリゴに再度の告解を哀願する。ロドリゴはキチジローを憐れみながらも、告解に応じる。その後、奉行所の役人はロドリゴの牢屋の前で、モニカら信徒五人に対して踏み絵を迫る。役人はそれが形跡的な儀式に過ぎないと唆すが、五人はそれに応じず、見せしめにジョアンが斬首される。ロドリゴは激しい衝撃を受ける。役人はキチジローを連行すると、踏み絵の手本を見せるよう強要する。キチジローはそれに応じて奉行所を後にする。

数日後、ロドリゴは再び井上と面会する。井上はキリスト教を禁じる理由を説くが、ロドリゴはそれに真っ向から反論する。その後、ロドリゴは海を一望できる高台に連行される。間もなく、浜辺にモニカら信徒四人とガルペが連行されてくる。通辞はガルペにロドリゴが棄教して生き延びたと伝えている事を明かす。役人達は四人を舟に乗せて海へ運ぶと、ガルペに棄教を迫るが、ガルペはそれを拒み、自らを身代わりにするよう要求する。ロドリゴは通辞に四人を助けてやるよう哀願するが、通辞は信徒の手本たる司祭の棄教が必要だと説く。四人は役人の手で海に突き落とされ、沈められる。ガルペは泳いで助けに行くが、信徒達と共に沈んで命を落とす。通辞は信徒に苦しみを押し付け、身勝手な夢で日本を罰しているのはロドリゴ達なのだと説き伏せる。ロドリゴは悲しみに打ちひしがれ、尚も沈黙を保つ神に対して疑義を呈す。

程なく、ロドリゴ奉行所から連れ出され、井上の計らいによって寺でフェレイラと対面する。棄教したフェレイラは井上の命令により、その寺で医学と天文学を学びながら、充実した暮らしを送っている事を明かすと、日本の役に立てるのが満足だと説く。通辞はフェレイラが沢野という名を持ち、キリスト教の不正を示し、デウスの教えに反証する「顕偽録」を著している事を明かす。ロドリゴは拷問より残酷だと非難するが、通辞は人の心に干渉せぬようロドリゴに諭す。フェレイラは穴吊りの際に切られた血液滴下用の切開痕を見せ、井上の前で踏み絵に応じた夜を述懐すると、ロドリゴに棄教を勧める。通辞は井上が理解者であり、穴吊りを止めてくれるはずだと説き、ロドリゴに棄教を促す。フェレイラは15年布教活動に従事した経験に基づき、日本人はキリスト教の神の概念を理解できず、教えは根付かないのだと諭す。ロドリゴはそれに反論し、自らが出会った信仰に燃えていた者達は無の為に死んだのでは無いと主張する。フェレイラは彼らがロドリゴの為に死んだのだと説く。ロドリゴはフェレイラを痛罵し、もう神父では無いと言い放つ。フェレイラは死刑にされた男から継いだ日本名と妻子がいると答え、その場を後にする。通辞はロドリゴに対し、フェレイラに倣って仁慈の道を進むよう諭すが、ロドリゴは穴吊りに応じる意向を示す。その夜、ロドリゴの目の前で五人の信徒達の穴吊りが実行される。ロドリゴはひたすら神に祈りを捧げ、五人に棄教するよう命じる。通辞は五人が既に棄教している事を明かす。フェレイラは神では無く、ロドリゴだけが五人を救えるのだと説き、踏み絵を迫る。通辞はただの形式だと唆す。激しい葛藤の末に、ロドリゴは心に囁きかける神の声に従って踏み絵に応じ、慟哭する。井上はその様子を見届ける。

その後、ロドリゴは井上の要請に応じて、フェレイラと共に民家におけるキリスト教に関わる禁制品の捜索に協力する。フェレイラが死ぬと、ロドリゴはその職務を引き継ぎ、日本での暮らしに平安を見出す。その後、ロドリゴは江戸で死んだ岡田という男の名と、その妻子を受け継ぎ、江戸に移り住む。井上はロドリゴに何度も棄教の証文を書くように求め、ロドリゴは躊躇なくそれに応じる。ロドリゴは召使として交際を続けるキチジローに謝意を示す。キチジローはロドリゴ、家族、主への裏切りに対する悔悟を示し、告解を哀願する。ロドリゴは棄教した手前、それを拒むが、抗しきれずに応じる。ロドリゴは沈黙の中に神の声を聞き、これまで神が自分と共に苦しんでいたのだと悟る。

時を経て、奉行所による定期的な棄教の取り調べの際に、キチジローのお守りの中に聖画が描かれた札が見つかる。キチジローは弁解するが、役人に連れ去られ、それ以降、ロドリゴに対する監視が強まる。やがて、年老いロドリゴは終ぞ棄教を維持したまま物故する。役人は葬儀の際にも棺が運び出されるまで監視を徹底する。唯一遺体に触れる事が許された妻は、納棺の際に邪気を払う為の守り刀を遺体の胸元に置く。仏教の習慣に従い、ロドリゴには戒名が与えられ、遺体は火葬される。妻が手中に忍ばせたモキチの十字架が、ロドリゴの心の内を示唆する。

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