チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜

ガース・デイヴィス監督作「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」("Lion" : 2016)[BD]

見知らぬ街で迷子になり、その後、養子に貰われて大人になった青年が、家族との再会を信じ、記憶を頼りにグーグルアースを使う事で、生まれ故郷の捜索にのめり込んでいく様を描く伝記ドラマ作品。

 

1986年、インド内陸部カンドワ。5歳のサルーは、採石場で働く母カムラ、年離れの兄グドゥ、妹シェキラと共に、小さな村で貧しくも平穏に暮らしていた。グドゥを慕うサルーは、常日頃グドゥと行動を共にし、貨車から石炭を盗んで食べ物と交換するなどして、毎日を快活に過ごしていた。ある日、サルーは仕事探しに出かけるというグドゥに無理を言って同行する。汽車で移動中、サルーは眠り込み、目的地の駅に到着しても、眠いと駄々をこねてベンチで横になる。グドゥはサルーにベンチで待つよう命じ、仕事を探しに行く。夜更け、サルーは人気のないホームで目を覚ますと、停車中の汽車の中に入り、グドゥを探し回る。結局、サルーはグドゥを見つけられず、座り込んでいる内に再び眠りに落ちる。夜明け、サルーは走行中の車内で目を覚ます。サルーは助けを求めて何度となく叫ぶものの、回送列車につき乗客がいない為に、サルーの存在は誰にも気付かれる事無く、汽車はひたすら東進する。サルーは閉め切った車内で数日寝泊まりする。

汽車はやがてカンドワから東へ1600キロに位置する、西ベンガルカルカッタの駅に到着する。サルーは大勢の客でごった返すホームへ飛び出すと、窓口で故郷のガネストレイについて訴えるが、ヒンディー語しか話せないサルーはベンガル語圏のカルカッタでは誰にも相手にされず、途方に暮れて駅を出た後、ホームレスの子供達が集まる地下道に身を寄せる。しかし、そこも人さらいの大人達に追われると、サルーは街に出てフーグリー川の傍に移動し、供え物をくすねるなどして飢えを凌ぐ。程なく、サルーは行く宛も無く彷徨い歩く内に、ヒンディー語を話すヌーレという女に声をかけられる。サルーは迷子になった事を明かす。弁当売りを生業にしているというヌーレは、サルーをアパートに招くと、食事を与え、体を洗ってやるなどしてサルーに節介を焼く。ヌーレは人助けをしているというラーマにサルーを紹介し、母の元へ連れて行く意向を示す。翌日、サルーに会いにやってきたラーマは、良いところへ連れて行ってやると約束すると、サルーの健康状態を確認し、ヌーレに合格だと告げる。不信感を募らせたサルーはラーマが迎えに戻ってくる前に、ヌーレの不意を突いて逃げ出す。サルーは廃墟に身を寄せ、ゴミを漁るなどして暮らす。

二ヶ月後、サルーは街中のレストランで食事を取る青年の仕草を、拾ったスプーンで真似して見せる。その青年は迷子で言葉も通じないサルーを心配し、警察に連れて行く。警察はガネストレイがどこにあるのか分からず、またサルーが母の名前も知らない事から、サルーを身元不明者として登録した後、孤児が集う施設に収容させる。その施設では子供達に食事と教育が提供されるものの、職員による虐待が横行しており、子供達はそれに耐えながら希望を抱いて健気に暮らしていた。程なく、孤児支援を行うスードがサルーを訪ねてやってくる。スードは新聞にサルーの記事を出して捜索したものの、反応が無かった事を明かす。スードはタスマニアホバートに住む養子希望の夫妻を紹介する意向を示し、この酷い施設にいてはいけないと諭す。

1987年、サルーは施設を出て適応期間を経た後、仲介人と共に飛行機でホバートへと渡り、養父母となるジョン、スー夫妻と対面する。裕福で温厚な夫妻はサルーを歓迎し、邸宅へ招く。サルーは夫妻を実母の様に慕い、ホバートでの生活に適応していく。一年後、夫妻は新たにサルーの弟となるマントッシュを養子に迎えるが、マントッシュは心に問題を抱えており、しばしば情緒不安定に陥る。

20年後、立派に成長したサルーは、ホテル経営を学ぶためにメルボルンの大学への進学を控え、夫妻はレストランでサルーの門出を祝う。サルーは、家を出たまま人里離れた湖畔で世捨て人の様に暮らすマントッシュの元を訪ねると、母を悲しませぬよう咎める。

2008年、メルボルンで学業に勤しむサルーは、クラスメイトで気脈を通じるルーシーと、インド出身者のクラスメイト宅のホームパーティに訪れる。サルーはそこで用意された揚げ菓子を見るや、かつて兄と行った屋台で、揚げ菓子を買って欲しいとせがんだ光景がフラッシュバックし、忘れていた記憶が溢れ出す。サルーは自らがうろ覚えのガネストレイ出身で、そこから程近い駅の給水塔が見えるホームで迷子になり、二~三日汽車に乗った事を思い出し、それをクラスメイト達に伝える。クラスメイト達は、当時の汽車の速度と時間から距離を割り出し、それを元にグーグルアースを使う事で捜せるのでは無いかと指摘する。その夜、サルーはルーシーと肉体関係を結ぶ。母の鮮明な記憶を取り戻したサルーは、衝動に駆られるまま、グーグルアースを用いた故郷の捜索を始める。

2010年、サルーはホバートでルーシーと同棲しながら、グーグルアースによる捜索に明け暮れる。ある日、サルーはルーシーと共に実家を訪ね、両親と会食する。ルーシーは捜索の件について話すようサルーに促すが、サルーはそれを拒む。遅れてやってきたマントッシュは、サルーがお高く止まっていると詰る。サルーはマントッシュとは兄弟の関係では無いと言い放つ。マントッシュは癇癪を起こして喚き始める。夫妻はサルーを非難する。サルーはマントッシュのスーへの態度が許せないのだと説く。

その後もサルーは故郷の捜索に没頭し、過去に囚われる余り、ルーシーから心が離れていく。ルーシーは現実を見るべきだと諭すが、サルーは25年も本当の母と兄が自分を捜している事を考えると、自分が何一つ不自由無く暮らしている事に吐気がするのだと説く。サルーは自分の無事を家族に知らせる決意を示すと、ルーシーに自分の幸せを掴むよう促す。

その後、サルーはルーシーと別れ、仕事も捨て、一人で家に篭って捜索を続ける。ある日、ジョンはサルーの元へ、スーの具合が悪く、更にマントッシュが消え、サルーの事も含めて心配続きだと報せに来る。サルーは故郷の家族への慕情を募らせる。そんな折、サルーは街でルーシーと偶然再会する。ルーシーは仕事が順調に進んでいる事を報せる。サルーはスーを裏切って生母を捜している事への苦悩を漏らす。ルーシーはそれを否定し、スーを支えてやるよう諭す。サルーとルーシーは再び心を通わせる。サルーは諦めずに故郷の捜索を続ける意向を示し、自分の元に留まるよう請うが、ルーシーはそれに難色を示す。

程なく、サルーは実家にスーを訪ねる。スーはマントッシュがエビ獲り船で働いており、その稼ぎが全て薬代に回っている事を憂う。サルーはスーに本当の子供がいれば白紙の状態で生まれたのに、過去を背負っている自分達を貰った結果がこの有様だと説く。スーは、子を持てたのに敢えて産まない選択をし、養子を貰う事をジョンと決断した事を明かすと、不運な子供達を助ける事にこそ意義があり、その為の苦しみなどどうでもいいのだと諭す。スーは12歳の時に、未来を示唆する幻覚を見て喜びを感じた経験から、肌の色が茶色の子供を養子に貰う決断に至った事を明かすと、サルーに力になって欲しいと請う。サルーは故郷の捜索については尚も伏せる。サルーはマントッシュの元を訪ね、かつて詰った件について詫びる。

サルーは捜索を断念しようとするが、何気なくグーグルアースを操作する内に、内陸部に記憶の光景とよく似た丘陵地帯を見つける。そこから程近い場所に、駅に面した給水塔が見つかると、サルーは線路を辿ってガネッシュ・タライに行き当たる。サルーはそれこそガネストレイとうろ覚えしていた故郷だと確信する。サルーは直ちにそれをルーシーに報せに行くと、帰りを待っていて欲しいと請う。ルーシーは首肯する。サルーは両親を招き、捜索について打ち明けると、傷つけまいと思い話せなかった事を詫びる。スーはそれに理解を示し、立派になった息子を生母に見せてあげたいと望む。

2012年、サルーはカンドワを訪ねると、当時の面影を残す町を歩き回り、記憶を頼りに慣れ親しんだ道を進み、遂にかつて暮らしていた粗末な家を見つける。しかし、そこには既に別の家族が住んでおり、サルーは落胆する。そこへ英語が話せる男が現れ、サルーを近所の通りへと導く。間もなく、通りの向こうから、村の女達と一緒にカマラが戻ってくる。二人は25年を経てようやく再会し、感涙する。サルーはグドゥが死んだ事を知って悲嘆する。サルーが空っぽの汽車に乗った夜、グドゥはすぐ傍で別の汽車に撥ねられて死んだのだった。サルーの前にシェキラが姿を現し、サルーはその成長ぶりを歓ぶ。集まった村人達は快哉を叫ぶ。サルーは両親に答えが全て見つかった事を報せると、育ててくれた事への謝意と息子としての愛を伝える。

カムラはサルーの帰りを信じて遠くへ越さなかったが、サルーが戻った驚きは雷に打たれたようであり、海の様に深い幸せを感じたと述懐する。一方、幼かったサルーは自分の名も間違えていた。本当はシェルゥと発音し、その意味は「ライオン」である。2013年、スーはサルーと共にガネシュ・タライを訪ね、カマラと対面する。

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