チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

たかが世界の終わり

グザヴィエ・ドラン監督作「たかが世界の終わり」("Juste la fin du monde" : 2016)[DVD]

末期の病を患う男が、長年疎遠にしていた家族に自らの死を伝える為に里帰りするも、話を切り出せずに苦慮する様を描くドラマ作品。

 

この世界のどこか、ある初夏の日曜日。末期の病を患う劇作家ルイは、自らの死を疎遠にしていた家族に伝えるべく、12年ぶりに里帰りを決意する。ルイは空港に到着すると、家族への告白に恐れを抱きながらも、タクシーで実家のある片田舎の小さな町へ向かう。実家では母マルティーヌが料理の準備の傍ら粧し込む一方、兄アントワーヌとその妻カトリーヌ、ルイと過ごした記憶がほとんど無い妹シュザンヌが浮足立ってルイの訪れを待つ。

午後一時、ルイは家に到着する。マルティーヌとシュザンヌはルイとの再会に歓喜する。ルイは結婚式に参加しなかった為に初見のカトリーヌと挨拶を交わす。アントワーヌは何かにつけては文句をつけ、不協和音をもたらす。マルティーヌは応接間にオードブルを用意する。カトリーヌは二人の子供を実家に預けており、急な来訪のルイに会わせられない事を残念がる。その後もカトリーヌは嬉々として子供の話を続ける。アントワーヌはルイが退屈していると指摘する。シュザンヌはアントワーヌの態度に反発する。アントワーヌは着飾ったシュザンヌが売春婦の様だと詰る。アントワーヌとシュザンヌの口論で場は険悪な雰囲気に包まれる。カトリーヌはルイの物憂げな表情から、帰省の真意を悟る。

シュザンヌは昼食の用意ができる前にルイを自室に招く。奔放な性格のシュザンヌは、12年の空白を埋める様に、これまで慕ってきたルイへの思いの丈を述べると、突然戻ってきた理由を尋ねる。ルイは皆に会う為だと答える。その後、一同はキッチンに集まり談笑する。マルティーヌは夫との昔話を披露するが、アントワーヌはそれが何度も聞いたくだらない話だと詰る。マルティーヌは意に介さず、ラジオから流れ出したお気に入りの音楽に合わせてシュザンヌと陽気に踊り始める。

ルイはトイレで嘔吐する。その矢先に交際相手から連絡があり、ルイはまだ死について家族に話せないでおり、反応が怖いと吐露する。トイレを出たルイはカトリーヌと鉢合わせになる。ルイはアントワーヌの非礼な言動について詫び、カトリーヌが自分を嫌う様に仕向けたのだという見立てを示す。カトリーヌはそれを否定し、日頃アントワーヌがルイについて話さない事を明かすと、アントワーヌは自分の事にルイが興味を持つはずが無いと思っており、自分もそれに同意すると説く。ルイは帰省の目的を打ち明けようとするが、カトリーヌはそれを制止し、アントワーヌに話すべきだと諭す。

マルティーヌはアントワーヌに隠れて煙草を吸う際に、ルイを呼んで二人きりになる。マルティーヌは皆がルイの事を長くいるとは思っておらず、またルイが次にいつ戻るとも知れぬ為、ルイのもたらす時間を恐れているのだと説く。マルティーヌは、シュザンヌが本当は家を出て、遠い所で新しい人生を始めたいと考えている事、アントワーヌは自分やシュザンヌに対する重荷から解放され、自由を欲しており、本当はそれをルイに話したいと考えている事を明かすと、ルイが生まれ持つ器の大きさ、収入や幸運、美しさ、才能、勇気について考えるべきだと諭し、口約束であっても二人の背中を押して、勇気づけてやるよう促す。マルティーヌはルイが理解していなくても、自分はルイを愛していると説き、急に戻る気になった理由を尋ねるが、ルイは答えをはぐらかす。マルティーヌはルイを抱き締めると、やるべき事をやるよう促す。その際、マルティーヌはルイが夫と同じ目をしていると感嘆する。

一同は庭のテーブルで昼食を取りながら談笑する。シュザンヌはひとり陰鬱な様子のルイに話を向ける。ルイは昔住んでいた家の変わりぶりを観に行く事を望み、シュザンヌは車で連れて行く意向を示す。アントワーヌはそれに悪態をついて批判し、ルイは翻意する。それを機に、シュザンヌはルイへの態度を巡ってアントワーヌと激しく口論し、食事はお開きとなる。

ルイは物置となったかつての自室で、昔の恋人ピエールと愛し合った思い出に耽る。間もなく、カトリーヌがルイを呼びに来る。カトリーヌはルイにあとどれくらいなのか尋ねると、戸惑うルイに対し、アントワーヌに話すよう促す。それを受け、ルイは車で煙草を買いに行くというアントワーヌに同行する。ルイは空港に着いた直後の衒いの無い話を始める。アントワーヌはもったいぶったどうでも良い話だと詰って苛立ちを募らせると、ルイが特別な人間の様に振る舞って自分を操ろうとしていると非難し、拒絶する。アントワーヌは家に到着して車を降りるや、先週ピエールが癌で死んだ事を伝える。

ルイは茫然自失する。マルティーヌとカトリーヌはデザートを準備する。カトリーヌはルイとアントワーヌの関係を心配する。アントワーヌはシュザンヌに対し、ルイが無関心で家族を必要としていないと説くと、居心地の良い不幸より幸福を選ぶよう促し、どうせもう終わりだと告げる。その後、一同は食卓でデザートを取る。ルイは今後について、もっと頻繁に帰ってきて、頻繁に手紙を書く意向を示すと、失った時間を後悔していると説く。ルイはシュザンヌに自分の家に遊びに来るよう勧め、またアントワーヌに自分の住む街で一緒に食事しながら話の続きをするよう勧めると、予定通りその日の内に帰る意向を示す。痺れを切らしたアントワーヌは、席を立つと、ルイの荷物を纏め、直ちに空港へ送っていく意向を示す。シュザンヌとマルティーヌはそれに反発する。シュザンヌは泊まって明朝帰るようルイに勧める。マルティーヌは上手くいっていたのに突然帰る理由を尋ねる。ルイは約束があるからだと答える。

アントワーヌはルイを強引に連れ出そうとする。マルティーヌは別れのキスの暇も与えないアントワーヌに憤怒し、一生許さないと言い放つ。シュザンヌもアントワーヌの横暴ぶりを非難する。アントワーヌはシュザンヌを悪罵する。シュザンヌはアントワーヌが人生と大切な日を台無しにしたのだと反論する。カトリーヌは激昂するアントワーヌに落ち着くよう促す。アントワーヌは帰ると言い出したのはルイであり、自分が化物の様な扱いをされ、責めるのは心外だと強弁する。ルイがアントワーヌを宥めようとすると、アントワーヌはルイに拳を振り上げる。マルティーヌはその場を執り成すと、ルイに次は大丈夫だからと告げ、微笑む。シュザンヌは泣きながら走り去る。マルティーヌはアントワーヌを庭へ連れ出す。ルイはその場に残ったカトリーヌに秘密にするよう合図で促す。カトリーヌがアントワーヌの元へ向かうと、間もなく、鳩時計が午後四時を告げる。その途端、ルイは時計から小鳥が飛び出し、部屋を往復した後、再び時計に戻っていく様を目の当たりにする。ルイは家を出ていく。

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