チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

サバイバルファミリー

矢口史靖監督作「サバイバルファミリー」(2017)[BD]

突然、原因不明の電気消滅に襲われ、荒廃した街を抜け出し、自転車で安全と噂される西日本方面へ向かうべく奮闘する一家の姿を描くコメディ・ドラマ作品。

 

2016年、東京。都内のマンションに暮らす鈴木一家は、会社員の父:義之、専業主婦の母:光恵、大学生の息子:賢司、高校生の娘:結衣からなる平凡な中流家庭。鹿児島に住む光恵の父は釣りと畑を趣味にしている事から、しばしば取れたばかりの魚や野菜を勝手に送ってくるものの、光恵達はそれを持て余す様になっていた。

ある朝、一家は起床するや、家中の電器、電化製品はおろか、携帯やライトなどの電池で動く物も使えなくなっている事に気付く。それでも義之は会社へ、賢司と結衣は学校へそれぞれ出かける。三人は間もなく、停電がマンションに留まらず、都心全域の現象だと知る。義之は駅へ着くも、運行見合わせによりホームは封鎖され、通勤客が押し寄せるばかりである為に、歩いて会社へ向かう。賢司は自転車で大学へ、結衣は歩いて高校へ向かうが、信号は点かず、車もエンジンがかからない為に、路上で立ち往生している様を目の当たりにする。

義之は会社に辿り着くも、電気製品は一切使えない為に仕事にならず、途方に暮れている内に退勤の指示が下される。義之は帰りに自転車店で廃品同然の三輪車を買う。結衣の高校は教師が到着せずに自習となる。光恵は大勢の客でごった返すスーパーに買い出しに行くが、生鮮食品や惣菜の類は入荷しておらず、蝋燭と水、レトルト食品を買い込む。夜、ガスも水道も使えない事から、一家は蝋燭を灯して過ごす。義之は持ち帰った仕事に励む。一家はベランダから望む星空の美しさに目を見張りながら、明日には復旧すると楽観視して一日を終える。

三日目になっても電気の復旧の兆しは無く、義之は会社から自宅待機を命じられる。賢司は好意を抱く里美の住む埼玉の住宅街を訪ねるが、里美が両親と彼氏を交えて都心へ向かう姿を目撃して落胆する。光恵は飲料水を求めて水道局を訪ねるが、ポンプが動かない為に貯水槽から水を汲み出せない事を伝えられる。義之はATMが使えない為に銀行の窓口に現金を引き出しに行くが、押しかけた客にもみくちゃにされ、弾き出される。

七日目になっても尚、停電の原因は判然とせず、都心部はもぬけの殻となり、荒れ果てる。義之と光恵はマンションの住民らによる対策協議に出席するが、皆でマンションを守るべきだと主張する住民と、安全な場所へ避難すべきだと主張する住民で議論は紛糾し、遂には出ていく住民が罵られる様になる。義之は留まっても幾日も持たないと考え、より暖かく、水も食べ物もあるであろう鹿児島へ、羽田から飛行機に乗って行く事を決断する。結衣は猛反対する。義之達はチケットを買う為の現金をかき集める。光恵は不足の事態に備えて貯めておいたへそくりを提供する。

翌朝、一家は隣近所に気付かれぬ様にこっそりと家を出ると、義之は光恵を三輪車の後ろに乗せ、賢司と結衣はそれぞれの自転車に乗って出発する。道中、一家は食料や水のぼったくりが横行する現場に直面する。一家は大勢が押し寄せる空港に到着するも、飛行機が飛ばない事を知ってやむなく引き返し、空いているホテルを見つけて宿泊する。義之は街に留まる方が危険だと説き、自転車で鹿児島に向かう意向を示す。結衣は不貞腐れる。

翌日、義之と光恵は米屋を訪ねると、高価な酒を提供する代わりに、使っていない自転車と新米を融通してもらう。その途中、義之は大阪以西では停電していないらしいという噂を耳にする。賢司と結衣は書店を訪ね、残されていた社会科用の地図を入手する。一家はその地図を頼りに西を目指すが、それが全く役に立たない為に東名高速に乗り、徒歩や自転車で西を目指す夥しい群衆と合流する。

一家は野宿を繰り返しながら、海老名パーキングエリア、日本坂トンネルを経て、富士の裾野の川に到着する。飲料水が尽きた為に、義之は不用心にも川の水を飲む。程なく、一家は嵐に見舞われ、自転車が吹き飛ばされた挙句、食料を始めとする荷物が台無しになり、更に義之が腹を壊して倒れる。嵐の後、賢司と結衣は人気のないホームセンターを訪ね、猫缶、自転車の修理道具、飲料水として使えるバッテリー補充液、発煙筒を調達する。義之が回復すると、一家は再び高速を西へ進む。

22日目、一家は高速上でアウトドア慣れした斎藤一家と出会う。父母と二人の息子からなる斎藤一家は、ライフラインの喪失を物ともせずに、自活して悠々自適に過ごしており、義之達に岩場の水を貯めて飲んだり、天日干しや燻製、雑草、昆虫を食料にする術を指南する。斎藤の息子が義之達をアナログカメラで写真撮影すると、結衣はそれを出来次第送るように請い、住所を伝える。鈴木一家は名古屋へ向かう斎藤一家と別れた後、新名神を通って大阪を目指す。

43日目、一家は大阪に到着するが、噂と違って街は停電で閑散としており、また食料も水も尽きた事から、結衣、賢司、光恵は自分に付いて来れば大丈夫だと大見得を切った義之を非難する。一家須磨海浜水族園を訪ね、飼育している魚介類の炊き出しに並ぶも、既の所で底が尽き、食べ逃がす。

67日目、疲弊しきった一家は、岡山で田んぼを彷徨く一頭の豚を見つけ、総出になって仕留める。一家が捌くのを躊躇っていると、そこへ豚の持ち主で養豚場を営む田中が現れる。田中は豚を荷台に乗せると、井戸水と焚き火で凌いでいる自宅へ一家を連れて行く。田中は養豚場の電気柵が使えなくなり、豚達が逃げた事を明かすと、捕まえるのを手伝えば死んだ豚の件を咎めない意向を示し、一家に食事を振る舞う。一家は久しぶりのまともな料理を貪り食う。その後、一家は豚の解体と燻製、風呂焚きを手伝い、一泊する。

翌日、一家は逃げ出した豚の捕獲に悪戦苦闘するもやり遂げる。田中は一家にずっと留まっていくよう打診する。義之は光恵の父を心配し、鹿児島に向かう事を決意する。一家は田中から出来たばかりの燻製を譲り受け、出発する。数日後、一家は大きな川に行き当たるが、橋が掛かっていない為に、流木、ペットボトル、ロープを組み合わせて即製の筏を作る。義之は荷物と光恵、結衣を対岸に渡した後、賢司と共に自転車を取りに戻る。間もなく、大雨が降り始める。義之達は無理して四台全てを乗せて渡そうとするが、無理が祟って筏が途中で壊れる。賢司は岸に泳ぎ着くも、義之は増水に攫われ、流される。雨が上がっても光恵達は義之を見つける事ができず、悲嘆する。

94日目、光恵達は悲しみを引きずりながらも、山麓を線路に沿って西へ歩き続ける。その途中、三人はバッグの燻製を嗅ぎつけた野良犬の集団に襲われ、光恵は斜面から転落して左脚を骨折する。賢司と結衣は光恵を担いで線路に戻るが、尚も犬達は三人を追う。そこに後方から客を乗せて西進する蒸気機関車SLやまぐち号がやってくる。犬達は退散し、光恵達は窮地を脱する。三人は汽車に乗車し、光恵は客に脚を手当してもらう。

一方、川の下流に漂着した義之は、宛もなく彷徨い歩く内に力尽き、田んぼの端で座り込む。その時、程近い線路に汽車が差し掛かる。義之はポケットに入れた発煙筒に気付くと、それを使って所在を知らせる。光恵はそれに気付いて汽車を止めてもらい、賢司と結衣が義之を助けに行く。義之を乗せた汽車は関門トンネルに差し掛かる。義之は光恵の父に結婚を認めてもらう為に、何度も特急に乗って鹿児島へ通った思い出を述懐する。義之は吹っ切れた様に後生大事にしていたかつらを窓の外へ捨てる。108日目にして、一家は鹿児島の光恵の父の元へ到着する。

停電から二年と126日後。一家は光恵の父が住む町で漁、織機、畑仕事の手伝いなどをして活き活きと暮らす。翌日の早朝、突然電気が復旧する。一家は町内放送で流れる音楽を聞きながら、白む町に電灯が付く様子を見守る。程なく、一家は東京に戻り、町は日常を取り戻す。世界同時停電の原因は大規模な太陽フレアか彗星の異常接近だと推測される。一家は停電以前より逞しくなり、絆を深める。義之は自転車通勤を始める。ある朝、出かける直前の家族の元に、斎藤一家から写真が届き、四人はそれを感慨深く見つめる。

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