チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

トッド・ソロンズの子犬物語

トッド・ソロンズ監督作「トッド・ソロンズの子犬物語」("Wiener-Dog" : 2016)[DVD]

一匹のダックスフントを巡る四つの物語を通して、それぞれに事情を抱える老若男女の人間模様を描くブラック・コメディ作品。

 

幼くして癌を患う少年レミは、通院治療によって回復に向かう一方で、退屈な日々を過ごしていた。父ダニーはそんなレミを気遣い、メスのダックスフントを連れてくる。妻ディナは飼う事に反発するが、レミは甚く歓ぶ。ダニーの意向により、躾がしっかりできる様になるまで、その犬をケージの中で飼う運びとなる。程なく、犬に避妊手術を施す為、ディナはレミを連れて車で動物病院へ向かう。レミは犬にも感情があり、子犬を持ちたいと考えるのでは無いかと問う。ディナは犬と人間は違うと諭す。レミはせめて手術に立ち会いたいと望むが、ディナはそれを拒否する。レミは動物病院に着くや、犬を逃がそうとしてレミに止められる。術後、レミは意気消沈する。ディナは自らが幼い頃にプードルを与えられたが、凶暴で不潔な野良犬にレイプされて妊娠し、出産で酷く痛がって母子共々死んだという話を聞かせ、避妊さえしていれば助かったのだと諭す。後日、ダニーとディナが揃ってヨガに出かけると、レミは犬をケージから解放し、一緒にはしゃいで遊ぶ。その際、レミは空腹を訴える犬に朝食のグラノーラバーを与える。犬は激しい下痢症状を起こして部屋中を糞塗れにし、レミは帰宅した両親に叱られる。翌朝、ダニーは犬が血便を垂れ流して倒れているのを見つけ、安楽死させる為に直ちに動物病院へ持ち込む。レミは犬が安楽死させられると知って酷く落胆し、絶対に忘れないと誓う。ディナは死は自然の一部であり、それ故に互いに愛し合うのだと諭す。

動物病院の看護師ドーンは、安楽死直前の犬を見かねて担ぎ出し、自宅へ連れ帰る。犬はドーンの介抱の甲斐あって回復する。ドーンはその犬にドゥーディ(うんち)と名付ける。一週間後、ドーンは犬の餌を買いにコンビニに行き、そこで好意を寄せていた旧友ブランドンと数年ぶりの再会を果たす。ドーンは話でもしないかと誘う。ブランドンは用があると言って帰ろうとするが、懐く犬を気に入り、冗談交じりにドラッグを手に入れる為の遠出に一緒に来るかと尋ね、ドーンは快諾する。翌日、現在の生活に未練が無いドーンは意を決し、犬を連れてブランドンのバンに乗ってその地を離れる。道中、ブランドンは所々で人を訪ねるが、その意図については口を噤む。二人は立ち寄った給油所の前に立っていた、陰鬱な雰囲気のメキシコ出身の大人の男二人、少年一人の三人組を乗せる。男達はアメリカで味わう孤独について吐露する。宿泊したホテルで、三人は悲壮感漂う弾き語りを披露する。翌日、ドーン達は三人を途中で降ろして先を急ぎ、やがてブランドンの弟夫妻トミーとエイプリルの家に到着する。共に軽度の知的障害を持つ夫妻はドーンを歓迎し、犬を気に入る。ドーンはエイプリルを散歩に連れ出すと、掴みどころの無いブランドンが自分についてどう考えているのか尋ねるが、エイプリルが気分を害した為に機を逸する。一方、ブランドンはゲームに熱中するトミーに休憩を促すと、父が断酒を自制できずに再び酒浸りになり、体を壊して死んだ事を打ち明ける。ブランドンは父の兄と姉を探し、会ってきた事を明かすと、困惑するトミーを慰める。トミーはブランドンにドラッグを止めたのか尋ね、ブランドンは止めたと嘘をつく。翌日、ドーンは夫妻が犬を可愛がっている姿を見て、置いていく事を決意し、ブランドンと帰路に就く。ドーンはエイプリルが妊娠したらどうするのかと尋ねる。ブランドンは二人とも避妊手術している事を明かす。ドーンは二人の元で犬が幸せに過ごす事を願うと、どこまで行くのか尋ねる。ブランドンはガソリンが切れるまでと答える。ドーンは更にその先について尋ねる。ブランドンはドーンの手を握り、二人は笑顔で見つめ合う。

時を経て、その犬は映画学校で教鞭を執る、男やもめの老教授デイヴの手に渡る。デイヴは常に犬を連れ歩いて過ごす。学生達は、一発屋の脚本家に過ぎないデイヴが教示する古臭いノウハウを隠然と軽侮していたが、再度の成功を夢見るデイヴは、自作の脚本をエージェントの友人トレイに送り、ひたすら連絡が来るのを待ち続ける。そんな折、連絡を寄越してきたトレイは、エージェンシーからユニバーサルに転職してデイヴの企画を強く推せる立場になったが、多忙を極めており、脚本を未だ読んでいない事を明かすと、優秀な新人キャロルに引き継ぐ意向を示し、絶対に上手く行くと励ます。一方、デイヴは医者から減量の為に運動するよう強く促される。デイヴはそれを拒むが、医者は体内に時限爆弾があると釘を刺す。その直後、キャロルが連絡を寄越し、脚本をドリームワークスに渡した事を明かすと、天才的な脚本であり、デイヴにとって大転換の一本になるはずだと褒めちぎる。デイヴは俄に気を良くする。程なく、デイヴは主任フィリップスに呼ばれ、監督講座シリーズにサクラとして出席するよう請われる。その際、フィリップスは、教員や生徒からデイヴの授業に対して消極的過ぎるという苦情が相次いでいる事を明かし、そのままではクビが危ないと説くと、親身な態度を皆に見せるよう促す。監督講座シリーズに、サプライズゲストとして映画学校を出て成功を収めた若手監督が登壇する。デイヴは客席で学生達に混じって話を聞く。その監督はプロの現場では授業で習った事は全く役に立たないと説き、デイヴの教えをこき下ろす。デイヴはそそくさとその場を後にする。デイヴは犬用のドレスを買い、時限爆弾を自作する。後日、デイヴは校内に時限爆弾を抱えた犬を置いて学校から立ち去る。犬は学生によって直ちに発見され、爆発物処理班が出動する騒ぎとなる。帰宅したデイヴは自宅前でFBI捜査官に逮捕される。

更に時を経て、犬は体が不自由な老女ナナの元へ移る。日中、自宅で介護士と過ごすナナは、キャンサー(癌)と名付けた犬を肌身離さず傍に置く。ある日、孫娘で売れない女優のゾーイが数年ぶりにやってきて、恋人ファンタジーを紹介する。ゾーイはファンタジーが死んだ動物をロボット化するインスタレーションを手掛けている、冒険的で挑発的なアーティストだと説く。ファンタジーは悪態をついた末に外へ出ようとする。ナナは犬をトイレに連れて行くようファンタジーに頼む。ゾーイは持参したダチョウの卵をナナに贈る。それを預かった介護士は直ちに捨てる。ナナはゾーイがまた金の無心に来たのだと悟り、必要な金額を尋ねる。ゾーイは今度はドラッグでは無くファンタジーの為であり、大事な時期なのだと理解を求める。ナナは金額を記入せずに小切手を切り、好きな額を入れるよう促す。ゾーイはファンタジーとの結婚を真剣に考えていない事を明かすと、誠実かどうか分からずに不安だと漏らして帰る。ナナは犬と一緒に庭のベンチに座り、感傷に浸る。そこへ同じ風貌の少女が何人も現れる。少女は戸惑うナナに、それらが人生の分かれ道でナナが捨てた自分の姿だと説き、ナナが知らない大勢のナナ本人について紹介する。少女はさよならを言う時間だと説き、ナナの死を示唆する。取り乱して夢から覚めたナナは、傍に犬がいない事に気付き、辺りを探す。間もなく、ナナは犬が家の前の交通量の多い車道へ駆けていき、トラックに轢き殺され、更に後続車が次々と死骸を轢いていく様を目の当たりにする。半年後、その犬はファンタジーの手により、鳴くロボット作品となって出展される。

f:id:horohhoo:20171024113101j:plain

f:id:horohhoo:20171024113106j:plain

f:id:horohhoo:20171024113112j:plain

f:id:horohhoo:20171024113117j:plain

f:id:horohhoo:20171024113122j:plain

f:id:horohhoo:20171024113129j:plain

f:id:horohhoo:20171024113133j:plain

f:id:horohhoo:20171024113138j:plain

f:id:horohhoo:20171024113142j:plain

f:id:horohhoo:20171024113149j:plain

f:id:horohhoo:20171024113156j:plain

f:id:horohhoo:20171024113202j:plain

f:id:horohhoo:20171024113210j:plain