チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ホワイト・ラバーズ

キム・グエン監督作「ホワイト・ラバーズ」("Two Lovers and a Bear" : 2016)[DVD]

極北の小さな町に暮らし、互いに苦悩を抱えるカップルが、一緒に町を離れて新天地を目指す様を描くドラマ作品。

 

カナダ極北の小さな町に暮らす若いカップルのローマンとルーシー。ローマンは独り暮らしで遺体の搬送作業、ルーシーは祖母と暮らし、タクシーの運転に従事していた。愛し合う二人はそれぞれに問題を抱えてもいた。ローマンは暴力を振るう父に嫌気が差し、家出してこの町に流れ着いた事から、過去に囚われ続けており、ルーシーはある男に絶えず付き纏われ、悪夢に苛まれる日々を送っていた。そんな折、ルーシーに大学の合格通知が届く。

二人はスノーモービルのレースを観に行く。ルーシーは付き纏う男を察知し、当惑して会場を飛び出す。ローマンは直ちにルーシーの後を追う。ルーシーは大学に合格し、二週間後に町を離れる意向を示すと、男から逃れるには行くしか無いのだと説き、ローマンにも一緒に来るよう誘う。ローマンはかつて住んでいた場所に戻るくらいなら死んだ方がマシだと答える。

その後、ローマンはルーシーの気持ちに向き合えなくなり、連絡を断って酒に溺れ始める。ローマンは家を訪ねてきたルーシーに居留守を使う。ルーシーは出発まであと10日と告げて立ち去る。夜、ローマンは酔っ払って家の前でライフルの射撃に興じる。銃声の通報を受け、気心の知れた保安官ジョンが駆けつけ、ローマンの身を案じて去る。間もなく、そこへローマンにとって唯一の友で理解者のホッキョクグマが現れる。ホッキョクグマは、ルーシーが去ったら失敗を恐れるローマンは何もせずにやり過ごすのだろうと看破すると、何度も同じ過ちを繰り返すのは自分のカルマから逃れられないからだというインドの教えを説く。

ローマンの携帯にルーシーから町を離れる前に会いたいというメールが届く。ルーシーは深夜にローマンの家に押しかけ、窓ガラスを割ると、話に応じるよう求める。ローマンはもう関係が終わったのであり、自分の前から消え失せろと言い放ち、ルーシーを追い返す。ルーシーは泣きながら帰路に就く。その後、ローマンはライフルで自殺を企てる。間もなく、叫び声の通報を受け、再びジョンがやってくる。ローマンは自分に構わず帰るよう促す。ジョンはビールをケースで差し入れると、誰にも嫌な過去があると説き、自殺を思い止まらせる。ローマンはこの町に来たのが、母と自分に暴力を振るい続けた父の顔を激しく蹴った際に足を骨折したからであり、そうして父に自分の方が強いと思い知らせたかったのだと語る。

翌朝、ジョンは寝入ったローマンを拘束し、飛行機に乗せると、酒を抜く為にクリニックに強制入院させる。ルーシーは病院のローマンと電話で話もできない事に痺れを切らし、貯金を叩いて飛行機に乗り、クリニックを訪ねる。二人は面会を許可された僅かな時間で愛し合う。ローマンは死んでルーシーを自由にしてやろうとした事を明かすと、償わせて欲しいと請う。ルーシーは男の付き纏いに耐えられない事から、一緒に逃げて欲しいと哀願する。ローマンはそれに応じ、スノーモービルで山を超え、どこか暖かい、悪夢を見ない場所まで行こうと提案する。

程なく、二人はそれぞれのスノーモービルに物資を載せたソリを引いて、新天地を目指す。その矢先に二人は、川を渡ろうとして溺れ、雪に埋もれてしまった憐れなトナカイの一群を見つける。その後、吹雪に見舞われると、二人はテントを張って夜を明かす。道中、二人の前にローマンの馴染みのホッキョクグマが姿を現す。ルーシーはそうとは思いもよらず、慌ててライフルを構える。ローマンはそのホッキョクグマが危害を加えないと説いてルーシーを安心させると、持参した魚を与えてホッキョクグマを遠ざける。ローマンはホッキョクグマと話ができる事を明かす。

二人は通りがかった男から猛吹雪が来て危険だと警告されるが、引き返すつもりは無いと答え、その先に位置する軍事基地の場所を密かに教えてもらう。その直後、ローマンは雪上に陥没してできた大穴にスノーモービルごと転落する。ルーシーは直ちにローマンの無事を確認しに向かう。ローマンは脚が雪に埋もれて身動きが取れず、携帯ナイフで雪を削り取ろうとして、誤って脚を刺してしまう。ローマンはルーシーにロープを繋げたスノーモービルで牽引してもらい、穴から脱出すると、ルーシーのスノーモービルに同乗して先を急ぐ。

やがて二人は、人気のない軍事基地のシェルターの中に忍び込む。内部は長年の間、人が立ち入った様子が無く、ローマンはコントロール室の装置で電力を復旧させる。二人は食堂で30年前のコンビーフの缶詰を見つけ、それを開封して恐る恐る口にする。ルーシーはローマンの脚の傷を手当する。

夜、二人は再び愛し合う。その後、ローマンは体調に異変を感じてベッドを離れる。ルーシーはそれに気付くと、ローマンを探しに行く。その途端、ルーシーの背後に男が現れ、「お前のせいで皆が死ぬ」などと詰る。ルーシーは錯乱して、シェルターの出口へと駆け出す。ローマンはルーシーを引き止める。ルーシーは父がどこに行っても追ってくるのだと訴える。ローマンは二年前に死んだはずだと諭す。ルーシーは父が毎晩ベッドに入ってきて、「黙れ」などと言って自分を犯す事、それがローマンと重なり、セックスの度に思い出し、ずっと苦しんでいる事を明かす。ローマンは自らがその男を殺す意向を示すと、荷物を持ち出してルーシーをシェルターの外で待たせる。ローマンは配管を破って燃料を漏出させ、火を放って外へ脱出する。間もなく、シェルターが爆炎に包まれると、ローマンはもう男が二度と追ってこないと説き、ルーシーを安心させる。

二人はかつて遭遇したトナカイの一群に擬え、死ぬと分かっていても希望を信じて進むトナカイの様に、新天地を目指す。道中、スノーモービルが雪溜まりに嵌って動かなくなる。夜、猛吹雪に見舞われた二人は、雪溜まりに穴を掘り、その中で身を寄せ合って凍える寒さに耐える。ルーシーはローマンが自分を救ってくれたのだと説く。ローマンはルーシーこそが自分を救ってくれたのであり、生きる理由と人生の意義を与えてくれたのだと説く。二人は互いに愛を伝え合う。ローマンはこのまま南ヘ向かい、ルーシーは大学へ行き、自らは修理工場を開き、子供を作って家族で幸せに暮らす将来を語る。

やがて二人は眠りに就く。ローマンは、外から顔を入れて穴の中を覗き込むホッキョクグマに気付いて目を覚ます。ホッキョクグマは楽園まで50マイルなのに、ローマンの人生は終わりを迎えそうだと説く。ローマンはホッキョクグマに神なのかと尋ねる。ホッキョクグマはそんなところだと答え、かつてルーシーが披露した笑い話をし、またすぐに会えると言い残して去る。その後、氷漬けになった二人の遺体が救助隊によって掘り出され、ヘリで搬送される。

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