チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

プリズン・エクスペリメント

カイル・パトリック・アルバレス監督作「プリズン・エクスペリメント」("The Stanford Prison Experiment" : 2015)[DVD]

1971年に心理学者によって実施された、刑務所生活の心理学的研究に関する実験、通称「スタンフォード監獄実験」の一部始終を描写したスリラー作品。

 

1971年8月。スタンフォード大学の心理学者ジンバルドー博士は、刑務所生活の心理学的研究に関する実験を行うべく、日給15ドル、1~2週間の予定で被験者となる男子大学生を募集する。ジンバルドーと院生スタッフ三名により、被験者としての適性を図る面談が実施され、看守役9名、囚人役9名の学生が選出される。ジンバルドーはまず看守役の学生達を集め、本実験が刑務所生活の人に与える影響を調べるという趣旨を説明する。改装された教員の部屋が雑居房として、廊下が構内として利用される運びとなり、スタンフォード郡刑務所と命名され、看守らにはサングラス、制服、警棒が支給される。ジンバルドーはそれらが一元化された権力像を演出する為の物だと説き、看守はいかなる状況においても暴力が禁止され、また囚人は決められた手順以外で去る事が許されず、実験中は常にカメラで監視される原則を教示すると、実験という事を忘れるよう看守らに促す。スタッフにジンバルドーの友人フレッチャーが加わる。

実験初日。囚人役の学生達は、それぞれ自宅で警官に逮捕される過程から実験に臨む。囚人達は一人ずつ目隠しで刑務所に連行されると、服を脱いでシラミ駆除を施された後、番号を割り振られた囚人服を着て三人が寝泊まりする三つの雑居房にそれぞれ収容される。看守は三人ずつ交替でシフトを担当する。囚人が全員揃うと、看守は廊下に全員を整列させ、所内におけるルールを伝え、それらに徹底して従うよう命じる。院生の一人が所長として挨拶すると、実験は開始される。ジンバルドー達は監視室に備えたモニターで適宜交替しながら観察を続ける。

看守の代表格でジョン・ウェイン似と揶揄された男は、開始早々威圧的な態度で囚人達に接し、他の看守もそれに追従していく。囚人達は看守との待遇の不公平さに加え、必要とする眼鏡やビタミン剤、煙草の類を提供してもらえない事で不満を募らせていく。看守は囚人達を廊下に並ばせると、納得がいくまで何度も点呼をやり直させ、それができないと腕立てやジャンピングジャックを強要する。囚人番号8612は反抗的な態度を示した罰として、穴ぐらと称される暗く狭い部屋に入れられる。8612はその後も悪態を付き続け、腕立てなどの懲罰を受ける。

看守は就寝中の囚人達を叩き起こして運動を命じ、懲らしめて楽しむ様になる。囚人番号819は、看守の一人をファシスト野郎と罵った罰で穴ぐらに入れられる。看守の横暴ぶりに痺れを切らした8612は咄嗟に看守に掴みかかり、警棒で殴られる。ジンバルドーは看守による暴力の度合いが増していく様子を見守る。819は看守への抵抗を企て、ベッドで雑居房のドアを封鎖して「革命」を起こす。ジンバルドーは看守達に対し、囚人達の絆を断って、所内に秩序を取り戻すよう命じる。それを受け、看守達は応援を呼んで革命を阻止すると、協力的な態度を示した囚人達を模範囚として扱い、食事や眼鏡を提供するなどして露骨に差別する。

8612は雑居房のドアの鍵のネジを外す事で、同室の7258と脱獄を図るが、間もなく連れ戻され、より劣悪な待遇に置かれる。819の房には催涙ガスが放出され、強制的に封鎖が解かれる。8612は不調を訴え、病院に行かせて欲しいと哀願する。ジンバルドーは演技の可能性を疑いながらも、別室での面談に応じる。8612は頭痛と腹痛を訴える。フレッチャーは州立刑務所に17年間服役していた事を明かすと、8612を腰抜け野郎と一喝する。8612は看守がやり過ぎだと訴えるが、ジンバルドーは8612の反抗的な態度が原因だと説き伏せる。ジンバルドーは8612が演技していると確信し、刑務所に戻す。間もなく、8612が癇癪を起こし、院生達は手に負えない事からジンバルドーに無断で8612を帰らせる。休憩から戻ったジンバルドーは院生達を咎めると、直ちに代わりの囚人役を探してくるよう命じる。

ジンバルドーは房内の盗聴記録より、8612が819と共謀し、脱獄に成功したら助けに戻る意向を伝えていた事を知る。その後、看守の立会の下で囚人達とそれぞれの家族や友人との面会が行われる。囚人達は看守の指示に従い、何も問題無く刑務所で過ごしている様に振る舞う。面会後、ジンバルドーは8612が囚人達を逃がしに戻ってくる事態を想定し、院生達に警備を厳重にするよう命じる。ジンバルドーも自ら見張りを担うが、結局8612は戻って来ず、819は落胆する。

実験開始から四日目を迎える。囚人達は時間の感覚を失う。819もまた癇癪を起こす。ジンバルドーは神父を招き、囚人達にカウンセリングを施す。819は医師か親を呼んで欲しいと哀願する。カウンセリングを終えると、神父は実験の趣旨への賛意を示して帰る。ジンバルドーは神父が弁護士を呼んで、実験を中止に追いやるのでは無いかという疑心暗鬼に陥る。看守は囚人達に819の言動について責めるよう唆す。ジンバルドーは追い詰められた819の精神状態が限界に達していると判断し、819を帰らせる。

その後、ジンバルドーの婚約者で元教え子のマスラック博士が、抜けた院生の穴埋めとして加わる。一方、8612の代わりに囚人番号416が新たに加わる。416は来所早々、食事中の悪態を咎められ、穴ぐらに入れられる。ジンバルドーとスタッフ達は囚人番号1037の仮出所申請に伴う面談に応じる。1037は自らが仮出所に値する囚人だと説明するが、フレッチャーは自らが刑務所で受けた経験に基づく苛烈な尋問を再現し、厳しく説諭する。ジンバルドーは申請を却下する。フレッチャーは自分が憎んでいた相手になりきり、それを楽しいと感じた事への自己嫌悪を吐露する。ジンバルドーはフレッチャーを慰留する。フレッチャーは条件として1037の仮出所を求め、ジンバルドーはそれに応じる。

院生も実験の継続に疑義を呈し始める。ジンバルドーは予想以上の結果だと認めながらも、重要な研究だと説き伏せる。マスラックは行き過ぎた実験の様子を見て、それを是正しようとしないジンバルドーを非難する。ジンバルドーは理解を求めるが、マスラックはスタッフから外れる。その後も看守達による嗜虐はエスカレートし、囚人達を奴隷の様に弄ぶ。看守達が囚人達をオス役とメス役に分けてセックスの真似事をさせて楽しみ始めると、ジンバルドーは遂に実験の終了を宣言する。

こうして実験は僅か6日で終了した。二ヶ月後、ジンバルドーは長く退屈な実験になると思いきや、予想外の結果となり、ここまで暴走するとは思わなかったと振り返る。被験者は自分が失われていく感覚に陥り、実験では無く本当の刑務所の様だったと証言する。その後、数度の面談が行われ、被験者達に後遺症が無い事が確認された。ジンバルドーは権力に関する心理学について広く教える事に注力し、今でも世界中で講演している。また、ジンバルドーは実験から一年後にマスラックと結婚し、現在でも夫婦である。

f:id:horohhoo:20171201124757j:plain

f:id:horohhoo:20171201124803j:plain

f:id:horohhoo:20171201124808j:plain

f:id:horohhoo:20171201124814j:plain

f:id:horohhoo:20171201124823j:plain

f:id:horohhoo:20171201124828j:plain

f:id:horohhoo:20171201124832j:plain

f:id:horohhoo:20171201124837j:plain

f:id:horohhoo:20171201124842j:plain

f:id:horohhoo:20171201124846j:plain

f:id:horohhoo:20171201124850j:plain

f:id:horohhoo:20171201124855j:plain

f:id:horohhoo:20171201124859j:plain

f:id:horohhoo:20171201124903j:plain

f:id:horohhoo:20171201124909j:plain

f:id:horohhoo:20171201124914j:plain

f:id:horohhoo:20171201124928j:plain

f:id:horohhoo:20171201124934j:plain