チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

20センチュリー・ウーマン

マイク・ミルズ監督作「20センチュリー・ウーマン」("20th Century Women" : 2016)[DVD]

20世紀後半の米国で、シングルマザーが高校生の息子との関係に苦慮しながらも、部屋を間貸しする二人の男女や息子の幼馴染の少女と心を通わせて暮らす様を描くコメディ・ドラマ作品。

 

1979年、サンタバーバラ。55歳の誕生日を迎えた愛煙家ドロシアは、40歳の時に生んだジェイミーと愛猫と共に、古い家で暮らしている。ドロシアは空軍パイロットを志望し、飛行訓練学校に進んだものの、卒業前に戦争が終結したことで、大手製缶メーカーで女性初の製図室入りを果たし、そこで夫と出会って結婚した。ジェイミーの出産後、二人は離婚し、夫は車を残して東海岸へ去った。ドロシアは家の空いている部屋をアビーとウィリアムに間借りさせ、家賃収入を得ている。24歳の写真家アビーは芸術家肌でパンクミュージックに傾倒し、髪を赤く染めている。かつて故郷のサンタバーバラに嫌気が差したアビーは、1973年にニューヨークのアートスクールに進学すると、写真にのめり込み、やがて教師に恋をした。しかし、女性NGOの健診で子宮頸がんの罹患を疑われると、アビーはやむなく帰郷し、母が妊娠中に服用したDESが原因になった事を知った。それを機にアビーは母と折り合いが悪くなって家出し、ドロシアの家にやってきた後、地元のプレスセンターに就職したのだった。中年男のウィリアムは掴みどころの無い陶芸家で、ドロシアに協力して家の修復を担っている。クリーブランドで車の修理工場を営んでいた父の影響を受けたウィリアムは、金銭面で大学進学を断念した後、恋人と出会って西海岸に移住した。ウィリアムはそこで自らが無教養だと思い知らされ、更に恋人に保守的だと批判されて捨てられた。それ以後、ウィリアムは女とその場限りの関係を続け、陶芸に励んできたのだった。ジェイミーの幼馴染で17歳のジュリーは、ドロシアに内緒で頻繁にジェイミーの部屋に忍び込んで寝泊まりしている。自己破壊的なジュリーは、セラピストの母に命じられ、グループセラピーへの参加を強制されているが、セックスや煙草を覚えて荒んだ生活を送っている。ドロシアはジェイミーを女手一つで育てながらも、常に父親役の男を探している。日々成長するジェイミーの事が理解できなくなったからである。

ドロシアはジェイミーとスーパーへ買い物に出かけた際に、駐車場に停めていた元夫の古い車が炎上しているのを目の当たりにする。ドロシアは消火を担当した消防士らを誕生日パーティーに招待する。失意の内に帰宅したドロシアは、経過観察中のアビーから検査の結果が一週間後に判明する事を聞く。ドロシアはウィリアムに代わりの車探しを依頼する。ジュリーは性に目覚めたジェイミーとのセックスを、友情を維持する為に拒む。その夜、ドロシアの誕生日を家に集まった大勢で祝う。

ある日、ジェイミーは友達と失神ごっこで遊んでいる内に意識が戻らなくなり、病院に担ぎ込まれる。幸い大事を免れたジェイミーは、ドロシアの心配もよそに、皆がやっていたからやったと説く。ドロシアは軽率で愚かな行為だと叱り、なぜ自分を傷つけたのかと問い質す。ジェイミーは煙草も毒だと反論し、独りぼっちで寂しくないのかと詰る。ドロシアは返す言葉を失い、悲嘆する。事故を受け、ドロシアはジェイミーが慕っているアビーとジュリーにジェイミーへの助けを求め、アビーにはメンターとしての役割を、ジュリーには見守りの役割を依頼する。

間もなく、ドロシアは新たな車を手に入れる。ドロシアはジェイミーに、アビーとジュリーに助けてもらう運びになった事を伝える。ジェイミーはそれに反発し、憂さ晴らしをする為に無断で友達グループとロサンゼルスへライブを観に行く。ドロシアはそれを知ると、ジェイミーの心情に理解を示す。その夜、ジュリーはジェイミーの部屋に忍び込むも不在だと知る。アビーはウィリアムに新しい作品のアイデアを見せに行き、成り行きでセックスに誘う。ジェイミーは夜遅くに酔って帰宅する。待っていたジュリーは、男友達と酔っ払ってセックスして中出しされた事を明かす。ジェイミーは大丈夫だと強がるジュリーを心配する。二人は漏れ伝わるアビー達のセックスの音を聞く。

翌朝、ドロシアはジェイミーを叱らず、二人で日課にしている新聞の株価チェックを始める。ドロシアは病院で検査の結果を聞くアビーを心配し、ジェイミーに帰りを待つよう命じる。ジェイミーは悪い結果が出る事を憂慮するアビーに付き添って病院に行く。アビーは医師から腫瘍が良性だった事と同時に、子宮筋層に傷が付いた為に子供が難しいと伝えられ、酷く傷心する。その報せを受けたドロシアは、今は辛くても絶対に乗り越えられると励ます。アビーはつがいの小鳥を飼い始め、ドロシアの勧めを受けてそれぞれマクシミリアンとカルロッタと命名する。ジェイミーはドロシアから付き添った理由を問われ、寄り添っていたいと思ったのだと答える。ジェイミーは病院の雑誌で知った妊娠検査薬を薬局で購入すると、ジュリーにそれを提供する。ジュリーはそれを早速使用し、結果が陰性だと判明すると安堵する。アビーはジェイミーに付き添ってくれた事を感謝し、自分が10代の頃に聴いていたら楽になれたと思う曲をミックスしたテープを贈ると、自分よりずっと幸せで物事が見える大人になるはずだと説く。アビーはジェイミーと気脈を通じ、自らの素性について語る。

ある日、ドロシアは同僚の男から飲みに誘われるが、拙い返事でその機会をふいにする。間もなく、ドロシアはジュリーがジェイミーの部屋の窓から出ていくのを目の当たりにし、その事をジュリーに問い質す。ジュリーはセックスはしておらず、ジェイミーの力になろうと努力していると答えると、問題の根源が母親にあると指摘する。ドロシアはセラピスト気取りだと詰るが、ジェイミーはドロシアが離婚を乗り越えられておらず、男に対して冷めており、適切な男と関係を築けないでいると諭す。ドロシアは好きな男がめったに現れないのだと認める。

その夜、ドロシアは外の世界を見る為に、アビー、ウィリアムと共にライブハウスに出かける。ウィリアムはドロシアとカウンターで酒を飲み始めるなり、突然ドロシアにキスをする。ドロシアはアビーと寝ているウィリアムが自分にキスをする意図を測りかね、不快感を示す。ウィリアムはアビーとは真剣な仲では無いと弁解する。ドロシアはジェイミーが好きなパンクバンドの音楽やファッションに触れ、人生が変わる経験をし、二人を残して先に帰る。一方、夜更けに帰宅したアビーはジェイミーとジュリーが眠る部屋にやってくると、ライブハウスのバーで女と乱闘し、更にウィリアムにもうセックスしないと言われた事を明かす。アビーはジェイミーに、幸せになりたければ街から出るべきであり、また自信が奪われてしまうからセックスする気のない女を隣で眠らせてはいけないと諭す。

翌日、アビーはかつて自らが使用していたフェミニズムに関する本をジェイミーに与える。ジェイミーは女のオーガニズムの何たるかについて学ぶと、女とのセックスを得意げに語る男友達に女が演技していると指摘して怒りを買い、殴られる。痣を作って帰宅したジェイミーはそれをドロシアに伝える。その直後、ドロシアは車に二つの抗争するパンクバンドの名が落書きされている事に気付く。アビーはジェイミーに男のセックス談義には話を合わせた方が良いと忠告する。ジェイミーは元気の無いアビーをクラブに連れ出す。ジェイミーはアビーの助言で知り合った年上の女とダンスに興じる。ジェイミーはアビーに一緒に町を出て海辺に行く事を提案する。アビーはジェイミーが好きなのはジュリーであり、言いなりにならずにジュリーに欲しい物を伝えるよう諭す。一方、ドロシアはウィリアムに夫と別れた理由を明かす。ウィリアムは瞑想を勧め、ドロシアはそれに応じる。その後、ウィリアムは自らが修理した車にドロシアを乗せてバーに行き、二人はダンスに興じる。帰宅後、二人は車に落書きされたバンドのレコードをアビーのコレクションから探して聴いて楽しむ。アビーはジェイミーが飲酒運転をし、更に年上の女とキスした事を楽しげにドロシアに報せる。ドロシアは外の世界のジェイミーを見られる事への羨ましさを吐露する。

後日、ジェイミーはジュリーにオーガニズムについて尋ねる。ジュリーはそれを感じておらず、セックスをする理由が男の仕草や体つきを見る事にあり、二回に一回は後悔すると明かす。その後、ジェイミーはアビーの本の中から女にとっての加齢について記した章をドロシアに読み聞かせる。ドロシアはさも今の自分を描写したかの様な記述を屈辱的に感じて気分を害し、本で自分を理解したつもりかと詰る。ドロシアはアビーに感謝しながらも、高校生にはやり過ぎだと非難する。アビーはジェイミーが興味を持っており、役にも立っていると反論する。

7月のある夜、ドロシアは友人らを招いて食事会を開く。その中でアビーは生理について憚り無く語るべきだと主張し、皆に「生理」を連呼させる。ジュリーはそれに触発され、初めてタンポンを使用した時の話や、14歳で無理やり処女を捨てた話を語り始めて皆の顰蹙を買い、辟易したドロシアは会をお開きにする。ドロシアは周囲から過激な話題ばかりをもたらされるジェイミーへの影響を心配する。ジェイミーは学ぼうとしているのだと反発し、それに対してドロシアが何もしていないと詰る。その後、ジェイミーはいつもの様に部屋に忍び込んだジュリーに、話しかしないなら泊まらないで欲しいと言い渡す。ジュリーはジェイミーに詫びると、町を出て海辺に行こうと提案する。ジェイミーはそれに応じ、気晴らしに行くと置き手紙をしてドロシアの車を借り、ジュリーと海辺に行く。一方、ドロシアは一人でクラブに向かう途中でパトカーに止められるが、その際に悪態をついて署に連行される。

ジェイミー達はモーテルに泊まる。ジェイミーはジュリーに愛を伝えるが、ジュリーは親しすぎてセックスできないと応じる。ジェイミーはセックスが目的ではなく、ジュリーが欲しいのだと訴えるが、ジュリーはセックスだけの方がマシだと応え、邪険に扱う。ジェイミーは一人でモーテルから出ていく。アビーとウィリアムは署にドロシアを迎えに行く。アビーは子供を持つ事が大変そうだと同情する。ドロシアはどれだけ愛してもしんどい事だらけだと答える。

翌日、ドロシアはジェイミーがサン・ルイスオビスポで行方不明との報せを受け、アビー、ウィリアムと共に捜しに行く。ジュリーはモーテルに駆け付けたドロシアに謝り、ジェイミーが戻ってきた事を伝える。ドロシアはジェイミーを連れ出し、二人きりでの話し合いを求める。ジェイミーは自分の世話にうんざりして、アビー、ジュリーに任せたのだろうと詰る。ドロシアはジェイミーには自分の様にならず、幸せになって欲しいが、自分一人では無理だと思ったのだと弁解する。ジェイミーはドロシアがいればそれでいいと伝え、二人は和解する。その日、五人はモーテルで一泊し、音楽に合わせてダンスに興じるなどして楽しく過ごす。

翌日、ドロシアはジェイミーとサン・ルイスオビスポに留まり、二人きりで過ごす。ジェイミーはドロシアに父と愛し合っていたか尋ねる。ドロシアは一生誰かと愛し合えない事を怖れ、愛し合うべきだと思っていたと答え、最善の道を選んだのだと説く。ジェイミーはドロシアにブリーチで黒髪を金髪に染めてもらい、その最中にこれまで聞かなかった色んな話を聞く。ジェイミーはそれを以ってドロシアが何でも話してくれる様になると思ったが、結局それきりだったと後に知ることになる。

最後に五人の後日談が語られる。ドロシアは1983年に伴侶を得て幸せな生活を送るが、1999年に肺がんが乳房と脳に転移した状態で見つかり、間もなく死去する。ジュリーはアビーと女性NGOに訪れ、ピルを飲み始める。その後、ジュリーはニューヨークの大学に進んだ事でドロシア、ジェイミーと疎遠になり、また実母と絶縁する。ジュリーは恋人とパリに移住し、子供を持たずに暮らす。アビーはサンタバーバラに留まり、二年後に伴侶を得る。その一ヶ月後に二羽の小鳥が相次いで死ぬ。アビーは地元のギャラリーで作品を展示すると共に、医師の助言に逆らって妊娠し、34歳で二児の母となる。ウィリアムはもう一年だけドロシアの家で過ごした後、アリゾナのセドナで陶器店を開く。その後、シンガーソングライターと結婚するも翌年には離婚し、新しい恋人と陶芸を続ける。ジェイミーはドロシアの死から何年も経った後に息子を授かるが、母親のドロシアがどんな人間だったかを伝えきれないと悟る。

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