チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

キャロル

トッド・ヘインズ監督作監督作「キャロル」("Carol" : 2015)[DVD]

デパートで働く平凡な女と、クリスマス目前に客として訪れた貴婦人が恋に落ち、互いが抱える問題に背を向ける様にして始めた旅がもたらす、二人の関係の行く末を描くロマンティック・ドラマ作品。

 

1952年、クリスマスを目前に控えたニューヨーク。デパートの玩具売場で販売員として働くテレーズは、同じデパートに勤める交際相手リチャードから結婚を求められていながら、二の足を踏んでいた。リチャードは夏にフランスへ船旅に出かける事を提案するが、テレーズはそれにも難色を示す。そんな折、テレーズはプレゼントを買い求める客で賑わうフロアにやってきた、気品漂う貴婦人に心を奪われる。その婦人は四歳の娘に贈るという人形を所望するが、それが在庫切れだと知ると、テレーズに四歳の時に何が欲しかったのか尋ねる。テレーズは列車セットと答え、入荷したばかりの新型の列車セットを勧める。婦人はそれを購入し、配達を手配して店を後にする。テレーズは婦人が革手袋を置き忘れていった事に気付く。その夜、テレーズはリチャードとその友人の兄弟フィル、ダニーらと飲みに行く。テレーズはフィルに修理を頼んでいたカメラを受け取る。ニューヨーク・タイムズで働いているダニーは、テレーズが写真を趣味にしている事を知ると、編集部の写真担当助手を紹介する意向を示し、職場に訪ねてくるよう勧める。テレーズはアパートに戻ると、婦人が伝票に記した住所宛に革手袋を郵送する。

その婦人キャロルはニュージャージーの屋敷で愛娘リンディと裕福に暮らしていた。関係が破綻した夫ハージは別居していながら、まだキャロルに思いを寄せており、友人宅のパーティに同伴して欲しいと請うが、キャロルはそれを拒む。ハージはキャロルが親友のアビーと会う約束をしているとリンディから聞くと、その事でキャロルを責め立てる。キャロルはリンディの親権を保持する手前、やむを得ずアビーとの約束をキャンセルする。その直後、キャロルの元に革手袋が届く。キャロルはテレーズの職場に電話をかけ、謝意を示すと、テレーズをランチに誘う。

翌日、二人はレストランで再会する。キャロルは夫がいて離婚するつもりでいる事を明かす。テレーズは交際相手に結婚を求められながら、優柔不断な為に躊躇っている事を明かす。キャロルは日曜に屋敷に訪ねてくるよう促すと、テレーズを天から落ちた様だと表現する。その後、キャロルはアビーの運転する車に迎えられ、ハージの友人宅へ送ってもらい、渋々パーティに付き合う。一方、テレーズはダニーの職場を訪ねる。どんなものを撮っているのか問われたテレーズは、何でも撮るが人間の写真を撮るのは妙な気分だと答える。ダニーは人は誰かに親近感を抱くものであり、惹かれるか惹かれないかだという旨の哲学的な話をした後、テレーズに口づけする。テレーズは口づけを拒み、その場を後にする。ハージはキャロルを屋敷に贈ると、クリスマスをフロリダの実家で一緒に過ごして欲しいと請うが、キャロルはそれを拒む。ハージはキャロルがアビーと過ごす事への不満をぶつける。キャロルはアビーとの関係はとっくに終わっていると反駁すると、イブの午後四時にリンディを迎えに来るよう求める。

日曜日の21日、テレーズはキャロルの運転する車に迎えられ、屋敷へ向かう。道中、キャロルはツリーを買う。テレーズはその姿を車からカメラで撮る。屋敷に着くと、キャロルはリンディとツリーの飾り付けを始める。テレーズはピアノを弾いて聞かせると、写真家が夢だった事を明かす。キャロルは努力を続け、あとは流れに任せれば良いと説くと、写真を見せて欲しいと請う。テレーズは誰かに見せる為に撮っておらず、カメラも安物だと答える。キャロルはアパートに招待して欲しいと請う。そこへ突然ハージが押しかける。キャロルは約束と違うと非難する。ハージは母に急かされている事から、朝の便でフロリダへ向かう意向を示すと、そこに居合わせたテレーズに八つ当たりする。キャロルはリンディに一緒に過ごせない事への理解を求め、車に乗せる。ハージは親権変更について仄めかし、キャロルに同行するよう強要するが、キャロルはそれを拒む。ハージがリンディを連れて行くと、居た堪れないテレーズはタクシーで帰ろうとするが、キャロルはそれを止め、テレーズを車で駅まで送り届ける。テレーズは列車に乗るや、哀しみに抗しきれず涙を流す。テレーズが夜更けにアパートに着いた途端、キャロルから電話が来る。キャロルは酷い態度を取った事への許しを請うと、明晩に会いに行く意向を示す。

翌日、キャロルは顧問弁護士に呼ばれ、ハージが共同親権から単独親権への変更を要求しており、家庭裁判所に申し立てを行い、審問でキャロルの道徳規範について問うつもりでいる事、アビーと同様の交友関係を疑われており、素行を細かく調査される事、四月頃を見込まれる審問までリンディと会えなくなる事を知り、憤慨する。一方、テレーズはリチャードからクリスマスを一緒に過ごす誘いを受けるが、それを断ると、男同士で恋した経験、或いはその様な話を聞いた事があるか尋ねる。リチャードは誰にでも起きる事だとは思わないと答えると、一緒にフランスに行って結婚して欲しいと訴える。テレーズは心の準備ができておらず、決められないと突っぱねる。キャロルはアビーにハージの件について相談すると、審問までの数週間、旅に出る意向を示す。その後、キャロルはテレーズのアパートを訪ね、購入してきた高価なカメラをテレーズに贈る。テレーズは先日撮った写真を見せる。テレーズはリンディの件を聞くと、力になれない自分の無能さを嘆く。キャロルは西へ旅に出る意向を示し、テレーズに同行を求める。テレーズは快諾する。

出発直前、旅について知ったリチャードは憤怒し、すぐに飽きられて後悔すると詰る。テレーズは意に介さず、荷造りを済ませると、キャロルの車に乗って意気揚々と出発する。道中、テレーズは立ち寄ったレストランで、予め購入しておいた、先日屋敷で弾いた曲のレコードを贈る。その夜、ハージはアビーの家に押しかけると、リンディがキャロルと過ごしたがっている事を明かし、テレーズの所在を問い質す。アビーはキャロルがいない事を伝えると、キャロルをリンディに会わせない事を非難する。ハージはキャロルを愛しているのだと強弁し、立ち去る。キャロル達はモーテルに泊まる。テレーズはシャワーを浴びるキャロルに頼まれ、バッグからセーターを取り出すが、その際にチーフに包まれた拳銃を見つける。翌日、テレーズはそれとなくキャロルに何かに怯えているのでは無いかと尋ねるが、キャロルはそれを否定する。

キャロル達はオハイオ州の安いホテルに泊まる。翌朝、テレーズは朝食時に小間物を売っているという男トミーと他愛もない会話を交わす。キャロルはその場でシカゴへ向かう意向を示す。キャロル達はシカゴを経て、大晦日にアイオワのウォータールーに到着し、ホテルで新年を迎える。キャロルはハージが仕事優先であり、夫婦で大晦日を過ごした事がないと明かし、テレーズの体を求める。テレーズもそれに応じ、二人は激しく愛し合う。翌朝、キャロルはチェックアウト時にフロントで受け取ったアビーからの電報を見るや、血相を変え、拳銃を持ち出して泊まった部屋の隣の部屋に押し入る。トミーは盗聴器を片付けながら、開き直った様子で、二人の情事を盗聴したテープを既にハージに送ったと伝える。キャロルはそれを信じず、拳銃を突きつけてテープを出すよう脅すが、弾を込めておらず、為す術無くその場から退く。キャロルはアビーに連絡した上で対応を模索し、ニューヨークに戻る意向を示す。テレーズは自らがキャロルの誘いを断るべきだったのだと悔悟を示す。キャロルはそれを否定し、テレーズの気持ちを喜んで受け入れたのは自分だと諭す。その夜、二人は宿泊したホテルで再び愛し合う。

翌朝、目覚めたテレーズは、迎えに来たアビーからキャロルが既にニューヨークへ発ち、戻らない事を伝えられる。テレーズは自分のせいだと嘆くが、アビーはそれを否定する。テレーズはアビーにキャロルとの関係を尋ねる。アビーはキャロルとは長らく幼馴染に過ぎなかったが、数年前に母の家の近くで車が故障した際に一夜を共にし、成り行きで肉体関係を結んだ事を明かすと、関係は変わるものだと説き、キャロルから託された手紙をテレーズに渡す。キャロルはその中で、いずれハージに関係が発覚して元に戻る運命なら、ここでテレーズを解放するのが最善であり、それをテレーズが理解した時こそ心から迎え入れる事ができ、永遠の夜明けが訪れるのだと説くと、それまでは連絡しないよう請う。テレーズはキャロルから一方的に決別された事で酷く傷心する。テレーズはアパートに戻るとキャロルに電話をかける。キャロルは断腸の思いで電話を切る。

程なく、キャロルはダニーの紹介で、ニューヨーク・タイムズの事務職に就く。キャロルは来る審問に備えて、心理療法士のカウンセリングを受け始める。キャロルはアビーからテレーズがニューヨーク・タイムズで働き始めた事を聞いて喜ぶ一方で、待っていて欲しいと伝えるべきだったと悔やむ。やがて審問の日を迎える。キャロルは審問に向かう途中、ニューヨークの街中でテレーズを見つける。審問の場でキャロルは、ハージには幸せになって欲しいが、リンディを互いから引き離すのは間違っており、テレーズの件は自ら望んだ事で否定はしないが後悔していると主張すると、リンディの為に親権はハージに委ねる一方で、定期的な面会権を要求する。キャロルは自分を偽る生き方では存在意義が無いと説き、ハージが要求を拒否するなら裁判で徹底的に争う意向を示す。

キャロルはその足でニューヨーク・タイムズにテレーズ宛の手紙を届ける。その中でキャロルは、時間と場所を指定してその日の夜に会う事を望み、来なくても理解すると結ぶ。夜、テレーズはレストランでキャロルと再会すると、素っ気なく憎んではいないと伝える。キャロルは屋敷を売ってマディソン街に部屋を借り、家具店でバイヤーとして働く運びとなり、リンディがハージと暮らしている事を明かすと、テレーズに部屋で一緒に暮らして欲しいと請う。テレーズはそれを拒む。キャロルはその後の会食に誘うが、テレーズはそれをも拒む。キャロルはテレーズに愛していると告げる。そこへ奇遇にも、テレーズと同じパーティに行く予定の友人ジャックがやってくる。キャロルはテレーズにパーティを楽しむよう促し、その場を後にする。テレーズはジャックとパーティに訪れるが、キャロルへの思いを募らせる余り、所在なさを感じて一人で出ていく。テレーズはその足でキャロルから聞いたレストランを訪ね、会食を楽しむ客の中にキャロルを見つけ、歩み寄る。友人らと談笑していたキャロルはテレーズに気付き、微笑む。

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