チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

ラビング 愛という名前のふたり

ジェフ・ニコルズ監督作「ラビング 愛という名前のふたり」("Loving" : 2016)[DVD]

かつて異人種間結婚が禁じられていたバージニア州で、白人と黒人のカップルが結婚を強行して州外退去を強いられた事で、困難を乗り越えながら法的権利を求めて州と裁判で争う様を描く歴史ドラマ作品。

 

1958年、バージニア州キャロライン郡の農村部。白人、黒人、先住民が混在する小さな町で、大工を営む勤勉な白人リチャード・ラビングは黒人ミルドレッドと交際し、ミルドレッドの実家で同居生活を送っていた。二人の交際は互いの家族や親類縁者にとって公認のものであり、リチャードは親友レイモンドを始めとする黒人グループと日頃から懇意にしていたが、町には二人の関係に眉を顰める者達もいた。

リチャードはミルドレッドの妊娠を機に、ミルドレッドの実家の近所に1エーカーの土地を買うと、その場所にミルドレッドを連れていく。リチャードはそこに二人が暮らす家を建てる意向を示し、ミルドレッドに求婚する。バージニア州で異人種間結婚が法律で禁じられている為、リチャードとミルドレッドは結婚の手続きの為にワシントンDCまで赴き、ミルドレッドの父が立会人として同行する。二人は結婚許可証を受け取って帰路に着く。

帰郷すると、リチャードは新居の設計に着手する。産婆を営むリチャードの母は、保安官補がリチャードを捜しに来た事を伝える。リチャードはミルドレッドの家族と和やかに過ごす。その夜更け、保安官事務所からやってきた男達がミルドレッドの実家に押し入り、有無を言わさずリチャードとミルドレッドを事務所へ連行し、別々の留置場に収容する。翌朝、リチャードだけが保釈される。リチャードはミルドレッドの保釈を申請するが、職員から日を改めて判事と会うよう促される。リチャードは迎えに来たレイモンドと一緒に帰路に着く。

途方に暮れるリチャードは、翌日、再び事務所を訪ね、ミルドレッドの保釈を申請するが、判事と会うよう促される。リチャードは弁護士を呼ぶ意向を示す。帰り際、保安官ブルックスがリチャードを呼び止め、オフィスに招く。ブルックスは人種が混在した町で混血児が次々に生まれている現状を憂い、それが神の掟、自然の理に反していると説くと、白人と黒人の結婚を見逃さない意向を示す。ブルックスはミルドレッドの保釈申請に家族を呼ぶよう命じ、またリチャードが来たら逮捕すると釘を刺す。間もなく、ミルドレッドの父親が保釈申請に訪れ、ミルドレッドは帰宅する。ミルドレッドはリチャードが実家に同居していると再逮捕されかねない為に、荷物を運び出して去った事を知る。その夜更け、リチャードはミルドレッドの部屋に忍び込むと、郡で一番の弁護士に解決を依頼した事を伝え、しばらく人目に付かずに暮らすよう促す。

後日、リチャードとミルドレッドは弁護士ビーズリーの事務所を訪ねる。ビーズリーは判事と会って司法取引を行い、夫妻が有罪を認めれば懲役一年に執行猶予が付く代わりに、婚姻関係を解消しない限り、25年間州外退去となる運びとなった事を伝えると、夫妻に判断を委ねる。後日、審理に臨んだ夫妻は、州の風紀と平安を見出した罪を認める。判事は夫妻に直ちに州を離れ、同時に州に滞在しないよう命じる。夫妻はミルドレッドの母にDCで暮らす親族ローラを紹介してもらい、州を離れる。

夫妻はDCの黒人が集う住宅街の一角に暮らすローラから、部屋を間借りして暮らし始める。リチャードは大工として精勤し、ミルドレッドは出産を待つ。ミルドレッドはリチャードの母の元で産む事を希望する。リチャードはそれを受け、細心の注意を払ってミルドレッドと共に一時帰郷し、母の元で出産に備える。間もなく、ミルドレッドは無事男児シドニーを出産する。リチャードの母はリチャードに対し、法を犯してまで結婚するのは間違いだと説く。翌日、ブルックスらがやってきて夫妻を法廷へ連行する。審理直前にビーズリーが駆け付け、出産時に一時帰郷できると伝えた自分のミスだと弁解し、情状酌量を求める。判事はそれを認めるが、ビーズリーは夫妻に二度目は無いと釘を刺す。夫妻はシドニーを連れてDCに戻る。

歳月が流れ、夫妻は更に男児ドナルド、女児ペギーを儲ける。働き詰めのリチャードに対し、育児に追われるミルドレッドは、檻の様に狭い家に子供達を住まわせる事に鬱憤を募らせていく。そんな折、キング牧師が主導する黒人の若者らによる仕事と自由を求める大規模なデモ行進が決行される。ローラはミルドレッドにもその権利があると説き、ケネディ司法長官に手紙を書くよう勧める。それに従い、ミルドレッドは長官宛に手紙を書く。

後日、ミルドレッドにACLU(アメリカ自由人権協会)から紹介されたという弁護士コーエンから電話が来る。コーエンは長官が手紙をACLUに送り、そこから自分に訴訟の依頼が来た事を明かすと、訴訟費用を協会が負担する意向を示し、夫妻に会う事を希望する。ミルドレッドはそれをリチャードに伝え、相談に乗ってもらえるのだと説く。後日、夫妻はコーエンと面談する。コーエンは本件が郡裁判所でも州裁判所でも解決できない、最高裁まで進むケースだと説くと、控訴期限が判決後60日であり、既に5年経過している事から、郡裁判所に審議を戻して上訴に繋げる為に、夫妻に再逮捕されるよう提案する。リチャードはそれを拒否する。コーエンは別の策を検討する意向を示す。ミルドレッドはコーエンの手を借りるべきだと主張する。

程なくして、ドナルドが近所で友達と遊んでいる内に、車道に飛び出して車に轢かれる。ドナルドは軽傷を負っただけで事なきを得るが、ミルドレッドはDCでは子育てが無理だと判断し、逮捕覚悟で帰郷する事を決意する。リチャードは納得する。夫妻はレイモンドに、キングアンドクイーン郡の従兄弟の貸家を紹介してもらう。夫妻はそこが農場の一軒家で実家から近く、電話もなく、人目に付かないと知って、早速入居する。夫妻は自然に囲まれた子育てに理想的な環境に満足する。

ミルドレッドは連絡が無いので諦めたという旨の手紙をコーエンに送る。コーエンはかつての指導教官アンティオー教授に協力を求める。アンティオーはコーエンに優秀な人権派弁護士ハーシュコプを紹介する。コーエンは本件が異人種間結婚禁止法を廃止する端緒となり得るが、突破口を見出せないでいる事を伝え、ハーシュコプから連邦裁判所の事案にする為の助言を得る。一方、リチャードは貸家の傍に新居を建て始める。

後日、夫妻はコーエン、ハーシュコプと面談する。コーエンとハーシュコプは郡裁判所で敗訴し、州裁判所へ上訴する端緒を得た事を明かし、最高裁にまで持ち込める見込みを示す。またコーエンらはライフ誌から取材要請が来ている事を明かし、記事にしてもらうのが得策だと夫妻に勧める。程なく、夫妻の貸家に記者ビレットがやってくる。陽気なビレットは一家と和やかに過ごしながら、取材を行う。

夫妻は州最高裁で敗訴するが、ラビング裁判と称される二人の裁判の行方は耳目を集める。リチャードは職場に停めていた車に、ビレットの記事で包まれたブロックが投げ込まれているのを見つける。その帰り道、リチャードは尾行する不審な車両に気付き、猛スピードで振り切って帰宅すると、家族の身を案じてレイモンドと共に夜通し見張りを行う。後日、ミルドレッドは貸家に電話を設置する。ミルドレッドはリチャードに断り無く、記者の取材を受ける。そこへ帰宅したリチャードは不快感を露わにするが、ミルドレッドは記者は味方だと説く。ミルドレッドは記者に対し、自分達が勝てば大勢の人を助けられる事から、嫌がらせには屈しないと訴える

リチャードは裁判を10年も続けている事への徒労感を吐露するが、ミルドレッドを絶対に守ると誓う。そんな折、コーエンとハーシュコプがやってくる。二人は最高裁が上告を受理し、勝算がある事を伝えると、夫妻に当事者として裁判を傍聴するよう勧める。リチャードはそれを拒み、ミルドレッドはリチャードの意向に従う。コーエンは裁判が歴史的な快挙だと説くと、リチャードに裁判官に伝えたい事を尋ねる。リチャードは「妻を愛している」と伝えるよう請う。程なく、コーエンとハーシュコプは最高裁における審理に臨む。二人は異人種間結婚禁止法が人種隔離法の中でも最も忌むべき奴隷法であり、また異人種間結婚はいかなる脅威でもなく、結婚は基本的人権などと主張する。最高裁は二人の訴えを認め、異人種間結婚禁止法を違憲と結論づけ、結婚が生得権であると宣言する。晴れて正式に夫妻と認められたリチャードとミルドレッドは記者会見に応じる。

判決から七年後、リチャードは飲酒運転の車との衝突事故で死去した。ミルドレッドは再婚せず、リチャードが建てた家で生涯暮らした。英雄視される事を嫌ったミルドレッドは、2008年に亡くなる前に取材に応じ、こう語った。「彼が恋しい、彼は自分を守ってくれた」

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