チラ裏レベルの人生記(仮)

自分が自分で無くなった時に、自分を知る為の唯一の手掛かりを綴る、極めて個人的な私信。チラ裏レベルの今日という日を忘れないように。6年目。

パーソナル・ショッパー

オリヴィエ・アサヤス監督作「パーソナル・ショッパー」("Personal Shopper" : 2016)[DVD]

セレブの買い物係として働く女が、死んだ双子の兄が死後の世界からサインを送ってくる事を信じて待つ内に、得体の知れない何者かに翻弄されていく様を描くスーパーナチュラル・サイコ・スリラー作品。

 

モウリーンはパリ在住のセレブのキーラの買い物係として、衣装や宝飾品を調達する為に、バイクと交通機関を乗り継いで方々のブティックを駆けずり回る多忙の日々を送っているが、身勝手で人使いの荒いキーラに辟易する。恋人でエンジニアのギャリーはオマーンに出張しており、モウリーンは度々スカイプでギャリーと連絡を取り合っている。ある時、町外れの家に住んでいたモウリーンの双子の兄で工芸家だったルイスが心臓発作で突然死する。モウリーンはルイスと同じく霊媒師でもあり、死後の世界を証明する為にどちらかが先に死んだらサインを送ると誓い合っていた。

ルイスの死から三ヶ月。モウリーンはルイスの恋人で工芸家のララから友人夫妻がルイスの家の購入を希望している事を知ると、ルイスの霊の存在を確認すべく、一人きりでルイスの家に残ってサインを待つ。夜更け、モウリーンは霊的な存在を感知する。翌朝、モウリーンは迎えに来たララに、霊が距離を置いており一人では力不足だと伝えると、階段の踊り場に残されたひっかき傷を示す。モウリーンは霊の確認を求める夫妻に時間が必要だと応える。その際、夫妻はストックホルムで見つけたというヒルマ・アフ・クリントの抽象画について語る。無名の神秘主義者だったヒルマはカンディンスキーマレーヴィチより前に抽象画を始め、精霊の世界と通じていたのだという。キーラの家に衣装を届けると、モウリーンはヒルマの画集を購入してアパートに帰る。モウリーンは更にヒルマについて調べる。生前、ヒルマは降霊術の会に参加し、その後で霊媒師となった。神智学の影響を受けたヒルマはそれまでの技法を捨て、高次の意識によって抽象画を描いたと信じていたのだという。モウリーンはギャリーにオマーンに来るよう誘われるが、ルイスのサインを待つ意向を示す。

モウリーンはルイスと同じく心臓に異常がある事から医師の検査を受ける。その後、モウリーンはキーラの家にブティックに返却する衣装を取りに行き、電話会議中のキーラを待つインゴと対面する。メンズヴォーグの特派員と称するインゴは、モウリーンに仕事の口利きを提案するが、モウリーンは興味がないと断る。インゴはキーラが夫に関係が発覚するのを恐れて自分を捨てようとしており、その事で話し合う為に待っている事を明かすと、モウリーンが嫌な仕事を続けながらパリに留まる理由を尋ねる。モウリーンはルイスの死と生前に交わした誓いについて明かすと、サインが来たら全てを忘れて自分の人生を送れるのだと答える。間もなく、友人夫妻にルイスの家を売る事が決まり、モウリーンは再びルイスの家に泊まってサインを待つ。夜が更けると、不可解な物音に続いて蛇口が勝手に開いて水が流れ出す。モウリーンはもっとサインを送るようルイスに呼びかける。間もなく、女の霊が姿を現す。霊は恐れ戦くモウリーンの前で、口からエクトプラズムを吐き出して姿を消す。モウリーンはララが迎えに来る朝を待たずして退散する。

衣装の調達にロンドンへ向かう直前、携帯に匿名の相手から「お前を知っている」「お前も私を知っている」などというメッセージが届く。相手はモウリーンがロンドンへ行く事を知っていながら、素性を明かさず、モウリーンはユーロスターに乗車した後もやり取りを続ける内に、相手がルイスでは無いかと疑い、実在するのか尋ねる。相手は質問にまともに答えず、「お前が欲しい」「すぐそばで見ている」「まずは接触したい」などと立て続けにメッセージを送りつけ、モウリーンを翻弄する。モウリーンがロンドンで衣装を受け取り、帰路に就く間もメッセージは続く。相手はゲームを提案し、モウリーンがそれを拒むと、「別人になりたいと思うか」「嫌いなものはあるか」と尋ねる。モウリーンは先日ブティックで靴を試し履きした事、本来試着が禁じられている事を明かすと、禁じられていなければ欲求も湧かないと説く。夕方、モウリーンは不在のキーラの家に衣装を届けた後も相手とのやり取りを続ける。相手は「キーラのドレスを着たいか」と尋ねる。モウリーンはその言葉に触発され、キーラのドレスを試着し、それを相手に伝える。相手はモウリーンが別人になりたいのだと唆す。モウリーンはキーラのベッドで自慰に耽り、眠りに就く。夜更け、モウリーンは直ぐ側に霊を自覚して目を覚ます。

翌朝、帰宅したモウリーンは自分宛てに届いたホテルのカードキーを見つける。モウリーンはララの家を訪ね、ルイスの家を彷徨っていた女の霊が消失した事を伝えると、ララにこれからどうするつもりなのか尋ねる。ララはルイスの死後に新たな出会いがあった事を明かすと、ずっと嘆いてはいられず前に進む事を希望する。モウリーンはそれに理解を示す。ララはヴィクトル・ユーゴーがかつて降霊術によって歴史上の有名人と交信し、その際に霊に台座の脚で床を叩かせて会話した記録が残っている事を明かす。モウリーンはユーゴーについて特集した60年代の番組をネットで見つけ、霊との交信の一部始終を視聴する。その後、モウリーンはブティックに返却する前のドレスを着て、カードキーに記されたホテルの部屋を訪ねる。そこには誰もおらず、モウリーンは匿名の相手からのメッセージで、自撮りして送るよう求められ、それに応じる。相手はその格好の方が良いと評する。モウリーンは自分では無いようで恥ずかしいと答える。相手はそのままカードキーを持っているよう促す。モウリーンは受付で部屋代を払った人物について問い合わせるが不明だと伝えられる。

夕方、モウリーンは靴とジュエリーを調達してキーラの家に届けに行く。モウリーンは血塗れの寝室と、次に浴室で惨殺されているキーラを発見し、更に家の奥の方で発せられる物音と光の明滅に狼狽して逃げ出す。モウリーンは間もなく我に返って警察に通報する。モウリーンは刑事の尋問を受け、ジュエリーを収めたバッグが無くなっている件について嫌疑をかけられる。尋問を終えたモウリーンは、匿名の相手からメッセージのやり取りについて警察に話したか問われる。モウリーンは帰宅するなりギャリーにスカイプし、オマーンへ会いに行く意向を示す。ギャリーは何日か山へ行く予定を伝え、山で落ち合う事を提案するが、モウリーンは渡航禁止令が出ている事を伝えて難色を示す。その直後、モウリーンはキーラの家にあったはずのジュエリーを室内で見つける。匿名の相手はモウリーンにホテルへ来るよう命じ、モウリーンがそれに応じなかった為にモウリーンの部屋の前までやって来て、ホテルの部屋を記したメモを投げ込んでいく。モウリーンは直ちに携帯のSIMカードを変える。

翌日、モウリーンはジュエリーを収めたバッグを持ってホテルの部屋を訪ねる。その後、目には見えない何かがホテルから出ていき、霊的な現象が示唆される。モウリーンがいた部屋から出たインゴは、その何かと同じ様にホテルから出た途端、張り込んでいた警官に捕まる。インゴは警官に発砲して逃走を図るが、結局逮捕されて犯行を自白する。事件解決によって容疑の晴れたモウリーンは、ララの家に泊めてもらう。翌朝、モウリーンは庭でララの恋人アーウィンと対面する。工芸大でルイスと一緒だったというアーウィンは、生前のルイスが直感で他人を見抜いていた様に思えた事を明かすと、モウリーンも同じでは無いかと指摘する。モウリーンは、母が死に際に別れを告げに来たというルイスの言葉を信じている事を明かす。アーウィンは今でもルイスを感じており、引き止められている様だと表現する。モウリーンはそれが罪悪感のせいであり、ララと幸せになるべきだと応える。アーウィンはモウリーンもまた、自由を愛したルイスの様に、ルイスから自由になるべきだと説き、出かけていく。間もなく、モウリーンの背後でグラスが落ちて割れる。

翌日、モウリーンはオマーンへ旅立つ。モウリーンはギャリーの家に着くと、書き置きに従い、ギャリーの手配した運転手の車に乗って山村に辿り着く。モウリーンが宿屋の無人の部屋に入るなり、浮いていたグラスが落ちて割れる。モウリーンはルイスの霊がいると悟り、呼びかける。相手はユーゴーの降霊術の様に、部屋を叩く音で呼びかけに応える。モウリーンはやり取りする内に相手がルイスでは無いと悟り、誰なのか問い質すが要領を得ず、全部気のせいなのかと問いかける。

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